箔屋町だより

-ギャラリーこちゅうきょオフィシャルブログ-

冬至の秘かな愉しみ

2019年12月16日 | ブログ

壺中居店舗前の「サクラ通り」の並木は9割がた落葉しまして、落ち葉掻きも一段落といったところです。

代って恒例のイルミネーションが、日没後の弊社界隈を幻想の世界に一変させますので、これまたこの時季の風物詩といえましょう。

それにしても、今季のサクラの紅葉は前例のないものでした。すなわち、あたかもイチョウの如く「黄葉」一色といって過言ではなく、これは今年の猛暑残暑の置き土産かと想像します。来年は本来の紅葉を期待するものです。

師走は後半に入り、日毎に慌ただしさが募ってきました。

今週末22日(日)は二十四節気「冬至」ですが、柚子風呂や鍋料理が一層恋しく、私的にはこれはこれで秘かな愉しみ、クリスマス以上の楽しみです。

つい先日、東京美術倶楽部に赴き、所用を済ませるうちに、館内に掲示される各種展覧会案内のポスターの1枚に、覚えず釘付けとなりました。

それというのが、国立新美術館(六本木)で開幕されたばかりの展覧会のポスターなので、

ハンガリーはブダペスト在の

1.ブダペスト国立西洋美術館 ※ぺシュト(ペスト)地区の「英雄広場」の端に在り。

2.ハンガリー・ナショナルギャラリー ※ブダ地区の「王宮の丘」の一角に在り。

この2館のコレクションから約130点(!)を精選した特別展ということで、これはこれは必見だ!と心中叫んだほどです。

※「ブダペスト ヨーロッパとハンガリーの美術400年」展:会期は来年3月16日(月)まで

以前綴りましたように、私儀は過去3回、同地を訪れました。この欧州有数の大都市&古都には中々素晴らしい美術館博物館が少なくなく、いずれも来館者を魅了すること、掛値なく推薦するものです。

2014年8月の駄文中にご紹介しましたが、ナショナルギャラリーのコレクション中には、

イワニ-・グリュンヴァルト・ベラ Ivany Grunwald Bela(1867-1940)の大作『アヴェ・マリア Ahitat』(1891年作)があり、私的には全くもって忘れがたい「名作」となっています。

国立新美術館の公式HP上では出品内容の全貌が明かされていませんが、これはぜひ現場に赴いて、『アヴェ・マリア』出展の有無を確認したいと意気込んでおります。果たして吉と出るか、凶と出るか…。

自ずと疲労が蓄積するこの頃ですが、「冬至」当日に訪問すること、いまから「秘かな愉しみ」にしつつ擱筆します。(by kiyo)

 

 

 


大雪偶感:芳名帳のこと

2019年12月06日 | ブログ

二十四節気「大雪(たいせつ)」を翌日に控え、今日は朝から寒気が厳しく、文字通り明日は都下では初雪が予想されるとのこと。まさに月齢旧暦の季節感が身に沁みるものです。

「川瀬忍展 妃子笑 胭瓷」は今年の展覧会シーズンの掉尾を飾るにふさわしい、好反響を頂戴した良質の展覧会だったと、誤解を懼れず言い切れまして、目下、その「戦後処理」=納品行程を孜々として進めております。

会期中は日を追ってご来駕の数が増え、応対する私どもはともかく、川瀬先生ご夫妻は席を温める暇もない忙しさ、真にもってありがたく貴い6日間でした。

用意周到の先生のことゆえに、共箱などの諸準備も完璧になされますので、弊社では実にスムースに「戦後処理」に勤しむことが叶いました。改めて、川瀬先生ご夫妻には衷心から労いと感謝の念を捧げます。

と云うことで、あれよあれよと師走に突入し、年越しの大祓=大晦日まで残された時間は限られてきました。このお粗末ブログもあともうひと踏ん張りして、すなわち恒例の(!?)読書回顧をなんとかものにしたいと願うのですが、ちょっと自信がございません。その節はどうかご賢察ご宥恕ください。

