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ホエイプロテインが本当に安全かどうかは分からない、癌との関連? 牛乳・乳製品は?

2022年02月13日 17時18分08秒 | 糖質制限

総乳製品、非線形モデル

縦軸:相対リスク(すべてのがん死亡リスク)、横軸:乳製品摂取/1日当たりの摂取

 

2016年の論文

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27765039/

Nutr J. 2016 Oct 21;15(1):91. doi: 10.1186/s12937-016-0210-9.

Dairy products intake and cancer mortality risk: a meta-analysis of 11 population-based cohort studies

乳製品の摂取量とがん死亡リスク:11の人口ベースのコホート研究のメタアナリシス

Wei Lu 1, Hanwen Chen 1, Yuequn Niu 1, Han Wu 2, Dajing Xia 3, Yihua Wu 4 5

PMID: 27765039 PMCID: PMC5073921 DOI: 10.1186/s12937-016-0210-9

 

(1)統計的に有意性は認められないもの(統計学的には確かなものではないもの)

結果の要約の1つは、

『乳製品の総摂取量は、すべてのがん死亡リスクの増加に大きな影響を与えませんが、乳製品の総摂取量が少ないと、非線形モデルに基づく相対リスクも減少します。』

というものです。

(実線(真ん中の線)の相対リスクが1より小さくなっている領域が、全癌死亡リスクが低くなっている部分で、1日摂取量がほぼ1より少ない領域です。これは、今食べている乳製品を何割か、半分か3分の1くらいまで減らした方が安全ですよ、という意味です。)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27765039/#&gid=article-figures&pid=fig-3-uid-2 の図(冒頭の図)を参照。

 

これは、統計的に有意性は認められないが、乳製品の総摂取量が減れば、全癌の危険性が減る傾向にあると解釈できます。

このため、乳製品の総摂取量は少ない方が好ましく、糖質制限は、卵、肉、魚、大豆及びその加工品によって行った方が好ましいと思います

 

 

+++++++++++++++++++++++++++++++

 

ホエイプロテインが本当に安全かどうかは分からない、癌との関連? 牛乳・乳製品は?

 

一部の医師は、糖質制限のタンパクの摂取源として、工業的に牛乳から分離したホエイプロテインを推奨しています。

 

しかし、2022年2月7日、溶かして液体にして飲むホエイプロテインには、安全性(害反応)、特に癌との関連がまだ不明で、癌に関連する疑いがあるという評価がドクターシミズのサイトにアップされました。

 

ドクターシミズ(糖質過剰症候群の著者)

https://promea2014.com/blog/?p=18135

プロテイン摂取は慎重に 2022/2/7

 

清水泰行(しみずやすゆき)

1967年愛知県生まれ。北海道大学医学部卒業。医師。日本麻酔科学会専門医。

社会医療法人仁陽会 西岡第一病院勤務。麻酔、ペインクリニック(痛み専門の治療)、漢方内科が専門。

痛みの治療だけでなく、背景にある栄養不足・糖質過剰を指摘し、患者の食事の相談にも積極的に対応している。

自らも糖質制限によりメタボを脱出。それを機に健康や医療の定説に疑問を抱き、様々な勉強を重ね、学んだことを一般の人に還元するためブログ「ドクターシミズのひとりごと」を開設、日々更新中。

著書に『「糖質過剰」症候群』(光文社新書)、『運動するときスポーツドリンクを飲んではいけない』(廣済堂健康人新書)、『糖質オフ×プチ断食のW効果でやせる! 不調が消える! 』(監修、主婦の友社)がある。

 

ブログの内容を詳しく状況を解析してみます。

 

1.ドクターシミズのブログには次のように書かれています。

 

『ホエイプロテインは、牛乳由来のタンパク質です。

牛乳ももちろんですが牛乳由来のタンパク質はインスリン分泌、IGF-1分泌増加をもたらし、mTORの活性化を招きます。

 

「人類はこれまで液体のタンパク質を摂ってきたことはありませんでした。それがプロテインを水や牛乳に溶かして飲むプロテイン飲料が出回ったことで、非常に吸収の良いプロテインを人間は手にしてしまいました。

吸収が良ければ血中濃度の上昇も大きくなります。糖質もゆっくりと摂取すれば吸収もゆっくりで血糖値の上昇も緩やかになります。

それと同様にタンパク質も肉などから摂取すればゆっくり吸収されますが、液体状では非常に素早く体内に入り、その分体の反応も急激に大きくなります。プロテイン飲料は血糖値をあまり上げませんが、インスリンは増加してしまいます。

