補欠選挙にもかかわらず、マスコミ取材が殺到し、党幹部はもちろん、“有名”国会議員、ポスト小泉の首相候補などオールスターキャスト勢ぞろいだった選挙は、結果951票差の民主党候補の勝利。
衆院千葉7区補選、民主が自民に競り勝つ 太田氏初当選 (朝日新聞) - goo ニュース
当然のように、民主党は『小泉政権の政策の否定、民主党政権誕生への期待』と、大げさに表現し、マスコミは、『小沢神話復活』なんてことを見出しにしています。万年最下位の頃の阪神ファン、大阪のスポーツ紙が『タイガース好調、優勝目前』なんて、はしゃいでいたのと、同じに見えませんか。
補選で民主勝利 小沢氏、「小泉政治への評価の面も」 朝日新聞 - goo ニュース
この選挙、民主党の小沢代表は、『勝つつもりはなかった』と推測していました。少なくとも、口では『天下分け目の決戦』なんて言おうとも、この選挙に勝つことによって、『小沢人気は無敵』なんてコトを思われることこそ、迷惑な話。小沢代表の大目標は、民主党の議員やスタッフすべてに対して、本当の選挙運動のしかた、必要なここの行動内容を伝えるための機会として、今回の選挙を捉えていたのではないかと思う。世間では、繁華街ではなく、郊外を最初の演説場所に選んだことが象徴している。支持基盤といわれる、労働組合・組織依存の発想と、本当の“無党派層”へ訴えるための行動を、自らの行動で示していた、と思います。
この選挙の結果、秋の自民党総裁選挙の投票行動にも影響が出る、『小沢民主党に勝てる総裁を』なんて、マスコミには書かれていくでしょう。しかし、これは森喜朗元首相の思惑通り、福田首相誕生を狙ってのことに思えてしまいます。小泉首相の手法が、従来の支持組織・団体を無視してきた、対立しているなどといわれるが、本当の政治家とは、そんなもののはず。小泉首相も、公明党ほかの組織と“いい関係”を作っていたはず。
すべてが『どちらがいいか』の選択で、『この政策を進めてもらいたい』という選挙での投票行動にならないことが、この日本の政治の悲しいところ。いかに、国政選挙が“総合力”で候補を選ぶとは言っても、自己主張のない人は魅力に欠けるし、信頼できないもの。明快な自己主張の上で、民主党も政権政党になるという“勝ち組”を目指してもらいたいものだ。
韓国の今の政権にとっては、“反日”が唯一の求心力であり、北朝鮮との対立課題が出てくるのは避けたいことだけに、ここで竹島問題で拉致問題を隠されてしまうのは、日本にとっては得策ではない話。
竹島海域調査、日本が実施するなら対抗策も…韓国 (読売新聞) - goo ニュース
先週、外務省が発表した、『横田めぐみさんの夫は韓国人・拉致被害者』の報は、散々批判されてきた外務省の働きとして、めずらしいヒットと思われた。で、韓国国内にも、北朝鮮の拉致問題を糾弾すべし、被害者を救出すべしの機運は盛り上がりかけている。ここでの、この竹島問題の再燃させるような材料を提供してしまったことは、何ともチグハグ。政府としては、拉致問題解決は優先事項で、竹島海域の調査は別にこの時期でなければならない話でもないと思われる。何ゆえ、時期をずらすなどの“仕込み”が出来なかったのか。
こうなっては、麻生外相の出番。韓国から嫌われている大臣ではあるが、米国とのパイプを使うなどの手段はいくつかあるはず。とにかく、外交とは長いスパンで成果を挙げていくものだろうが、ここは一気に成果獲得へ向けて攻勢に出るべきところ。麻生外相の活躍に期待しましょう。
全国知事会など地方六団体の「新地方分権構想検討委員会」が、国の進める地方分権、道州制論議に対する独自の対案の作成に向けて、“積極的に”動いていることをアピールした。しかし、この中心は、『地方共有税』なる言葉で表現される、【地方交付税】のリニューアルにすぎないもの。
本来的には、『小さな政府』発想のもと、根本的な国の行政機構を、一から作り変える、理想のカタチを描くという行為のはずと思われるのだが。
「地方共有税」創設、柱に 分権検討委が中間報告素案 (産経新聞) - goo ニュース
地方自治体が独立採算で運営されていくためには、財源が必要というのは分かるが、この中間報告素案を見ていると、総務省あるいは財務省が行ってきた、その配分調整、決定を、新たに創設する組織が行う、ということに過ぎない話にしか見えない。財務省、総務省が、【地方交付税】の削減を優先させていることが、とにかく財源の確保に動いているということだろう。となれば、この地方分権の論議には、抜本的な税制改正の論議、地方と国への配分の仕方に影響することとなるわけで、何とも微調整、変更では間に合わない、バランスの取れたものになる見込みはなくなってしまう。
やはり、『日本改造論』を出版し、中央官僚の“業務の正常化”を主張する、民主党の小沢代表にこの問題は任せたい気持ちになってくる。いつになれば、地方分権なるものが、実現していくのだろうか。
中間報告素案のポイント
