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備忘録

そりゃメモ書きにきまってるさ

科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか

2014年02月28日 | 科学
2006 中央公論新社酒井 邦嘉


 ポアンカレ仮説を証明したロシアの数学者は、今では、隠遁生活をしていて、公の場には出てこなくなった。
 科学者という仕事では、アイデアをしかるべき手続きを経て公表しなくてはならないが、件の数学者は、ネット上にぽんと乗っけておしまいだったという。
 それを見つけた人が、証明の正しさを知って大騒ぎになったという。
 仕事には二つの面があって、暮らしのたつきとしての側面と趣味の面である。
 とはいっても、ただの娯楽としての趣味ではなく、骨身を削って行う類の趣味なのである。科学研究は。
 ゆえに、それ相応の名誉を求める者も出てきておかしくなく、それが研究の行方を左右するのは、どこにでもある人間ドラマでしょうね。
 そういう情念に突き動かされて進展がもたらされる場合もあるでしょうし、それが阻害要因になることもあっておかしくない。
 何か無機質で無色無臭なものではないということが、具体的な事例を紹介しながら述べられている。
 けれども、無色無臭なものであるほうが、抵抗が少なく、そのブンムダで無用なエネルギーが浪費されないのではないか。
 そういう無駄なエネルギーへのわずらわしさが、ロシアの数学者を隠遁生活に追い立ててしまったのかもしれない。

 ま、あたしは科学者じゃないけれど、あれこれ考えるのは好き。
でも、それを発表する気はないし、しろといわれても困るし、別にそれほどの値打ちのあることでもない。ロシアの数学者みたく、価値のあるアイデアも、発表されない限りは、なかったに等しいのなら、もしかしたら何百年も前に今の科学技術に匹敵するアイデアを持っていた人がいたかもしれない。
 
 むしろ公表されなかった、ものすごいアイデアがあったのかもしれないという妄想をめぐらせることが出来て楽しかった。ppp


商品の説明
出版社/著者からの内容紹介
科学者たちが残してくれた真理を鋭く突くことばを手がかりに、科学研究、そして科学者について考えてみよう。サイエンスの現場からの招待状。



内容(「BOOK」データベースより)
多くの研究者には、共通した考え方や真理に対する独特のこだわりがある。アインシュタイン、ニュートン、チョムスキー、朝永振一郎、キュリー夫人らが残してくれた、真理を鋭く突き、そして美しい言葉を手がかりに、独創性がどのように生まれるかを考えてみよう。科学者という仕事を通して科学研究の本質に触れることは、「人間の知」への理解を深めることにつながるだろう。第一線の研究者によるサイエンスへの招待。



内容(「MARC」データベースより)
科学者という仕事を通して科学研究の本質に触れることは「人間の知」への理解を深める。科学者たちが残してくれた、真理を鋭く突くことばを手がかりに、科学研究、科学者について考えてみよう。サイエンスの現場からの招待。



著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
酒井 邦嘉
1964年(昭和39年)、東京に生まれる。87年、東京大学理学部物理学科卒業。92年、同大大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。同年、同大医学部助手。95年、ハーヴァード大学医学部リサーチフェロー。MIT言語・哲学科訪問研究員を経て、東京大学大学院総合文化研究科助教授。第56回毎日出版文化賞、第19回塚原仲晃記念賞受賞


生き物をめぐる4つの「なぜ」

2014年02月28日 | 科学
2002 集英社長谷川 真理子


 山田風太郎の四分の一幸徳秋水は、幸徳秋水を4つの面から描いていてもんのすごくおかしかった記憶があるけれど、生物の専門家も同じようなことを考えるものなのねppp
 生物の場合、生き残り、繁殖戦略が究極の目的であるかのように捉えているのも幸徳秋水同様、人間なのだから、その味方からしてかなり怪しいと疑ってかからなくっちゃねppp
 人間は、生き残りを究極目的としていないかのような捉え方は、松井さんもそうだったけど、ほんとうにそうなのかしら?
 他の生き物たちも存在理由を知ろうとしているかもしれない。ただし、フローな環境を保持しながら。人は愚かにも存立基盤を崩落させずには存在理由を探求できない生物かもしれない。
 でも、4つのなぜっていう問の立て方は、他にもいろいろ使えるかもだぽppp


