上海のお話しを終えたばかりですが、一部の読者の方に「ところで“イタリア魂”はアレで終わったの?」と聞かれておりました。
時系列的にはオシマイだったのですが、確かにキリが悪かったため、最終話をお届けしようと思います。
話題はやっぱり、“スリ”。
“イタリア魂”は、2005年9月の、夫の両親との旅行記ですが、最後にお送りするのは、その前・・2003年9月に、私の両親と妹、夫の5人で、イタリア・ローマからドイツへ北上した際のお話しです。
ローマの地下鉄路線の中でも、“スペイン階段”→“テルミニ駅”区間は、スリ頻発区間の一つといわれています。
事件は、一日目のローマ観光を終え、スペイン階段から、テルミニ駅近くにとったホテルへ戻ろうと、地下鉄に乗車した際、起きました。





電車を待つ間、ビデオ係の夫は、暗いホームや落書きだらけの列車を、すごいすごいと撮影しまくっていました。彼も、両親同様、イタリアは初めて。
首からビデオをぶら下げ、まんまオノボリさん状態
。
一本目の電車は、夕方ということもあり、かなり激混みだったのでやり過ごし、次の電車を待つことにしました。運よく、次の電車は空いていました。
ギリギリまでビデオを回している夫に、「もう、切りなさい」と声をかけ、ドアの前に立ちました。
順番は、母、父、を守るように妹、その後ろから私と夫が横並び。
ドアが開く間際、何となく、イヤな気持ちになりました。さっきまで空いていたはずが、ドアが開く直前、中にいきなり人がいっぱいいるように感じたのです。
どいてよ、降りるわよ!という雰囲気で人がどやどや降りて来て、私達は、乗れなかったら困る!と、人に揉まれながら中へ入って行きました。
私は、何となく気味が悪い感覚があり、自分のショルダーバッグ口をしっかり握っていました。
・・体を、誰かにペタペタ触られているような気がしたからです
。
必死で乗り込んだ次の瞬間、振り返ると、目の前で、こんな光景が繰り広げられました・・






「危ないっ!」と叫ぶ妹。そして、何かを拾い上げる!
イタリア女の罵声。
振り向くと、夫と、ビール片手に赤ん坊を抱いたイタリア男が睨み合っている。
そして、周囲のイタリア人達が無言で見守る中、閉まりかけた電車のドアから、女を含め、3人のイタリア人が降りて行きました・・。






ナニゴト!?という感じでしょう?
今度は、夫の目から今のシーンを追ってみると・・こうなります。






電車到着。
どやどや人が降りて来た。激混みではあるが、実は自分はまだ、カメラを回している。
とりあえず、このまま、中に入ってしまおう・・。
--彼は左利き。カメラは右手に持ち、映像には、父の背中のリュックが映っています--
一瞬、左モモを何かがスッと触れた感覚があった。
咄嗟に、利き手で自分のポケットに、パンと触れてみたら・・
サイフがないッ
!






次の瞬間。夫が、すれ違ったイタリア女に、いきなり、後ろから抱きつきました
!
叫ぶイタリア女
!
そして、下にバサッと落ちたのは・・夫の札入れ!
「危ないっ!」と妹が叫び、そのサイフを拾い上げました。
前日、彼女はちょうど、夫のサイフを見て、可愛いねぇ~
と話題にしたばかりだったので、落ちたのが夫のサイフだとすぐ分かったのです。
でも彼女はその時、なぜ、サイフが落ちたのかについてはわかりませんでした。ただ、とっさに拾ったまで。
夫が女を離し、ぎりっと睨みつけました。すると実は、女の他に、ドアの横でビールを持ってこちらを睨んでいる男がいることに気付きました。こいつにビールをかけられるかな?と一瞬、思ったそう。でも、思い切り、睨み返してやりました。
そしてさらに、ドアのすぐ傍に、もう一人、見張りの男がいるとわかったのです。
彼らは、3人のチームでした。
夫とスリ3人、そして、両手でギッチリ財布を握っている妹・・の相関図。
振り返って見た私にとっては、一体、何が起こったのか?咄嗟には、分かりませんでした。
仕事をしくじり、悔しいものの、こんなんで警察を呼ばれてはマズイ・・と、3人は立ち去ったのでしょう。
電車のドアが開いてから閉まるまで、ほんの数分の間のデキゴトでした。





夫が、のんきにビデオなど回しつつ電車に乗ったことにはムカつきましたが、それ以上に
いつものクセで、ズボンの左ポケットに、ペロンとサイフを入れていたなんて
海外で
しかも、スリの巣窟、イタリアはローマで
こんな、マヌケなことがありましょうや

