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職業、鍛冶手伝い。

現代の迷工、未来の虚匠

練りこみ地金(ダマスカス?)のお話

2009-09-24 18:39:19 | 私事
私の好きな技法です。複数の異なる金属素材の板材を重ね合わせて鍛錬し、それぞれの素材の性質の違いによって鍛錬した素材の表面に紋様ができます。古代の製鉄法でできた鉄に似ていることからダマスカス鋼と呼ばれる場合が多いですが、実際は復刻版ダマスカス鋼と言うべきです。その辺のお話は追々していきたいと思います。鍛錬法が日本刀の製法に似ていますが、それ(作刀のための鍛錬)とは目的が異なります。私はあくまで紋様を出すためにこの技法を研究しています。もちろん南部鉄器の伝統技術とは全く関係ないので、少ない資料と独学でようやくここまでできるようになりました。誰も教えてくれませんでした。
現代の鍛冶屋さんが使う材料のほとんどが圧延加工によって大量に製造される規格化された素材です。私は「一体鋼」と呼びます。普段の仕事ではまず一体鋼しか使いません。練りこみの場合、材料の中に異なる金属の細かい層を作るので、「複合鋼」と呼びます。練りこみ地金を作る方法は古代の製鉄方法に似ていて、素材との対話に真剣味が増します。一体鋼を鍛造する面白さと複合材のそれとは全く別物です。林檎と梨どちらが好きか選べないように、どちらにも大きな魅力があります。
練りこみの一番の魅力は出来上がった作品の生命感です。全く同じ紋様は2度と出すことはできません。また、練りこみの紋様は表面だけではなく異なる素材が積層されているので内部にまで存在します。「モノ」の内包する部分が表面に現れることもまた大きな魅力です。
一体鋼だけではなく、今後も練りこみによる作品を展開していく予定です。

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