商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
発光生物は何のために光るのか。雄と雌はなぜあるのか。角や牙はどう進化したのか…。生物の不思議な特徴について、オランダの動物行動学者ニコ・ティンバーゲンは、四つの「なぜ」に答えなければならないと考えた。それがどのような仕組みであり(至近要因)、どんな機能をもっていて(究極要因)、生物の成長に従いどう獲得され(発達要因)、どんな進化を経てきたのか(系統進化要因)の四つの要因である。これらの問いに、それぞれ異なる解答を用意しなければならない。本書は、雌雄の別、鳥のさえずり、鳥の渡り、親による子の世話、生物発光、角や牙、ヒトの道徳という、生物の持つ不思議な特徴について、これら四つの要因から読み解くことを試みる。知的好奇心あふれる動物行動学入門。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
長谷川 真理子
東京生まれ。東京大学理学部卒。同大学大学院理学研究科博士課程修了。早稲田大学政経学部教授。専門は動物行動学、行動生態学

生物学のテーマをより広い視点でみると・・・, 2003/1/20
By paleotakkun

 この本のタイトルは『生き物をめぐる4つの「なぜ」』とありますが、これは4つの生物学的テーマについてそれぞれみていくというものではありません。レビューとしては難しいことを書くようですが、タイトルに誤解がないように説明をしておきます。K.v.フリッシュやローレンツらとともに、動物行動学を確立し、1973年にノーベル賞を受賞したN.ティンバーゲンの考えた4つの「なぜ」と言うものがあります。具体的には、「なぜ」と言う問いかけに対して、至近要因・発達(発生)要因・究極要因・系統進化(歴史)要因という4つの異なる視点からのアプローチがあるのだということです。この4つの視点から様々な生物学的問題にアプローチしてみようと言うのが本書の構成です。
 
 昨今理科離れが叫ばれていますが、まさにそのような人にこの本を読んでもらい、生物学というものの奥の深さ、そして、学校で学んでいる生物学はその一側面でしかないことを感じてほしいのです。ですから高校生はもちろん、現場にいる先生や学校で習う生物は苦手だったという一般の方に読んでもらいたい一冊で!す!!。また、これから専門的に生物を学ぼうという人にも、より広い目で物事を考えるコツをつかむために是非読んでもらいたいと思います。


生物学を学ぶ上で重要な視点を示した好著, 2008/3/31
By messer-g
「生き物」を研究すること、生物学を学ぶこと、の意味はいくつかあります。
そうした、研究や学問の一つの大きな根源は「人類」を知ることだと思います。
著者の専門は「行動生態学」であるとのことですが、生物の特徴や性質、行動の由来が「なぜ」なのか?を追究する学問であると言えるでしょう。
医療に携わる私も、この領域には深く興味を持っています。「ヒト」の行動生態学は正に、医療に直結していると考えるからです。

本の紹介にもあるように「4つのなぜ」とは
生物の性質や行動が
1.どのような仕組みであり(至近要因)→狭い意味での「生物学」
2.どんな機能をもっていて(究極要因)
3.生物の成長に従いどう獲得され(発達要因)
4.どんな進化を経てきたのか(系統進化要因)
ということであり、こうした視点から生物を研究することが重要なスタンスであることを示してくれています。

著者が最終章で「人間の道徳性」について、この生物学的手法を使って、このテーマを説き明かそうと試みていますが、
その試行の成否は別として、著者の「人間」に対する深い興味を洞察させるものです。
(そのモチベーションたるや、あたかも「恋人に裏切られた」経験があるかのようです。)
「どういう意味か?」って?それは、本書をお読みになって下さい。
大変面白かった!著者の他著も是非読んでみたくなりました。


