総務局人事部職員支援課長が各局長らに宛てた文書
3選を狙う小池氏が2016年の都知事選で掲げた公約が、「7つのゼロ」だった。「待機児童」など7項目のゼロを目指すとしたが、実際にゼロを達成したのは、「ペット殺処分」のみ。「残業」については、都職員1人あたりの平均残業時間は13.5時間(2015年度)から、16.8時間(2022年度)へと逆に増加している。
今回、「週刊文春」が入手したのは、総務局人事部職員支援課長が2024年2月7日付で、各局(室・本部)長らに宛てた〈超過勤務命令の上限時間の遵守及び長時間労働面接の確実な実施について(通知)〉と題された文書など。〈近年、全庁の超過勤務時間数は高止まりの傾向にあり、令和5年度においてもその傾向は継続しています〉とし、各局長らに超過勤務命令の上限時間の遵守を求めている。
上位に並ぶのは新設された知事肝煎りの部署
さらに、職員らの厳しい労働環境を如実に示すのが、〈部別超過勤務状況(令和5年11月実績)〉と題された文書だ。職員1人あたりの超過勤務時間数の多い部署から順番に並べられており、1位は、財務局主計部の102.2時間、2位は教育庁グローバル人材育成部の89.5時間、3位はデジタルサービス局総務部の72.6時間、4位はスタートアップ・国際金融都市戦略室の54.8時間、5位は中央卸売市場管理部の48.4時間と続く。労働基準法では、時間外労働の上限は原則として⽉45時間と定められているが、11の部署が45時間を上回っていた。
「小池都政で新設された肝煎りの部署が上位に並んでいます。労働基準法を遵守できていない部署も多く、幹部らは小池氏と深く関わる部署に『異動したくない』と言っている。知事の思い付きでいつどんな指示が来るかわからないからです。特に知事と近い政策企画局では、数十人が昨年度末に退職したといいます」(都庁元幹部)
「都庁から民間企業への、また、民間企業から都庁への転職が」
小池氏に見解を尋ねたところ、都庁を通じて、以下のように回答した。
「退職については、若者の終身雇用意識の変化等により雇用の流動性が増したことで、都庁から民間企業への、また、民間企業から都庁への転職が活発になっています。このような状況の中、都は民間経験者等の採用を拡充するなど、都庁外の知見や高い専門性を有する人材の確保に取り組んでいます。都市の課題が多様化・複雑化する中、官民の垣根が低くなり、官の知見を民で、民の知見を官で活かして活躍する人材が増えることは、社会全体としては有益と考えており、全庁を挙げて取り組んでいる超過勤務の縮減も含め、若手・中堅職員がより一層活躍できる魅力ある都庁であり続けられるよう、様々な取組を進めていきます」
7月3日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および7月4日(木)発売の「週刊文春」では、「小池都知事の8年を完全検証する!」と題し、6ページにわたる特集記事を掲載。東京五輪やコロナに関する予算の検証や、選挙戦で連呼する「8100億円の財源確保」のカラクリ、小池氏が力を注いでいる婚活支援事業の実態、石原慎太郎元都知事や森喜朗元首相、内田茂元都議らに対する小池氏の攻撃的な口ぶりなどについても詳しく報じている。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2024年7月11日号)
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