同業の各位様にも、2019展覧会シーズンの大団円を迎える向きが少なくありません。忙中閑あり、NSさん主催の某陶芸作家の個展を先日駆け足ながら拝見しましたが、実に見応えがあり、説得力が大きい好企画といえましょう。

辞去する際に、用意された芳名帳に悪筆ながら、謹んで記帳させていただきました。

芳名帳は弊社企画の展覧会では毎回用意するごとく、ギャラリーでは必須のアイテムとなること、ご周知の通りですが、この芳名帳では過去色々な思い出があり、なかなか奥深いものがございます。いつか、忘れがたい体験を綴ってみたいと考えております。

先般の川瀬展では、用意した芳名帳1冊分を会期後半に使い切り、慌てて新規に用意したほどで、ご来場者がいかに多かったかが如実に知られます。芳名帳使用数のトップは、毎年恒例化した細川護熙展なのですが、川瀬展も細川展に負けないレコードといって言い過ぎではありません。

川瀬展では、毎回同先生が自らご用意される文房具一式が、芳名帳の傍らに抜群の存在感をもってご来場各位様をお迎えします。

筆と墨を除く、硯+硯屏+水滴+筆筒+墨床はすべて先生の自作、高品位で実際の使い勝手も上々ゆえに、こちらも大変好評をいただきました。

芳名帳に眼を通しますと、面識もある向きから未知の方々まで、実に多様なサイン=記帳の痕跡を伺えますので、非礼かも知れませんが、中々興味深く参考になるものです。

随分以前のこと、金工・長野烈先生の個展での際、業界の長老で同先生の旧知でもあるT様が記帳されたとき、私は覚えず唖然となりました。それは、住所を省略されて署名され、次の一行に長野先生への祝福メッセージを墨色鮮やかに特筆大書されたのです。

長野先生は苦笑されましたが、毎々心温まる一筆を添え書きされるとのこと、初めて知りました。

冷静に考えれば、折角の好機でもありますし、記念として作家の手許に愛蔵秘蔵される可能性が大きく、決して意味のない無駄ごととは言えません。

先日、畏敬する秋葉生白先生の御社中展=秋光會展が銀座の某画廊で開催されました。遅ればせに陣中見舞いをしましたが、当然芳名帳が準備されています。書の展覧会ですので、署名する側には相当の緊張と当惑が喚起されます。それでもズーズーしさでは気後れしない私儀ですので、サラサラサラッと、かつは誠意を込めて記帳いたしました。

秋葉先生から折々によく頂戴することばがございます。それは「上手に書く=演じる、これはいちばん良くない。下手であると自覚して、正々堂々と力を込めて書くこと、これが上達するための要諦です。」と云う意味のお言葉です。

これは、日常の諸々のシーン、とりわけ仕事の現場では真にもって「天使の声=最高の格言」といえましょう。

今年一年を振り返りますと、種々の難儀に直面しました。それでも、上記秋葉先生のメッセージを思い起こし、自分なりに誠意を尽くして問題解決案を練り、なんとか乗り越えて参りました。

明日以降も諦念を忘れず、自省を続け、穏やかに大団円=大晦日を迎えたく願っております。(by koyo)

 

 

 


蹴球夜話

2019年11月02日 | ブログ

台風~大雨の被災地では、復興の営みが今日も懸命に続けられていることと想像します。改めて、犠牲者の方々には冥福を祈り、罹災された皆さまには心からお見舞いを申し上げます。

当ブログは2か月ぶりの更新となり、ご心配を賜った各位様には深くお詫びを申し上げます。

竹中浩先生の個展は千秋楽を迎え、閉会まで気を抜くことなくお手伝いいたしますが、事故の無いよう祈るばかりです。

また、再来週11月11日(月)から16日(土)まで、川瀬忍先生の個展を2年ぶりに開催します。会場は壺中居となります。本HPでも特集を組み公開中ですが、幸いにも概ね好評を賜っており、電話等でのお問い合わせも随分と頂戴しております。