しかも中には、現金・・ユーロばかりか日本円、クレジットカード全てという全財産

父母には、ああしろこうしろと言っておきながら、何という失態

後からわかって、呆れ、驚いたのは言うまでもありません。
旅の一日目でアレを全部、捕られていたら・・旅はめちゃめちゃ。ひどい思い出になっていただろうと、今、思ってもゾッとします。
ですが。
一番、驚いたのは、その実行犯、「女スリ」でしょう。
たぶん、彼女はまず、私をねらい、ペタペタ触ったのだと思われます。スキがないと分かると、すぐ横で、へらへらとビデオを回している男のポケットに手を突っ込んだ。すると、ラッキー!サイフが
!
さっすが、のーてんき日本人!
・・と、ニッコリ去ろうとした途端。いきなり、その男に抱きつかれたんですから!
驚いて、サイフも落としてしまうでしょうて
。
見た目は、ぽよよんとしてるけど、意外に野生感度が高いんです・・うちの夫
。
電車が走り出し、スリからサイフを取り戻して緊張がほぐれた途端、私達はゲラゲラ笑い出しました。
「何やってんの、全く!
」って。
周囲のイタリア人達は、呆れてみてたと思います。のんきにスラれ、オオトリモノを繰り広げたと思ったら、大騒ぎして笑ってる・・。
ホント、日本人はお幸せモンだと。
ホテルに戻り、そういえば、回していたテープはいつの時点で切ったんだ?と言うことに。
再生してみると・・
まず、電車のドアが開く直前の映像に、女やビール男が映っていて、男はこちらを見ていました。獲物にターゲッティングしてる感じ・・。
そして、ドアが開き、父のリュックの後ろ姿がしばらく映った後、画像が急にガタガタッ
と乱れ、ピーーーーーッという感じで、真っ暗に!
・・あまりに生々しい、すっごくコワイ映像なんです!
夫は、無意識にビデオを離し、女に抱きついたことがわかります。
その後、ゲラゲラ笑いながら、今、ちょっと前に起こった事件を再現して見せてる私達の映像があるので、まだ許せますが・・。
ほんとにシャレんならない、「カメラは見た!」的映像が残っていました。
今、思っても、スリからサイフを取り戻すなんて、一体、何パーセントいるだろう?と。絶対、返ってこないのがフツーでしょう。
この間、私もスリにやられてみてわかりました。あの、一瞬、「チ」と触れられた感覚に対して、反射的に「スリだ!」なんて、絶対、反応することは不可能です。
改めて、夫の研ぎ澄まされた“野生感”ってスゴイなぁと感心しました。
あの事件以来、我が家では、彼を 『機敏なデブ』 として称えています
。





ご参考になりましたでしょうか。
今のところ、我が家のイタリアにおけるスリとの闘いの勝敗は、
『1勝(夫)、1敗(義理母)、1引き分け(私)』と言ったところ。
これ以上、記録を更新したくはないものです・・。
他にも、他人がスリにやられて慌てふためく様を、いっぱい見ています。ガイドブックなどに出ている事例通り。ヒトゴトではありません。次はアナタです!
・・と、冗談抜きで言えるくらい、イタリアは、気をつけていてもスリに出会えちゃうトコロ。
それでもやっぱり、イタリアは大好き
!こんな部分があったとしても、イタリアの魅力にはかなわない。また、すぐ行きたくなってしまう・・。
スキを作らず、スリにも負けず、これからも、たくましくイタリアを旅したいものです
!
~おしまい~
時系列的にはオシマイだったのですが、確かにキリが悪かったため、最終話をお届けしようと思います。
話題はやっぱり、“スリ”。
“イタリア魂”は、2005年9月の、夫の両親との旅行記ですが、最後にお送りするのは、その前・・2003年9月に、私の両親と妹、夫の5人で、イタリア・ローマからドイツへ北上した際のお話しです。
ローマの地下鉄路線の中でも、“スペイン階段”→“テルミニ駅”区間は、スリ頻発区間の一つといわれています。
事件は、一日目のローマ観光を終え、スペイン階段から、テルミニ駅近くにとったホテルへ戻ろうと、地下鉄に乗車した際、起きました。





電車を待つ間、ビデオ係の夫は、暗いホームや落書きだらけの列車を、すごいすごいと撮影しまくっていました。彼も、両親同様、イタリアは初めて。
首からビデオをぶら下げ、まんまオノボリさん状態

一本目の電車は、夕方ということもあり、かなり激混みだったのでやり過ごし、次の電車を待つことにしました。運よく、次の電車は空いていました。
ギリギリまでビデオを回している夫に、「もう、切りなさい」と声をかけ、ドアの前に立ちました。
順番は、母、父、を守るように妹、その後ろから私と夫が横並び。
ドアが開く間際、何となく、イヤな気持ちになりました。さっきまで空いていたはずが、ドアが開く直前、中にいきなり人がいっぱいいるように感じたのです。
どいてよ、降りるわよ!という雰囲気で人がどやどや降りて来て、私達は、乗れなかったら困る!と、人に揉まれながら中へ入って行きました。
私は、何となく気味が悪い感覚があり、自分のショルダーバッグ口をしっかり握っていました。
・・体を、誰かにペタペタ触られているような気がしたからです

必死で乗り込んだ次の瞬間、振り返ると、目の前で、こんな光景が繰り広げられました・・






「危ないっ!」と叫ぶ妹。そして、何かを拾い上げる!
イタリア女の罵声。
振り向くと、夫と、ビール片手に赤ん坊を抱いたイタリア男が睨み合っている。
そして、周囲のイタリア人達が無言で見守る中、閉まりかけた電車のドアから、女を含め、3人のイタリア人が降りて行きました・・。






ナニゴト!?という感じでしょう?

