楽居庵

私の備忘録

無径会 茶会

2011-09-19 10:50:53 | 茶会

友人のお誘いで同道しての茶会が赤城の山荘で催された

お彼岸も近いというのに、台風の接近で残暑が厳しい一日であった

 

それでも赤城山中腹に建つ山荘は、樹木に囲まれ風が爽やかに渡る

前日にある除幕式が行なわれて、その報告がまずあった

 

話は遡り、天平13年(741年)聖武天皇の発願により国ごとに国分寺、国分尼寺が創建されたが、

長い時代を経て、上野国の国分尼寺址の史跡標柱も定かならず……

 

そこでこの度、法華寺久我高照御門跡様のご染筆をもってその地に碑を建てられることになった

その報告を、奈良の法華寺から副御門跡様をお迎えして執り行われた

茶会の主催者は、この除幕式の一端に携わった方でもある

 

裏千家では命日や忌日などの行事で、日頃の修道をみて頂くときに花月を行なうと

いうことにて、濃茶付花月をご披露なさった

 

         地蔵菩薩像に献花(小池御室流)&濃茶席

 

私達は会の方が法華寺、東大寺に納められた菊のご紋入りの茶碗で濃茶をいただく

茶室を開け放ち、風が渡る中で頂いた濃茶の美味しかったこと!

 

さて、昼食はまた別棟にてすべて手作りの点心が振る舞われて感激!

手間ひま掛けられたご馳走は、何よりのおもてなし

 

      海老真蒸や栗ご飯など

 

午後の日差しが相変わらず強かったけれども、

山荘の中心に設けられた立礼席に三々五々集まる

土台も立礼の棚もすべて会の方々の手作りとのことで、すごい!

 

埴輪も戸外で古色帯びて自然なたたずまい

彼岸花も咲き出していたが、今年は9月からの残暑で少々遅いらしく、

彼岸花で囲まれた風景をお見せできずに残念と云われる

 

 彼岸花と

 

この立礼席の薄茶の点前が鏡点前でされた

鏡点前は二人並んで、同時に始まり、同時に終わるという仕掛け

だから一人は逆勝手になる

 

 立礼の場

  

印象的な道具が数々あった中で、茶杓に眼がとまった

一本は、東大寺の修二会で使用する柳製の「牛玉杖(ごおうづえ)」を茶杓にされた

もう一本は、法華寺に咲く法華寺蓮の茎を三年保存して茶杓にされたとのこと

 

       

      法華寺蓮の象鼻茶杓          法華寺蓮(法華寺HPより)

 

また棗も正倉院御物の琵琶の螺鈿文様からとった唐草を絵付けに、

もう一つは法華寺の蓮を絵付けに、いみじくも東大寺と法華寺の協奏曲を奏でた

 

お菓子は濃茶は、奈良から届けられた蓮の形をした練り切り

薄茶は、法華寺の紅白の落雁

 

お彼岸への供養が満ち溢れた一日であった

 


第2回四君子会 その2

2011-09-16 19:40:48 | 茶会

  御所籠 配置(コンロとやかんなし)

 

このペンション村は約20軒位が集まり、道路を挟んでほぼ等間隔に並んでいて、

それぞれがオーナーの好みに合わせて庭作りをしているので、楽しみながら散歩できる

 

ところでブログ作成中に早速、友人たちからお礼の手紙が届いた

そのお手紙の一部から抜粋させていただく

 

自生している秋の花をつんで席を飾ることの幸せ、 

緑を渡ってくる風と木洩れ日の中で共々にお茶を頂ける幸せ

    

主催者冥利に尽きる一言!

 

さて、夕食はいつもこだわりの一席

食前酒は手作りのソルダム酒、シソ、ねぎなどをベーコンで包んだメインディッシュ、

テーブルの中心には、たまご茸という珍しい茸は朱赤色をしていて、炒めるとエリンゲもどきでコリコリした味、ナスは自家製のからし味噌で、てんぷらはエリンゲ、ピーマンなど、マスの刺身、トマトスープ、最後にその日脱穀した古代米、デザートにブルーベリーヨーグルト、コーヒーなどなど

(思い出さない料理もありオーナーゴメンナサイ!)

 

 ペンションの食卓

 

 たまご茸(下から段々傘になる)

 

そして、オーナーの友人でいらっしゃる牧師先生も同席されて、にぎやかに話が弾んだ

先生は東京の教会を退かれてから、佐久で畑を耕し、物作りしながらの牧師生活をされていらっしゃる

 

翌朝、友人達と散歩

緑に囲まれながらの野草摘みや、散策も久々に

ゆったりと深呼吸できるように思えました   と都会暮らしの友人の一言

 

12日は満月の十五夜、オーナーが山のように芒を採ってきて下さった

 

それで茶籠に芒を入れるのも趣向かしらと、早速皆さんと手分けして入れてみた

添えに溝蕎麦一本を入れたら芒が一段と引きたった

手前に月見団子に見立てたお菓子を添えて

 

 

今日の花は、尾花、藤袴、女郎花、吾亦紅、薊と朝の散歩で秋の草草がまたたく間に集まった

(これらの花を友人は翌日の稽古にと持ち帰ったところ、水揚げもできて籠に入れた写真を送ってくださった。野の摘み草は本当に元気!)

