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続 犬飼石仏

2008-02-18 19:14:30 | Weblog

 昨日の続き。この犬飼石仏は、阿蘇凝灰岩の岸壁に半肉彫された、本尊不動明王と脇侍佛の二童子からなっています。本尊不動明王は、高さ三・七六メーターの大座像であり、脇侍佛は向かって右側合掌姿が矜ガラ童子であり高さが一・七〇メートル、左側の金剛杖を持って立っているのが制叱迦童子で高さが一・七三メーターあります。本来、不動明王は恐ろしい形相をしているものですが、本不動明王の顔は極めて温顔であり、半眼で民衆を浄化しております。又、両足を組んで、足の裏をはっきりと表面に向けて座る結跏趺坐の表現も興味深い点であります。
 この石仏は伝えるところによると、日羅によって彫られたといわれておりますが、その一面鎌倉時代以前の古い様式が伺われる為、製作時期は平安時代まで遡る可能性も考えられて居ります。
 石仏上方の岸壁には、「竜伝山」の三大朱文が彫られ、又、堂側右岸にある「南無大師遍照金剛」の八大文字はかなり時代が下がり刻まれ、厚い大師信仰を偲ぶことができます。
 境内には他に、永徳二年(一三八二年)の刻銘のある石造五輪塔、堂右には童龕
のミニ五輪塔群があります。
 当石仏は昭和九年一月二十二日に国の史跡として指定されております。
尚、与謝野 晶子作は歌も詠んでおられます。
 犬飼の  山の石仏  龕さえも
    ともに  染みたり
      あわき朱の色