2019年の年明けからほぼ毎週続いていた“エンタメ強化月間”も、この作品で一段落です
松坂桃李くん主演、吉田鋼太郎さん演出
彩の国シェイクスピア・シリーズ第34段「ヘンリー五世」
◇STORY◇
父ヘンリー四世の死とともにハル王子は新王となり、放蕩の限りを尽くした若い時代とはうって変わり才知溢れ尊敬を集めるヘンリー五世に成長した。フランス皇太子からの挑発を受けた新王は、ついにフランスへの遠征を決意する。勇猛果敢な新王のもと、意気揚々と進軍するイングランド軍。敵を迎え撃ち壊滅させようと、うずうずしているフランス軍。巻き込まれていく市民たち。"名誉“の名のもと、戦いは悲惨なものとなっていく。圧倒的な兵力で押し寄せるフランス軍に対し、瀕死の状態のイングランド軍。名君ヘンリー五世はこの窮地に何を考えるのか。どう立ち向かうのか。この大戦争は人々に何をもたらすのか――
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シェイクスピアの戯曲ってとっても詩的で難解で長文のセリフが多いので、ただセリフを覚えて喋っているだけでは観客には全く伝わらない。きっと役者さんたちはみんな自分なりの方法で頭・身体・心の全てで理解して、そして感情を込めて演技に持って行っている。ホントにシェイクスピア俳優さんたちって凄い
と改めて感じた。
まずは演出について・・・
蜷川さん演出の時からなんだけど、このシリーズは1階客席通路を使った演出が多いのが特徴。今作ももちろん通路を役者さんたちがとにかく走る走る~~~っ!!座席が通路側だったので、役者さんたちが通り過ぎるたびにその勢いと風を感じられて臨場感抜群。まるで自分が本当に中世のイギリス・フランスに居るかのようにストーリーに入り込めました。最近では珍しいマイクを使わない「生の声」、そして中2階にあるバルコニーでの生演奏がさらに臨場感を増していたかも。
舞台装置はシンプルだけど、照明がホントに良い仕事をしてました
照明だけであんなにいろんな場面を造り出せるのね~。
イギリスvsフランスの戦闘シーンが多めだったので、殺陣シーン好きな私としてはかなり満足。重量のあるジュラルミン製の刀を使っているそうで、刀同士がぶつかる音がとてもリアル!あの重い刀を振り回すのに役者さんたちはかなり体力を消耗しそうだった
特に桃李くんは左利きなのに、敢えて利き手ではない右手で刀を振り回していてそうとう鍛錬が必要だったのでは?と思った。
ただ・・・ 観劇した方の感想を読んでいると純粋な「シェイクスピア作品」が好きな人にとってはカットされた部分が多くてちょっと残念という感想が多い
。
私も、蜷川さんだったらもうちょっと重厚感のある感じの演出になっていたかな?と思う
。鋼太郎さん演出は大衆演劇を意識した「カジュアルver.のシェイクスピア」という感じ。でも、そのおかげでシェイクスピア初心者の人でもすんなり理解出来たと思うので、シェイクスピア作品に興味を持つ良いきっかけになると思う

続いて俳優さんたちについて・・・
まず、生の桃李くんは相変わらずカッコ良かった~
「ヘンリー四世」出演から6年。いろんな経験をして役者さんとして成長しているのをとても感じた。1幕は王様としての凛々しさと気高さや残酷さ。2幕あたまでは王であること対する葛藤や苦悩を全身全霊を込めて演じていて、2幕後半では戦闘から解放された清々しさや仲間との絆、プロポーズのシーンでは一人の青年としての素直さや可愛さやチャーミングな所をコミカルに演じていて、そのギャップに桃李ファンはやられました
黒いマントを翻す姿が凛々し過ぎ😍 私のすぐ横の通路を走って行った時には心拍数が上がりました!過去最高に近づいた瞬間💕
桃李くん演じる王様をメインとした演出は、桃李ファンとしては大満足。鋼太郎さん、ありがとう!(笑)
フランス皇太子役の淳平くん。バラエティー番組などで見る柔らかい感じとは全く違って、声量が結構すごい。ドスの利いたセリフ回しでびっくり。気の強い負けず嫌いな高貴な皇太子を好演してました。彼の舞台も今まで何度も見ているけど、すっかり舞台俳優さんになったなぁ~と。
鋼太郎さんは、原作にもきちんと存在している「コーラス(説明役)」という役で、実際のストーリーではなく各幕始めに背景等の説明をする役。シェイクスピアを知り尽くした鋼太郎さんじゃないと出来ない重要な役だとは思うけど、私はストーリー中でアドリブを連発する鋼太郎さん(笑)が見たかったかな~

↑ホール入口に飾られていたお花、数がすごかった~~~っ!!この写真だけでも半分以下かな?劇場の外までお花の香りがしてました。

↑ SNS等でのウワサで中味の充実度と桃李くんの写真が素晴らしいと評判だったので、普段観劇してもパンフレットなんて絶対に買わないのに、今回は迷わずお買い上げ(笑)。
最後に今回残念だった点 → せっかくの通路側席。役者さんたちが何度も通ったけど、桃李くんも淳平くんも1回しか通らなかった。下手側の通路は桃李くん2回走っていたのに・・・
。
カーテンコールは3~4回あるというウワサだったのにこの時(昼公演)は2回のみ
。この日は昼夜2部公演だった事もあったのかもしれないけど。
あと同日夜の公演には小栗旬夫妻と岡田将生くんが観劇に来ていたらしい・・・。
◇観劇記録◇
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
S席 1F I列21番
上手ゾーン中腹の通路側席。舞台までやや遠い(他の劇場に比べれば充分近いけれど)ので、役者さんたちの細かい表情はオペラグラスが無いと見づらいけど、舞台の奥行きやセット、照明などの全体は良く見えるので、作品全体を感じるには良かった。
・・・ただ。今回は観劇初心者が多かったようで、上演中に友達と喋る人が近くに居たので気が散ったし、上手側前方席に奇声を発したり意味不明な唄を歌うオバチャンがいて
(何かしらの障がいを持ってる方だったかもしれないけど)、役者さんたちも気になったのではないかと
(←さすがに2幕の途中でスタッフに外に連れ出されたらしい)