落穂拾い

Gleanings in my life

国内メーカーのネットブックたち

2009年04月28日 23時08分23秒 | small talk
東芝に始まり、NEC、SONY、富士通、そしてシャープまでもがネットブックに参戦してきた。

もちろん、SONYの VAIO TYPE P をネットブックと同じくくりにしていいのかどうかは議論があるだろう。ネットブックといって何を思い浮かべ、何を期待するのかは人それぞれだ。

私がネットブックに期待するもの。それは
  • 安価である
  • 持ち運びが簡単(通勤で毎日持ち歩くのが苦痛ではないこと)
  • 必要とあれば、長時間の電池動作(実質5時間以上)
  • 快適なLaTeX文書作成環境
  • 快適なEmacs生活
  • 音楽の再生機能
  • ちょっとした作図機能
  • それなりのウェブ閲覧機能

あたりであろうか。画像編集、動画編集、数値計算などは求めない。どこかの速いマシンで計算した結果だけを持ってきて、作図し、文章(LaTeX)に貼り付けられればそれでいい。メモはすべて Emacs (org-mode)。

これは実際のパソコンのスペックに当て嵌めて考えてみると、
  • Pentium M (1GHz)程度の計算能力があれば十二分
  • 2Dグラフィックスがそれなりに表示できれば快適
  • ディスプレーの解像度は高い方がよい(文書の閲覧性)
  • 快適な入力をサポートするキーボード
  • ストレージは音楽ファイル(5GBくらい)、文書や図面用など30GBが入ればあとはそんなにいらない。
  • 持ち運べて(1kg程度?)、必要な場合には多少重くなっても公称7時間程度のバッテリー動作
  • Emacs + LaTeX が快適に動くこと

といった感じだ。

Atom 1.6GHz というのは私の需要を満たすはずだし、多くのネットブックが採用しているインテルの統合型グラフィックス機能も問題ない。ストレージもHDDタイプのものであれば問題ないし、最近増えている64GB程度のSSDのだと超嬉しいくらい。あとは Emacs + LaTeX ということで、可能なら Linux がいいが、まぁ、Windows でも NTEmacs とかで何とかならんことはない。

しかし、全てのネットブックが私の需要を満たすわけではない。まず、多くのネットブックは画面の解像度が低い。縦に600ピクセルとか 576 ピクセルって、やっぱり使いにくい。A4縦の文書を作ることを考えると、極論すればディスプレーは縦長の方がいいくらいだ。次の問題点はバッテリーだ。ネットブックは消費電力が少なく、簡単に長時間動作が可能なはずだが、国産メーカーたちは、自社のモバイルパソコン(高いやつ)の市場を守りたいのか、オプションバッテリーさえ用意しない傾向がある。公称3時間っていうのは、外出して使うのは躊躇わないではいられないスペックだ。

またキーボードも重要だ。
ディスプレーが8.9インチのネットブック(たとえば東芝のNB100など)は、どうしてもキーボードの横幅が足りず、各キーが小さい。ちょっとした文章を打つならいいけれど、長い文章をブラインドタッチで打つには向いていない。キーボードをタイプするのに神経を使うようでは、集中して文章を書くことが難しい。

という視点で考えてくると、国産メーカーのネットブックは私の選択肢からどんどん落ちていってしまう。

一つずつ見ていこう。まず、東芝。NB100はとても気になった。特にSSDモデルが出たときは「欲すぃい」と思ったものだ。しかし、店頭でキーボードを触ってみると、やはりブラインドタッチがやりにくい。どうも指先に神経を割かなければミスタイプをしてしまいがちだ。東芝ファンを自認する私だが、どうにも買う方向では検討できなかった。

しかし、ここに来て、東芝は徐々にやる気を出しているようだ。それがdynabook UXだ。デザインもなかなかよくなったし、何よりもキーボードがいいらしい。そてい、遂に、オプションで大容量バッテリーを発売したのがすごい。公称10時間だ。これなら十分、新幹線の日帰り出張にも持って行こうと思える仕様だ。ただし、ディスプレーが相変わらず1024x600という低解像度。これが唯一のネックか。

次にNEC。Lavie Lightだ。これは先代の8.9インチから10インチにディスプレーが大きくなった。キーボードは先代でも結構行けていたので、ディスプレーが大きくなるというので期待したが、期待とは裏腹に解像度は悪くなっていた。私の価値観的には、「誰が買うんだこんなもの?」という感じで、まったく眼中にないモデルだ。ただ、今現在はダイレクトショップで全て売り切れなので、ひょっとするとまもなく新モデルが発売されるのかもしれない。それに期待してみよう。

