仏典、聖書、ジョージ・アダムスキー氏により伝えられた宇宙精神文明(空=言葉=天の父=宇宙の英知=真如=法・ダルマ=灯明)

ワクチン薬害、祈りの科学的研究、人体構成分子によるオーソモレキュラー医学、医学の大罪、太陽系惑星文明の科学的証拠

ファルマゲドン 背信の医薬

2021年11月07日 16時56分43秒 | 医学の大罪: 医療公害・医療犯罪から家族の命を守る

ファルマゲドン 背信の医薬

 

ブログ記事

「死の薬と企業ぐるみの犯罪、いかに巨大製薬企業が医療制度を崩壊させたか」

でお伝えしたように、医学・臨床試験・薬学には非常に多くの不正な犯罪行為が行われ、しかもその事実は金の力により隠され、あたかも正当なもののように偽装して全世界で使用され、巨額な金を稼いでいます。

その金は、金融権力の支配下にある巨大医療産業の懐に入っています。

 

このブログ記事で紹介した2冊の本

 

ノルディック・コクラン代表Gotzsche PC.

Deadly medicines and organized crime. How big pharma has corrupted healthcare,

「死の薬と企業ぐるみの犯罪、いかに巨大製薬企業が医療制度を崩壊させたか」

Radcliff Publishing Ltd., London, 2013.

 

「Bad Pharma」の日本語訳

『悪の製薬: 製薬業界と新薬開発がわたしたちにしていること』

ベン・ゴールドエイカー (著), 忠平美幸 (翻訳), 増子久美 (翻訳)

青土社 (2015/5/25) 

https://www.amazon.co.jp/gp/product/4791768647/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4791768647&linkCode=as2&tag=woundtreatmen-22&linkId=7c3af1ade445c5e99b58cc6296bf0afa

とは別に、同様の告発をした本がありますからご紹介します。

 

ファルマゲドン 背信の医薬 PHARMAGEDDON

出版社 みすず書房のサイト

https://www.msz.co.jp/book/detail/07907/

 

著者 デイヴィッド・ヒーリー

監訳 田島治

訳者 中里京子

判型

四六判 タテ188mm×ヨコ128mm

頁数

480頁

定価

4,400円 (本体:4,000円)

ISBN

978-4-622-07907-1

Cコード

C1047

発行日

2015年4月10日

 

抗うつ薬が自殺を惹起するという深刻な副作用を暴いた『抗うつ薬の功罪』の著者ヒーリーが、薬物治療依存の時代に産官学を巻き込んで拡大する背信の構造を告発する。

 

なかでも、臨床試験データの隠匿や改竄などの不正操作、医学論文のゴーストライティングの問題を徹底して追及している。

そこからは、科学への信頼を逆手にとったマーケティングが、学者や医師のコンセンサスを乗っ取って特許薬の需要をつくりだし、医療と医薬のあらゆる側面が人間よりもその経済(ブログ著者注: 悪魔的な金儲け)に奉仕させられているという、ディストピア的様相が浮かび上がる。


これに対してヒーリーは、濃霧を晴らすような抜本的な改革案を提示している。臨床試験の生データの公開、医薬品の特許制度および処方箋薬制度の見直し、ユーザーが持つ副作用情報のグローバルな集積と活用など──いわば、医薬に関する知識と権限をユーザーに解放し、ボトムアップでディストピアを解体するという構想である。

ヒーリー『抗うつ薬の功罪』田島治監修・谷垣暁美訳

 

目次

はじめに
ファルマゲドンの進展
ファルマゲドンを避けるには

第一章 かつて医療と呼ばれていたもの
医療からマーケティングへ
かつてのブランドとこれからのブランド
特許薬
ブランドと特許
情勢の変化

第二章 医療とマーケッター
医師が注文したもの
ブロックバスター薬の台頭
鏡の中の顔
新たな医療

第三章 エビデンスに従え
数字的転回
疾患の原因
医療における肥料?
医者に催眠術をかける
偶然を飼い慣らす
ギャップにご用心
企業がおこなう臨床試験
エビデンスに歪められた医療

第四章 データの改竄
科学を装う
機械の中の幽霊
科学という巣に産みつけられたカッコウの卵
利益相反を超えて
鏡の国のアリス
サイエンス・エクス・マキナ
消える科学