養老孟司の旅する脳

2014年02月28日 | 科学
養老 孟司小学館 2009年3月26日


ごちそうさまでした。っていう感じの本だ。
どれも面白いので、これがあれがと言い始めたら全部抜書きすることになるから、面倒なので、買って読んじゃったほうが速いと思う歩。
子供の頃の話や割と個人的な感想が混じっていて、年をとると、昔のことを鮮明に思い出すっていうのは本当なんだなと思った次第だppp
ただ、記憶の変形が起こっているかもだがppp


商品の説明
内容紹介
養老先生、大いに語る! 旅と脳の深い関係から虫取りの効能まで、""養老哲学""が1分でわかる、ワンショット・エッセイ集。
人はなぜ旅に出るのか、""嫌う人は嫌われる""の真実、自分に合った仕事など幻想である、
勝ったほうが生き残るとは限らない、お金とは所詮は脳がつくり出した約束事、""参勤交代""という業務命令復活の提案、
君子""音楽""に近寄らず、""虫捕る体質の魂""百まで……など。
こんな時代だから読みたい、軽妙かつ深イイ話64編。JALグループ機内誌『SKYWARD』掲載の人気連載の単行本化。

内容(「BOOK」データベースより)
旅と脳の深い関係から虫捕りの効能まで1分で“養老哲学”がわかるワンショット・エッセイ。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
養老 孟司
解剖学者。1937年神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、東京大学助手・助教授を経て、解剖学第二講座教授に。1995年、東京大学を定年前に退官し、以後は北里大学教授、大正大学客員教授を歴任。現在は、東京大学名誉教授、代々木ゼミナール顧問、日本ニュース時事能力検定協会名誉会長。解剖学者としての顔のほか、文化や伝統、社会制度、言語、意識、心など人のあらゆる営みは脳という器官の構造に対応しているという“唯脳論”を提唱し、エッセイ執筆や講演活動など幅広く活躍

  心に響く言葉、当たり前だが大切なこと, 2009/4/21
By 鈴屋飯依比古 "シリウスのヘルダーリン hoelderlin on sirius" (香川県観音寺市) -

 この本の中から、「私の印象に残る10項目」を挙げてみたい。
1 人はなぜ旅に出るのか(脳内にエンドルフィンが分泌、幸福感をもたらす)
2 身体を動かすことが脳を育てる。(無意味なような遊びでもよい)
3 脳のために必要不可欠なのは睡眠時間(生き物には活動と休息のリズムが大切)
4 公職は普通なりにきっちり務める(のめりこむと、ついつい仕事を私物化する)
5 自分の考えは使い慣れた言葉で(その方が人に分かってもらい易い)
6 秩序を立てれば無秩序が待っている(石油文明の果てに温暖化)
7 都市の秩序を支える田舎という存在が大切(都会人は年3か月田舎へ参勤交代を提案)
8 論理は耳に由来する(音楽は、実は論理的なのだ)
9 分かっていることを講義されてはたまらない(授業中の教室が僕の図書室だった)
10 自分のことを広く伝えるには個性的より一般性が大事(独りよがりでどうする)



やたら読み易い, 2009/4/6
By クリスマスタイム - レビューをすべて見る

「ワンショットエッセイ」というだけに、
養老孟司さんにしては(?)大変読み易いものでした。

「嫌う人は嫌われる」
「‘自分に合った仕事’などは幻想である」
「勝った方が生き残るとは限らない」

などなど、
簡潔かつ明瞭な言葉で綴られています。
(実は『バカの壁』と同じやり方で書かれています)

読み終えることがもったいない…。


ライトな養老先生エッセイ, 2009/6/13
By tako-cyan -

ライトなエッセイです。あまり力が入っておらず、内容も平易に書かれているので
、JALの機内誌に掲載されていたものらしいですが、気軽に読むことができます。
ただ他の著作を読んでいればわかりますが主張にブレはありません。
良い意味で同じことをおっしゃっている。 それはともかく、今のご時世は
拝金・効率化などで普通の生活をしている人間というのは本当に窮屈で
希望もなくまさに経済原理主義の元、抑圧されていると言っても過言ではないでしょう。
先生のような学者は少なくとも経済には左右されない生活をされていたと思いますし
実際そういう事を著作のなかでおっしゃっています。経済原理主義が幅を利かせ過ぎの
日本のバランスを取り戻すためにもっと出版社・マスコミは学者・生活者の意見を世に出して、この日本を変えていって欲しいなと思う。



