先月サントリー美術館の「毛利家の至宝」展を慌しくみたので、先日又出かけた
今回の目的は、井戸茶碗「毛利井戸」(出光美術館蔵)をもう一度みたくて
井戸茶碗をガラスケースの四方から眺められるのも、サントリー美術館の展示の強み
照明との関係もあるかもしれないが、非常に美しく端正な姿は見ていて飽きない
いつの頃に毛利家から出たのであろうか
大井戸茶碗の「常盤」もかいらぎの見事さで大井戸の風格があるが、好みでいえば「毛利井戸」に軍配をあげたい
いつも思うのだけど、現代の作家にも100年後、200年後、300年後の井戸茶碗をみてみたいとおもう優れものの井戸茶碗がある
まして現代の作家は、あれこれの名品をみての作陶だから自分の作品の行く末が気にならないだろうかと、他人事ながら…
そういう私も、日本に15歳まで住み戦後韓国に帰った陶工の井戸茶碗をかれこれ30数年愛用している
この茶碗は身びいきながら井戸の特長をほぼ持っていて、数少ない茶事、茶会にはつい使ってしまう
「早く良くなれ、よくなれ!」と念じている自分に苦笑しながら…
良いものは残り、そうでないものは消えていく…そんな道具類の運命を道具を造るのも人、道具に命を吹き込むのも人
そう考えていたら、先だって手に取りその茶碗で頂いた当代楽吉左衛門氏の茶碗に思いが至った
古萩茶碗には、如何にも野武士のような力強さを感じる
高台が高く祭器を思わせるような古萩は、萩の七化けにはほど遠い硬い焼き締めのように見受けられた
サントリー美術館・東京ミッドタウン5周年記念の至宝展であった
ミッドタウンが位置するところは、もとはいえば毛利家の江戸麻布屋敷と呼ばれる下屋敷跡
藩主が御表御殿で公務を行なった付近らしい
一階のガーデンテラスでは、自由にテラスに出入りできて読書したり、ランチをとったり、お喋りしたりできる自由空間、
この日はTさんお薦めの山本兼一著「とびきり屋見立て帖 赤絵そうめん」を読みながらランチ
とどのつまり、景徳鎮官窯萬歴赤絵の鉢にそうめんをうかべて食べるいきさつとなる
水鳥と蓮文、魚藻文、雲と竜文、唐子と牡丹の金襴手、松に鶴、池に鷺、桃の吉祥文…
作者も美術館で見たのかもしれない、いえ実際赤絵の鉢でそうめん浮かべながらこの推理をしたのかもしれない
いいなあ~