第五章 ガイドラインに縛られて
自由裁量の終焉
コンセンサス会議
一つのガイドライン、一つの声
医学界最大の乖離
企業に掌握された双極性障害のガイドライン
足元の現実問題

第六章 医療の測りまちがい
ケアと測定
標準化された医療
尺度の魔力
帽子の中のウサギ
危険になった世界
非平穏状態を測定する
品質の誘惑
測定を超えて

第七章 翳りゆくケア
治療が悪い方向に向かうとき
オズの魔法使い
最先端のケア
工場医
疑念の支配
専占攻撃
冥界への拉致

第八章 ファルマゲドン
データに基づく医療
処方箋扱いのステータス
RXISKドットコム(RxISK.com)
医薬品の特許
ポストモダニズムの工場
医学的ケアの将来

著訳者略歴

*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

デイヴィッド・ヒーリー

David Healy

医学博士、精神科認定医。精神医学・精神薬理学史家。カーディフ大学、北ウェールズ心理学的医学部門、教授。英国精神薬理学会(British Association for Psychopharmacology)の元事務局長。これまでに、The Creation of Psychopharmacology (Harvard University Press 2002)、The Antidepressant Era(Harvard University Press, 1999)〔邦訳『抗うつ薬の時代──うつ病治療薬の光と影』(星和書店、2004)〕、Let Them Eat Prozac: The Unhealthy Relationship between the Pharmaceutical Industry and Depression (James Lorimer & Company Ltd, 2003; New York University Press, 2004)〔邦訳『抗うつ薬の功罪──SSRI論争と訴訟』(みすず書房、2005)〕、Psychiatric Drugs Explained. 5th edition (Churchill Livingstone, 2008)〔邦訳『ヒーリー精神科治療薬ガイド』(みすず書房、2009)〕、Mania: A Short History of Bipolar Disorder (The Johns Hopkins University Press, 2008〔邦訳『双極性障害の時代──マニーからバイポーラーへ』(みすず書房、2012)〕)ほか多数の著書がある。公式ウェブサイト(http://davidhealy.org)に自身の活動に関する多くの情報をアーカイヴしている。2012年には、薬のリスクに関する情報を草の根的に募り、集積・公開するプロジェクトRxISK.org(https://www.rxisk.org)を立ち上げた。

 

田島治

たじま・おさむ

医学博士。杏林大学保健学部教授(精神保健学)、同医学部精神神経科兼担教授を経て、2015年4月より、はるの・こころみクリニック院長。杏林大学名誉教授。専門は臨床精神薬理学。著書に『抗うつ薬の真実』(星和書店、2011)、『社会不安障害──社交恐怖の病理を解く』(筑摩書房、2008)、『精神医療の静かな革命──向精神薬の光と影』(勉誠出版、2006)、ほか。ヒーリーの著書『抗うつ薬の功罪』(みすず書房、2005)『ヒーリー精神科治療薬ガイド』(みすず書房、2009)の翻訳を監修。同じくヒーリー『抗うつ薬の時代』も共訳(星和書店、2004)。

 

中里京子

なかざと・きょうこ

翻訳家。早稲田大学教育学部卒業。訳書にジェーン・カンピオン他『ピアノ・レッスン』(学樹書院、1995)、ローワン・ジェイコブセン『ハチはなぜ大量死したのか』(文春文庫、2011)、レベッカ・スクルート『不死細胞ヒーラ』(講談社、2011)、ギルバート・ウォルドバウアー『食べられないために』(みすず書房、2013)、デイミアン・トンプソン『依存症ビジネス』(ダイヤモンド社、2014)、フィリップ・ヒューストン他『交渉に使えるCIA流──嘘を見抜くテクニック』(創元社、2015)など多数。

 

 

アマゾンの書評

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%B2%E3%83%89%E3%83%B3%E2%80%95%E2%80%95%E8%83%8C%E4%BF%A1%E3%81%AE%E5%8C%BB%E8%96%AC-%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%92%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC/dp/4622079070/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&crid=3UCABD64TF2VH&keywords=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%B2%E3%83%89%E3%83%B3&qid=1636270915&s=books&sprefix=%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%82%B2%E3%83%89%E3%83%B3%2Cstripbooks%2C478&sr=1-1