男性ももちろんそうですが、AYA世代の若い女性の間でプロテイン飲料が流行しているのは非常に恐ろしいことになるのではないかと思っています。インスリンもIGF-1もがんと結びついているからです。』

 

ここに書かれていないのは、インスリンは栄養素を同化するホルモンであり、人間の成長や維持にはなくてはならないものであることです。

インスリンがないと人は生きていけません。IGF-1も同様です。

糖質制限で摂取する食べ物、例えば卵、肉、魚、大豆製品も、インスリンやIGF-1を分泌しますので、これらの食品の成分が同化され、身体の維持ができるのです。

つまり、適度なインスリンやIGF-1の分泌は、人が生きていくために必要不可欠なものです

しかし、過度な急激な分泌は有害になる可能性があります。

この点は明確に抑えておく必要があります。

 

2.次に、ホエイプロテインの形態、液体と固体の問題、そして液体の糖質を含んだホエイプロテインの問題です。

 

ドクターシミズのブログには次のように書かれています。

液体の「糖質を含んだホエイプロテインは糖質だけよりも1.6倍ものインスリンを分泌してしまいます。」

 

これを簡単に表にすると、

液体

インスリン分泌

糖質

1

糖質+ホエイプロテイン

1.6

ホエイプロテイン単独の計算値

1.6-1=0.6

 

計算上は、液体のホエイプロテイン単独のインスリン分泌は、液体の糖質の0.6、つまり糖質より40%低く、インスリンの害が糖質より少ないという結果になります。

これでは、ホエイプロテインだけを水に溶かしたものは、糖質だけを水溶かしたものより安全ということになります。

ただし、これは計算上であり、液体のホエイプロテイン単独のインスリン分泌の実測データがありませんので、確定的なものではないため、やはり実測データが必要です。

 

現状では、安全を考えて、「ホエイプロテイン+糖質」を水に溶かして液体にしたものは、使用しない方が良いと私は思います。

 

ホエイプロテイン+糖質(糖質制限の範囲内)の固形のものはどうでしょうか?

吸収速度が遅いですから、液体のものに比べてインスリン分泌量の絶対値は減ると思いますが、インスリン分泌量の絶対値が不明ですから、何とも言えません。やはり実際の測定値が必要です。

 

ホエイプロテイン+糖質(糖質制限の範囲内)の固形のもの、ホエイプロテインだけを水に溶かしたもの、ホエイプロテインを固形の食品に加工したものの相互比較も、データがないので分かりません。

実測値が必要です。

 

測定値がないものが多いので、正確な判断ができないのが現状です。

 

このようなデータ不足状態の中で、工業的に高度に濃縮されたホエイプロテインをどのように使用するかを判断するのは難しいと思います。

正常

成分

評価

液体

糖質

×

 

ホエイプロテイン+糖質

×

 

ホエイプロテイン

糖質単独よりは良い

固体

糖質(糖質制限の範囲外)

×

 

ホエイプロテイン+糖質(糖質制限の範囲内)

液体よりは良い

 

ホエイプロテイン

液体よりは良い

 

判断は、各自がするしかありませんが、

最も良いのは、工業的に精製したホエイプロテインのような、自然界に存在しないものは食べないことです。

自然界に存在するのは、牛乳だけです。

 

タンパク質が明らかに不足していて他の方法で取りにくい時は、安全であるという科学的根拠はありませんが、

・液体の少量のホエイプロテイン(1回にホエイプロテインとして10-20g程度)、

・固体のホエイプロテイン+糖質(糖質制限の範囲内)、

・ホエイプロテイン(固体)

を、短期間だけ使ってその場をしのぐしかないと思います。

将来これらも有害であるというデータが出るかもしれないし、出ないかもしれないという状況です。

この点は各自で判断されて下さい。

 

ただし、タンパク質は、卵、肉、魚、大豆及びその加工品から摂取するのが最も良い方法ですから、これらの方法を優先すべきです。

 

 

3.次に、人類が極めて長期に渡り摂取してきた牛乳及び乳製品(ホエイプロテインは除く)について考えてみます。

 

