箔屋町だより

-ギャラリーこちゅうきょオフィシャルブログ-

夏至偶感:ビワの実

2019年06月21日 | ブログ

夏至を明日に控え、梅雨のさなかの都下は晴れ間が少なくなく、湿気を除けば、比較的過ごしやすいこの頃です。

アジサイは順次満開となり、我が陋屋から遠くない、白山の同神社境内でも見ごろを迎えていることでしょう。

我が故郷、宮城県は七ヶ浜町の東北端に在る「代ヶ崎浜多聞山展望公園」はサクラの名所として、年々有名になりつつあります。ここは、実はアジサイの名所のひとつと、秘かに認めるものです。松島湾を一望しながら、各種アジサイの花々を楽しむ好季節を迎えていることでしょう。

仙台、塩竃、松島方面を訪れる機がありましたらば、一歩脚を伸ばして、ぜひ七ヶ浜に寄ってみてください。大震災から着実に復興しつつある同町は、季節の花々を楽しめるスポットが少なくなく、良い意味での発見が少なくはない筈です。

一方で、我が身辺の多用=バタバタは今月も収束せず、お粗末ブログも怠るばかりで慙愧に堪えません。

それでも、贈答品等のご用命とその納品、各種交換会(業者間オークション)での収穫、外部の展覧会のお手伝い、等々、意義の大きい成果にも恵まれましたので、日頃の疲れも癒えやすいこともまた事実。真にもってありがたい次第です。

つい先日、規模の大きい交換会の会場にて、永年ご愛顧をいただいています同業のTU様から、親しくお声を掛けられ、ご自宅の庭園内で実ったビワの実を沢山ご恵投いただきました。

TU様はご夫妻で営業をされる大ベテラン、お二人とも実に優しく、後輩のご面倒をよくみられて、多方面から尊敬と敬愛を集められています。

眼筋=鑑識眼も高く鋭く、お会いして謦咳に接する折は、少なからぬ参考になりますので、ご拝眉する機を、実は秘かに楽しみにするほどです。

昨季に引き続き、沢山頂戴したビワは見た目も立派ですが、帰宅後に早速賞味しますと、その美味しいことといったらない!極々上質のもので、例の「日頃の疲れ」も相当解消するほどに楽しんでおります。

すぐさま、お粗末なお礼状を認めて、投函した後は、名状しがたい爽快感と満足感、そして感謝の念に浸りました。

常日ごろ痛感するのですが、ささやかであっても、気持ち=誠意のこもった贈り物ほど、受け手にとって、ありがたく、忝く、貴いものはありません。

少年期から尊敬する坪田譲治(1890-1982)が主宰した「びわの実学校」よろしく、大先輩TU様ご夫妻からのご教導ご訓戒を、これからもより一層期待しつつ、擱筆いたします。(by kiyo)

 

 


突然アナリストのごとく

2019年06月04日 | ブログ

梅雨入り前特有の、湿気が多いこの頃、雲間からこぼれる陽光のもとに、都下ではアジサイが開花して、疲れた眼も大分癒されるものです。

先月来、身辺多用のため、拙文の更新が叶わず、大変ご迷惑とご心配をおかけしましたこと、謹んでお詫びを申し上げます。

今年の展覧会シーズンは、先週千秋楽を迎えた「細川護熙展」で前半の全プランを終了しました。

全く幸いにして、事故椿事はなく、新しい出会いに恵まれ、新知識を得ること少なくありませんでした。ありがたく、忝い次第です。

目下、スタッフ一同、展覧会の所謂「戦後処理」にいそしみ、今秋以降の諸展覧会の準備に取り組んでおります。色々とユニークな企画をご用意いたしますので、ご支援ご教導くださいますよう、よろしくお願いをいたします。

カビの生えかけた話題ですが、4月下旬に開催しました東京アート&アンティーク2019(TAA2019)は、天候不良にもかかわらず、沢山の美術愛好家が広域京橋~日本橋の美術店巡りを満喫されて、我々有志一同も安堵いたしました。

3日間の会期中、13店舗および特設WEB上で、ご来訪者各位様にアンケートを募り、沢山の有効回答を得ました。ご回答いただいた皆さまには、改めて心から深く厚く御礼を申し上げます。

頂戴した回答を、上記13の各店舗がまとめて下さり、それをTAA実行委員会のST委員さんが総合レポートとして完成され、その完成版をTAA実行委員全員に報告されました。13店舗のスタッフの皆さま、STさん、お疲れさまでした。真にありがとうございます。

この完成版アンケートリポートに目を通していますが、実に様々かつは有益な内容となっていて、大変驚きました。

例えば、

1.ご来訪者の年齢層と性別、お住まいのエリア、TAAへの来訪回数だけでも、今後の運営方針に良い意味での影響があることと感じますし、

2.TAAを知るきっかけ=新聞紙上ですとか、ポスター、雑誌紹介、各種イベント会場での認識の具合も、手に取るごとく把握出来ます。

3.さらには、TAA或いは各店舗に対するご異見・ご意見・ご要望を具体的に明記された向きが少なくなく、大いに貴重な記録となりました。

4.恒例の冊子とMAPは、デザイナーの小野瀬さんのご尽力で、過去最良の出来栄えになったかとみましたが、果して、回答者各位様からも

おおむね好評を賜りました。一方で、さらに見やすく読みやすく、使い勝手の良いものにせよと、具体的にアイデアを寄せらた事例も相当ありました。これは大いなる叱咤激励と捉えますので、反省しつつ次回に大いに生かしたいと考えます。

