ふくろうはうす昔話 第3話

2008年02月13日 | Weblog

  一人でも現場を任されるようになって3年が経ち、18歳になった高橋青年。

 当時 父親の元で働く数人の職人の中に、Fさんという人がいました。

 彼は仕事が出来、人柄も良かったのですが ある事情があり、東京へ行ってしまったのです。

 その頃、青年の働いた給料は 自分の懐へは全く入らず、全て親へ行ってしまっており

 自由になる小遣いが貰えるのは 盆と正月のみ・・・

 このままでは 自分はいつになっても変わらない。自立したい

 という思いは 青年の心の中で日に日に増して行き、ある日 上京を決意するのでした 

 唯一頼りになるのは 上京していったFさん。

 思いを打ち明けると、“親方の承諾は得ているのか?” と問われ

 得ていないと言うと それではダメだ と断られたものの、どうしても諦められず

 Fさんも根負けして 仕事を手配してくれ ついに上京出来ることに・・・

 しかしながら、やはり 世話になった親方に 何も告げず大事な一人息子を上京させる手助けをする

 というのは Fさんには出来ず

 父親のところへ Fさんからの手紙が届き、東京へ行くことが発覚してしまい・・・

 当然、許されるわけも無く

 青年の夢は はかなくも敗れ去るのでありました。

                                        つづく