キミと遠く離れた所にいると、
キミの言葉は届かなくなり、
ボクの気持ちも伝えられなくなり。
でもね、
キミと遠く離れていても、
キミの愛は届いているよ、
ボクの愛も届いているよね。 . . . 本文を読む
長い間机に向かって書き物をしていたので、
ふ、と一息吐いて、休憩することにした。
窓の外を見ると、いつものように小鳥たちが囀る。
こうしていると、偶に昔のことを思い出す。
一所懸命あの小鳥たちを追い掛けていた頃、
あの人とうららかな陽光の下で過ごした季節。
自分が初めて鳴いた頃はもう思い出せないけれど、
あの人が息を止めた瞬間は覚えている。
あぁ、こんなに幸せな時を過ごせたのだか . . . 本文を読む
普段は人より遥かに多くの仕事をこなす彼は、
どんなに忙しいときでも、ゆったりする時間を取る。
いつもせかせかしてないと上手く行かないようなことなんて、
どうせいずれダメになってしまうものさ。
彼はそう嘯くけれど、ゆったりする反面で、
人の見ていないところで努力していることをボクは知っている。 . . . 本文を読む
毎年ここを通ると、彼の姿を見ない日はない。
彼は広大な畑を耕し続ける、
ただ毎日耕し続けている。
春になれば草が芽吹き、彼は新たな苗を植える。
夏になれば大地が渇き、彼は延々と水を撒く。
秋になれば森が実り、彼は恵みに感謝し収穫する。
冬になれば大地は凍てつき、彼は春に備えて苗を育てる。
唯黙々と、誰の為にでもなく。
いつから彼がここにいるのか、それは誰も知らない。
しかし、
. . . 本文を読む
ハーメルンの笛吹に訊きたいことがある。
どうして皆を連れて行ったの?
皆の為にネズミを退治したのだったら、
報酬を寄越さないくらいで怒ることはない、
それは、
口実だったんじゃないのか?
皆を連れて行く、
それは、
目的だったのか手段だったのか。 . . . 本文を読む
手が温かい人は心が冷たいっていうけどさ、
うちの冷蔵庫は中がとても冷たいから本当かも、
そう思って他を当たったら、
電子レンジは温かかったり冷たかったり、
よく分からない、
炬燵はいつでも温かい、
見た目とか噂なんてそんなものさ。 . . . 本文を読む
夜道を一人で歩いていたら、ナットが道路に落ちていた。
道に落ちていても、こいつなんかには誰も目をくれない。
足に蹴られて、ちりん、と小さく抗議の声を上げても誰も耳を貸さない。
そう思うと何だか涙が出そうになった僕は足を止め、うちに連れて帰ることにした。
拾い上げてみると、いっぱい傷付いて、僕と一緒なんだね。 . . . 本文を読む
道に落ちていても誰も目を留めることなく通り過ぎてしまう、
笑ってしまうくらい些細で取るに足らないボクにも望みがある。
ナットがボルトにぴったり嵌ってしっかり取れないように、
互いにとって必要な関係を結べるような、
どちらかが望んで回転すれば簡単に外れるように、
いざというときには容易に離れることができる身軽な、
そんな温かい関係を築くことができますように。
生まれつき熱されやすく冷 . . . 本文を読む
他人より幸せだと嘲笑うなら、
浅ましい気持ちになる愚かさを嗤おう。
不幸な星の下に生まれたと悲しむなら、
嘆くことが出来る幸せを喜ぼう。
トラブル続きと嘆くなら、
波瀾万丈な人生を楽しもう、
何もないことを憂えるなら、
平和な日常に感謝しよう。 . . . 本文を読む
当然のことを当然と思ってしまう精神はしかし当然の如く堕落するのであって当然の帰結として当然のことも当然当然ではなくなると当然分かっているボクがだが当然矛盾と思考の閉塞感に嘖まれ蝕まれているのは至極当然で凄く当然 . . . 本文を読む
部屋が冷えているのでスイッチを入れた。
徐々に徐々に温度が上昇してきて、
ボクの温度も徐々に上昇していく、
キミの心が冷えているので言葉を掛けた。
徐々に徐々に温まってきて、
キミの心の温度も徐々に上昇していく。 . . . 本文を読む