550Kmから南半球へ

「逢わないと気持ちが終わっちゃうんだよね」
遠距離恋愛を続ける友人が、まるで自分への言い訳のようにつぶやいた。
そう言われればそうかもしれない。
それまで少しの時間でも毎日一緒に過ごしていたのに、
あの日を境に、彼は毎週末の真夜中に車を走らせ彼女を迎えに行き、
二人で一緒に過ごすため更に延々と車を走らせ、
また彼女を家まで送り届けては帰ってイク。

そして、追い打ちかけるような彼女の異国の地への旅立ち。

逢えない距離は更に遠くなったが、若さゆえ愛に純粋だったのか、
毎夜８時きっかりの彼からの国際電話が「彼女にとって嬉しくて、
逢えなくても寂しくない気」を作ろうとしていた。
でも逢えない時間は愛育てても、それは最初の小さな時間だけであって、
逢えない月日は勘違いを育てて行くだけだった。
ある日、暑中見舞い代わりに届いたエアチケット。
だけど、そうじゃなくて、特別な日だったからこそ逢いに来て欲しかった
彼の気持ちと、喜んでくれるだろうと思っていた彼女の気持ちは、
その時すでにスレ違っていて、それはそのままお互い立ち止まって歩み寄るコトもなく遠く離れていくことへのプロローグでしかなかった。
本当は、二人とも寂しくないなんてウソで、辛い時には抱きしめて欲しくて、
楽しい時には一緒に笑って、くだらない話でも聞いたり、話したり、そして何よりも側に居て欲しかったのに。
「逢わないことじゃなくてさ、くだらない毎日の積み重ねがなくなると終るのよ」「遠距離でも近距離でも変わらないってこと？」「わかんない。でも、側に居てくれると好きになっちゃう可能性あるよね。しょうがないよ」心変わりを正当化するために「遠距離恋愛」なんて便利な言葉があるのんだよと、
妙な納得をして、彼の新しく動き始めた恋に乾杯なんてしてみた。
いくつになっても恋はわからないことだらけ。
でも、ひとつだけ素直に言えることは、好きな人とはいつでも逢いたいし、
一緒に居たい。
だけど、それは実現しなければ、なんにも先には進まず、
そして愛も続かない。そう、だから、今、逢いたい。
この世で一番、愛しているあなたに。

こんな素敵な話をOne&Onlyのカウンターでマスターと…
無いな…これも