楽居庵

私の備忘録

東京の軽井沢? ミッドタウンでランチ

2012-05-29 09:01:40 | 展覧会

先月サントリー美術館の「毛利家の至宝」展を慌しくみたので、先日又出かけた

今回の目的は、井戸茶碗「毛利井戸」(出光美術館蔵)をもう一度みたくて

 

井戸茶碗をガラスケースの四方から眺められるのも、サントリー美術館の展示の強み

照明との関係もあるかもしれないが、非常に美しく端正な姿は見ていて飽きない

いつの頃に毛利家から出たのであろうか

 大井戸茶碗の「常盤」もかいらぎの見事さで大井戸の風格があるが、好みでいえば「毛利井戸」に軍配をあげたい

いつも思うのだけど、現代の作家にも100年後、200年後、300年後の井戸茶碗をみてみたいとおもう優れものの井戸茶碗がある

 まして現代の作家は、あれこれの名品をみての作陶だから自分の作品の行く末が気にならないだろうかと、他人事ながら…

 そういう私も、日本に15歳まで住み戦後韓国に帰った陶工の井戸茶碗をかれこれ30数年愛用している

この茶碗は身びいきながら井戸の特長をほぼ持っていて、数少ない茶事、茶会にはつい使ってしまう

「早く良くなれ、よくなれ!」と念じている自分に苦笑しながら…

 

良いものは残り、そうでないものは消えていく…そんな道具類の運命を道具を造るのも人、道具に命を吹き込むのも人

そう考えていたら、先だって手に取りその茶碗で頂いた当代楽吉左衛門氏の茶碗に思いが至った

 

古萩茶碗には、如何にも野武士のような力強さを感じる

高台が高く祭器を思わせるような古萩は、萩の七化けにはほど遠い硬い焼き締めのように見受けられた 

サントリー美術館・東京ミッドタウン5周年記念の至宝展であった

ミッドタウンが位置するところは、もとはいえば毛利家の江戸麻布屋敷と呼ばれる下屋敷跡

藩主が御表御殿で公務を行なった付近らしい

 一階のガーデンテラスでは、自由にテラスに出入りできて読書したり、ランチをとったり、お喋りしたりできる自由空間、

 

この日はTさんお薦めの山本兼一著「とびきり屋見立て帖 赤絵そうめん」を読みながらランチ

とどのつまり、景徳鎮官窯萬歴赤絵の鉢にそうめんをうかべて食べるいきさつとなる

水鳥と蓮文、魚藻文、雲と竜文、唐子と牡丹の金襴手、松に鶴、池に鷺、桃の吉祥文…

作者も美術館で見たのかもしれない、いえ実際赤絵の鉢でそうめん浮かべながらこの推理をしたのかもしれない

いいなあ~

 


五月 山里茶会

2012-05-13 11:31:58 | 茶会

先生が茶道会館(市松の間)の山里で薄茶席の釜を掛けられたので社中がお手伝い

 山里 市松の間玄関

 寄付・床には玄々斎の短冊  「武蔵へまかり玉河人に茶碗をつくらせたまいけるに 

藤ぬののむかしを今に手つくりのうつはゆか敷たま川のさと」

 さて玄々斎はいつ頃江戸へ下ったのであろうか、18歳、23歳、42歳出府の三度の記録がある 

武蔵野へはその折にでも遊んだのかもしれない……

本席へのなぞ解きをお客様はすぐ感じられるような道具が一つ使われている

 

床は円能斎筆「水声無古今 養老以菊水筆」

      

初風炉になり籠に数々の花が入れられ、外の爽やかな緑と呼応するかのよう

二人静、都忘れ、丁子草、姫百合、令法、イキシャ、(あと一つ失念)が初代瓢阿の耳付に

そのイキシャに視線が集まるのは、日頃見慣れていない花のよう

南アフリカ産のアヤメ科で槍水仙の名をもつ外来種とはおもえない風情のある花で中心を占めている

かなり大きい月日貝香合は鵬雲斎大宗匠のお好み

 道具畳には、芦の透しが入った風炉先、吉向造の道安風炉に浄林の筒釜が掛かる

吉向焼は茶碗などに見られるが風炉は珍しく、今は造られていないとか

遠山棚(淡々斎好・在判)に半七の八ツ橋絵の小振りの水指が収まる

水指のまわりに杜若が今を盛りと咲き乱れ、蓋を開けると八ツ橋の絵が回っている

半七の心憎いまでの意匠である

 先日8日根津美術館の杜若、メトロポリタン美術館所蔵の八つ橋図屏風を見ただけに

季節感があふれている水指はピッタリ

 中棚の淡々斎好み(在判)の団扇棗は一閑造、好みになっているが非常に数少ない棗とのこと

棗の甲に団扇が描かれ、遠くに山と舟が、近くに木々が、繊細な蒔絵をほどこしている

 さて、この辺りから主茶碗、次茶碗と点てられ始める

黒楽・了入造、高台に中印(32~69歳までの印)があるが、見込みに隠居印があるので、

これは隠居して間もないので見込みに草書の楽字印を、高台にはこれまで使ってきた中印を押しているのではないかと私の勝手な想像、ただ了入は数印を試みている陶工でもあるのでこの推理は?

