ドゥーダッドの息ぬき

ガラケーで綴る
10ホールズハーモニカ、マルチブロック奏法の、花村ようかん
ライブ情報、こぼればなし

十穴のアナ、最終回「核心には、フレーズ」

2024-04-30 | 教室

ハーモニカの特徴

自分が演奏している楽器を、その本人が見ることができない楽器。それがハーモニカである。したがって、ハーモニカは頭(知識)では吹けない。心(感情)が演奏しようと思わなければ音が出せない。このことが、音楽の道にはいろうとする初歩の人にとって、またとない、よい友だちとなって、ハーモニカが小さい人に人気があり、反対に、音楽をとかく頭で受けとろうとするおとなとっては、案外むずかしい楽器として敬遠されるのである。

ハーモニカは勘で吹く楽器であり、勘は小さい人ほどするどく、おとなになるにしたがってにぶくなるのだから、やむをえない。その勘で吹く楽器を、何番目の穴がド、次がレというように、頭でおぼえようとすることはむだである。ハーモニカは、いきなり、口にくわえて、吹いたり、吸ったりして、音を出し、その出てくる音が、ドか、レかを、耳でおぼえるほうがよい。

「玉川児童百科 大辞典 14巻 音楽・演劇」

 

改行以外は原文のままです

昭和42年発行の500ページ弱の本からの抜粋です

 

児童音楽教育の本の割には、バッサリと読み応えのあることが書かれていますね

 

ではあるが、

これは学童のハーモニカを基準とした文章なので、

ナウな十穴奏者としては、色々付け足したくなるというもの

 

 

 

 

 

 

〜京都のラジオ番組に出演したとき

この楽器のことを

「これは大人の楽器です」と、

とっさに説明した覚えがあります

 

成功や挫折、

傷つけ傷つけられ、

恋や失恋、

 

そんな個人的ではあるが、誰しも味わった経験を、初手から「演じやすい」楽器だということを、

リスナーに伝えたかった、公共の電波で、バッサリと

 

 

具体的に、つづけます

 

十穴は、それこそ初手から、

吹き、吸い、ベンド、それぞれの音色が

基礎的に違う

 

つまり

「音色のツブが揃ったメロディラインは、苦手」

という特徴が備わっている

 

ギターの開放弦と、押さえた弦の響きの違いにも、似ている

 

活かすか殺すか論で、考えると

 

「十穴は、メリハリの利いたフレーズは、初手からやりやすい」

といえる

 

 

 

 

さらにさらに、つづけます

 

例外はあるが、

吹き音は、音程と音量を、安定させやすく、

十穴の「とっつき易さ」の部分を担っている

 

対して、

吸い音は、音程が動きやすく、音量のレンジが広い

「コントロールの妙」の部署に属する

 

 

「息をはく」

〜それはチカラの解放であり、安心、リラックスにつながる

 

「息を吸う」

〜体内の挙動の合わせ鏡であり、

ストレスと同時、にチカラを蓄える

 

解剖学に詳しい方なら、もっと詳細な説明ができるだろう

 

 

 

 

 

ベンディング可能な穴番号は、限られている

 

「十穴のベンディング」の特徴は

「多めの息と、特定のアクションで、音程を下げる↓

ことにある

 

普通の管楽器は、

「特定のアクションで音程は上がる⤴︎

ギターのチョーキングもそうだ

 

逆にいうと、

「脱力で語尾が下がる⤵︎

 

 

 

そもそもわれわれは

「語尾の音程がさがる⤵︎」というのを

どう捉えているのだろうか?

 

「ハア〜⤵︎」あかんかった⤵︎

落胆し、力が抜けると、語尾は下がりますよね

管楽器も息を緩めると、音程がさがる⤵︎

 

「ヨイショォ⤵︎」「バカヤロゥ⤵︎

腹を括った力強い発声も、語尾がさがる⤵︎

 

十穴は「下げてから上げる↓⤴︎」フェイクは、超得意だが、

「音の語尾を下げる→⤵︎」逆フェイクは、特別な修練を要する

 

ブルースハープで、フレーズの語尾をガンガン下げる→⤵︎ようになったのは、

セカンドポジションの発見と、

戦後の管楽器の影響じゃないかと、私はにらんでいる

ジャズやソウルによって、ブルーズにも少なからず変化があったとおもうが、どうだろう?

 

後発のジャンルの発展により、ルーツ音楽も、それなりに進化するのことは、そんなに珍しいことではないとおもう

書道や陸上競技だって、今や取り組み方に幅がありますよね

つまり音楽の進化にたいして、年表通りのイメージが強すぎると、今学んでいることに混乱が生じかねないとおもう

どうだろうか?

 

さて、

 

ちょっと不自然で、難しい十穴のフレーズの語尾下げ→⤵︎は、

意図的にコントロールした「演技」という、見方もできます

 

「演技」とは、

自分を偽っているのとは、思わないでほしい

感情に紐づいた、運動、所作を、然るべきタイミングで情報化することだと思う

 

同じ曲、同じフレーズの中の

フェイク、逆フェイクの選択により

「訴えている↓」「押し殺している⤵︎」

などの印象が変わる

 

 

さて

ベンディングの効果は、ファとかラ等の、メロディの為の音程を出す為「だけではない」ということは、これまで何度もはなしてきました

 

例えば

十穴奏者は、どのキーを持ったとしても、

6番の吸いベンド↓、フェイク⤴︎」からは、

ある種の、センチメンタルなムードを、感じるはずだ

 

 

では、

明るく前向きな曲調で、6番のフェイク⤴︎あるいは逆フェイク⤵︎を出すと、どんな効果がでるのでしょうか?

6番のもつ「苦味」が、曲調の影響で「ほろ苦さ」に変わる、と

私は感じることが多い

甘いお菓子に感じる、塩味、酸味のようなものです

 

十穴奏者からすると、

ベンドは「音程」というより

「情感の変化」という見方も

色濃くついて回るのです

 

ちょっとややこしくなってごめんなさい

まとめていきます

 

吹き、吸い、ベンディング、この3つの異なる音色を駆使して、

いや、

駆使せざるを得ない十穴ハーモニカ

 

ボーカルと同じようなメロディーラインを、忠実に再現して奏でるのは、

ハナから苦手

 

そこにもどかしさや、不足を感じすぎるのは、もったいない

 

この楽器、

単純なメロディーであっても問われるのは

「大人ならではの演出力」だとおもう

 

 

「小さくかわいい」「安い」「直感的」

それはそうだとおもうのだが、

 

今後は

次のような特徴も、

今後の歴史に加えていただきたい

 

「基礎、初手からひじょうにエモーショナル」

 

 

 

 

暑苦しく語りがすぎました、まだ5月やのに、、

 

しかしどうですか?

冒頭の文章に納得しつつも、

学童のハーモニカと、

十穴との違いがハッキリしませんか?

 

そして、広い心でここまで読んでいただいたのなら、

先述の、

低レベルなアドリブ演奏、低レベルなポジション演奏との、

理屈をこえた関連性も感じてもらえるはず

 

そういえば

「フレーズのはなし」

と銘打ってましたが、、、

〜それも、もうここまで読んでいただいた方なら、

きっと、続きは見当がつくはず

 

これにてこのシリーズは終わりにします

どうか何かのきっかけになりますように

 

「十穴のアナ⤵︎」 完⤴︎

 

 

この記事についてブログを書く
« Spotify? | トップ | 最新作「LOST KEYS」 »