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魚止滝のずっと手前で竿をほっぽり
ザックの中身をガサガサまさぐる男の日記

乗り鉄ひとり旅も楽しんでいます

大人になったら、したいこと ・・・ 本八戸の夜

2012-06-23 20:57:12 | 旅行、食い歩き

 

八戸駅で、入線してきた八戸線リゾートうみねこをぼんやりながめていると携帯電話が鳴った。「君は今緑色のリュックを背負ってぼけっと突っ立っているね!」 あたりを見回すと車両のガラス越しに手を振るM氏の姿があった。M氏とは月に2.3度は酒を飲み交わす中学からの古い親友で、彼もまた大人の休日倶楽部パスでひとり旅を楽しむ同じ趣味の持ち主なのだ。いつか旅の日程がかさなったら現地で呑むべと話してはいたが、それがこの八戸で実現したのだ。

18時半、本八戸の居酒屋『ばんや』で待ち合わせるも残念ながら店内は満員。第二候補の『さめ八』で乾杯すると、いつも地元で呑んでる気分になってしまった。二人揃うとたくさんの種類の肴を少しずつつまめる利点がある。満腹にならないぶん酒の入る隙間が増えるのだ。当然ひとり酒より酔いはすすむ。またそれが楽しい。「むむ、この〆鯖はいけますぞ」「真鰯の刺身も最近じゃ食えなくなりましたね」「吉次と鮭と縞𩸽あげるから鰆と鱸ください」「お~こりゃ脂がのっててうまいですぞ」「利き酒3つの中では菊駒が一番美味いです」「しかし隣に若い地元ギャルが座ってなくて残念でありました」「うむ、そしたらおごってあげるとそそのかし次の店に誘っていたのに」「さっきの店、まだ満席ですかね?」「うむ、酔う前に行ってみますか」・・・互いの旅の報告など一切話さないところが普段っぽくて・・・普段っぽすぎる。 『さめ八』はきれいなダイニング炭焼き居酒屋といった趣きの居酒屋で地元の方、観光客どちらも気軽に楽しめる雰囲気だ。

   

「やった、入れましたぞ」「やはり開店間際から一回転するぐらいの時間帯が狙い目でしたね」 メニューを見ると達筆過ぎて読めない。「こ、困りました」「ご主人におすすめの酒を聞いてみましょう」 居酒屋『ばんや』は、それはそれは僕たち好みの落ち付きのある渋い店でして、カウンター内で接客するご主人もまた人柄の良さそうな方である。「そうだね、せっかくだがらこの辺の酒がいいね。どんな酒が好みなの?」「はい、あの、普通(高くない)のお酒」「んだば、これやっでみで」ご主人が握った一升瓶のラベルが僕達には読めない「ひ、ひつじ・・・」「“善”って読むの。この字はわしが書いだんだよ」キレがあるのに辛口過ぎずスッと馴染む味は、この居心地の良い空間にはぴったりの酒だ。旬の肴から鳥貝とツブ貝を選ぶ。「ぴゃあ~うまい!」 鳥貝の弾力とツブ貝のコリコリ感がすべての咀嚼筋を喜ばせる。そして噛めば噛むほど口内にひろがる貝独特の甘みと磯の香り。「ぴゃ~たまらない」「ぴゃ~幸せ」 僕達のぴゃ~ぴゃ~に感化されたか隣の男客も鳥貝とツブ貝を注文。この男と僕達との会話がすごかった。僕達「どちらからですか?」男「千葉だよ」僕達「やはり大休パスで?」男「俺、まだそんなオヤジ年齢になってねえし」僕達「なんだとテメエ、50前のガキが年上にタメ口きいてんぢゃねえ」男「あ、すいません」僕達「うるせー!オヤジ呼ばわりした罪滅ぼしに、オマエ焼きウニ注文しろ。そしてちょびっとだけ食べさせてね」男「は、はあ・・・」 残念ながらこの日はすでに売り切れだった。聞けばこの男は居酒屋『ばんや』を目当てに初めて青森に来たそうだ。それほどまでにこの店が人気店とは知らなんだ僕達に、「これ、石の森章太郎さんから直筆でもらったサインだよ」と店主から見せていただいたサインを、やはり何て書いてあるのか読めない僕達であった。 

店を出ると、北国の風は冷たく肌にからんだ。M氏は電車で八戸のホテルへ戻ると言う。僕は歩いてすぐのホテルなので、「じゃあな」といつものようにそっけなく別れる。今夜は偶然にもふたり酒を楽しむことが出来たが、互いに別々の旅の途上なのだ。

弘前の『松の木』、青森の『ゆうぎり』と『おさない食堂』、そして本八戸の『ばんや』・・・ひとり旅ごとに、僕のお気に入り店が増えていく。 ぴゃあ~♪

   

  

まだまだつづく

 


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2 コメント

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うまそー (Nantal_K)
2012-06-30 20:49:13
新鮮な肴と日本酒ですか、うまそーですね。
旅先での人間同士の触れ合いも、いいですね。
できれば生意気な若造ではなくて、若い娘さんならモアベターよ。
まだまだ続くとは、嬉しいっす。
それにしても、いろいろよく覚えていますねぇ。
さすが、小説家の卵(ピータン?)です。
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>うまそー (ホリャ)
2012-07-02 09:07:48
Nantal_Kさん、いつもありがとうございます。

旅先の酒場で一杯は旅の醍醐味です。普段食すことのできない食材を楽しめます(^-^)
モアベター・・・小森の、お、おば、おばちゃまっすね! 年齢も性別も異なる方と触れ合えれば・・・んな出来過ぎの旅なんてほぼねえです。でも期待はもちたいところです。宝くじを諦めない気持ちと似ていますね。
旅先の出来事を事細かに覚えているのは、その瞬間々々を緊張しながら楽しんでいられるからだと思います。ひとり旅って他に考えることないですから。携帯のメモ機能にメモって置くのも忘れない工夫です。初日のバスの中で、「動けない。ババアジジイに意地悪されたどうしよう」とメモを残しておきました。

ピータンは、すでに腐っています(-_-;)

まだ続きます。引き続きコメントいただけたらうれしいです。
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