 

次茶碗が玉川焼、これで寄付の玉河人に造らせた前書きにつながってくる

茶碗の見込みに玄々斎が「玉かわやき 花押」とかいている

小さなたまご色の茶碗で話題の中心にもなって、皆さま熱心に拝見される

三椀は、淡々斎が初孫の初節句の折に久宝に造らせた波に鯉茶碗

如何にも波に鯉が勢いよく跳ねている絵付けに初孫の誕生を祝っている気持ちがあらわれて清々しい

そういえば坐忘斎家元の誕生日は6月7日、55年前の祝い茶碗である

 

その茶碗だけではなく茶杓にも、淡々斎作 銘・太刀

如何にもかい先にみなぎる力があるような

 

雲にたなびく五雲の白(上林製)に薫風(亀屋萬年堂製)銘の生菓子が透し四方鉢(薩摩焼)に

誰が袖に折られた練り切りは透かされて杜若の聖が見えるような、

それを頂いたときの美味しかったこと!

         

社中のお手伝いながら、招かれたような気分になってしまう自分でした

《おまけ:社中の方が茶花を持参され使われなかったので、頂いて帰り手元の釣瓶にめちゃくちゃに入れてしまいました(花好きのTさん、ゴメンナサイ!)》


うつくしきかな杜若

2012-05-10 20:59:00 | 花、木

5月3日雨にめげずに杜若を愛でた友人のつぶやきを読んだところに、遊び友達の友人からランチしながら根津美術館に行きましょうとのお誘いの日は、気持ちの良い爽やかな五月晴れ

根津美術館とメトロポリタン美術館の所蔵の光琳屏風が並ぶ上に、庭園の杜若がまさしく華を添えるといういやが上にも見逃せないワンシーン

六曲一双の屏風という構図をいかして杜若を描いた光琳の意表をつく大胆さは、すごーい!

庭園の一角は、木の間より見え隠れして群青に染められた杜若は、光琳の屏風から抜け出したような美しさだった

 

晴間の杜若を見たが、雨に打たれた杜若の鮮やかさも見てみたかった

蕪村はこんな句を残している  宵々の雨に音なし杜若

その一方虚子は   よりそひて静かなるかなかきつばた  

杜若の美しさを一言も言わずに、杜若の美しさを詠んでいる二つの句のすごさよ!

  杜若前の腰掛

 薬師堂


「信長、秀吉、家康 天下取りの書状展」へ

2012-05-04 08:42:19 | 展覧会

G.Wというのに大雨の中,友人のお誘いで羽田空港discovery -museumへ

空港施設の中に美術館があるなんてびっくり!

ただHPをみて興味がそそられた

天下取りの信長は”本能寺の変”の約1ヶ月前4月24日細川藤孝(幽齋)宛ての最後の書状は、信長の朱印状

 織田信長朱印状

次の天下取りの秀吉は、天下統一にむけて細川忠興(三齋)へ知行宛行状(ちぎょうあてがいじょう)を出し手を打つ書状

 豊臣秀吉知行宛行状

関が原の戦い直前、最後の天下取り家康は、細川忠興(三齋)あての書状で展開された戦略

 と、永青文庫蔵の14通の書状で天下取りを明らかにしていくストーリーは、歴史が明らかな現代でも推理小説的で三人の天下取りが、今ここでも続いているような生々しい書状であった

 明智光秀から細川親子宛の覚書

この日はギャラリートークがあり学芸員による書状の解説と「歴ドル美甘子」出題のクイズがあった。三択クイズ

① 武将はお互いにどのように呼びあっていたか?  答え:官名

② 武将はトイレをどのようにしたか?  穴を掘る

③ 武将の風呂は?  蒸し風呂

④ 武将は戦いで怪我をしたときの止血法は?  馬糞

⑤ 武将は何時に起きたか?  午前4時

⑥ 武将への戦功の褒美は?  茶器

⑦ 移動できるプレハブ住宅は?  茶室

⑧ 武将の年間給料は?  150万円

⑨ 武将はいつ酒を飲んだか?  何かにつけて

⑩ 武将の遊びは?  囲碁と将棋              

私は⑤の答えを起床午前3時として間違い、9問が正解

羽田空港はG.W最中とあって大変な賑わいであったが、ここだけはエポックの一隅でした


妻沼聖天山本殿

2012-05-02 21:44:51 | その他

先月遠州流小堀宗実家元による献茶式に初めて参列した

妻沼聖天山御本殿が保存修理されたことによる献茶のご奉仕である

聖天山歓喜院の華麗で荘厳な美しさが蘇った本殿は「埼玉日光」と呼ばれるゆえんである

   本殿透塀(玉垣)内を拝観しました

囲碁彫刻が再現したことにより、ここ本坊書院にて第67期本因坊戦が開かれる

遠州流家元の所作は、「綺麗さび」は勿論のこと、

儀式といえども、茶事の中の点前のごとく平常心そのものであった