 

              Amazon Customer

5つ星のうち5.0 現代の”沈黙の春”!全ての医師が目を通すべき名著。

2016年12月14日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

内科医です。もし僕が教壇に立つことがあれば、全ての医学生に読ませます。このような本を翻訳、出版しているみすず書房は偉大だ!これからも是非頑張ってください。心から応援しています。

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              ボリス

5つ星のうち5.0 何を信じていいのかわからなくなる。

2015年10月10日に日本でレビュー済み

衝撃。ブロックバスター薬の有効性を訴える論文は全部ゴーストライターによって書かれ、そもそもネガティブな結果を出した臨床試験の結果は隠蔽し、薬の副作用で亡くなった人の数に手を加える。しかも、企業主導の大規模な臨床試験を計画した段階で、NEJMLancetといった超メジャー雑誌から、掲載の依頼がくる。

 

治療の指針たるガイドラインは歪められ、大して効果もなく費用だけかかる新薬の使用を推奨する。

 

頼りにしてきた新薬の価値を否定され、医師は困るだろうが、一読する意味は大いにあるし、何より興味深い書籍だ。

 

2015/10/20追記

ベンゾジアペピンの大量処方がやり玉に挙げられ、漫然と内服することのデメリットが喧伝されている。

確かにベンゾジアゼピンには依存性があるし、大量に内服したときには安全とは言い難い。

しかし、それと比べてSSRIの方が果たして安全なのだろうか?

SSRIだって急に服薬中止すると、強い離脱症状が出ることがあるし、薬に依存的になっている人だって多い。大量服薬したときには決して安全ではない。

にも拘わらず、現在外来での睡眠薬の処方は2種類までに制限され、なるべく他の薬を用いるよう推奨されている。

 

SSRIとベンゾジアゼピンの最大の差異は薬価であり、SSRIだと薬価が最大一日1000円ほどかかるのに対し、ベンゾジアゼピンではせいぜい100円もしない程度。

GSKやリリー・ファイザーが、日本市場から金を巻き上げるために、安価でそこそこ効果があるベンゾジアゼピンの使用をやめる方向に誘導しているのでしょう。

 

この本のおかげで、SSRIやSNRIやSDAについての、過剰な宣伝に惑わされにくくなった。

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              大寺萌音🏳️‍🌈

5つ星のうち5.0 「医薬品は思慮深く使われる毒」であるということを改めて心に強く刻みたい

2016年3月15日に日本でレビュー済み

本書の内容については、ほかの方がかなり詳細に紹介されているので、私が本書を読む過程で、印象に残ったこと、感じたことを書いてみる。

 

私は血圧がぎりぎり薬を飲まないでいいレベルだが、今後は医者に言われても、よほど高くならないと飲まないで済まそうと考えるようになった。コレステロールなどの薬についても、周囲の人に教えたい。とにかく、一部の医薬品について、酷いというのが実感だ。隠されるデータ、ゴーストがまかり通る論文、製薬会社のデータをうのみにする医師たち。多くの医者は本書を読んでも「自分だけでは仕方ない」と判断するのだろう。だから何も変わらない。

試験のデータの公表に関する部分など、遺伝子組み換え植物(GMO)や低線量被曝の問題とよく似ている(322ページを読むと、『 モンサント――世界の農業を支配する遺伝子組み換え企業 』で批判される官民の癒着とそっくりだ)。とにかく、一部の企業がひたすら儲けるために、ルールを利用し、さらには国家などに働きかけて自らに都合のいいルールが作られていくことがよく分かる。

291~292ページにジェームズ・スペンスという医師の言葉が引用されているが、患者が求めているのは、コンピュータの画面ばかり見て、ガイダンスに神経をとがらせる医師ではなく、きちんと向き合って話を聞いていくれる、“相談”が可能な医師なのである。

そして、「医薬品は思慮深く使われる毒」という言葉に戦慄を覚えた。

 

著者がいくつかの提言をしている。もちろん、実現は簡単ではないのだろうけど、良識ある医師や薬剤師などにもぜひ立ち上がってもらいたい。私自身も、製薬会社の食い物にされるのは嫌だから、できることをやっていきたい。