そして富士通。富士通は LOOX U シリーズがあるので、てっきりネットブックは出さないかと思っていたのに、LOOX Mという典型的なネットブックを出してきた。あまりにも典型的、最低機能なネットブックなので、売れる可能性を感じさせないが、国語辞典や英和辞典などのソフトウェアが特徴ということらしい。ネットブックを購入する人で、こういう辞書ソフト等に魅力を感じる人がいれば購入対象となるのであろうか。あと、発売時点で富士通の直販サイト(ウェブマート)では5万円を切る値段で出ているので値段で勝負という側面もあるのかもしれない。

次は復活のシャープ。すっかり見かけなくなったMebius。それがなんとネットブックとして帰ってくることになった。ディスプレーは1024x600、バッテリーは公称3時間という、これまた昨年末頃に出まくった「普通の」ネットブックだ。しかし、一点だけ違う。光センサー液晶だ。タッチパッドが液晶になって、グラフィカルでしかもいろいろと触って操作できるということらしい。斬新な機能であることは間違いない。こういうハードウェアは、対応するソフトウェアが出てようやくその潜在パワーを発揮するものだ。ソフトウェアが出るには、ハードウェアの数が掃ける必要があり、そういう意味では薄利多売のネットブックで出すというシャープの心積もりは正しいような気がする。が、売れるのであろうか?興味を抱かないではいられないが、しかし、8万円前後という予想価格では手を出しにくいものがある。

国産メーカーの最後はSONYだ。VAIO Type Pだ。ズボンの後ろポケットに実際に入れて歩くかどうかはともかくも、本当に入ってしまうそのサイズ。約600gの軽さ。1600x768の高解像度ディスプレー。オプションバッテリーで公称8時間の動作。そして何より打ちやすいキーボード。まさに、私の理想とするネットブックを具現化したかのように見える。ただ一点、OS が VISTA なことを除いて…。

実際、VISTA はマズい。このパソコンにVISTAは重過ぎる。
それを買ってから気が付いた
そうなのだ。実は、私は不覚にも VAIO Type Pをオーナーメイドで買ってしまったのだ、二月ほど前に…。

スペックはほぼ完璧だった。お店に行ってしっかりキーボードの具合もチェックした。VAIO Type P の大きさを模したパンフレットももらってきて、家でキーボードを打つ真似までして、「このサイズならイケル!」などと思い込み、ポチッと購入してしまったのだ。ただ、予算の関係で、Atom 1.6GHz、60GB HDD というモデルになってしまった。予算があれば SSD モデルにしたかったところ。

で、買ってみて、VISTA を使ってみて、絶望しそうなほどのそのトロさ加減に、ブログに記事を書く気力も吸い取られるほどであった。あぁ、これが XP や Linux だったら…。しかし、何をいっても詮無きこと。今は ubuntu あたりが US15W チップセットに完全対応するのを待つだけだ。今、このテーブルの周りに4台並んでいる VAIO ノートパソコンを見つつ、「あぁ、俺はソニー信者なのか…、だから引っかかったのか」と悲しくなるのであった。

しかし、悪口を書いたが、VAIO Type P はよいパソコンである。これは間違いない。サクサク動けばかなり使えるのは間違いない。悪いのは重いOSと非力なVAIO Type P のアンバランスさだ。もしも、Linuxがサクッと乗るようになったら、VISTA は全消しして、大容量バッテリーも購入して、Linuxでモバイルしまくろうと思う。軽いし、実際にズボンの後ろポケットに入るし、何よりキーボードがまともだ。

東芝ファンを自認する私であるが(一応、大昔のdynabookが一台ある)、VAIO Type P は是非続いて欲しいと願うシリーズだ。出来る仕事は限られたとしても、ウェブ閲覧程度がサクサク動くようになれば、夢のようなパソコンとなるのではないだろうか。

国内メーカーというと、SOTEC(オンキョー)やエプソンなどもネットブックを発売している。しかし、これらも何の取り柄もないネットブックで、Eee-PC や Aspire One などと比較して、選択肢になかなかなりにくものがある。国内メーカーの奮起を期待したいところだ。

と、国内メーカーのネットブック事情を見てきたが、実は今、私が一番魅力を感じているのは HP の mini 2140 だ。これは 1366x768 のディスプレーに 80GB のSSDを登載できる。オプションで公称10時間程度のバッテリー駆動も可能だ。1.2kg弱とVAIO Type P の倍くらいの重さにはなるが、OSが Windows XP だし、Linux も素直に乗ること間違いなしのスペックだ。2ヶ月前にこの機種が存在したなら、私はこれを買ったことであろう。キーボードもなかなか快適だ(2130しか触ったことはないが)。

是非、国内メーカーもHP mini 2140 のようなネットブックを発売して欲しいものだ。さすれば、もう一台、ネットブックを買ってもいいかなと思う。もちろん、金ができるまで、今しばらく時間はかかるのだろうが。


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