箔屋町だより

-ギャラリーこちゅうきょオフィシャルブログ-

ミュージアム・カフェのこと(異彩を放つ博物館:番外編)

2018年09月27日 | ブログ

彼岸を過ぎて、朝晩の肌寒さが次第に身にしみてきました。一方で、巷では風邪等が流行っているとのこと、今夏の猛暑からの疲れが出やすい時候なのでしょう。十分に体調管理に努めたいものです。

疾風怒濤の9月はアッという間に月末となり、我が業界全体も多忙さを増してきました。

来週冒頭からは、「日本陶磁協会賞・金賞受賞記念 伊藤秀人・金重有邦展」(日本陶磁協会主催)が、壺中居を会場にして開催されます。弊社は裏方として、例年通りお手伝いをすることになりまして、今週はその諸準備に微力を注ぐ格好となりました。伊藤先生は将来を嘱望される「青磁」の若きマエストロ、金重先生は「現代備前」の巨匠として、日毎その存在感を増して来られています。

そのお二人の渾身の力作=最新作を一堂に会する好機会といって過言ではありません。短い会期ではございますが、ぜひご来駕ご高覧いただきたいものです。※会期は10月1日(月)~10月6日(土)、10:00-18:00となります。

先回綴りました駄文は、少なからざるアクセスがございました。幸い大顰蹙を浴びることなく、私儀の失踪説も解消しましたので、図に乗って悪文を継続してみましょう。

今夏に渡仏した件は前回綴った如しですが、今回は帰国前に奮発してパリに数泊いたしました。宿泊地は第6区のリュクサンブール公園の近くで、あまり欲を出さずに、第5~第6区に焦点を絞ってテク歩きを決め込むことにしました。

結果を言えば、これが大正解で、種々の博物館、美術館をはじめ、大聖堂など、由緒を誇る旧跡・名所をかなりの程度訪問することが叶いました。

いわゆるセーヌ左岸の文教地区、パリ大学を中心としたやや奥まったエリアのゆえに、全体的には、右岸エリアの混雑雑踏と比較して、ユックリノンビリした雰囲気が実に素敵でした。

そのセーヌ左岸、第5区はシュリー橋のたもと、旧パリ第6大学に隣接する、アラブ世界研究所 Institut du monde Arabe を訪れました。

鬼才建築家=ジャン・ヌーヴェル Jean Nouvel(b.1945)の設計で、1987年に竣工した当研究所は、いつかぜひ訪問したいと年来希望していましたが、この度その念願が叶いました。実際の満足度は相当のものでしたので、ちょっとご紹介しましょう。

9階建て(和風で言えば10階建て)構造の、このユニークな建造物は、アラビア半島全域の文化全般を研究する機関なのですが、4~7階がアラビア文化を紹介する一大博物館、兼美術館として公開され、立派に機能していることを知りました。

普段はこの分野に縁の薄い私と家内にも、大いに興味深く、面白く拝見することが出来ました。イスラーム以前の歴史はもとより、キリスト教との相互関係なども、宗教の垣根を越えて紹介されてますので、すこぶる好感が持てるものです。

訪問した折は、スペースの相当部分を充てて、現代アラビア書道の作品、立派な現代美術作品といってもおかしくはない作品群が、適度に按配展示されていました。ふだん見慣れない眼にはなかなか新鮮なもので、新たな知見を得た次第です。

ゆっくりと全フロアの展示を観てまわり、地上階に戻りますと、その大部分がミュージアム・ショップに充てられています。博物館は有料ですが、このフロアは入場無料ですので、利用価値は大といえましょう。

いやはや!このショップが中々の充実ぶりで、正直大いに驚きかつ唸りました。パリは広しといえど、この方面で、これほど大規模かつ品揃えが豊富な店舗は、他にはあるまいと思えるほどです。