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              edge walker

ベスト500レビュアー

5つ星のうち4.0 医薬がもたらす身近にある危機

2016年3月23日に日本でレビュー済み

著者は英国の精神科医デビッド・ヒーリー氏です。

同氏は抗鬱剤が自死を誘発する副作用があることを世界で初めて指摘した医師で、本書は人も社会も幸福にしない医療業界の根本的な問題を指摘したものです。

表題になっているPharmagedonは、薬を意味するPharmaと世界の破滅を意味するArmagedonを元にした造語です。

全8章で構成されていて、現状の問題点やこのような状況に至った理由、著者の提示する解決策などがまとめられていました。

 

「はじめに」で現在に繋がる、著者の子ども時代の原風景が描かれています。

幼少期に過剰な医療介入により父を失なったことが原点となり、医師になってからも医療に対して健全な懐疑心を持ち続けてきました。

著者の指摘する問題点は3つあります。

 

1つ目は特許の条件が緩和されたことです。

これによって既存の薬をわずかに変化させる程度、たとえば鏡像の異性体を採用する程度で新薬と称して売り出すことが可能になり、製薬会社の創薬意欲を減退させ、マーケティング活動に注力するきっかけとなりました。

人々のライフスタイルを分析して「パニック障害」や「適応障害」などの新しい病気を作り出し、これに「鬱は心の風邪」などのキャッチーなフレーズを付けてCMに乗せることで莫大な売り上げを計上しました。

この成功体験で製薬会社の営業方針は「薬を売るより病気を売れ」に向けて舵を切らせ、真の治療を目指すという意味での医療の進歩を停滞させることになりました。

 

2つ目は新薬に処方薬というステータスが付与されたことです。

処方薬を扱えるのを医師に限定したことから、製薬会社は少数の消費者である医師をターゲットに広報戦略を洗練させ、結果としてかつては医師の補助的な役割だった製薬会社が医師を支配するというパラドックスが生じました。

広報戦略とは、薬がガイドラインに盛り込まれたり有名医学誌に論文が掲載されることで、惜しみなく巨額の資金が投入し続けました。

ガイドラインは強い権威となり、逆らうことは問題が生じたときの訴訟リスクと、経済合理性から生じる解雇リスクを抱えることから医師の自由裁量を奪うこととなりました。

論文は有名な研究者の名前こそ付されますがゴーストライターが執筆し、薬害は過小に評価し、効果は最大限に強調され、元データは製薬会社の極秘事項として開示されません。

この恣意的に作られた論文が科学という信仰でパッケージされたのが医学界の現状だと著者は喝破していました。

 

3つ目は医薬品の審査に比較対象試験が使われるようになったことです。

かつては見て、触れて、聞いて診断してきた医療行為は、詳細な検査データで診断するようになり、それと共にエビデンスという概念が主流になってきました。

これはかつての素朴な実験科学で探求したものではなく、偽薬によるデータの変化を対比実験で判断するというものです。

しかし数値の上下動のみで判断されるこの信仰は、患者の苦痛を取り、病を癒すという観点からは遠く隔たり、しかもデータの恣意的な選別で統計的な有意差がコントロールされ、生データは製薬会社に秘匿されるという複数の欠陥を抱えていました。

結果として医療費は50年前のGDP1%から17%へと激増し、この事実は「患者が全く治っていない」ことを裏付けているのですが、「早期発見の成果だ」あるいは「早期発見できなかったためだ」という相反するエクスキューズにより、検証作業は全く行なわれていません。

 

こうした問題点は、近年、様々な識者から指摘されていて、医師、製薬会社、保険会社など受益者を対象にした考察が断片的に論じられるようになりつつあります。

しかし本書はこうした各論部分を越え、深層の本質的な部分にまで切り込んでいて驚かされました。

著者は冒頭で次のように警鐘を鳴らしていました。

 

「かつて医療と呼ばれていたものは今や瀕死の状況にある。

 私たちは早死にしないために、最新の治療法から身を守らなければならない世界に暮らしているのだ。」

 