ドクターシミズは、

『牛乳ももちろんですが牛乳由来のタンパク質はインスリン分泌、IGF-1分泌増加をもたらし、mTORの活性化を招きます。

と書かれています。インスリン分泌、IGF-1分泌の増加、mTOR活性化は、癌の発生にも関連します。

 

牛乳及び乳製品は、他の食品と一緒に食べられているため、人の癌に及ぼす影響はそれらの食品の影響を受けます。

また、タバコ、酒のような発癌物質や、医薬品、農薬、食品添加物、環境汚染物質のような毒性物質の影響もうけます。

このような複雑な系を評価して牛乳及び乳製品の癌に対する影響を明らかにする試みが長年行われ、レビュー論文が書かれていますから紹介いたします。

 

アメリカ国立衛生研究所NIHの医学文献データベースPubMedを検索し、乳製品と癌に関するレビュー論文を捜しました。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/

 

(1)2011年の論文

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22081693/

Review

J Am Coll Nutr. 2011 Oct;30(5 Suppl 1):464S-70S.

 doi: 10.1080/07315724.2011.10719991.

Dairy products and cancer乳製品と癌

Johanna W Lampe 1

PMID: 22081693

DOI: 10.1080/07315724.2011.10719991

 

Abstract 要旨

 

Cancer is a group of more than 100 diseases in which cells display uncontrolled growth, invasion, and sometimes metastasis.

癌は、細胞が制御されていない成長、浸潤、そして時には転移を示す100以上の病気のグループです。

Milk and dairy products contain micronutrients and several bioactive constituents that may influence cancer risk and progression.

牛乳や乳製品には、がんのリスクと進行に影響を与える可能性のある微量栄養素といくつかの生物活性成分が含まれています。

Much of the focus of human, population-based studies has been on the effects of intake of milk and total dairy products or of calcium intake.

人間の人口ベースの研究の焦点の多くは、ミルクと乳製品の総摂取量またはカルシウム摂取量の影響にあります。

Based on a systematic review of the epidemiologic literature, the World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research report concluded there was a probable association between milk intake and lower risk of colorectal cancer, a probable association between diets high in calcium and increased risk of prostate cancer, and limited evidence of an association between milk intake and lower risk of bladder cancer.

疫学文献の系統的レビューに基づいて、世界がん研究基金と米国がん研究協会の報告書は、

牛乳摂取量と結腸直腸がんのリスク低下との間の関連性、

カルシウムを多く含む食事と前立腺がんのリスク増加との関連の可能性、

そして、ミルク摂取と膀胱がんのリスク低下との関連の限られた証拠

があると結論付けました。

 

For other cancers, the evidence was mixed or lacking.

他の癌については、証拠がまちまちであるか、欠けていました。

Since the 2007 report, several additional, large-cohort studies have been published, including two that show an inverse association between intake of cultured dairy products and bladder cancer.

2007年の報告以降、培養乳製品の摂取と膀胱がんとの逆相関を示す2つの研究を含む、いくつかの追加の大規模コホート研究が発表されています。

Little is known about the potential effect of various bioactives produced during rumen microbe metabolism on cancer risk.

反芻(はんすう)胃微生物の代謝中に生成されるさまざまな生物活性物質が癌のリスクに及ぼす潜在的な影響についてはほとんど知られていません。

Furthermore, studies support a role of live microbes present in some dairy products in the modulation of the human gut microbial community and gut metabolism.

さらに、研究は、人間の腸内微生物叢と腸内代謝の調節におけるいくつかの乳製品に存在する生きた微生物の役割を支持しています。

Given the growing appreciation for the role of the gut microbial community in relation to immune function and health and disease, including cancer, the potential role of various dairy products in the modulation of the human gut microbiome warrants further evaluation.

免疫機能および健康と癌を含む病気に関連する腸内微生物叢の役割に対する認識が高まっていることを考えると、ヒトの腸内微生物叢の調節におけるさまざまな乳製品の潜在的な役割は、さらなる評価を必要とします。

 

Key teaching points: 重要な指導ポイント:

 

As a dietary exposure, dairy products are a complex group of foods and composition varies by region, which makes evaluation of their association with disease risk difficult.

食事への曝露として、乳製品は食品の複雑なグループであり、組成は地域によって異なるため、病気のリスクとの関連を評価することは困難です。

For most cancers, associations between cancer risk and intake of milk and dairy products have been examined only in a small number of cohort studies, and data are inconsistent or lacking.

