楽居庵

私の備忘録

春は大師会&大正寺茶会へ

2010-04-12 08:47:40 | 茶会
寒暖の移り変わりが激しい卯花月の5日の大師会は春雨の寒い日、
6日は快晴で心も軽く根津美術館へ

改装になった本館と浅緑の庭園は市中の山居の豊かな風情
池の辺に立つ一本の桜はいかにも「万緑叢中紅一点」のよう
もっともまだ浅春でしたが…  

それぞれの茶室へ渡る敷石も歩きやすくなった
広間の弘仁亭は二十年前に薄茶席を持たれた先生のお手伝いで使われたことがあり、
懐かしかった
そのときは伊達綱宗賛、山部赤人歌仙絵「和歌の浦に…」であった

さて肝心の大師会の道具組みは、多分数奇者のブログを読めば
良いかと思うので省略
美術館のガラスケースから出てきたと思われる名品の数々が場を得て眼前にある

翌日はまた雨、そして翌8日は潅仏会茶会で快晴  
淨聲庵考案の野点で庵を囲んで一服する
写真はその野点席に行く木のチップを敷いた通路で柔らかな日差しが射しこむ

濃茶席は清巌老師「花 伽葉 破顔 微笑」お釈迦さまが誕生した日に因む横掛物
薄茶席は玉舟筆「巌下風生處弄児」
本堂はお釈迦さまのお掛物

夫々にふさわしい床荘りであった

お水取り&奈良平城京遷都1300年祭 記念茶会

2010-04-03 09:34:03 | 茶会
奈良へ茶会の準備を兼ねてお水取りに行った
3月11日、夕闇迫る奈良公園を東大寺二月堂へと鹿を横目に見ながら行く
村田陶苑作の金銀彩群鹿茶碗を使うことにしているので、鹿を見る気持ちも一段と弾む

この日は冷え込みもそれ程ではなく、10本の松明が錬行衆の足元を照らしつつ、
二月堂の回廊を乱舞し火を振りかざしつつ舞い、火の粉が飛び散る

炉中の火の赤にいつも感動を覚えるが、火は原始の色だとつくづく思う

12日、安寧を祈願する善男善女の頭上に一段と大きい籠松明が11本乱舞し燃え上がる
クライマックスの一瞬だが、実際は11本の内1本が終わると、誘導にて出されてしまった
大勢の見物客のためには仕方がない処置だそうだ

ならにはもう一つ目的があった
昨秋餅飯殿センターの店で茶杓を求めた
この店は法隆寺、東大寺の大修理の際、トラック3台分の古材を入手し
未だにこの材を用いて作品を作っている

茶杓は昨年のお水取りの際の竹の茶杓で、今回はその茶杓に「東大寺」という銘を
付けていただくことであった
干菓子は萬々堂道則の青丹よしと微笑を予約する

茶会当日、阿倍仲麻呂の歌「天の原振りさけ見れば…」と詞書の掛軸、光廣卿の筆である
仲麻呂は20歳で唐に渡り、53年間にも長きに渡り唐に留まり、望郷の末彼の地で没した

この軸の出番にふさわしく、平城京遷都1300年記念茶会に使えたことが一番の喜びであった
仲麻呂の望郷は、私も戦後の引き揚げ子女だけに(最も幼児で何も覚えていないが)
心を一つにできたのかもしれない