本書で紹介されているのはヨーロッパやアメリカを中心とした事情ですが、同様の状況は日本でも深刻なレベルで進みつつあるので読み応えがありました。

重厚な内容ですがわかりやすく、翻訳も巧みなせいか引き込まれて、あっと言う間に読了しました。

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              ごんたこす

5つ星のうち3.0 ”アメリカ”そのものに喧嘩を売る

2018年5月15日に日本でレビュー済み

アメリカはGDPあたりの医療費が先進国でもっとも高い国のひとつであり、その上もっとも平均余命が少ない国である。その原因のひとつが薬剤費であり、それをもたらすのがグローバルに力を持つ製薬企業であり、製薬企業は、医療をマーケティング至上主義の産業としかとらえておらず、ありとあらゆる手法を使って自社の利益を追求し、そのために患者の不利益・副作用は意に介さない。医者ももはや個人では太刀打ちできず、この流れに飲み込まれている、というのが本書の主張である。

 

本書の主張は一面的には正しい。

ただし、アメリカ医療の惨憺たる状況は、ある意味で国民が選んだ結果であるともいえる。保健医療は未だにできず、気軽に病院にもいけない。均質でエビデンスに基づいた医療を求めるのも、自分のちょっとした異常を特定の疾患のせいにしたがるのも国民だ(それを加速させているのが製薬企業であるとしても)。またそうしなければすぐに訴えられるというお国柄もあるし、医者は先進国の中で圧倒的な高額収入を得ており、医療費が高額な理由のひとつともなっている。

問題は製薬企業への攻撃が激しすぎて、謂れのない医学・科学への批判まで及んでいる。臨床研究において、データを隠したり、不正行為をするのは製薬企業が悪いからであって、検定という科学が悪いわけではない。なぜ不正行為が明らかになった事例においても製薬企業が攻撃されないのか。本当の闇はそこにあるだろう。作者は管轄するFDAも製薬企業とずぶずぶだと主張するが、もしもそうならそれは官僚機構の腐敗が真の敵だろう。なぜ真の敵と争わずに検定に文句をいってんの?一人死んだことが大問題だというなら、作者が大好きな(薬として否定しない)抗菌剤でもそれなりに死んでるぞ。だいたい、アメリカではジェネリック医薬品すらも高い。原材料・製造コストが1ドルしかないエピペンが600ドルするのだ。ちなみに日本だと1万円ほど。新薬でもないし特許が関係なくてもこれなのだ。すなわち、医療費高騰はアメリカという国自体の病理である。

つまり、著者はアメリカ社会全体に喧嘩を売っているドン・キホーテなのだ。

 

本当にファルマゲドンに勝つ気があるならば、医師は、あなたに治療は必要ありません、あるいはあなたの病気は治りません、あなたが必要な薬を買うと、製薬企業が大儲けするのでやめた方がいいですよ、この薬は少しぐらいは効くかもしれませんけど飲むと死ぬヒトがたまにいますからやめたほうがいいですよ、と患者にいわなければならない。誰がそんな医者のところへ来る?そんな医者に高額な報酬を払えるか?医者にかつてのような貧乏になれ(作者自身も世界で最も高給取りな医者のひとりなのだ)、そうしろと医者に言えるか?それを言わずに製薬企業ばかりを攻撃してもファルマゲドンには勝てないのだ。

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              たっちゃん

5つ星のうち5.0 今の製薬企業の実態が浮き彫りにされている注目すべき著作である。

2015年6月27日に日本でレビュー済み

現代の製薬会社が、新薬を売り出すために不都合な臨床試験結果の隠蔽やデータの改ざん。さらには、新たな病気を作り出して、医薬品の販売増加のためにあらゆる手段を使って取り組んでいるかを暴き出した衝撃的な著作。

これは、アメリカの事例であるが、日本における現状も大差はないのではないかとも思ってしまう。

 

製薬企業の販売促進のために、いかに無駄な薬が開発され、投与されているかの事例がいくつも出てくる。

・まずは、著者の専門分野である精神科における抗うつ薬SSRIの処方の現状である。アメリカでは、治療投与の問題があり医師が妊娠中の女性にもSSRIを投与し、重大な先天性欠損症や流産の危険性を高めているという。

・もう一つ驚いたのは、喘息の診断に使用されるピークフローメーターの登場により、本来治療の必要のない人たちまで吸入薬を処方されているが、その薬はプラセボ投与群より死亡率が高いという事実。