令和元年の掉尾を飾るべく、私どもも鋭意研究努力いたしますので、ぜひご高覧ください。

今日の東京は気温がやや高めながら、晴天に恵まれた一日となりそうです。

今夜はラグビー・ワールドカップの決勝=イングランドVS南アフリカ戦が予定通り行われるでしょうが、会食の約束のため、私儀はTV再放送を楽しむばかりです。

我が国内がこれほどまでにラグビー熱に席捲されるとは、正直想像がつきませんでした。一ヶ月にわたる諸ゲームをTV観戦するうちに、ラグビーのルールとゲームそのものの面白さ=妙味も徐々に理解出来るようになりました。

我が高校~大学生当時を振り返りますと、ワールドカップは記念すべき第1回があり、いまの6ヶ国対抗戦もイタリアが未参加で、5ヶ国対抗戦の時代でした。その5ヶ国対抗戦はごくたまにNHK総合で録画放送され、何度か観たものです。

高校の体育授業でラグビーにほんの僅かばかり触れたのみで、ルールはほとんど知らぬものの、イングランドの司令塔=SO・アンドルーの活躍ぶりと格好の良さとが、30年以上を経たいまも鮮明に覚えております。

※因みに云う、いまではアンドリューと表記発音されているようですが、上記当時は確かにアンドルーで通っていました。

随分以前に綴ったごとく、私儀は米国式蹴球=アメリカンフットボールを体験しまして、今も好きなスポーツの筆頭です。

アメフトに染まった頭=眼から観ると、アメフトとラグビーの共通点と異質性とが大いに理解出来て面白く、今回のワールドカップは実に結構な機会となりました。

例えば、アメフトですと、得点をした後は攻撃権が相手に移るのが大原則です。ところがラグビーでは得点後のゲーム再開時点で、得点側に攻撃権があるという原則、これは正直得心出来ないのが我が私見です。この点、ご教示頂ければ大いにありがたいものです。

アメフト=NFLがスポーツ界で先駆けて「インスタント・リプレイ・ゲーム」すなわちビデオリプレイを取り入れて、これは大相撲でも活用されていること周知の如しです。今回のワールドカップ・ラグビーでもこれが結構頻繁にありますが、審判協議の様子が一部始終観客に示されますので大変驚きました。

管見の限り、ビデオリプレイに関しては、アメフトより一歩進化しているとみまして感心しました。

多用な毎日で、正直クタクタ状態にありますが、ラグビーをTV観戦しながらアメフトとの「比較文化論」を自分なりに研究して楽しみ、疲れを解消しつつ、明日も微力を尽くしたく存じます。(by kiyo)

 

 

 

 

 


暑気払い夜話

2019年08月02日 | ブログ

永い梅雨が明けた途端に、早や、酷暑の毎日となりました。8日(木)は二十四節気「立秋」ですが、少なくとも、都心では秋の気配は感じられず、猛暑~残暑が今から恐ろしく、体調管理に余念がございません。

皆さまには、引き続き、熱中症対策等、ご自愛くださいませ。

我が業界は来週から夏休みシーズンに入る向きが少なくありません。

弊社と壺中居とは、誠に勝手ながら、8月4日(日)-8月18日(日)の日程で夏季休業いたします。

ご不便ご不快をおかけすること、例年の如しですが、ご賢察ご宥恕を賜りますよう、お願いをいたします。

今年前半戦を振り返りますと、喪服を着るなどの不幸は皆無に等しく、体調もまずまずの裡に、商いは好調でしたので、ホッと一息つくことが叶いました。真にもって、ありがたく、貴いことです。奢らずに気を張りつつも、夏休み中はリフレッシュかつは英気を養いたく存じます。

それにしても、永い梅雨でした。

梅雨明け直前の週末に、高校次以来の親友=旧友のM君が上京し、実に久しぶりに面晤して久闊を叙したのですが、これが日ごろの疲れとストレスを雲散霧消させる絶好機となったこと、言うまでもありません。

35年以上にわたる付き合いになりますが、人並み以上の友情を保っているかと己惚れるものです。

彼のことは、以前に何度か、当ブログでも綴りましたが、目下、宮城県庁に勤めて東奔西走、日もまた足らぬ多忙の毎日を送っています。

彼と美酒を酌み交わす中、話題は家族のこと、仕事のこと、健康問題、同窓生の消息等々、四方八方に広がって収束しないこと、これは予想範囲内でした。楽しくも、アッと云う間の「暑気払い」となりました。

