オウム真理教主流派の後継団体「アレフ」の施設に現金の入った賽銭(さいせん)箱が確認され、公安調査庁が団体規制法に基づく再発防止処分違反にあたる疑いがあるとみて調査していることが4日、分かった。再発防止処分の対象であるアレフはお布施などの金品の受領が禁じられており、受領が処分期間中であれば幹部や信者が刑事処分に問われる可能性がある。
公安庁は「違法行為だと考えており、厳正に対処する」としている。
公安庁によると、賽銭箱があったのは埼玉県八潮市大瀬にある団体の道場。4月30日に立ち入り検査を実施したところ、道場に賽銭箱に当たる「布施箱」を発見し、中に現金が入っていたことも確認された。
公安関係者によると、アレフ側が同月、この道場で信者のセミナーを開催して金品を受領した可能性があるといい、公安庁は現金が賽銭箱に入れられた時期や経緯について調べている。
アレフを巡っては令和5年3月、公安審査委員会が初の再発防止処分を発出。指定された施設の使用や金品の受領が禁じられており、違反した幹部や信者は2年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。
公安庁によると、アレフは再発防止処分対象となる5年3月以前、この道場で信者のセミナーを行っており、多い年では年間1億円超を得ていたとみられる。
今も麻原信奉
今もオウム真理教元教祖、麻原彰晃元死刑囚=本名・松本智津夫=を信奉しているとされるアレフ。若い世代への勧誘も継続しており、公安庁は警戒を強めている。
4月30日、公安庁の立ち入り検査で現金入りの賽銭箱が確認された埼玉県八潮市大瀬にある道場には、麻原元死刑囚の写真が掲げられ、生前の説法を収録した教材が保管されていることが確認された。
アレフは平成7年の地下鉄サリン事件など一連の事件を起こしたオウム真理教の後継団体の一つ。今年7月時点で、アレフを含むオウム真理教後継団体の構成員は約1650人いるとされる。
公安庁によると、団体名を隠したサークルなどを通じて若い世代の勧誘を続けているという。
アレフを巡っては令和5年3月、資産など活動状況の報告が不十分だとして公安審査委員会が団体規制法に基づく再発防止処分を出し、お布施など金品の受領や指定施設の使用が禁じられた。
アレフが公安庁に報告する資産は元年11月時点で13億円弱だったのが6年2月には2千万円弱にまで激減。公安庁は、一連の事件の被害者への10億円超の賠償金支払いを逃れるために隠した可能性があるとみている。
公安庁は今年7月、9月が期限の再発防止処分を6カ月延長するよう公安審に請求。賽銭箱が見つかった道場も使用を禁じるよう求めている。
産経新聞
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