いつもと同じように目が覚める。
いつもと同じようにご飯を食べる。
いつもと同じように外に出る。
いつもと同じように仕事をする。
全部、いつもと同じように。
日常に埋没するということは、容易だ。
そして日常が幸福であることに、失って初めて気付く。
針のように繊細であった筈の神経が、亀の愚鈍。
それが永劫に続くものと思い込んでいる。 . . . 本文を読む
夜の闇に 白い吐息が浮かびます
季節外れの眩しい花火は とても綺麗で目も霞む
ひとつ ふたつ また、ひとつ
きっと あの人の想いも 空に昇ってゆくのです
見えぬ 光、に 思うのは
今はもう亡いあの人と 言葉少なに語る 夢
目から零るる涙すら 忘らるるほどに 遠い
聞こえぬ 音、に 耳をすませば
瞼の裏に ただ その笑顔
ひとつ 、ふたつ また ひとつ
流れ . . . 本文を読む
今日偶然入った、素晴らしいサイト。
「World Prayers」というこのサイトには、非常に沢山の詩が載っている。
その中に、「Do not stand at my grave and weep」というものがある。
Do not stand at my grave and weep
Iam not there. I do not sleep.
I am a thousands wind . . . 本文を読む
あれはなに?
スカートの裾を掴み、子はそう問う、
ひたむきな眼で空を見据えて。
あれは、あなた。
母は優しく頭を撫でる、
ただその横顔だけを見つめて。
青を背景に飛ぶは、1匹の蝶。
その向こうには、ごうごうと唸りを上げる飛行機。
ひょろろと声を響かせる、とび。
子は更に問う、
どれがいちばん?
母は黙って子を指差す。
ぼくが、いちばん?
懸命な幼い頭。
青空には . . . 本文を読む
一羽のツバメが鳴いています、
電線の上で鳴いています。
クルクルと響くその声は、
何を思っているのでしょう。
ツバメが朝から鳴いています、
電線の上に留まっています。
五線譜に書かれた音符のようで、
でもたった一つの音符です。
クルクル鳴いている音符、
少し寂しげな音符です。
ずっと黙って眺めていたら、
音符が二つに増えました。
辺りに響く音楽が、
だいぶ賑やかに . . . 本文を読む
みちをあるく。
くらいみちをあるく。
ただひたすら、
みちをあるく。
あかるいみちをあるく。
ただひたすら、
みちをあるく。
うつくしいものをめにもせず、
やさしいものにふれもせず。
わきめもふらず、
みちをあるいている。
あゆみをとめることがある。
ときおりすぎるくもが、
つかれたかげをけす。
しばしふるあめが、
やさしくはだをなでる。
そんなと . . . 本文を読む
俺の仕事は魚屋だから、何も大したもんじゃない。
父は決まってそう言った。
日の出前から支度して、いつも車で走る父。
会社に出掛ける父を、家族みんなで玄関先まで見送った。
いつからだろう、父を見送らなくなったのは。
いつからだろう、父の背中が小さくなったのは。
ご飯も風呂も何もかも、好き放題のし放題。
我が儘ばかりの父に、文句も言わない母。
父は、家では仕事のことを話さない . . . 本文を読む
坂道を下る、
どんどん下る、
ボクは小さい、
昔よりずっと小さい。
あんなに大きかった筈のボクは、
こんなに小さくなった。
優しい気持ちを手に入れて、
大切な人を失って、
坂道を登る、
ずんずん登る、
ボクは強い、
昔よりずっと強い。
あんなに弱かった筈のボクは、
こんなに強くなった。
強固な心を手に入れて、
優しい気持ちを失って、
欲しいのは唯、
. . . 本文を読む
美しいものを観よう、
不完全なもの故の安らぎを、
完全なものへの憧れを、
その胸に抱きながら。
醜いものを観よう、
低いもの故の喜びを、
完全なものへの嫉みを、
その身に隠しながら。 . . . 本文を読む
部屋の窓から、空模様を見ていた。
向かいのアパートに住んでいる男の子が、いつものように帰ってきた。
カップ麺の入った袋を右手に提げて、背中にはバッグを背負って。
きっと、角のコンビニで買ってきたに違いない。
コンビニを出るときだって、うるさいくらい「ありがとうございました」を言われたに違いない。
僕も今朝、ピアノの楽譜をコピーするためにそのコンビニに行った。
レジに立っている女の子は . . . 本文を読む
ショウ・ウィンドウに飾られた、華やかな商品は、
いつも煌びやかな光を浴びて、美しく輝く。
しかしそれも、誰かに気に入られる迄のこと。
いつかは買われ、ショウ・ウィンドウから居なくなる。
万人に綺麗な姿を見せることは出来ないけれど、
アナタにだけは、最高の姿を見せられる。 . . . 本文を読む
地平線の向こうに陽が沈む、
今日の悲しみ、今日の喜び、
全てを運び去る為に。
明日の夢、明日の希望、
全てを連れて来る為に。
誰が見ていようと、誰も見ていまいと、
陽はまた地平線から昇る。 . . . 本文を読む
春の乙女が喜びに踊る、
冬の魔女が去り、あの人が戻ってきたと。
力強い笑顔を見せるあの人が。
魔女に唆されていた陰鬱な雲にも打ち勝ち、
草木の芽たちが集めた精一杯の魔力を受け取って。
明るく笑う動物たちは喜びに、
雪解けの作る流れに沿って理由もなく駆ける。
青空の下を飛翔する鳥たちは、
未だ眠るものに春の訪れを知らせる。
春がやってきたのだ。 . . . 本文を読む