GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

ジジイの言うことを信じるな

2017-07-02 04:26:29 | Talk is Cheap
暑い夏。
エアコンが大活躍。
地球温暖化?Co2削減?ごめん、エアコンはつけさせてくれ。
Co2排出の60%を担う中国とアメリカが調印しない今、日本の家庭でいくら気を遣っても無駄でしょう。

さて、そのエアコン。
エアコンは体に悪いとか言って、夏でもエアコンつけないで熱中症で倒れるジジイがいる。
悪いけど馬鹿としか思えない。
いや、奴らは何か勘違いしてるのかもしれない。

数年前、99歳で大往生した祖父の初盆の時にそれを痛感した。

もちろん盆だから真夏だ。
山口県岩国市、はっきり言って田舎です。祖父の家の周りは緑はいっぱい。錦帯橋まですぐそこの場所だが、その錦川は歩いて渡れるんじゃないかってくらい水が少ない。猛暑のせいか、治水のせいかわからん。鵜飼いはできるのだろうか。そんな季節にそんな場所で行われた初盆。参列者も当然お年寄りが多い。

奴らが言った。「エアコンは体に悪い」と。
外はカンカン照り、風は無風、蝉の声がうるさい中、エアコンなしで扇風機一台のみ虚しく動いてる。だだっ広い広間に首振り扇風機一台だけ。何の役にも立っちゃぁいねぇ。マジか。キムタクのようにつぶやいたことを覚えてる。
しかしこの人たちの年齢の半分もいっていない俺が口をはさめる雰囲気じゃない。
「早く終わってくれ、そうじゃないと熱中症で俺が死んでしまうぞ」って式の間ずーっと思ってた。ありがたいお経もお言葉も「いや、もうショートバージョンでいいから早く終わってくれ」としか思えなかった。罰当たり。

ようやく式が終わって、一服どうぞってお茶が運ばれてきた。

「暑い時は熱いお茶ですなぁ」

殺意って簡単に芽生えるんだとその時思ったよ。

熱いお茶だと?いじめか?なんかの我慢大会か?
キンキンに冷えた麦茶でも2リットルは飲めそうなこの状態で、熱いお茶だと。

俺は鳴ってもいない携帯電話を持ち、いかにも急用の電話がかかってきたフリをして外に出た。
黒の礼服は紫外線をどんどん吸収する。上着を脱いで自動販売機を探す。
田舎は嫌いだ。見渡す限り自動販売機の影も形も見えない。
コンビニなどない。
てくてくと、いや、とぼとぼと灼熱の道路をさまよい歩く。

陽炎のように揺らぐ遥か彼方に自動販売機らしきものが見える。
砂漠をさまよってる旅人が蜃気楼で泉や湖を見つけたようなものとか、幻覚とかじゃないよな。
電池とか新聞の自動販売機だったら、蹴りをいれてしまうだろうななんて思いながら近づく。パックのジュースの自動販売機だ、よかった。

ここで小銭を持っていなかったとかいうオチではない。
もっと悲惨だ。
ポケットからジャリ銭をもどかしくコイン投入口に投入し、ウーロン茶のサンプルパッケージの下のボタンを押す。
そして取り出し口から取り出す。
ヨーグルトドリンク?
なんでだ?
直射日光でもはや朦朧とする意識の中で、もう一度販売機を見る。

パッケージサンプルの上がその商品のボタンかよ・・・。

薄れゆく意識の中でヨーグルトドリンクを飲みながら「おしることか甘酒じゃなかっただけよかったと思おう」と自分を慰めた。

で、祖父の家に戻ると親戚の人が車の分配をしてる。
お墓でももう一度儀式があるんだと。
え〜!?もう勘弁してくれよ。今度は正真正銘灼熱の太陽の下だ。

でも仕方がない、車に分乗させてもらう。
運転手は親戚の姪。
彼女は言う。
「エアコンは体に悪いけぇつけんよ。暑かったら窓空けんさいね」
殺意は簡単に生まれるんだなとまたもや思った。

お墓のところでの読経を我慢大会のように耐える。
汗はもう出ない。出尽くしてすでに潮を吹いてる。
もういい。これさえ終わったらあとは宴会だ。冷えたビールが俺を待ってる。そのための儀式だと思えば、この日差しもこの湿度もサウナのようなもんだ。もうどうとでもなりやがれ。

やっと終わって、またもや車に分乗して宴会場に行く。(もちろんエアコンはつけてくれなかった)
そういやお墓では、さっきのジジイたちの姿が見えなかった。
暑さで倒れたのか?って思って尋ねたら、「爺さんや婆さんには体に悪いから先に会場に行ってもらった」とのこと。
それなら俺もお墓に行かずに会場に直行させてくれよと、心の中でつぶやく。

で、会場に着く。
冷え冷えとしたロビー。エアコンが効いている。うん、これだよこれ。これが文明人の夏のあるべき姿だ。
宴会場に案内されて入る。
そこには顔を真っ赤にしてすでに出来上がったジジイが。
もうだいぶ飲んでるな。
ちょっと待て、この部屋めっちゃエアコン効いてないか。寒いくらいだぞ。

お前たち、さっきなんて言ってた?
エアコンは体に悪いとかなんとか言ってたよな。あれはなんだったんだ?
昼の最中からそのエアコン効きまくったこの部屋で、ビール飲んで出来上がってるお前らのさっき言ったセリフをを録音しておくべきだった。

年の功より亀の甲
この格言の通り、ジジイの言うことを間に受けちゃいけない。
奴らの言うことは、思い込みや、なんかそんなことをテレビで言ってたからとか、何の根拠も裏づけもないことが多い。

その証拠に、普段は「減塩」とか「塩分は1日10gまで」とか言ってるくせに、寿司は醤油にダバダバつける。
熱中症対策とか言って塩入りの飴を舐める。
言ってることとやってることが一致しない。
それがジジイ。

奴らの言うことは信じるな。




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