2006 中央公論新社酒井 邦嘉
ポアンカレ仮説を証明したロシアの数学者は、今では、隠遁生活をしていて、公の場には出てこなくなった。
科学者という仕事では、アイデアをしかるべき手続きを経て公表しなくてはならないが、件の数学者は、ネット上にぽんと乗っけておしまいだったという。
それを見つけた人が、証明の正しさを知って大騒ぎになったという。
仕事には二つの面があって、暮らしのたつきとしての側面と趣味の面である。
とはいっても、ただの娯楽としての趣味ではなく、骨身を削って行う類の趣味なのである。科学研究は。
ゆえに、それ相応の名誉を求める者も出てきておかしくなく、それが研究の行方を左右するのは、どこにでもある人間ドラマでしょうね。
そういう情念に突き動かされて進展がもたらされる場合もあるでしょうし、それが阻害要因になることもあっておかしくない。
何か無機質で無色無臭なものではないということが、具体的な事例を紹介しながら述べられている。
けれども、無色無臭なものであるほうが、抵抗が少なく、そのブンムダで無用なエネルギーが浪費されないのではないか。
そういう無駄なエネルギーへのわずらわしさが、ロシアの数学者を隠遁生活に追い立ててしまったのかもしれない。
ま、あたしは科学者じゃないけれど、あれこれ考えるのは好き。
でも、それを発表する気はないし、しろといわれても困るし、別にそれほどの値打ちのあることでもない。ロシアの数学者みたく、価値のあるアイデアも、発表されない限りは、なかったに等しいのなら、もしかしたら何百年も前に今の科学技術に匹敵するアイデアを持っていた人がいたかもしれない。
むしろ公表されなかった、ものすごいアイデアがあったのかもしれないという妄想をめぐらせることが出来て楽しかった。ppp
商品の説明
出版社/著者からの内容紹介
科学者たちが残してくれた真理を鋭く突くことばを手がかりに、科学研究、そして科学者について考えてみよう。サイエンスの現場からの招待状。
内容(「BOOK」データベースより)
多くの研究者には、共通した考え方や真理に対する独特のこだわりがある。アインシュタイン、ニュートン、チョムスキー、朝永振一郎、キュリー夫人らが残してくれた、真理を鋭く突き、そして美しい言葉を手がかりに、独創性がどのように生まれるかを考えてみよう。科学者という仕事を通して科学研究の本質に触れることは、「人間の知」への理解を深めることにつながるだろう。第一線の研究者によるサイエンスへの招待。
内容(「MARC」データベースより)
科学者という仕事を通して科学研究の本質に触れることは「人間の知」への理解を深める。科学者たちが残してくれた、真理を鋭く突くことばを手がかりに、科学研究、科学者について考えてみよう。サイエンスの現場からの招待。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
酒井 邦嘉
1964年(昭和39年)、東京に生まれる。87年、東京大学理学部物理学科卒業。92年、同大大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。同年、同大医学部助手。95年、ハーヴァード大学医学部リサーチフェロー。MIT言語・哲学科訪問研究員を経て、東京大学大学院総合文化研究科助教授。第56回毎日出版文化賞、第19回塚原仲晃記念賞受賞
ポアンカレ仮説を証明したロシアの数学者は、今では、隠遁生活をしていて、公の場には出てこなくなった。
科学者という仕事では、アイデアをしかるべき手続きを経て公表しなくてはならないが、件の数学者は、ネット上にぽんと乗っけておしまいだったという。
それを見つけた人が、証明の正しさを知って大騒ぎになったという。
仕事には二つの面があって、暮らしのたつきとしての側面と趣味の面である。
とはいっても、ただの娯楽としての趣味ではなく、骨身を削って行う類の趣味なのである。科学研究は。
ゆえに、それ相応の名誉を求める者も出てきておかしくなく、それが研究の行方を左右するのは、どこにでもある人間ドラマでしょうね。
そういう情念に突き動かされて進展がもたらされる場合もあるでしょうし、それが阻害要因になることもあっておかしくない。
何か無機質で無色無臭なものではないということが、具体的な事例を紹介しながら述べられている。
けれども、無色無臭なものであるほうが、抵抗が少なく、そのブンムダで無用なエネルギーが浪費されないのではないか。
そういう無駄なエネルギーへのわずらわしさが、ロシアの数学者を隠遁生活に追い立ててしまったのかもしれない。
ま、あたしは科学者じゃないけれど、あれこれ考えるのは好き。
でも、それを発表する気はないし、しろといわれても困るし、別にそれほどの値打ちのあることでもない。ロシアの数学者みたく、価値のあるアイデアも、発表されない限りは、なかったに等しいのなら、もしかしたら何百年も前に今の科学技術に匹敵するアイデアを持っていた人がいたかもしれない。
むしろ公表されなかった、ものすごいアイデアがあったのかもしれないという妄想をめぐらせることが出来て楽しかった。ppp
商品の説明
出版社/著者からの内容紹介
科学者たちが残してくれた真理を鋭く突くことばを手がかりに、科学研究、そして科学者について考えてみよう。サイエンスの現場からの招待状。
内容(「BOOK」データベースより)
多くの研究者には、共通した考え方や真理に対する独特のこだわりがある。アインシュタイン、ニュートン、チョムスキー、朝永振一郎、キュリー夫人らが残してくれた、真理を鋭く突き、そして美しい言葉を手がかりに、独創性がどのように生まれるかを考えてみよう。科学者という仕事を通して科学研究の本質に触れることは、「人間の知」への理解を深めることにつながるだろう。第一線の研究者によるサイエンスへの招待。
内容(「MARC」データベースより)
科学者という仕事を通して科学研究の本質に触れることは「人間の知」への理解を深める。科学者たちが残してくれた、真理を鋭く突くことばを手がかりに、科学研究、科学者について考えてみよう。サイエンスの現場からの招待。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
酒井 邦嘉
1964年(昭和39年)、東京に生まれる。87年、東京大学理学部物理学科卒業。92年、同大大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。同年、同大医学部助手。95年、ハーヴァード大学医学部リサーチフェロー。MIT言語・哲学科訪問研究員を経て、東京大学大学院総合文化研究科助教授。第56回毎日出版文化賞、第19回塚原仲晃記念賞受賞