ほとんどのがんについて、がんリスクとミルクおよび乳製品の摂取量との関連は、少数のコホート研究でのみ調査されており、データに一貫性がないか、不足しています。

Meta-analyses of cohort data available to date support an inverse association between milk intake and risk of colorectal and bladder cancer and a positive association between diets high in calcium and risk of prostate cancer.

現在までに利用可能なコホートデータのメタ分析は、ミルク摂取量と結腸直腸癌および膀胱癌のリスクとの間の逆相関、およびカルシウムを多く含む食事と前立腺癌のリスクとの間の正の関連をサポートしています。

Other constituents of dairy products, such as rumen-derived metabolites, have not been evaluated extensively for cancer-preventive properties.

反芻(はんすう)胃由来の代謝物などの乳製品の他の成分は、癌予防特性について広く評価されていません。

The influence of live microbes in fermented dairy products and certain cheeses on the human gut microbiome and immune function is a growing area of study.

発酵乳製品および特定のチーズ中の生きた微生物がヒト腸内細菌叢および免疫機能に及ぼす影響は、研究の成長分野です。

 

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2011年の「乳製品と癌」というタイトルのレビュー論文の結論は、

『現在までに利用可能なコホートデータのメタ分析は、ミルク摂取量と結腸直腸癌および膀胱癌のリスクとの間の逆相関、およびカルシウムを多く含む食事と前立腺癌のリスクとの間の正の関連をサポートしています。』

であり、牛乳摂取は結腸直腸癌および膀胱癌のリスクを減らすが、カルシウムを多く含む食事は前立腺癌を増やすという結果です。

 

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(2)2016年の論文

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27765039/

Nutr J. 2016 Oct 21;15(1):91. doi: 10.1186/s12937-016-0210-9.

Dairy products intake and cancer mortality risk: a meta-analysis of 11 population-based cohort studies

乳製品の摂取量とがん死亡リスク:11の人口ベースのコホート研究のメタアナリシス

Wei Lu 1, Hanwen Chen 1, Yuequn Niu 1, Han Wu 2, Dajing Xia 3, Yihua Wu 4 5

PMID: 27765039 PMCID: PMC5073921 DOI: 10.1186/s12937-016-0210-9

 

Abstract要旨

 

Background:背景

Dairy products are major components of daily diet and the association between consumption of dairy products and public health issues has captured great attention.

乳製品は毎日の食事の主要な構成要素であり、乳製品の消費と公衆衛生問題との関連は大きな注目を集めています。

In this study, we conducted a meta-analysis to investigate the association between dairy products intake and cancer mortality risk.

この研究では、乳製品の摂取量とがんによる死亡リスクとの関連を調査するためにメタアナリシスを実施しました。

 

Methods: 方法

After a literature search in PubMed and EMBASE, 11 population-based cohort studies involving 778,929 individuals were considered eligible and included in the analyses.

PubMedとEMBASEでの文献検索の後、778,929人を対象とした11の人口ベースのコホート研究が適格であると見なされ、分析に含まれました。

Data were extracted and the association between dairy products intake and cancer mortality risk was estimated by calculating pooled relative risks (RRs) and corresponding 95 % confidence intervals (CIs).

1,634 / 5,000

データが抽出され、乳製品の摂取量とがん死亡リスクとの関連が、プールされた相対リスク(RR)と対応する95%信頼区間(CI)を計算することによって推定されました。

Sensitivity analyses and subgroup analyses based on regions, genders and dairy types were performed as well.

地域、性別、乳製品の種類に基づく感度分析とサブグループ分析も実行されました。

Potential dose-response relationship was further explored by adopting the generalized least squares (GLST) method.

一般化最小二乗(GLST)法を採用することにより、潜在的な用量反応関係をさらに調査しました。

 

Results: 結果

 

Total dairy products intake was not associated with all cancer mortality risk, with the pooled RR of 0.99 (95 % CI 0.92-1.07, p = 0.893).

乳製品の総摂取量は、全癌死亡リスクと関連しているわけではなく、プールされたRRは0.99(95%CI 0.92-1.07、p = 0.893)(有意差なし)でした。

Subgroup analyses showed that the pooled RRs were 0.97 (95 % CI 0.92-1.03, p = 0.314) for milk, 0.88 (95 % CI 0.71-1.10, p = 0.271) for yogurt, 1.23 (95 % CI 0.94-1.61, p = 0.127) for cheese and 1.13 (95 % CI 0.89-1.44, p = 0.317) for butter in male and female, however the pooled RR was 1.50 (95 % CI 1.03-2.17, p = 0.032) for whole milk in male, which was limited to prostate cancer.