今度は、夫の目から今のシーンを追ってみると・・こうなります。






電車到着。
どやどや人が降りて来た。激混みではあるが、実は自分はまだ、カメラを回している。
とりあえず、このまま、中に入ってしまおう・・。
--彼は左利き。カメラは右手に持ち、映像には、父の背中のリュックが映っています--
一瞬、左モモを何かがスッと触れた感覚があった。
咄嗟に、利き手で自分のポケットに、パンと触れてみたら・・
サイフがないッ







次の瞬間。夫が、すれ違ったイタリア女に、いきなり、後ろから抱きつきました

叫ぶイタリア女

そして、下にバサッと落ちたのは・・夫の札入れ!
「危ないっ!」と妹が叫び、そのサイフを拾い上げました。
前日、彼女はちょうど、夫のサイフを見て、可愛いねぇ~

でも彼女はその時、なぜ、サイフが落ちたのかについてはわかりませんでした。ただ、とっさに拾ったまで。
夫が女を離し、ぎりっと睨みつけました。すると実は、女の他に、ドアの横でビールを持ってこちらを睨んでいる男がいることに気付きました。こいつにビールをかけられるかな?と一瞬、思ったそう。でも、思い切り、睨み返してやりました。
そしてさらに、ドアのすぐ傍に、もう一人、見張りの男がいるとわかったのです。
彼らは、3人のチームでした。
夫とスリ3人、そして、両手でギッチリ財布を握っている妹・・の相関図。
振り返って見た私にとっては、一体、何が起こったのか?咄嗟には、分かりませんでした。
仕事をしくじり、悔しいものの、こんなんで警察を呼ばれてはマズイ・・と、3人は立ち去ったのでしょう。
電車のドアが開いてから閉まるまで、ほんの数分の間のデキゴトでした。





夫が、のんきにビデオなど回しつつ電車に乗ったことにはムカつきましたが、それ以上に




こんな、マヌケなことがありましょうや


しかも中には、現金・・ユーロばかりか日本円、クレジットカード全てという全財産


父母には、ああしろこうしろと言っておきながら、何という失態


後からわかって、呆れ、驚いたのは言うまでもありません。
旅の一日目でアレを全部、捕られていたら・・旅はめちゃめちゃ。ひどい思い出になっていただろうと、今、思ってもゾッとします。
ですが。
一番、驚いたのは、その実行犯、「女スリ」でしょう。
たぶん、彼女はまず、私をねらい、ペタペタ触ったのだと思われます。スキがないと分かると、すぐ横で、へらへらとビデオを回している男のポケットに手を突っ込んだ。すると、ラッキー!サイフが

さっすが、のーてんき日本人!

驚いて、サイフも落としてしまうでしょうて

見た目は、ぽよよんとしてるけど、意外に野生感度が高いんです・・うちの夫

電車が走り出し、スリからサイフを取り戻して緊張がほぐれた途端、私達はゲラゲラ笑い出しました。
「何やってんの、全く!

周囲のイタリア人達は、呆れてみてたと思います。のんきにスラれ、オオトリモノを繰り広げたと思ったら、大騒ぎして笑ってる・・。
ホント、日本人はお幸せモンだと。
ホテルに戻り、そういえば、回していたテープはいつの時点で切ったんだ?と言うことに。
再生してみると・・
まず、電車のドアが開く直前の映像に、女やビール男が映っていて、男はこちらを見ていました。獲物にターゲッティングしてる感じ・・。
そして、ドアが開き、父のリュックの後ろ姿がしばらく映った後、画像が急にガタガタッ

・・あまりに生々しい、すっごくコワイ映像なんです!

夫は、無意識にビデオを離し、女に抱きついたことがわかります。
その後、ゲラゲラ笑いながら、今、ちょっと前に起こった事件を再現して見せてる私達の映像があるので、まだ許せますが・・。
ほんとにシャレんならない、「カメラは見た!」的映像が残っていました。
今、思っても、スリからサイフを取り戻すなんて、一体、何パーセントいるだろう?と。絶対、返ってこないのがフツーでしょう。
この間、私もスリにやられてみてわかりました。あの、一瞬、「チ」と触れられた感覚に対して、反射的に「スリだ!」なんて、絶対、反応することは不可能です。
改めて、夫の研ぎ澄まされた“野生感”ってスゴイなぁと感心しました。
あの事件以来、我が家では、彼を 『機敏なデブ』 として称えています







ご参考になりましたでしょうか。
今のところ、我が家のイタリアにおけるスリとの闘いの勝敗は、
『1勝(夫)、1敗(義理母)、1引き分け(私)』と言ったところ。
これ以上、記録を更新したくはないものです・・。
他にも、他人がスリにやられて慌てふためく様を、いっぱい見ています。ガイドブックなどに出ている事例通り。ヒトゴトではありません。次はアナタです!

それでもやっぱり、イタリアは大好き

スキを作らず、スリにも負けず、これからも、たくましくイタリアを旅したいものです

~おしまい~