アンケートのレポートの読み込みは、正直大いに愉しく、真剣に研究に値するものと改めて認識しました。

気分的にはCIAの(!?)アナリストよろしく、自分なりに「傾向と対策」に腹を練るのですが、これはこれで、今後の私儀の仕事の在り方に決して悪くはない蓄積となり、有益に生かされることと信じます。

明日はTAA2020に向けた、実行委員会の臨時会があり、私儀も出席いたしますが、上記のレポートの読み合せをしつつ、更なる向上を目指して微力を尽くしたく存じます。

来年のTAA2020、ぜひ、お楽しみにご期待ください!(by kiyo)

 

 

 

 


「次代の金属ー金沢から」展が始まりました!

2019年04月23日 | 展覧会

みなさま 風そよぐ新緑の季節、いかがお過ごしでしょうか。

ギャラリーこちゅうきょでは昨日より『次代の金属ー金沢から』展が始まりました。

近年の金属工芸は、伝統技法を継承しつつ、現代的エッセンスを組み込んだ新しい表現の追求がめざましくなってまいりました。

今回の展覧会は、金沢を拠点に制作をされる4人の作家の方々に、鍛金・鋳金・彫金といったおのおの技法を用いて作品を制作をして頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

個々の感性が響き、共鳴し合う空間をぜひ会場にて体感していただければ幸いです。

自作の吊り掛花に花を活ける坂井直樹先生

 

活けられた花越しに会場を望む

 

東京アートアンティーク2019協賛

『次代の金属ー金沢から』展

出品作家:坂井直樹・久米圭子・水代達史・上田剛

会期:2019年4月22日(月)~27日(土)

時間:10:00-18:00

会場:ギャラリーこちゅうきょ

 

弊社展覧会WEB

http://www.kochukyo.co.jp/2019_kanazawakara.html

東京アートアンティーク2019

https://www.tokyoartantiques.com/

 

O子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


異彩を放つ博物館-10:サクラ篇

2019年04月11日 | ブログ

先週末、4月6~7日は絶好の花見日和となった都下でしたが、仕事のため、私的な花見=お弁当持参のそれは叶いませんでした。

それでも、壺中居店舗前の通称「さくら通り」、東京駅八重洲口前から茅場町まで続く相当の規模ですが、そのサクラ並木は年々成長して、年ごとに見応えのある花が咲き乱れ、今年も壮観といえました。

このたびは例年より花持ちが長く、私どもも連日「花見」を決め込むことが出来ましたので、相当な贅沢といえましょう。

翻って、自宅界隈の飛鳥山と六義園はさすが大名所であって、連日の大賑わいだったのですが、人ごみに辟易する私は、今年も拝見を遠慮いたしました。

東京に移住してはや30年以上が経ちますが、都心に限定しても、いままで相当数のサクラを目睹してきました。

これは先年、駄文に綴りましたが、自然環境の豊かなエリアよりも、都心で目にする満開のサクラには、規模の大小は問題ではなく、例外なく感激感嘆してきたものですし、今後もこれは変わらないことでしょう。

都下、本駒込に在る諏訪山・吉祥寺様(曹洞宗)は、文京区内では恐らく最大規模の境内を誇るでしょうが、こちらには実に見事な枝垂桜があり、年々その存在感を増しているようです。

4月頭に思い立って、実に久しぶりに吉祥寺様を訪れましたが、相当の人手にまず驚きました。境内での飲み食いは出来ませんので、訪問者はマナーを遵守して「花見」を楽しみ、大満足したことでしょう。枝垂桜のほかにも、別種で、やはり立派なサクラが点在し、文京区内の一大サクラ名所といって言い過ぎではありません。

今時分、無性に出かけたくなる美術館博物館がありますが、それが、台東区根岸に在る

台東区立書道博物館であって、当館は存在意義と運営の在り方、コレクションの質の高さが三位一体となった、ユニークなもの、良い意味で異彩を放つ好博物館のひとつです。

洋画と書の大家・中村不折(1866-1943)の作品と、彼が収集した書に関連する美術品と歴史資料が良質コレクションの中核となっていること、ご周知の如くです。

重要美術品5件、重要文化財12件を所蔵すること自体、まずは圧巻なのですが、年に4回実施する企画展と特別展は、毎回内容が濃く、充実したもの故に、惜しみない拍手を送るものです。

当館は1936年に開館して以来、現役で機能する本館と、2000年に台東区が中村家から受贈して、新規に建てた新館=中村不折記念館との2棟で構成されています。

本館と新館とのはざまに、ささやかな規模ながら、清々しい好空間=庭園空間がありますが、その一角に、サクラの大木、種は不明ですが、実に立派なそれが「異彩」を放ち、来館者の眼を驚かせ、かつは楽しませています。

