空間演出デザイン学科の大学の先生が、学生の課題プレゼンテーションが上手く、感心するとのこと…。
出来上がった空間も理にかなっていて、理屈で納得!…してしまいそうになる、と。
課題の空間作品は、説明前にはピンと来ていないのに…説明を聞いて納得してしまう?
簡単に言うと、理屈はいいが空間は悪い、ということです。
以前、大建築家が設計した建物の家具デザインに携わった時のことも話しておられました。打ち合わせの節々で大建築家の先生の判断は「こっちの方が、気持ちがいいね」ということで決めていくそうです。
空間づくりの目的は、そこに人がいて、心地よいと感じる環境をつくること。
理論や理屈で空間をつくるものではない!ということです。
とても共感し、おもしろく読ませていただきました。
最近、イエココロ21冬号が発売されました。弊社の高森の家も紹介されています。
住宅会社25社の住宅情報が載っていて、各社特徴があり、同じ住宅は一つもありませんが、なにか…もうひとつ伝わってきません。
住宅に関心がない人が見れば、すべて同じ住宅に見えるかもしれません…。
あえて住宅別に仕分けをすると、価格重視なのか?自然素材が売り?いろいろなデザインを?アウトドアのような生活スタイル?…と分けることができますが…。
内容をよく見てみると…先程の学生のように思える時があるのです。
写真や紹介文が先行していて、見る方が読み込める、比較できるようになっているか?
また、もうすこし耐震性や耐久性、省エネ性が数値で表現されてもいいのではないか?
どれぐらいのレベルなのか?数値で表現されれば比較も出来、そこから安心感(心地よさ)が生まれますが…。
それでは、心地よいいい空間とは何か?
人によって感じ方、好みはいろいろありますが…。
シンプルに…
街路樹の緑を天井付近の窓から取り入れたリビングで、コーヒーをいただく…。

1階と2階を繋げる吹き抜けから、冬季は太陽のエネルギーを浴びる…。

玄関土間を大きく取り、リビングと直接つなげ、雨の日は自転車を磨いた休日になる…。


その住宅会社の目指しているもの、気持ちがいいと思えるものが写真や文で誘導されていないか…が心配です。
私も「こっちの方が、気持ちがいいね」を、どう表現すれば伝わるのか、もっと考えなくてはいけません。
「理論や理屈で空間をつくるものではない!」いい言葉です。
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