加東市議会議員・藤尾潔の出る杭日記

出ない杭は地面で腐食します。杭を打つ手も結構しびれているはず。
打たれないような杭では使い物になりません。

病院再編の報道について

2019-10-02 23:26:15 | Weblog
●この文章は、あくまで一議員としての私見です。加東市や議会の公的な見解ではないことをはじめに申し添えておきます。
また、一般的にみると私の書いていることは甘々な文章なのですが、これでも市役所や議会では激辛の意見の持ち主であると思われています。

①新聞報道について
9月27日に「公的病院の3割について再編が必要」ということで、全国424の病院の名前を厚生労働省が公表した、という新聞記事が掲載され、加東市民病院もその中に名前が挙がっていました。
神戸新聞
こういった議論が「乱暴だ」などとして、自治体側にも反発が広がっているようです。「国と地方の協議の場」が設定されることとなったようです。

さて、この記事についてですが、ある面では非常に不正確な記事です。なぜなら、厚生労働省が今回公表したリストは病院の再編を促すリストではないからです。
「地域医療構想に関するワーキンググループ」という部会において、病床の機能分化の議論をする際に、高度急性期を医療などの実績が少ない医療機関に対して、機能分化に対する具体的な対応を要請するリストだからです。翌日、厚生労働省がこのようなペーパーを出し、

「今回の取組は、一定の条件を設定して急性期機能等に関する医療機能について分析し、各医療機関が担う急性期機能やそのために必要な病床数等に ついて再検証をお願いするものです。
したがって、必ずしも医療機関そのものの統廃合を決めるものではありません。また、病院が将来担うべき役割や、 それに必要なダウンサイジング・機能分化等の方向性を機械的に決めるも のでもありません。」
と述べています。記事の書き方としては非常に不親切だと思います。

しかし、ある面においては非常に正しいことがかいてあります。
「一定の条件を設定して急性期機能等に関する医療機能について分析し、各医療機関が担う急性期機能やそのために必要な病床数等について再検証」の要請をするもので、
加東市民病院が「がんや脳卒中、心筋梗塞、周産期医療については実績が特に少ないですね」「ですから、急性期の病床を維持する必要があるかどうか検討してください」と言われている訳です。
(唯一、救急車の受け入れに関しては「特に少ない」訳ではないことになっています。)

②地域医療構想など
国では、今後の高齢化社会の到来や医療費の抑制などを目的に、各病院に病床の機能を報告するよう求めています。それを地域医療構想の中で調整するよう求めています。
北播磨圏域では、高度急性期・急性期の病床が過剰で回復期の病床が不足しています。

また、総務省が示している公立病院の改革ガイドラインでは、

「公立病院に期待される主な機能を具体的に例示すれば、
①山間へき地・離島な ど民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療の提供
②救急・小 児・周産期・災害・精神などの不採算・特殊部門に関わる医療の提供、
③県立がん センター、県立循環器病センター等地域の民間医療機関では限界のある高度・先進医療の提供
④研修の実施等を含む広域的な医師派遣の拠点としての機能などが挙げられる。
前ガイドラインにおいても、改革を通じて、自らの公立病院の果たすべき役割を見直し、改めて明確化するべきことが強調されていたが、今般の公立病院改革は、民 間病院を対象に含めた地域医療構想の実現に向けた取組と並行して行われるもの であることから、必然的に、公立病院の役割を従来にも増して精査することとなる。」

税を投入して病院を運営するのであれば、上記の4つのようなそれなりの理由が必要となる。
「公立病院の宿命として不採算医療に取り組まねばなりませんので~」と議会でサラっと答弁もあるのですが、「不採算医療というのはどの部分でしょうか」ということにもなります。
今回示されたデータは平成29年度のもので、加東市民病院としては病床数の削減や、地域包括ケア病棟への転換などを進めてきました。
これは正しい方向性だとおもいます。と同時に、先に書いた「・・・・となりますと、不採算医療というのはどの部分ですか?」が強くなってくることも意味しています

③現状と今後の方向性
先の決算委員会で、平成30年度の加東市民病院の決算が示され、一般会計からの繰り入れの状況も示されています。

救急の受け入れに関する負担金(繰り出しルール内)1億1330万円
一般会計補助金(繰り出しルール内)1億7958万円
特別利益(繰り出しルール外)1億4433万円
一般会計出資金(繰り出しルール内)1億454万円
合計 5億4177万円

まず、この繰り出しルール外の特別利益については、赤字の補填であり 本来すべきではありません。
加東市民病院は改革の一環として地方公営企業法の全部適用に移行し、独立採算制を強化しました。
多い時はこの特別利益が3億円というようなこともありましたので、改善の傾向はみられます。また、長期的にも特別利益は令和2年度で解消するという計画を立てていますので、
私は議員としては まずこの計画達成を厳格に求めていきたいと思います。

その上で、実は来年度 改めて病院の経営計画を更新することになっていますが、その際は地域医療構想とのかかわりや公立病院としての役割の再定義 といった部分にも踏み込まなければならないと思っています。

国は、新聞報道のリストについて再編について 強制するものではないとしています。
強制はしないでしょう。

しかし、診療報酬の改定などは上記の方針を踏まえたものになることは当然ですし、
公営企業としての繰り出し基準もさらに厳格化されることとなると思います。

結局のところは、国が名指しするのがおかしいのどうの と言ったところで意味はなく、
「市民病院がどのような役割を果たしますか?それには税を投入して行う必要がある不採算医療は含まれますか?」という問いに 答えを出さなければならないのだと思います。

※平成27年12月議会の私の一般質問に対する答弁で
「なお、地域医療構想の中の2025年病床数推計値は、許可病床の増減決定につながるものではなく、その後の国の医療政策がその方向に向かっていくものと推測されるものでございます。北播磨圏域としましては、この示されている病床数推計値に対して、北播磨圏域としての対策や対応の協議を進めている状況でございます。また、地域医療構想において、現時点の状況では、病院ごとの役割の方向性を示すところまでは難しいとのことで、各圏域で現状、課題に対する具体的な施策を取りまとめることとなりそうでございます。」
というような認識でいたわけですが、このような甘い認識ですまされる話ではない、と今回国が言い出したということですね。
 












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