私が初めて当館を訪問したのが1989年の5月で、本館のみ拝見したのですが、当時は迂闊にもこのサクラが目に入りませんでした。

リニューアルオープンしてから、最初の4月頭に、家内と二人して再訪しましたが、このときは正に満開に遭遇し、覚えずアッと息を呑み、そしてその絢爛かつ繊細な花の美と、樹木の立派さとに酔いしれたこと、いまでもアリアリと思い起こします。

今年も変わらぬ立派な咲きぶりを誇ったことだろうと想像します。

良質の博物館と良質のサクラを併せて拝見出来る、稀有な存在かとみるものです。ぜひ一見をお薦めいたします。(by kiyo)

 

 

 


春分偶感

2019年03月21日 | ブログ

壺中居前の「サクラ通り」は、3月1日から両面通行となり、髙島屋SC様の南口タクシー乗り場も場所が変わりました。永年親しみ、かつは気軽に横断してきた習慣の変更を余儀なくされましたので、慣れるまで若干時間がかかりました。

それでも、昨日、名物の桜並木の一部が開花しましたので、春爛漫の気分をちょっとだけ早く実感しました。都心の開花宣言は今日あたりかと察します。月末が満開見ごろとのこと故に、私的な花見をボチボチ計画するこの頃です。

初旬のアートフェア東京(AFT)2019への出展から、疾風怒濤の日々となっています。

AFT2019は3.5日の会期中に、延べ6万人超の来場を記録し、大いに賑わいました。

当ギャラリーのブース、「三宅一樹-聖猫(しょうびょう)」展には、既知未知の紳士淑女が駆けつけてくださり、作家本人、企画担当のI君、スタッフ一同の面目が大いに立った次第です。真にもってありがたいことでした。

同展は3月18日(月)から3月30日(土)まで、会場を壺中居に移して、目下好評裡に開催中です。春分の今日、21日(木)は慣例を破り、祝日ですが、18:00まで開催いたします。AFT2019会場では「聖猫」シリーズから精選して展示しましたが、壺中居会場では、さらに最新の「神像」シリーズの力作群を第二の柱=ラインナップとして、ご用意いたしました。

担当のI君の研究と尽力の結果、緊張感と静謐とが絶妙に融合した好空間となったものかとみますし、主人公の三宅先生にもご納得いただけたかと拝察します。もちろん、三宅作品そのものが、深い精神性=内省を筆頭とする様々なメッセージを内包し、放射しますので、観ていて全く飽きることがありません。大変な力量かと唸るものです。

ぜひ、お繰り合わせいただき、ご来駕ご高覧を賜りますよう、改めてご案内を申し上げます。

※3月24日(日)は休業いたします。ご賢察ご宥恕のほど、お願いをいたします。

※また、HPで総特集を組みましたので、併せてご高覧ください。

4月下旬=25日(木)~27日(土)には、恒例の「東京アート&アンティーク2019」が開催され、目下、関連印刷物の配布に追われています。過去最多の参加店舗数となり、例年以上の盛り上がりが予想され、期待されます。

当ギャラリーでは、「次代の金工-金沢から」の題下に、金工作家の若きマエストロたち4人の競演の場を設けるべく、種々準備を進めております。

内容等、詳細につきましては、4月1日(月)に公開予定のHP総特集版をご参照いただければ幸甚です。

スタッフのO子と私儀の「ツープラトン」で諸事を担当いたします。ご期待くださいませ!

間隙を縫っての駄文執筆ですが、忙中閑あり、やはり自然体での読書を継続し、日頃の疲れと新知識への飢えを解消するこの頃です。

新春早々から、漢詩=中国詩の通読を専らにしていますが、『文選』と『中国名詩選』(いずれも岩波文庫版)とが、読了まで佳境を迎えつつあります。

私儀は韻文音痴と自認し、漢詩にはとりわけ大難儀するものですが、近年は自己流で通読し、ほんのわずかながらも、その妙味を体感する習慣がつき始めました。

今日も通勤途上の電車内で、晩唐の李商隠(811?-858)の名作群に接し、静かな感動感激に包まれては、新知識を得た悦びに浸りました。

まずは、原文をそのまま音読し、自己流で読み下す。次に訳者(今回は川合康三氏)の読み下し文を参照し、語釈に眼を通す。改めて、自分と訳者の読み下しを比較して、最終的には訳者のそれを再読玩味いたします。

自ずと時間と手間がかかりますが、この「作業」は慣れますと面白いことこのうえありません。

いずれ、年末に改めてご紹介し回顧することになるでしょうが、中国文学の泰斗・川合康三先生による読み下し、語釈、解説は実に有益で素晴らしく、あたかも、京大のゼミで精読をしている「錯覚」を覚えるほど、有益な読書体験となっています。

これから、サクラが漸次開花し、満開になるころも、しばらくは川合ゼミの「受講」を継続していることでしょう。

日ごろの疲れを癒す、最良の処方のひとつかと自覚します。(by kiyo)