「―来たぞ,スターリンのオルガンだ! 野郎ども,頭を低くしろ! 勝手に死ぬなよ!」
中隊長が叫ぶ。
「なら,事前許可は願えますかぁっ!」と,どこかの蛸壺から叫び声が聞こえる。
「不許可だ,バカモン!」と中隊長は律儀に答えた。「そんなものの様式は定められておらん! 不受理だ!」
Episode 10:―bitter end―
何も知らない人には,勝手に死ぬなとは,無茶な命令だと思うか . . . 本文を読む
「ねえ同位体」
「なにかしら同位体」
「同行二人という言葉があるわね」
「そうね」
「この場合,どっちがどっちからしらね」
「きっとどっちかがどっちかなのよ」
「きっとそうね同位体」
「きっとそうなのよ同位体」
てくてく
てくてく
私たちはいつかたどりつくかもしれない
休暇へむかって歩み続ける
「ねえ同位体」
「なにかしら同位体」
「そういえばこの道に道案内とか道路標識とかないのか . . . 本文を読む
朝。
予定表を眺めて,一日の行動を確かめる。嗚呼なんて一般人っぽい! そして今日は,そうだ,あの素敵な花のようなお仕事ができるかもしれないな。この間,ぽっと出てきた話だけど…ボスは知らない話だけど…きっと,素敵なものになるよ。楽しみだな。
そこに電話の音。
ちりちりち「はい古手です」,電話の取り方もうまくなったわねー私。
「ああ古手君」
「ああボス」
「あの作業は進んでるかね」
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