それでも、親友と共にするひとときは、万金に値する、イヤ、それを超越した貴重なものだと、改めて痛感しました。皆さまにも、これは共通して体験されることかと想像します。

高校を卒業後、お互いに全く異質の道を選び、孜々として歩んでいるつもりです。それでも、互いを心配して労わることが、年々増していると認識出来、散会後は万感こもごも至って、中々寝付けなかったものです。

帰り際、酒好きの私儀に、M君はみちのくの銘酒を恵投してくれました。

キンキンに冷やしたそれを、今晩、晩酌で楽しむ予定です。

友情の在り方は千差万別でしょうが、kiyoはkiyo良志久(らしく)、杯を傾けながら「友情論」を模索しようと考えております。(by kiyo)

 

 

 


一対一の妙味

2019年07月17日 | ブログ

中元(新暦)を過ぎ、贈答品は「暑中伺い」に切り替わりました。ところが、天候不順の東京都下は向暑とはいう条、暑さに悩まされぬ毎日故に、不思議かつ不安感に包まれています。

大好物のスイカもまだまだ気分的に楽しめず、夏嫌いの私儀にも梅雨明けが待ち遠しいと、自家撞着に陥っています。

それはともかく、公的なお中元の贈答が全件無事に完了し、若干ながら私的にも済ませました。一方で貰い手として、お礼状を認めるのがこの時分の慣例であること、こちらも随分久しくなりました。

我が珍蔵する(!?)絵葉書群から精選して、悪筆を染めるのはなかなか楽しいと、誤解を恐れずに言い切れます。旅先で物色する絵葉書は、好みに合うものがあればよい一方、お礼状に適するか否かも、見過ごしがたい判断基準になるものです。

今回のお礼状、一部は暑中見舞いを兼ねるものを含みますが、果して、お相手が気持ちよく受け取り、笑覧されているかどうか、秘かな愉しみでもあり不安でもあります。

7月初の駄文となりますが、先回以来、公私ともに慌ただしく、疲労も蓄積してきましたが、

本来の仕事である商い=売り買いは、全く幸いなことに、販売も仕入も好調に推移しましたので、充実感は例年以上にあったものと振り返ります。

我が業界では、「こむかい」と云う用語=言い習わしがあります。

『広辞苑』を引いても出て来ず、「個向かい」と自分勝手に漢字を充てています。

悪い意味で使われる事例があるとも聞きますが、この場合は良い意味で解釈します。すなわち、売り買いともに使える用語で、一口に言えば正々堂々「一対一の取り引き」を意味するものです。

このひと月は、

1.お客様に「こむかい」で商品を納入した。

2.お客様から「こむかい」で所蔵品を仕入れた。

3.同業者に「こむかい」で商品を納入した。

4.同業者から「こむかい」で商品を仕入れた。

いわゆる「こむかい」の全パターンを体験した、極めて稀かつは貴重な事例となりました。

上記のうち、3と4とは意外に実例=体験が少なく、同業者間オークション=交換会で販売・仕入をする機が断然多いのが実情です。

それ故に、同業者と「一対一」で商取引をすること、1と2の形態とは難しさと妙味がかなり異質になることを、このたび痛感しました。

お客様との「一対一」の取り引きは、以前もご紹介しましたが、非常に困難な面がある一方で、無事に行程を済ませた後の充実感といったら無い!とりわけ、仕入はいくら場数を踏んでも、未だ満足すべき「模範解答」を得られません。

過去の体験を振り返りますと、売買の現場では失敗を随分としました。ところが、その失敗のお蔭で今まで見えてこなかったものを豁然と悟ること、決して少なくありません。真にもって、「生きた教科書&試験」と言えましょう。

今後も「こむかい=一対一」の現場に臨む機会があることでしょう。

過去の体験を鑑み反省しながら、好取引きとなるよう腹を練って研究する毎日となりそうです。(by kiyo)