・それから、血中コレステロール値が少しでも上昇しているとスタチン系薬剤を投与される現状。心血管系のリスクのない人がこの薬を使うとむしろ死亡率が増加するという。

・もう一つ、更年期の女性に対するホルモン補充療法。これは、乳がんを引き起こす可能性が指摘されたため一旦売上が減少したが、新たに骨粗しょう症に適応するという販促キャンペーンで売上を回復させたという。

・さらに、糖尿病の予防として血糖値が少しでも高いと血糖降下薬が処方されている現状。この血糖降下薬にも超過死亡率の問題があるという。

 

また、現代の統計的手法によるエビデンス全盛にも疑問を投げかける。

骨折とは全く関係のない場所にギブスをはめて比較しても有効な結果が出てしまうという極端な事例を示して、今の製薬企業が行っているのもこれと同じだとその問題点を指摘する。

また、SSRIなどの抗うつ薬が自殺を低減するエビデンスは全くない事実も示している。むしろ薬によっては、自殺を増やしてしまうとも指摘する。

 

こうした問題の背景には、すでに新薬の開発に限界が生じているため、製薬企業の性格が市場で販売する薬のマーケティングを行う企業に変わったことであるという。

 

現状の医薬品業界の極端な例えとして著者は、製薬業界とタバコ業界は同列と指摘し、

もし現在のブロックバスター薬が店頭で販売されるようになったら、製薬業界はタバコと同じくらいの宣伝を行い、同じくらいの害をもたらすことになる。とすれば、ブロックバスター薬にもタバコと同じ警告文を記載したほうがより安全なのではと皮肉を込めて指摘する。

 

今の製薬企業の実態が浮き彫りにされている注目すべき著作である。

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              つくしん坊

ベスト500レビュアー

5つ星のうち5.0 製薬企業に支配された医療に果たして未来はあるのか、強い懸念を持たざるを得ない

2015年5月31日に日本でレビュー済み

「ファルマゲドン」とは、ファルマ(医薬)とハルマゲドン(最終戦争)の合成造語で、サブタイトルの「背信の医薬」、あるいは「医薬がもたらす恐るべき災厄」と解釈できる。著者は、アイルランド生まれイギリス在住の精神科医であり、既刊の『抗うつ薬の功罪-SSRI論争と訴訟』や『双極性障害の時代-マニーからバイポーラーへ』(いずれもみすず書房)に見られるように、製薬企業の利益至上主義に支配された近年の医療、特に精神科医療の実態を克明に報告し、問題を提起してきた。本書は、対象を医薬品全般(ただし精神科治療薬が事例の中心ではあるが)に広げ、さらには今日の事態の根本原因の解明と考えられる対応策まで論じたものである。製薬企業に支配された医療の実態を改めて知り、患者の利益からかけ離れた医療の実態に強い懸念を持った。なお、日本でも最近、近藤誠著『クスリに殺されない47の心得-体のチカラがよみがえる近藤流「断薬」のススメ』(アスコム)が話題になっているが、本書はこの近藤本の「学術版」といえる。本書の訳文は丁寧であるが、やや硬いのが玉にキズである。

 

本書によれば、医薬品の世界に大きな変化が起きたのは、1960年代初めである。この頃、先進国で医薬品に特許付与が可能になり、製薬企業は、世界各国に新薬の特許を申請することでブロックバスター薬(売上高10億ドル以上の巨大製品)販売への道が拓かれた。同時に、医薬品は「マーケティング主導」で開発され、新たな病気が製薬企業により「作りだされる」ことになった。つまり、従来人々はもちろん医師からも病気と認識されなかったものが、広告宣伝(これを「疾患喧伝」と呼ぶ)により、人々に病気と意識させ、医師の診断を受けるように仕向けられた。こうして、循環器系疾患(高血圧、高脂血など)、各種の精神疾患(うつ病、双極性障害など)をはじめ、おびただしい数の病気が「生まれ」、各国の医療費が急増すると同時に、製薬企業の売上高や利益も急拡大していった。その結果はどうだったのか。健康長寿に効果があったであればまだしも、アメリカが典型的であるように、多量の医薬品に依存した医療は、多くの早すぎる死をもたらしてきた。実際にアメリカ人の平均寿命は先進国の最低レベルである。また、精神疾患の場合などは、ここ50年間で重篤な精神疾患による入院が7倍、統合失調症による自殺は20倍、糖尿病の併発の激増、結果として重篤な精神疾患患者の平均寿命が一般に対して最大20年も短くなる、などの恐るべき災厄がもたらされている(本書p.242)。

