1999

~外れた予言~

忍者の少女封印(15)

2007-03-29 11:33:35 | Weblog

少女は自宅の自室で、
両手で両膝を抱えて丸くなって座っていた。
壁に腰を接して小さく縮こまっている。

とにかくボンヤリとしていた。
脱力しきっていた。
もう何もやる気が起こらない。

何日か学校も休んでいた。
退院後、まだ体調が回復しないという理由で。
実際いまは学校どころではない。


バサッ。

何かの物音がした。
机から何かが落ちた音だ。

少女が座っているすぐそばに机があった。
その机からノートが一冊床に落ちたようだ。
少女はなんとなく無意識に、
その、バサッと落ちたノートに目をやった。

ノートはページが開いていた。
そして、
ページ一杯にいろいろと書いてある。


少女はふと思い出した。
あのノートは確か、
入院直前に買ったノートなのでまだ使ってないはずだ。

まだ一度も使っていない。
まだ何も書いていない。

すべてのページが白紙のはずだった。
その白紙のはずのノートの開いたページに、
びっしりと何かが書いてある。


脱力しきって動く気力もなかったはずの少女は、
まるで吸い寄せられるかのように、
そのノートに四つん這いで近づいていった。

ノートを手にしてみた。
確かに字がたくさん書いてある。
それは、
明らかに少女の字ではなかった。

買ったばかりでまだ一度も使っていない、
すべてが白紙のはずの自分のノートに、
自分以外の誰かの字で、
ページ一杯に何かがびっしりと書き込んである。


パラパラとノートをめくってみた。
すると、
すべてのページにたくさん字が書いてあった。

何かの日記のようだ。
自分ではないほかの誰かが書いた日記のようだ。

それもひとりではない。
パラパラとノートをめくっていくと、
いろいろな違った人たちの字が書いてあった。

まるで日記の寄せ書きのようだ。
何人もの人が、
一冊のノートに日記を順番に書いたかのようだ。

ノートはすべて白紙のはずなのに!


少女は直感した。
脳の中で何かが広がった。一瞬でわかった。

これは・・・
私が殺した人たちの日記だ・・・

この前大勢で攻めてきた誰か・・・
きっとあの時の人たちの字・・・
あの人たちが生きていた頃に書いた日記・・・


少女は読むのが怖かった。
読んだらいけないとわかっていた。
それでも目はノートに釘付けになっていた。

開いたノートから目が離れない。

少女は、白紙のはずのノートに書き込まれている、
多くの人たちの日記を、
ブルブルと震えながら読み始めた。