セブン―イレブン・ジャパンは29日、中国の輸入停止で販路が縮小した日本の水産業者を支援するため、北海道産のホタテを使ったおにぎりやグラタンを10月17日に全国で発売すると発表した。ローソンは国産水産物を使った商品を値引きする。 セブンが売り出すのは貝柱を具にした「北海道産帆立使用 ほたてめしおむすび」(237円)と「北海道産ほたてのクリームグラタン」(572円)。他の商品も検討中で、来春までに北海道産のホタテ約130トンを使う計画だ。 ローソンは北海道産コンブや宮城県産ギンザケなどを使った商品を10月3日から期間限定で30~50円値引きする。クーポンをアプリ利用者向けに配る。 産経新聞
訪日客に占める中国の存在感が低下している。新型コロナウイルス禍前は月100万人を超えていたが、8月に訪日した中国人客は36万人と低調だった。国慶節の大型連休では増加が見込まれるが、コロナ禍前の水準に戻るかは不透明だ。一方、全体の訪日客はコロナ禍前の8割超となる215万人まで回復。専門家は中国以外からの需要回復がさらに今後も続くと予想している。 「中国人観光客は完全には戻っていないが、高単価かつ長期滞在の傾向がある欧米の宿泊客が増えており、予約は好調だ」。ホテル大手の広報担当者は、こう現状を説明する。コロナ禍前の売り上げを超える月も出ているという。 日本政府観光局によると、中国を除く8月の訪日客は令和元年同月を上回る179万人に上り、27万人増加。観光客の「量」に加え「質」にも変化が見られ、今年4~6月の訪日客全体の平均宿泊日数は10・0泊で4年前から2泊伸びた。1人あたりの支出額も20・45万円で32%増加しており、これらの要素が売り上げを押し上げている。 コロナ禍前に全体の3割を占めていた中国人客を巡っては、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出による影響を懸念する声もある。大手旅行代理店の担当者は「国慶節の大型連休では、中国メディアが報じていた『キャンセル続出』といった大きな影響は結局なかった」と説明しつつ、「今後の回復ペースは、8月の団体旅行解禁時の想定より緩やかになる」との見方だ。 航空大手の担当者も「中国からの旅行客は引き続き増加すると見込んでいるが、中国便の増発については今後の需要動向を注視し、判断したい」と慎重に状況を見極める構えだ。 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、「中国経済の失速や処理水放出を巡る政治的緊張の高まりにより、中国人旅行客への過度の経済的期待は禁物だ」と警鐘を鳴らす。中国からの訪日旅行消費額がコロナ禍前まで回復するのは令和7年以降になる可能性が高いと指摘。その上で「中国以外の多くの国・地域からのインバウンド消費は早期に過去最高を更新する見込みで、中国依存度が低下する形で来年、政府目標の訪日消費額5兆円を達成するだろう」と予測した。(川島優治) 産経新聞