サブグループ分析は、プールされたRRが、男性と女性で、

ミルクの場合は0.97(95%CI 0.92-1.03、p = 0.314)(有意差なし)、

ヨーグルトの場合は0.88(95%CI 0.71-1.10、p = 0.271)(有意差なし)、

チーズの場合は1.23(95%CI 0.94-1.61、p = 0.127)(有意差なし)

バターの場合は1.13(95%CI 0.89-1.44、p = 0.317)(有意差なし)、

ただし、プールされたRRは、男性の前立腺がんに限定して全乳で1.50(95%CI 1.03-2.17、p = 0.032)(有意差あり)でした。

Further dose-response analyses were performed and we found that increase of whole milk (serving/day) induced elevated prostate cancer mortality risk significantly, with the RR of 1.43 (95 % CI 1.13-1.81, p = 0.003).

さらに用量反応分析を行ったところ、全乳の増加(1日あたりの摂取)により前立腺がんの死亡リスクが大幅に上昇し、RRは1.43(95%CI 1.13-1.81、p = 0.003)でした。

 

Conclusions: 結論

Total dairy products intake have no significant impact on increased all cancer mortality risk, while low total dairy intake even reduced relative risk based on the non-linear model.

乳製品の総摂取量は、すべてのがん死亡リスクの増加に大きな影響を与えませんが、乳製品の総摂取量が少ないと、非線形モデルに基づく相対リスクも減少します。

However, whole milk intake in men contributed to elevated prostate cancer mortality risk significantly.

しかし、男性の全乳摂取は、前立腺がんの死亡リスクの大幅な上昇に寄与しました。

Furthermore, a linear dose-response relationship existed between increase of whole milk intake and increase of prostate cancer mortality risk.

さらに、全乳摂取量の増加と前立腺がん死亡リスクの増加の間には、線形の用量反応関係が存在しました。

 

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(3)2つの論文のまとめ

論文

各乳製品の癌に対する作用

2011年

牛乳摂取は結腸直腸癌および膀胱癌のリスクを減らす

 

カルシウムを多く含む食事は前立腺癌を増やす

2016年

全癌死亡

乳製品の総摂取量RR 0.99(95%CI 0.92-1.07、p=0.893)

 

(有意な増加はない)

ミルク0.97(95%CI 0.92-1.03、p=0.314)

 

 

ヨーグルト0.88(95%CI 0.71-1.10、p = 0.271)

 

 

チーズ1.23(95%CI 0.94-1.61、p = 0.127)

 

 

バター1.13(95%CI 0.89-1.44、p = 0.317)

 

前立腺癌死亡

全乳1.50(95%CI 1.03-2.17、p = 0.032)*

 

(*有意に増加)

全乳の増加(1日あたりの摂取)

RR 1.43(95%CI 1.13-1.81、p = 0.003)*

2016年の論文の結論

乳製品の総摂取量は、すべてのがん死亡リスクの増加に大きな影響を与えませんが、乳製品の総摂取量が少ないと、非線形モデルに基づく相対リスクも減少します。

しかし、男性の全乳摂取は、前立腺がんの死亡リスクの大幅な上昇に寄与しました。

さらに、全乳摂取量の増加と前立腺がん死亡リスクの増加の間には、線形の用量反応関係が存在しました。

 

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ブログ著者の見解

この項の冒頭で述べたように、非常に多くの要因が関与している複雑系を疫学研究によって評価した結果ですから、将来の研究は、これとは異なる結果を示す可能性もありますので、これはあくまで現時点での科学的疫学研究の結果です。

 

(1)統計的に有意性は認められないもの(統計学的には確かなものではないもの)

結果の要約の1つは、

『乳製品の総摂取量は、すべてのがん死亡リスクの増加に大きな影響を与えませんが、乳製品の総摂取量が少ないと、非線形モデルに基づく相対リスクも減少します。』

というものです。

(実線(真ん中の線)の相対リスクが1より小さくなっている領域が、全癌死亡リスクが低くなっている部分で、1日摂取量がほぼ1より少ない領域です。これは、今食べている乳製品を何割か、半分か3分の1くらいまで減らした方が安全ですよ、という意味です。)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27765039/#&gid=article-figures&pid=fig-3-uid-2 の図(冒頭の図)を参照。