※因みにいう、ここは屋上も無料で開放されていまして、パリ有数のビュー・ポイントといえます。すなわち、セーヌ左岸からシテ島、サンルイ島の方角、ノートルダム大聖堂の眺めがとりわけ素晴らしい!実際、博物館を観ずに、この屋上を訪問する向きは少なくはないとみました。

この異彩を放つ博物館の見学と、ミュージアム・ショップの冷やかし(実際は少々買い物をした)を済ませますと、あたかも昼食どきでしたので、当館の敷地内に在るカフェ・レストランでランチを決め込みました。

我が国内の各地にも、レストランを併設した施設は少なくありません。年々そのレベルも高くなり、利用者も漸次増えていると仄聞します。それでも、私儀はあまり国内のその種のレストランを利用しません。理由はただひとつ、いつでも混んでいること、これに尽きます。

ところが、アラブ世界研究所の正面入り口前に在るレストランは、その時はガラーンとしていて、最初は不安でしたが、思い切って利用してみますと、これが期待を上回る上出来で、大変結構なランチタイムとなりました。

「アラブ圏」らしく(!?)、アルコールはNG、ノンアルコールビールを片手に、プラット・ドゥ・ジュール(本日のお薦め料理)を美味しく賞味しました。

食事がてら、オープンテラスのテーブルから、当研究所名物の外壁=カメラレンズ原理構造のアラベスク文様を飽くまで眺めて、脳裏のファインダーに焼き付けました。

建物自体の個性+博物館美術館としての魅力+ミュージアム・ショップの充実さ+そして悪くない併設カフェ・レストランの存在=…。

パリの個性的な博物館美術館から、今回も大いに汲み取るものを得ました。

日本にも在って欲しい施設のひとつだと希望するものです。(by kiyo)

 

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異彩を放つ博物館-9

2018年09月13日 | ブログ

数か月間、放置された当ブログですが、久しぶりに更新するにあたり、ご笑読される各位様に大いなるご不快とご迷惑をおかけしましたこと、謹んでお詫びを申し上げます。

6月来の身辺の慌ただしさは、想定以上のもので、それに対応しきれない我が不甲斐なさに、改めて失望するばかりです。

それでも、お粗末な当ブログを丹念にチェックされる向きは皆無ではありません。ありがたくも、貴く、忝いことです。

とりわけ、高校以来の旧友M君と、イタリア料理の若きマエストロ、「オステリア・ラ・ベリータ」店主の酒井稔仁さまには、相当なご心配を賜りまして、大いにご迷惑をお掛けした次第です。おふたりには、私儀が失踪もしくは大病になったかと想像され、近しくお見舞いの電話、メールを賜った次第で、真に弁解の余地がございません。

全く幸いなことに、この夏の酷暑にも耐え切り、目下エンジン全開状態で日々「孜々」と過ごしています。今後も体調管理を怠らず、出来る限り更新して、年末「恒例」の「読書ベスト2018」をものしたいと存じます。

大分カビの生えた話題となりますが、今夏の休暇を利用して、2年ぶりに渡仏いたしました。

今回は北部のフランドル地方とピカデリー地方を基軸に滞在し、珍体験はもとより、大いに見聞を得ましたので、相当な満足を覚えました。

フランドル地方 Frandre の主都リル Lille を初訪問し、数泊しました。ベルギー国境にほど近いこの都は、人口も多く、ユーロスターで英国と結ばれていますので、中々活気があり、食事も悪くなく、すこぶる気持ちのよい滞在となりました。旧市街も種々魅力があり、名所・旧跡が程よく集中していますので、一般的な観光には一日で十分でしょう。それでも、今回は奮発し連泊してすこぶる良い結果となりました。

まず、フランスでも有数の規模とコレクションを誇るリル美術館 Palais Braux-Arts Lille を訪問しましたが、期待した感銘度は正直いって若干低いものでした。これは我が鑑賞眼の弱さの然らしめるもので、当美術館には全く非がないこと、いうまでもありません。それでも、東洋とフランスの古陶磁コレクションは観ていて中々楽しく、覚えず時間がかかりました。ゆっくりと全館内を観て廻るには、半日近くを要するでしょう。