新地方分権構想検討委員会が提示した中間報告素案は次の通り。
一、自治体にかかわる国の政策立案に地方代表が参加する地方行財政会議(仮称)を政府内に新設
一、地方交付税を「地方共有税」に変更。国に依存せず地方で必要な財源を融通し合うことを制度上、明確にする
一、約四百ある国庫補助金の半分を廃止
一、税源移譲で地方税を充実強化し、交付税を必要としない不交付団体を増やす
一、国と地方の関係を総点検し、役割分担を明確にする。地方の仕事に対する国の過剰関与を廃止・縮小
一、財政再建団体の基準について透明性の高い指標を設ける。首長や議会の責任を強化、増税などの住民負担も導入
一、国・地方財政の三位一体改革に続く第二期分権改革を推進するため新法を制定
とにかく、マスコミの盛り上げがすごい。東京に近い、マスコミ取材者が“ローコスト”でニュースを作れるのが、ここまで盛り上げている要因なのだろう。
一応、小泉首相はもちろん、自民党のポスト小泉候補、民主党の小沢代表も現地入りしているのだから、今後の盛況に向けて、いろいろの先行記事や後日談を書く材料がいろいろと入手できるのは事実ではある。
千葉7区補選 民主・自民が大接戦 中盤情勢本社調査 (朝日新聞) - goo ニュース
この補欠選挙、もともとは自民党議員の選挙違反⇒辞職による選挙なのだから、自民党に不利なのが当然。しかも、去年の総選挙では民主党の議席をなくなった地域だが、その前は民主党の強かった地域。“小沢人気”で挽回なんていっているけれども、メール問題を気にせず、民主党支持者がそれを公言できるようになったから、民主党候補が先行しているだけのこと。ただ、小沢代表がこの選挙に関しては候補に会っていないのは、それほどまでに本気で勝ちに言っていないような印象だ。もともとこの選挙区を地盤とする候補は、比例で復活当選していることもあり、少々複雑な議員間の利害対立があるように思われる。
小沢代表にしてみれば、自らの考える選挙の仕方を表現できれば十分で、選挙の勝敗は重視していないのでは。ただ、世論の見方として民主党の復調、執行部のトロイカ態勢をアピールできれば十分というものでは。
逆に、自民党は、小泉首相として負けるわけにはいかない、という思いが強い様子。それは、小沢代表のパワー、選挙の強さが証明されることを避けたいがゆえのこと。
いずれにしても、政局は、前原民主党時代とは大きく違う雰囲気、戦国時代の国とり合戦さながらの攻防になってきた。人間関係のアヤであったり、権謀術数の話はマスコミがもっとも好きなところだが、肝心の政策論、国のカタチの論議がされていくことに期待したい。
責任ある政策執行者としては、当然のあるべき姿勢とは思うが、谷垣財務相の発言、資産売却や歳出削減ではなく、増税が必要という主張は、共鳴することが出来ない。
『公共事業や公務員の人件費を減らしたり、国の資産を売り払っていくことや、経済成長で税収が上げっていくことを期待するだけでは将来世代に責任ある答えが得られるであろうか。覚悟を決めて、将来の国の形をどうしていくかの議論をしなければならない。』
財務省など省庁の官僚、経済専門家に言わせれば、日本の税負担率は低いとされているが、あまり真実性がない。それこそ、徳川幕府の年貢取立て方針『生かさず、殺さないように』に似た発想があるように思えて仕方がない。
財政健全化は覚悟決めて議論、金利変動に弱い体質を一番心配=財務相 (ロイター) - goo ニュース
谷垣財務相は、日本の社会保障制度を『中福祉・低負担』と表現するが、非常に抽象的。特に、最近の年金負担や医療保険の負担率アップを考えると、それが低負担と思える人は少ない。ましてや、年金保険料は、いろいろと無駄な運用がされてきたことを見せられては、納得できるはずがない。医療費に関しては、窓口出払う金額が少なかったから、そのありがたみの実感がないのかもしれないが、実際、その保険料の多くを負担するサラリーマンは、ほとんど医者に行くことを出来るだけ回避しようと努力するわけで、受益者と負担者のバランスが崩れているのが現実。
谷垣財務相のコトバ、発言からは、“経済通”ゆえの専門性は伝わってくるが、社会全体のビジョンが見えてこない。国民受けを狙った“プレゼンテーション”を期待するつもりはないが、危機感を煽る論調、現状否定の発想は避けてもらいたいものだ。その温和な“ビジュアル”は良いのだけれど、生活観が漂っていない。実際問題、少子高齢化・人口減少時代を踏まえた、日本社会の“進化させた”ビジョンを示してもらいたいのだが、『家庭の絆』『地域の絆』では、何も見えてこない。“覚悟”というコトバを使うならば、税体系全体を作り変える、現状の微修正ではない、ゼロから作った税制を組み立ててもらいたいものだ。今のままでは、谷垣総裁=増税、谷垣=財務官僚の利権代表者の図式がより定着してしまいそうだ。
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