静岡県は母の故郷です。
帰郷の際、ばあちゃんが必ず食べさせてくれたのは店屋ものの中華そば。
あの一杯を、僕はいつだって楽しみにしていました。
その店におもむき、出来たての中華そばを食べてみたい・・・
いつしか抱きはじめたちっぽけな願望を、叶える時がきました。
土曜の午後から仕事をサボり、昼飯もとらずに飛び乗った東海道線の車内で、
まずはシブく板わさと熱燗だな・・・
そんなことをイメージしながら電車を3回乗り継ぎ、藤枝駅から路線バスを利用し、
3時間以上もかけてたどり着いた老舗の蕎麦屋。
それなのに、ああそれなのに、蕎麦屋なのに酒もつまみもありません。
じぇじぇじぇ~ (‘jjj’)/
しょうがないので目当ての中華そばを注文し、待つこと暫し。
やっと運ばれてきた中華そばは、
出来たてなのに、すでに麺はのび、粉臭く、いかにも消化の悪そうなこの一杯。
ハフハフするほど熱くなく、薄っぺらなシナチクは木の繊維ほどに硬く、
ちいさな焼豚はきちんと歯に挟まり、しょっぱい醤油味に探すかすかな出汁の味、
しかしとて、だからこそ活きてくるナルトの当たり前のうまさ。
おお、おおお、みるみるうちに汁が麺に吸いとられ、
急いで食べているのに量がどんどん増えてくるぞ。
こ、これだ!
なんという懐かしさなのだろう!
店で食べても店屋ものと何変わらぬこの一杯の素晴らしさが実に嬉しい!
時として、思い出の味は美味し過ぎてはいけない場合もあるのです。
静岡駅に戻り、友人Mと待ち合わせ入った店は、やはり思い出のおにぎり屋。
おでん一本50円、おにぎり一個90円から。
創業50年を超える老舗の味も変わらぬままです。
懐かしさ+美味さ+安さ=最上級の喜び
この店に似合う方程式です。
4時半に予約を入れた居酒屋は、最近ハマっている『多可能』
レトロ調ではなく、本物レトロなこの空間が、なんとも落ち付くのです。
『古臭い』ではなく、『古良い匂い』と
ドラマ『最後から二番目の恋』で萬田久子さんの言ったセリフがそのまま似合う居酒屋です。
ツブ、ツボ、ナガラミ貝盛り、黒はんぺんフライ、おでん、桜えび掻揚げ、〆鯖、シコイワシ刺し・・・
酒はしぞーか割り、熱燗、三ケ日みかん割り・・・
友人Mは滅多に唸らぬ男ですが、この日ばかりは
“う~む、美味い!” を連発しておりました。
青春18きっぷの旅
日帰りでも、こんなに幸せを味わえる電車旅
みなさんも、たまにはふらりといかがですか?
※ 携帯電話の画像です