2024年8月17日、和泉市久保惣記念美術館で六十余州名所図会―広重と巡る日本の風景―展に行ってきました。
先日あべのハルカスで広重展で歌川広重展を見て参りました。調べるとこちらの美術館でも広重展を行っている、とのことが分かりましたので、行って参りました。
和泉市久保惣記念美術館はこんなところ。
和泉市久保惣記念美術館
和泉市久保惣記念美術館は、昭和57年に開館した和泉市立の美術館です。日本と中国の絵画、書、工芸品など東洋古美術を主に約11,000点を所蔵し、所蔵品をいかした年5回の企画...
展覧会案内
南海電鉄天下茶屋駅から南海高野線急行で和泉中央駅で下車。
南海電鉄と泉北高速鉄道が乗り入れているのですね。


近在の関西方面の鉄道むすめさんたちが終結していました。
ここからバスで20分くらい、和泉市久保惣記念美術館が見えてきました。


外観は日本家屋風ですが、中は近代的美術館の感じでした。
中に入りますとJAF割引で100円値引き、400円という破格の安さ。しかもスマートフォンならば撮影可。
ありがたいことです。

緑色のトンボがいました。

後で調べたらハグロトンボさん、絶滅危惧種だそうです。
美術館の中は狭く長い道が伸びていて、目指すべき本館へなかなか行けません。
それでも日本庭園の脇を進むと、建物がありました。

新1,000円札の裏面に描かれた富嶽三十六景神奈川沖裏が大きく張り出されていました。
あ、今日は北斎ではなく広重さんメインなんですよ(笑)

これです、これ。

こういう目録があると、しかも現代の私たちでも読めるレベルであれば、助かりますし、嬉しいものです。
では一部だけ撮影してきましたのでご紹介。

安房、小湊内浦。
八犬伝でも出て来る場所です、日蓮さんの生まれた家に建った誕生寺近辺。
広重は実際に取材(?)に房総を訪れているんですって。

江戸、浅草市。
五重塔と歳の市で賑わう浅草。

駿河、三保の松原。
富士山がありますね、そりゃそうと天女の羽衣はどこかいな?
ちなみ天女の羽衣伝説の同系のお話が、日本国内でも7、8か所あります。
男性って、女性の服を隠して無理強いをしちゃうどうしようもない生き物らしいです、昔から。

伊勢、朝熊山峠の茶屋。
昭和30年代までお茶屋さんが現存してたそうです。

伊賀、上野。
西に小さく伊賀上野城が描かれております。

摂津、住吉出見の浜。
住吉大社辺りの浜から出向する船たち。

山城、嵐山渡月橋。
春に桜が満開の渡月橋は、昔も今も人が多く賑わっています。

常陸、鹿島大神宮。
武と鹿の神社、鹿島神宮。
昔は海に面していたのでしょうか。

近江、琵琶湖石山寺。
どこが石山寺なのか見当もつきませんが、お月さんと雁、三上山、瀬田の橋と描かれています。
渋いなあ。

美濃、養老の滝。
名古屋に住んでたころ見に行ってきました。こんなに太い滝ではなかったと思うのですが。

信濃、更科田毎月鏡台山。
棚田に月がいっぱい、田毎の月、です。
現在はJR姨捨駅があり、そこから見える風景をJR三大車窓と言います。

上野、榛名山雪中。
榛名山は一度上まで登ったことがあるのですが、ロープウェイを使いました。こんなに雪が降るんですね。
赤いお堂と橋が鮮烈です。

陸奥、松島風景富山眺望の略図。
松島や ああ松島や 松島や の場所です。

越後、親不知。
大きい波が来ると、旅人が逃げられずに海へ流されてしまう怖ーい場所です。
道が狭そう。

佐渡、金山。
祝、世界遺産登録ですね。

丹波、鐘坂。
タイトルのすぐ左に見えるのが、鬼の架け橋。大江山の鬼が掛けたそうです。
大江山、季節が良くなったら登ってみようと思っております。

丹後、天橋立。
ここは説明はいらないですね。

出雲、大社ほとほとの図。
正月十四日に子供たちが、「ほとほと」と言って近在を回り、お金やお菓子をもらいます。
ハロウィンのトリックオアトリート的な感じです。
にしても大社を描かず、この様な正月風景を題材にしたのは何なんでしょうね。
左のグループが霧に隠れていて幻想的。

美作、山伏谷。
旅は大変。追剥ぎも盗賊も現れそうですし、強風で蓑も笠も飛んじゃうのですから。

安芸、厳島祭礼の図。
こちらも説明不要。厳島の海上でのお祭りです。
鹿はおりませんね。あ、これで日本三景をコンプリートしてます!!

周防、岩国錦帯橋。
先日行ってきたばかりです。右奥が岩国城のあった山だと思うんですが、当然お城はありません。
一国一城令で破却されていますからね。
別途葛飾北斎の描いた錦帯橋には、岩国城が描かれているのですよ。
おかしいなあ、山には城がないはずなのに。
美しさ | 錦帯橋~世界遺産をめざして!~
こちらで葛飾北斎の錦帯橋を見てみて下さいな。

阿波、鳴門の風波。
実際の渦潮はもう少し穏やかに見えました。左の波が、北斎の神奈川沖浪裏と似てませんか?
上部には船の影が見えます、漁船か観光船か、どっちでしょうね。

讃岐、象頭山。
中腹に見えるは金毘羅山。旅人たちは金毘羅山へお参りに行くのでしょうか。

伊予、西条。
この絵の左には立派なお城が見えます。
しかし3万石の小藩だったためか、当時は西条陣屋と呼ばれる藩庁が置かれていました。
こんなに大きくないと思うのですよねえ。

大隅、桜島。
薩摩ではないのですね。広重は別途、薩摩を題材に、坊ノ浦双剣石を描いていました。
でも私なんかは桜島は薩摩、というイメージがあり、違和感を感じてしまいました。

対馬、海岸夕晴。
大きな虹が架かっています。海の向こうは朝鮮半島だそうです。
俯瞰気味に良く描いていますね、広重さん、行ったのかしら。無理っぽいですけど。
以上広重の群青を堪能してきました。

他にも北斎の富嶽三十六景神奈川沖裏を題材に版画の仕組みの説明や、古代中国関連の青銅の酒器、銅鏡、世界の古地図などが展示されていました。
これで今年の夏休みはほぼ終わりです(´・ω・`)
でわ、家路につきますよ。