旧市街の中心部に位置する、ひとつの小美術館(博物館)があります。

Musée de l'Hospice Comtesse、直訳すれば「伯爵夫人の施療院博物館」とでもいうのでしょうか?12世紀に設立されて、無数の紆余曲折を経て、1930年代まで増改築を重ねた建物を、第二次大戦後に博物館かつ展示ギャラリーとして再生、リル市が管理・運営しているとのこと。

日本で求めた各種旅行ガイドブック等に、当館の情報は詳しく紹介されていません。ところが果たして、これは極めて異彩を放つ良質の博物館のひとつとして認めるもので、大いにお薦めいたします。施療院本来の空間を丹念にレストアしている点が、まず好ましい!外観からは全く想像出来ませんが、エントランスを入ると、相当広大な中庭を中心にして、回廊式の建物が堂々と眼前に現れます。

各々の展示室、常設展示のそれには、施療院伝来の医療器具、生活道具、調度品が、これまた保存状態良好に、適度に配置展示されていますので、専門家ならずとも大いに楽しめるものです。絵画、彫刻等の美術品も、大名品こそありませんが、当館伝来=伝世のもので構成展示されていますので、説得力は十分です。嫌味とは無縁のものばかりです。

当館の白眉、それが旧礼拝堂と施療室から成る広大な空間なので、オリジナルの祭壇をはじめ、天井の高い施療室の眺めは壮観といってよいでしょう。私儀が訪問した折は、ガランとした寂寥たるものでしたが、この空間がコンテンポラリー・アートの展示場、各種講演会、演奏会等のパフォーマンスの舞台として活用されているとのこと、大いに納得出来、かつは溜飲が下がるものです。

フランスはこの種の歴史的建造物のリノベーションと、博物館・美術館としての再生事業が非常に得意で、自家薬籠中のものと言って大袈裟ではありません。

我が国内で、例えば歴史と由緒を誇る旧病院施設をミュージアムとして、再生活用しているところは果たしてあるのでしょうか?私は残念ながら、管見にして聞き及びませんので、ぜひ有識各位さまからのご教導を期待したいものです。決して皆無ではないと、秘かに期待をしています。(by kiyo)

 

 

 

 

 

 

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まつやまをぐな-2

2018年06月09日 | ブログ

昨8日(金)から、2年ぶりの日枝山王神社様の例大祭が執行されています。明日10日(日)の宵まで、日本橋界隈は、厳粛な裡にも明るく賑やかな「ハレ」の舞台として、昨年のいま時分とは面目を一新した感がございます。

都下の日枝山王様の氏子は極めて多く、そのエリアも相当広域にわたります。町内各々、揃いの袢纏・法被・浴衣等に身を包み、祭礼に参加される光景は、部外者である私儀から見ても、実に清々しく、好感の持てるものです。

4月来、公私ともに用事が少なくなく、大遅刻の果てに本ブログを綴っております。私儀には「重病説」も一部ささやかれているとのこと、仄聞しましたので、それをここに謹んで否定しつつ、ご心配をおかけしたことを深くお詫びを申し上げます。

一昨日、旧友で松山在の陶芸作家・石田誠君が上京し、当ギャラリーに表敬訪問されました。実に3年ぶりの再会となり、私儀には日頃の疲れを忘れさせる「癒しのひととき」となりました。

随分以前に、「まつやまをぐな」の題下でご紹介したごとく、石田君とは四半世紀以上のつきあいとなります。良い意味で「腐れ縁」だねと二人して苦笑するのですが、いずれにしても、ごく自然体で友情を深めつつあることに間違いはなく、このたびも時間の許す限り、腹蔵のない会話=交流を試みることが叶いました。

久しぶりに面語した同君とは、1歳違いの同世代人ゆえに、話題の選択、話の展開もスムースである筈なのですが、今回大いに驚いたこと、それが彼の人間的成長ぶりの目覚ましさなのでした。

