
個人的に研究中の「練りこみ地金」ですが、様々なものを作った後、細かい端材(材料を切断した残片)が出ます。そういった端材の中にも苦労して重ねた何十何百もの異種金属層が…と考えると無駄にしたくありません。他の地金に沸かしつけて(鍛接して)継ぎ足したり様々試みました。単体で使おうとしても端材ですのであまり良い紋様が出ることはないのですが、以前テストピース(紋様の試験片)として保管していたものを知人が欲しがったことから、何か形にならないかと思い携帯ストラップを製作しました。工房を訪れるお客さんの中には、このマニアックな技法をご存知の方もいらっしゃるようで、そういった方たちにはなかなか人気があります。

ものを見るときいつも思うのが、どんなものでも自然光の下で見える姿が一番美しい、ということです。そして一番本質が見えると思います。もちろん手を抜けば手を抜いた部分も、です。練りこみ地金の紋様も、太陽の下で見ると驚くほどはっきり見えます。
キーホルダーに使いたいです。
コメントをいただきありがとうございます。かなりマニアックな感じがする小物ですが…気に入っていただけましたか?最近数点制作したので近いうちにお見せできると思います。
鋳物だと素材をほとんど無駄にしないですね。鍛冶屋の立場から考えるとうらやましい限りです。
ダマスカスって靭性って良いのかな?ガムランボールとかこの素材に金属他など象嵌できると装飾的ですよね?シルバーアクセみたいにガンガン刻印したり(硬いか;)
コメントをいただきありがとうございます。確認が遅くなってしまい大変申し訳ありませんでした。
ダマスカス(現代版)は接合(積層)する鋼材(金属素材)の種類によって様々な性質を持ちます。記事写真のものは純ニッケル/FKU(極軟鉄)の交互積層ですので靭性はあまり高いとはいえません。これに炭素鋼などの鋼が入ればまた変わると思います。海外では、鉄鋼ドリルなどに使う硬素材のダマスカスや、バイクチェーンを鍛え合わせてダマスカスにする方もいらっしゃるようです。現代の「ダマスカス」という言葉は定義の広いもののようです。鋼材の性質上で利点があるとはあまり言えないと思いますので、あくまで表面に浮かぶ紋様の装飾性が魅力となっています。一度やったことがあるのですが、
刻印を打つと面白い現象が起こります。近いうちにご紹介できればと思っています。