 

朝食後、清らかな空気のもと、牧師先生を正客に、

オーナー夫妻もお招きして茶箱「月」点前を披露

 

「月」手前は香を炊くので、(コンロでは香を入れられないので)

香炉を持出し脇に置いて沈香を炊いて、皆さまに聞いていただく趣向にした

 

お三方は初めてのこととて、真摯に受け止めてくださったのが印象的なことでした

お抹茶をいただく時もそうでした

 

友人の一人は、お手紙の中で

ペンションのオーナー夫妻、牧師様をお迎えしての月手前は

特に思い出深いものがありました

皆様それぞれに深くお茶を味わって下さり、

とくに奥様は目を閉じてじっくりとお茶わんを抱えられ、

それはそれは美味しそうに味わっていらしたのが印象的でした

お茶を楽しむ心はだれにでもあり、それを引き出すことこそ、

お茶を修行している者のつとめなのだと思いました

 

私もそのように感じてくださった友人方を遠方までお連れしてうれしい茶筵でした

 

月手前 配置

 

「月」の茶箱は朱塗り四季草花蒔絵の中に、祥瑞の茶碗、宋胡録の振出しが時代物

茶巾筒は、捻りがある朝鮮青磁、替えは兎茶碗、

 

実は茶碗の高台には、「五良本甫呉祥瑞造之」、胴には鳳凰、龍、牡丹、長命富貴などの文字

見込みには山水画がコバルトで濃くたっぷりと描かれている

箱にも祥瑞茶碗一双と墨している

 

ある時、古美術商のカタログにそっくりの祥瑞が掲載されていたので、

持参したところ、意外や(というより、そうだったのか)江戸時代に祥瑞を写したものだとのこと

 

高い買物だったけれど、でも今だったら確かな眼を持っているかというと(?)が付くかもしれないので、この茶碗でおいしい!と喜んでいただいたことで、私は大満足でした

 

 


第二回四君子会 その1

2011-09-15 14:16:04 | 茶会

自由な発想で生まれた四君子会は、第2回を富士見高原のペンションで茶筵を開いた。

今夏も残暑が厳しく、集う仲間達も爽やかな秋を楽しみにという返事をいただいた。

 

ペンションのベランダの周辺は、白樺やなんじゃもんじゃの木、白雲木、山ぼうしなどの

木々に囲まれ、茶花候補の秋草がロックガーデンの間から見え隠れしている、

そんな景観の中ではじめた。

                                       

 

ベランダの柱には辛卯の扇子「富貴長寿楽」(家元筆)に栗素材をざっくりと刳り貫き何度も漆掛けした野趣的な掛花入に松虫草、野菊、赤水引の三種入れる

 

50年ほど前の伯母の形見の茶籠は、十四代淡々斎好みよりも一回り大きく、

15mm位の竹を四方に回し、その間を竹の網代で組んで回している。

中は濃き紫の布地を張ってあるが、蓋は何故か竹を編んだままなので仕上げはよくわかるが、

丁寧な仕事である。

 

漆塗りのこれも曲げの古い建水が丁度入ったので、

この中に高取焼と京焼の秋草文様の茶碗を入れ子にして、

壷々蒔絵文様の平棗を袋に入れる

 

 

茶筅筒は独楽、茶巾筒は南遼が欲しかったが手に入らず、

金属製で袋はタイの古布にトンボ玉をつけて雰囲気をだしてみた

振出しは、御所籠の定番の瓢箪を網に入れ、金平糖をやはり入れる

 

茶杓は正倉院裂の袋に竹の茶杓を、

象牙の芋茶杓が好みの茶箱に入っているのを見かけるが、

途中で茶箱の中身の収集を断念した身にとり、

20代で先生に選んでいただいた茶杓の持ち出す

でも時代が経つと風合いが出てきて愛着がわいてくる

 

さて、ペンションのオーナーの用意してくださった白きテーブルクロスにコンロとポットを置いていよいよ茶筵のはじまり

 

お菓子は、木瓜形の春慶盆に富山の月世界、熊本の松風煎餅、諸江堂の万葉の花三種を待合のお客さまに盛っていただく

 

お客様は周辺の木々に囲まれているベランダの雰囲気にすっかり感激して、

点前もスムーズに運び、替わりばんこに点前をして私もお相伴に預った

 

                          

 

この地は、地下深く掘られた井戸水でお水も美味しいとのこと、

水と風景と友垣とが相まった和敬静寂の興趣であった

 

                              つづく


ある物に釣られて

2011-09-02 14:09:26 | その他

昨日台風12号接近という不安定な日ながら、従妹の家に伺った

従妹の母親である叔母の着物や帯を10年ぶりに虫干ししたので、

「良かったらお茶をしているあなたにお譲りしたいわ」という

 

着物人口が少なくなってきた昨今、従妹もご他聞に漏れず持て余し気味らしい

叔母は確か昭和15年ころ結婚しているので、嫁ぐときに持参した帯はかれこれ70年位経ているもの

 

黒地におめでたい吉祥紋を日本刺繍で刺している

昭和10年代、色々な糸を駆使しての刺繍の見事さに、職人技の腕の確かさを感じる

 

 

今でも充分締められるが、従妹は母親の形見として残したいので自分が亡くなったときに

「あなたに差し上げるから、○○さん()、そのときはそうしてね」と

 

幻の帯になりそう?

 

そして次に留袖、

留袖は雅楽で奏する楽器を裾に配しての品のある一枚

琵琶、笙、ひちりき、笛、鼓、琴、桧扇などなどが絵巻模様のよう

 

昼食も楽しみであった、メニューは、

夏野菜の素揚げを酸味の強いソースでいただくと、夏ばて防止の食材になりそう

ハム三種にオリーブやゴーヤを飾って

その間、箸休めのアボガドにミニトマト、海老を入れて

以外やレトルトの枝豆の冷たいスープもいける

最後にモッツレラスパゲッティ

デザートは持参のケーキにブドウを

 

洋式懐石をいただいている感じであった