この3年のうち、家族が増えて、家長としての責任の自覚が自ずと増したとは本人の弁ですが、それ以上に、進歩=進化=深化の痕跡が、私のボンヤリした眼に鮮明に映じるのです。

彼との会話では、自分の仕事の現状と、今後への展望に当然話題が向いて、相当真面目で深刻な内容となります。今回も例外ではなく、産地に生きる陶芸家の悩みを吐露しつつも、あくまで基本を守り、それを基軸にして自分の技法と美意識を磨いてゆくのだと云う決意を、淡々とした、そしてユーモアとエスプリを交えた「石田節」で聞かせてくれました。

万葉時代からの由緒あることば=をぐな、すなわち「健男児」として、それも大人の健男児として、彼の言動と姿とが、私の眼には大いに頼もしく映ったこと、誇張ではありません。

また、わざわざ持参して恵投してくれた、新作の「青デルフト碗」、これを手に取り、つくづくと拝見する裡に、彼の作陶自体も確実に発展し、自家薬籠のものになりつつあることよと、改めて同君に惜しみない拍手を送ったものでした。

私が常に意識し、石田君をはじめ、若い作家の諸氏に伝える言葉、それが「目に見えない足腰の強化」と云う概念です。全く幸いなことに、石田君は彼なりの哲学を保持しつつ、私のこのコンセプトを理解してくれています。上述のデルフト碗は、数年前に手にしたそれよりも、足腰がしっかりしていました。嬉しい限りとはこのことでしょう。

その彼の新作展が、都下・北千住の某ギャラリーにて目下開催されています。明日は幸い休暇が取れましたので、家内と二人して表敬訪問し、実作品の進化=深化の具合を、実際に手にし目にして確認したいと、楽しみにしております。(by kiyo)

 

 

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ばいもの花咲く頃

2018年03月28日 | 

皆さま こんにちは

「ばいも」の花咲く頃となりました。

世間では桜の花見がにぎわっていますが、桜以外にも花の見頃が次々とやって参りました。

「ばいも」は貝母と書くのですが、なぜ「貝の母」なんだろうという疑問がようやく解けました。

釣鐘状の花の形状ではなく球根の形状から名付けられたそうで、クルっと丸い貝が二枚向き合ったような形をしているとの事。

母なる球根が貝みたいなので「貝の母」となるんですね。

なるほど~

名付けた人の感性の深さに思わず唸ってしまいました。

貝母を下さいましたK先生の奥様、ありがとうございます。

とてもキレイに咲いて楽しませて頂いております。

O子

鉄花器/坂井直樹

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アートフェア東京2018開催です

2018年03月10日 | 展覧会

皆さまこんにちは。

春の一大アートイベント『アートフェア東京2018』が東京国際フォーラムにて始まりました!
今年も古美術、近代美術、現代アートとバリエーションに富んだ展示会となっています。
https://artfairtokyo.com/

弊社ギャラリーこちゅうきょでは『畠山耕治「聖なるもの」展』を開催しています。





鋳造による青銅作品は鉾先や剣をイメージさせるような形態で、今回の展覧会ではそんな静かに佇む作品の表情やディテールをご覧いただけましたら幸いです。

ちなみに展示は日本の伝統的な陣形「鶴翼の陣」をイメージしています。

青銅に内在する成分が先生の自家薬籠中の物とされる技法によって、深い色彩として表層に現れてくる様子はとてもクールで、悠久の時間を越えて現れたような雰囲気を感じました。

当展覧会は4月にさらに点数と種類を増やし、日本橋の店舗にて展示をいたします。
http://www.kochukyo.co.jp/G_Ten.html

プロローグ展示となるアートフェア会場もぜひご高覧下さい。
会期は~3月11日(日)17時までです。
入場料:3500円

※ギャラリーこちゅうきょのブースナンバーは「N41」です!

皆さまのお越しを心よりお待ちいたしております。

O子

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