「うわーん うわーん うわわーん」
「うわうわって。何ですかそれ,こまちま」
「うわうわ うわ~っん! 12月のシフト表! シフト表の私の担当がー!!!」
ひょい,と覗いてみると,
「ああ,こりゃヒドイ」
綺麗に土日がつぶれてますねー。
「なんなの,なんなの! 梨花ちゃん,これ,私の希望,全然通ってないよー!」
「…まあ,ねえ,―でもこの土日は仕方ないです御免なさい」
「そこはね,まあいいの . . . 本文を読む
営業活動から戻ってきた北条さんがいうのです,「古手さん,ちょっと交渉,うまくいきませんでしたよ」。「えええ?」と私。何がどうしてどうなった。
宇宙戦艦ふれでりか
「えー,なじょんなったんです」
と状況説明を求めるワタクシ(※東北方言)。そしたら北条さんが,「ええとですね,先方さんがいうには,こっちのプログラムに反対はしないんだが,先行のシステムと連結してくれ,それが最低条件だっていうんです . . . 本文を読む
「―で,作ったメモと言うのはこれですか古手君」とボスは少しげんなりした風。
「はいそうです」と私は疲れた顔で答える。
メモに曰く,
古手・右代宮 行って現地調査
現地の人のカントク データとり
※イカしたものを選定
※チームの各方向にデータを送信
各個でファイトだよ
「ふふふ。ネットで
『いつもこの上司さんとのやり取りを聞いてると
梨花ちゃまが超やり手キャリアウーマンに見えるの
「…仕 . . . 本文を読む
連邦軍駆逐艦《サンジハル》は護衛任務で哨戒行動中だった。
「くだらん任務だ」
ナカガワ大尉は指揮卓に肘杖をついて,ひとりごちた。
海賊の脅威は現実のものではある。だが,それを避けるのはそう難しいことではない。単独行を避け,船団を組む。これに護衛艦をつければ,なおよい。
いや,船団を組むまでもないこともしばしばだ。交通の要所と言うのは,交通が頻繁なものだ。各船は相互に視線を投げ合い,相互に . . . 本文を読む
想い 想って
想い 伝えて
私はあなたの後を 追い続ける
ただそれだけでも―心満ちるの
Ep.XVII かおすで~と
「でも本当は。本当は,心満ちなどしないのよ」
「それはまた何故です古手君」
「本当は,相手してほしいのよ。自分を見てほしいのよ。自分だけを見てほしいのよ。だからその願いを叶えてくれる代償物が目の前にくると,ころっと行っちゃったりするのよねえ」
夏も翳り始めた頃。 . . . 本文を読む
「うわーん うわーん うわわーん」
「うわうわって。何ですかそれ,ちま」
「うわうわ うわ~っん! な,なにもかもちっちゃくなったー…?」
「どうしたんですちま二号機」
「? …なにか,既視感が…」
「マァよくあることですよちま二号機あまり気にすることはないのですちま二号機」
「まって梨花ちゃま,何か小声で言ってない?!」
「聞こえないことはきっと聞く必要のないことですよちま二号機」
Ep.XV . . . 本文を読む
辿りついたぞ―超獣は内心,快哉を叫んだ。逃げた,逃げ切れたんだ,俺は。カウンターで受け付けを済ませ(偽名だ),飲み物と軽食を注文して指定されたブースに沈み込む。ああ,そうだ,逃げ遂せたんだ,俺は。あいつらを騙してやった―
深く,場末の(安物の)ソファに身を沈めて―超獣は安堵のため息をついた。
―突発怪奇小説:極北からの声―
だいたい,何だと言うのかあの研究室は。超獣は思い返した。 . . . 本文を読む
工事の音が聞こえなくなって,何日経ったのだろう。クレーンのワイヤーは風に揺れるだけだ。何故だろう,何故だろう―狂おしく彼方の,建築中途の学び舎を見つめるだけの俺を,あの悪魔がまた―丼はいいが,なぜバケツを持って?―訪れたのだ。 . . . 本文を読む
「時にちょうけものズ」
カーン,コーン,ゴーン…遠くで巨大建築物を構築する,工事の音がするなか私はちょうけものズに語りかける。
「それは首輪というものです」
「言われんでもわかるわっ?! …あとちょうけものとか言うなっ!」
「とわいえ。今の君たちは『ちょうけもの』にすぎないのですよ体長180cmめ」
「なぜにっ? 設定上…」
「設定上,すげえでかいですから,ほらあちらをご覧」
…建 . . . 本文を読む
グローバルCOE! それは競争的研究資金の最たるもの! 各大学の各学部が揃って遠大な目標をでっちあgもとい設定し壮大な計画を編上げて文科省に申請,採択されれば超絶的資金がお国から降って来るのだ!
幾らだって? 触ったこともないよ関わったこともないよそんなもの。けっ。
そう…そうした個人的怨み辛みを東京ドーム3杯分くらい背負うほどの,途轍もないお金が降ってきて,専任の研究員を山と採用,研究 . . . 本文を読む
オリジナルなら三日月に座ってる。勿論,現実ではそんなことできないから―現実的には,優美な曲線を描く特製窓枠に座る,ってことになるかな。一枚きりのマントに身を包み,ちらりと見える胸元,素足は―きっとその下には,下着さえつけてない。なんて蟲惑― . . . 本文を読む