近年、非常に多数の医療ドラマがある。
医者を題材にしたものでも、有名な作品だけでも白い巨塔を筆頭に、医龍、チームバチスタの栄光、救命病棟24時、ブラックジャックによろしく、孤高のメス、振り返れば奴がいる、などなど沢山ある。
では何故、所謂「医者モノ」の視聴率が高いのであろうか?
我々医師は、自分たちが世の中で割と普通のポジションにいるものだと思っている。
ところが実際には残念なこと . . . 本文を読む
前回の補足。
色々なところで大きく報道されているこのニュース。
1つだけ書き足しておかねばならない。
人の命が掛かっている問題で、実際に命を落とした人がいるということも分かっている。
担当麻酔医を庇う訳ではない。
しかし、100%絶対に安全な気管挿管というものはない。
それくらい、気管挿管は難しいものなのだ。
いや正確には、99%以上の患者において、気管挿管は全く安全な処置な . . . 本文を読む
気管挿管の際に起こる失敗には幾つかある。その中で、致命的だがリカバー可能なものの代表が、食道挿管である。
食道に挿管されている訳であるから、本来の目的である換気には全く役立たない。従って患者の酸素化は急激に悪化する。安全時間は、麻酔前の純酸素化により最長で5分。その間に気づけなければ、患者を危険に晒すことになる。
大阪の病院で、食道挿管により患者が死亡するという事件が起きた。
事実関係が . . . 本文を読む
僕自身が注目しているせいもありますが、最近特に医療訴訟の記事が目に付くようになりました。
「鼠径ヘルニア嵌頓の緊急手術で誤嚥し、誤嚥性肺炎で死亡したのは麻酔科医の責任」
「小児麻痺になったのは分娩経過が長過ぎた病院の責任(これ、裁判で勝てるのは日本だけなんだけど…)」
「酔っぱらったお父さんがわめき散らすから救急車に乗れず、帰宅したら脳出血で倒れたのは救急隊の責任」
「急性気管支炎で入 . . . 本文を読む
昨日、NHKが東北でのCVCセンターを報道していたそうである。
中心静脈カテーテルを必要とする患者は、決して少なくない。
経管栄養が不可能な状態、術後状態が不安定な場合、末梢静脈から投与不可能な薬が必要な場合など、適応は非常に多岐に渡る。そのカテーテル留置手技は、我々麻酔科からすると対して問題ない処置であるし、合併症も対処可能なものがほとんどである。しかし、末梢静脈カテーテルに比べると合併 . . . 本文を読む
メキシコで、ブタ由来のインフルエンザが猛威をふるっている。
死亡率は7%程度とのことだが、これくらいの死亡率の方が却って感染が拡大しやすい。Ebola出血熱のように死亡率80%となると、感染者が皆すぐに死亡してしまうので、広がらないからだ。
厚生労働省は相変わらず平和ボケで、「メキシコに行く際には注意して下さい」「冷静に対応して下さい」などと言っている。冷静に注意してメキシコに行けば安全だ . . . 本文を読む
なり立ての医師の、臨床研修制度。
5年前に始まったこの制度が、早くも見直しになった。
幅広い臨床能力を身につけるために、内科・外科・救急・小児科・産婦人科・救急医療・地域医療・精神科などを2年掛けて廻ることになっていた。2年で身につくかどうかは別として、それなりに学ぶことになるため有用ではあったと思う。
しかし、医師不足のために研修医も即戦力として数える目的で、制度が変わった。内科・救急 . . . 本文を読む
「麻酔科医」のタイトルが入ったマンガをコンビニで見つけ、読んでみた。
格好いい麻酔科医を描きたかったそうなんですけどね…。
残念ながら、麻酔科医の人格が未熟過ぎる。麻酔科医はみんなわがままでテキトー、という感じしか受けない。
また、恐らく「麻酔科医の格好いいところ」として描いているシーンが、本来対応すべきポイントからは手遅れで、何とか救命している形。
麻酔科医は、こんなにダメじゃない . . . 本文を読む
後期高齢者医療制度が、福田総理大臣の指示により「長寿医療制度」と名称変更(だけ)された。
75歳以上の老人は医療に頼らず死んでいけ、という恐ろしい制度のことである。
高齢者にとって良い制度だ、などと福田首相は発言しているようだが、この制度の目的は医療費抑制。高齢者に都合の良い制度の訳がない。中身にしても、受診制限を目標に、ある程度以上の受診には高齢者の自己負担が増えるようになっている。
. . . 本文を読む
幸運というべきか、悪運というべきか。
今日は大学での勤務、最終日となる。来週は旭川で働くことになっているし、明日は小樽で麻酔のお手伝いに出るからだ。
で、今日は大学での当直も最終回となった。最終日なのに脊椎麻酔ばっかりで、ちょっと地味かな…なんて思ってしまったのが悪かった。
前兆はあった。
午前から消化器外科の臨時が一件。昼には血管外科から大動脈置換が一件。これだけでもフルコースと言 . . . 本文を読む
分かる人だけ分かればいい話題。
BISモニタの信頼性について。
僕はプロポフォールを使ったTIVAが好きではない。主に、コストが高く、有効濃度の個体差が大きいということがその理由だ。
そう、そしてTIVAが嫌いな最大の理由。それが、BISモニタがないと安心していられないという点だ。術中覚醒なんて起こした日には、夜も眠れないと思う。それに比べてセボフルレンなら、EtSevoを維持し、常識的 . . . 本文を読む
昨日は御用納め。
定期手術最後の日だからか、件数はいつもの半分以下と少なかった。
夕方から、教室で今年の麻酔症例のまとめ報告があった。
自分ではさっぱり知らなかったが、今年麻酔科で一番徹夜をして、一番腹臥位麻酔をしていたのは僕だったらしい。
立派な賞を戴いてしまった。
来年もまた、頑張りましょう。
お疲れさまでした。 . . . 本文を読む
大学病院は初期研修指定病院なので、国家試験に合格してお医者さんになったばかりの人たちが2年間、色々な科を廻ってお勉強することになっている。
今の制度では、麻酔科も必修科に指定されているので1年目の研修医がやってくる。
しかしまあ、麻酔科というのは特殊だ。
内科、それも一般内科で行っていることというのは、医学生が病院実習していて何となく理解してくるもの。
麻酔科の業務、中でも手術麻酔で出 . . . 本文を読む
(※夏休みです)一週間休んだだけで、自分の居場所がなくなってしまったような気がした。
札幌に着いて真っ直ぐ病院に行き、月曜日に担当予定の患者にお話しに行った。
帰ってしばらくして、PHSに連絡が来た。
「飲みに行くぞ」
あ、僕の居場所があった。
良かった。
そう、夜空を見上げて思ったのでした。
. . . 本文を読む