読まない力 (PHP新書)

2014年02月28日 | 科学
養老 孟司 PHP研究所 2009年2月14日


 先行き不透明なのは不安だけど、先が見えていては面白くない。お先真っ暗というのはいやだけど、闇雲に突進するのは少しバカかも。
 読まないといっても、たぶん、「先読み」ばかりしていては、特に個人レベルでそうしていると、たぶん生活を、人生を充実させられない。生きてんだかどうなんだかわかんなくなっちゃう。
 かといって、化石燃料をどんどん使い続けたら、なくなっちゃうなんてのは、ふつーに「読める」ことで、読めたら何かそれなりに手が打てるはずなのに、そういうことは読もうとしない・・・的なことも書いてあったかしら。災害対策なんかもそれ。ま、じたばたしても仕方ナイ的な部分も多いけどねppp


商品の説明
内容紹介
「言葉は意識の産物である。現代は意識優先、つまり脳化社会で、だから情報化社会になる。
人生は『意識のみ』になってしまった」……。


著者はあまり言葉を信用していない。言葉を読み過ぎず、先を読まず、
解剖学者の眼で世の中を見つめ、静かに考える。すると現代日本人が気づかない、
人間社会を取り巻くシステムが立ち現れる。
たとえば、著者は本書で以下の意味のことを述べている。
「秩序は同量の無秩序と引き換えでないと手に入らない。文明とは秩序であり、
秩序を構築する過程で同量の無秩序を生み出している。それが炭酸ガス問題、
環境問題の本質である。代替エネルギーもどうせ同じことであり、
どこかにエントロピーを増やしてしまう」。日本人がこれからどう行動するかを考える上で、
無視できない指摘ではないだろうか。

本書は月刊誌『Voice』で2002年からはじまった好評長期連載「解剖学者の眼」を
完全収録した時評集。石油問題、自衛隊のイラク派兵、靖国参拝、振り込め詐欺、オリンピック…。
日本のこの7年を振り返りつつ、普遍的な視座を提案する。

内容(「BOOK」データベースより)
「言葉は意識の産物である。現代は意識優先、つまり脳化社会で、だから情報化社会になる。人生は『意識のみ』になってしまった」…。著者はあまり言葉を信用していない。言葉を読み過ぎず、解剖学者の眼で世の中を見つめ、静かに考える。すると現代日本人が気づかない、人間社会を取り巻くシステムが立ち現れる。本書は二〇〇二年以降の日本と世界を論じた時評集。石油問題、自衛隊のイラク派兵、靖国参拝、振り込め詐欺、オリンピック…。日本人がいかに行動すべきかを考える上で示唆に富む一冊。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
養老 孟司
1937年、鎌倉市生まれ。東京大学医学部卒業後、解剖学教室に入る。95年、東京大学医学部教授を退官し、同大学名誉教授に。89年、『からだの見方』(筑摩書房)でサントリー学芸賞を受賞

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学

2014年02月28日 | 科学
1992 中央公論社本川 達雄


寿命とからだの大きさには関係があるらしい。
1年の寿命の生き物も100年のものも、しかし、生の充実感のようなものには、もしかしたら大きな違いはないのかもしれない。

体の大きさとエネルギー消費量の間には法則性がある。島の規則というのがあって、限られた食料の中では、体の大きさは大きな動物は小さく、小さな動物は大きくなるというように格差が小さくなっていくらしい。大陸の生き物は格差が大きくなる。日本のような島では、格差が少ないのが生物としては適切なのかもしれない。アメリカ式の格差社会は、この日本では、生き物としては、もしかしたらいびつなことなのかもしれない。
アメリカのように油づけで脂肪まみれな生き方ができているのは、エネルギーと食糧を他から調達しているからで、そのぶん、他に負担を強いているような気がする。



商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。本書はサイズからの発想によって動物のデザインを発見し、その動物のよって立つ論理を人間に理解可能なものにする新しい生物学入門書であり、かつ人類の将来に貴重なヒントを提供する。