 

これは、統計的に有意性は認められないが、乳製品の総摂取量が減れば、全癌の危険性が減る傾向にあると解釈できます。

このため、統計的に有意性は認められないが、乳製品の総摂取量は少ない方が好ましく、糖質制限は、主として卵、肉、魚、大豆及びその加工品によって行った方が好ましいと思います

 

(2) 統計的に有意性が認められるもの(統計学的には確かなもの)

牛乳及び乳製品に関しては、全乳(牛乳、ミルク)が、男性の前立腺癌による死亡を統計学的に有意に上昇させることが報告されています。

牛乳以外の乳製品の男性の全癌死亡への影響、牛乳及び乳製品の女性の全癌死亡に対する統計学的に有意な影響は観測されていません。

男性は、牛乳を避けておけば、他の乳製品は大丈夫のような結果になっています。

どうするかは、各自で決めて下さい。

 

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糖質制限のタンパク質は、通常は、卵、肉、魚から摂取した方が安全です。

プロテインスコアーは低いですが、大豆とその加工品(納豆、豆腐など)も大丈夫だと思います。

常識の範囲内の量の牛乳及び乳製品(ホエイプロテインは除く)は、大丈夫と思いますが、各自で判断して下さい。

ただし、男性は、前立腺がんの観点では、牛乳は避けた方が賢明のようです。

 

参考

牛乳、ホエイ、チーズの違い

チーズは、脂質とカゼインで構成され、ホエイは除去されていますから、ホエイに由来する害はないようです。しかし、カゼインによる害ははっきりしていません。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/46/1/46_59/_pdf

日本調理科学会誌 Vol. 46,No. 1,59~62(2013)ナチュラルチーズの紹介

 

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ドクターシミズ

https://promea2014.com/blog/?p=18135

プロテイン摂取は慎重に 2022/2/7

 

新型コロナウイルスの影響で様々な産業、企業が打撃を受けています。しかし、年末頃に牛乳の消費低迷で在庫が増加し破棄しなければならないような事態に直面した時、なぜか自治体や国なども牛乳消費拡大を訴えていました。(ここ参照)どこかとどこかの裏側のつながりが強いのでしょうか?

いまだに小学校などの給食で牛乳が出ていることは不思議です。この時代になっても牛乳は健康的な栄養満点な飲み物という認識なんでしょう。

 

また、日本では近年プロテインブームが起きています

マスコミもネット上でもプロテインに関する話題が非常に多くなっています。高タンパクを謳う商品もものすごい数になっています。もちろん、タンパク質は非常に重要で、必須の栄養素ですが、あまりにもタンパク質不足と思わされ過ぎている感じも受けます。

 

様々な情報をもとにプロテイン飲料を飲んでいる人も多いでしょう。しかし、プロテインの安全性が確かめられる前に市場ではプロテイン商品があふれるようになってしまいました。

 

タンパク質の摂り過ぎが腎臓に悪いというのは私は否定的です。しかし、別の面での問題を懸念しています。

糖質制限は様々な有益性があると考えられていますが、その多くは血糖値を下げ、インスリン分泌、IGF-1(インスリン様成長因子)分泌を低下させ、それに伴うmTOR活性化も抑制することにより起こってると考えられます。

つまり、子供のころは体の成長に重要なものが、大人にとっては成長は老化とがん化を招く可能性があるのですが、その部分を糖質制限では抑制します。

 

(ブログ著者補足:糖質制限は、酸化と糖化も低下させる)

 

ホエイプロテインは、牛乳由来のタンパク質です。

牛乳ももちろんですが牛乳由来のタンパク質はインスリン分泌、IGF-1分泌増加をもたらし、mTORの活性化を招きます。

糖質を含んだホエイプロテインは糖質だけよりも1.6倍ものインスリンを分泌してしまいます。

 

(ブログ著者補足:ドクターシミズ https://promea2014.com/blog/?p=10566

食事においてタンパク質が違えばインスリン分泌も違う 2019/12/3 2020/1/5)

 