 

どうしてこのような結果になったのか。著者の慧眼は、ファルマゲドンの根本原因が、「エビデンス重視」で医師個人の判断能力を奪い去った「ガイドライン遵守医療」とそれを悪用する製薬企業にあると見抜いた点である。慢性疾患には「画期的新薬」などは存在せず、多数の症例について新薬をテストする臨床試験に頼らざるを得ない(効かない薬ほど多くの症例が必要になる)。この臨床試験は多数の医療機関に委託し、多額の費用を掛けて行われるが、その試験結果は製薬企業の手に握られ、医師も担当部分の限られたデータにしかアクセスできない。こうして、統計学上は最も信頼性が高いとされる「無作為化比較試験(RCT)」の結果のうち、わずかに統計的有意性を示した新薬の効果が針小棒大に論文発表され、危険な副作用の発現は「有意性なし」として闇に葬られる。最近発覚した薬害事件やそれに関連した訴訟(抗うつ薬、インフルエンザ治療薬など)は、すべてこうした背景によるものである。

 

この他、本書では、製薬企業がスポンサーとなって医師団体が作るおびただしい数のガイドラインによって、臨床医が新薬を処方するように仕向けられている実態、製薬企業の関わった臨床試験の論文は、著者の医師は名目だけで、多くがゴーストライターにより企業に都合の良い事実しか発表されないなど、医薬品・医療業界の病根が遠慮なく抉り出されている。このような深刻な事態に対して、著者は、臨床試験のデータをすべて公開するよう製薬企業に義務付けることを提案している。また、著者が主宰する公開プロジェクト(RxISK.org)で、薬のリスクを幅広く一般向けに啓蒙している。

 

本書には、日本の事例は特に引用されていないが、降圧剤データ捏造事件や続発する薬害事件(インフルエンザ治療薬や子宮頸がん予防ワクチンなど)から分かるように、日本も間違いなく欧米の後を追っている。臨床試験のデータをすべて公開するという、著者の提案が少しでも早く実現されることを期待するほかない。

 

それまではどうするのか。評者は、「出来るだけ医者と薬に近づかないこと」が最善の防衛策と考えている。

医療の害については、古くはアメリカの医師ロバート・メンデルソン著『医者が患者をだますとき』(草思社、1999年刊、原著は1979年刊)が説いていて、「医学の9割は不要である」と指摘している。

最近では、近藤誠著『医者に殺されない47の心得』や『クスリに殺されない47の心得』(いずれもアスコム)、中村仁一著『大往生したけりゃ医療とかかわるな -自然死のすすめ』(幻冬舎新書)、内海聡著『医学不要論』(三五館)など、医者だけでなく、薬剤師も、宇多川久美子著『薬が病気をつくる~薬に頼らずに健康で長生きする方法』(あさ出版)で同様の主張をしている。

つまり、「慢性疾患に効く薬はないどころか、服用することで恐るべき副作用が生じる」というのが、本書を含めた上記医療批判本の共通メッセージである。

これら医療批判本に対しては、医療ムラからの反撃も始まってはいるが、本書のように、多くの学術論文や著者自身の臨床経験を踏まえた本格的内容への反論は容易ではないだろう。本書の内容が日本で本格的に議論されるのか、あるいは「臭いものに蓋」と無視されるか、見ものである。

 

日本の医療費は39兆円(2013年度)に達し、そのうち薬局調剤費は6.7兆円である。ただし、これには病院内で処方される薬剤費が含まれていない。製薬業界のデータ(IMSジャパン)によれば、総薬剤費(つまり製薬会社の売上高)は2013年度で9.8兆円にも達する。本書を参考にすれば、医師会やマスコミが喧伝する「医療危機」の本質が、利益至上主義に毒された製薬業界や、それに踊らされている医師たち(もちろん、多くの良心的医師を除く)によってもたらされた側面が強いことが理解できる。本書を読むことで、医療や医薬品への観方が大きく変わる可能性が高い。是非、一読をお奨めする。

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