プロテインを牛乳で割ればさらにそのような作用が増加します。

人類はこれまで液体のタンパク質を摂ってきたことはありませんでした。それがプロテインを水や牛乳に溶かして飲むプロテイン飲料が出回ったことで、非常に吸収の良いプロテインを人間は手にしてしまいました。

吸収が良ければ血中濃度の上昇も大きくなります。糖質もゆっくりと摂取すれば吸収もゆっくりで血糖値の上昇も緩やかになります。

それと同様にタンパク質も肉などから摂取すればゆっくり吸収されますが、液体状では非常に素早く体内に入り、その分体の反応も急激に大きくなります。プロテイン飲料は血糖値をあまり上げませんが、インスリンは増加してしまいます。

 

男性ももちろんそうですが、AYA世代の若い女性の間でプロテイン飲料が流行しているのは非常に恐ろしいことになるのではないかと思っています。

インスリンもIGF-1もがんと結びついているからです

 

拙著「肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II 」でも書いたように、AYA世代のがんの増加は著しいです。15~39歳の思春期・若年(AYA)世代のがん患者で、多くは女性が占めていることがわかりました。

AYA世代の中で20~39歳の患者の約8割を女性が占めているのです。乳がんや子宮頸がんの増加が大きな原因と考えられています。

 

以前の記事「乳がんで糖質制限をした方が良い理由」で示したように、乳がん細胞には約6倍ものインスリン受容体があります。IGF-1が高いと8倍以上、子宮頸がんの前がん病変になりやすいのです。

 

ホエイプロテインに豊富なトリプトファンは成長ホルモン、IGF-1の分泌を増加させ、ロイシンはインスリン分泌を促進します。グルタミンもmTORを活性化します。

牛乳および牛乳由来のタンパク質には他のメカニズムも考えられています。

 

せっかく糖質制限をしても、タンパク質の選択を間違えることにより、糖質過剰摂取と同様なリスク増加を起こしてしまうかもしれません。

 

牛乳は牛の赤ちゃんを大きくするためのお乳です。牛は人間より何倍も速く成長します。

牛乳摂取量が多いと、初潮が早くなるともいわれています。ニキビもIGF-1、mTORの活性化が関連していると言われています。ボディービルのためにホエイプロテインを始めた若い男性が、プロテインを飲み始めてから体幹にニ発生し、プロテイン中止で改善したという報告もあります。(ここ参照)(もちろん、このプロテイン飲料には大量の糖質が入っていた可能性もあります。)

 

つまり、初潮が早く、身長が比較的高く、ニキビが多いまたは以前多かった女性は、糖質過剰摂取だけではなく、牛乳由来のタンパク質にも反応しやすい可能性があります。

 

血糖値の推移だけを見れば、プロテイン飲料を飲んでもほとんど変化しないでしょう。しかし、その見えない裏側では、健康に有害になりうるメカニズムが動いているかもしれません。

糖質制限では、「糖質=悪玉」という図式ですが、その流れで「タンパク質=善玉」となっています。

 

しかし、全てのタンパク質を同じようにはとらえられないかもしれません。

短期的に見れば本当のタンパク質不足の人では、プロテイン摂取は体調などの改善を認めるかもしれません。しかし、長期的に見れば安全性はわかりませんし、何かあっても因果関係は不明とされるでしょう。(なんかどこかのワクチンに似ていますね?)

 

がんへの影響はかなり経ってからしか現れません。プロテインによる代謝への影響を考えれば、十分な注意が必要でしょう。BUN20以上を目指してプロテインを摂取し続けるのも問題です。(「タンパク質摂取に対する根拠無き理想値 その1」など参照)

 

タンパク質摂取は重要です。プロテイン飲料はその手軽さで人気がありますが、しかし、本当に安全かどうかはわかりません

ホエイプロテイン20gは牛乳コップ約3杯分(600ml)のタンパク質を含んでいます。

毎日の摂取はお勧めしません。糖質過剰摂取や糖質過剰+プロテインよりはリスクは少ないと思いますが、プロテインに関連する企業の戦略や一部の専門家に惑わされず、慎重に選択してください。

「Lifetime Impact of Cow’s Milk on Overactivation of mTORC1: From Fetal to Childhood Overgrowth, Acne, Diabetes, Cancers, and Neurodegeneration」

「mTORC1の過剰活性化に対する牛乳の生涯の影響:胎児から小児期の異常成長から、にきび、糖尿病、がん、および神経変性まで」(原文はここ

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