ちうわけで、今回はかなり久しぶりの「調査捕鯨」ネタ(謎)。
去年3月、国際司法裁判所(ICC)は日本の南極海「調査捕鯨」を違法と判断し、去年分の南極海「調査捕鯨」は中止となった。
しかし、日本政府は全然さっぱり反省するどころか、性懲りもなく南極海「調査捕鯨」再開にこだわっている。
そんな日本政府の姿勢は、今年7月7日に開かれた参議院農林水産委員会でも垣間見ることができる。
・第189回 参議院 農林水産委員会(2015年7月7日 kokkai.ndl.go.jp)
問題の場面は、古賀 友一郎(Yu-ichiro KOGA)議員が本川 一善(Kazuyoshi HONNKAWA)水産庁長官に対し、今後の南極海「調査捕鯨」再開に関する見通しとかについて質問した部分。
以下、2015年7月7日分kokkai.ndl.go.jp『第189回 参議院 農林水産委員会』からその部分を長くなるけど(略)
---- 以下引用 ----
(中略)
○古賀 友一郎君 それでは、次のテーマに移りたいと思います。次は、捕鯨問題についてお伺いをいたします。
先月、政府は、アメリカ・サンディエゴで開催されましたIWC、国際捕鯨委員会科学委員会の検討結果を発表をいたしました。これは、昨年三月、国際司法裁判所の判決で、我が国が南極海での調査捕鯨停止を命じられたところでありますけれども、それを受けまして我が国が新たに策定した新南極海鯨類科学調査計画案に対してIWC科学委員会が検討をした結果ということであります。
その報告書によりますと、我が国が行った調査捕鯨の必要性を立証するための追加作業について、その意義を認めつつも不完全だと指摘を受けておりまして、結局、日本の調査捕鯨再開について正当化されないという意見と延期する理由はないという意見の両論が併記をされたということであります。
これを受けまして、政府は科学委員会の主な指摘事項について必要な作業を継続していく方針であると聞いておりまして、できる限り誠実に対応していこうという政府の姿勢も私支持いたしますけれども、一方で、このIWCの状況を見ておりますと、捕鯨反対国というのは果たして道理が通用する相手なのかどうかということも疑わしく思えてくるわけでございます。
そこで、まず伺いたいことでありますけれども、この科学委員会の指摘事項に対して誠実に回答していったとして、果たして意見の一致を見ることができるのかどうかということでありますが、この辺の政府の見通しをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(本川 一善君) 我が国は、これまでもIWC科学委員会とあらゆる場を捉えて、新しい計画案について相手国、関係国の理解を得るために丁寧に説明を行ってきたところであります。
御指摘のように、先般の科学委員会におきましては、追加的な作業が必要であるといったような指摘事項を受けまして、私どもとして、国際法及び科学の観点から必要な作業、検討を誠実に継続してまいりたいと思っております。一方で、このような対応に対しても更なる指摘あるいは反対意見が出てくる可能性は決して否定できないところでございます。
いずれにしましても、私どもとして、我が国としてでき得る努力を継続し、調査計画の内容などの最終化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○古賀 友一郎君 ありがとうございました。
現時点においてはその宿題を一生懸命やるということに尽きるんだと思います。
それはそのとおりだと思いますけれども、なかなか客観情勢は私はどうかなというふうに感じております。
そこで、もう一個伺っておきたいのがこの科学委員会での検討結果でありますけれども、これは来年九月開催が予定されておりますIWCの本委員会に報告されるというふうに思うわけでありますが、今後どういうふうに取り扱われるのかということであります。
その科学委員会の報告を受けて、IWCとして我が国に拘束力のある何らかの意思決定を行うことになるんでしょうか。
これ、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府参考人(本川 一善君) 今年のIWC科学委員会の検討結果につきましては、科学委員会報告書として採択をされております。
その内容及びこれを受けた我が国の対応につきましては、来年開催予定のIWC科学委員会及び本委員会において議論がされるということになっております。
こうした中、現時点では、来年のIWC本委員会で昨年のニュージーランド決議のような調査捕鯨の実施を制限する内容の新たな決議が採択される可能性は否定できないわけでございます。
こうした決議そのものには法的拘束力はありませんけれども、我が国としては、国際法と科学的根拠に基づいた調査計画案を策定すべく、引き続き国際社会の理解を得るように一層努力していきたいというふうに思っております。
○古賀 友一郎君 さきのニュージーランド決議のようなものはあり得るかもしれないけれども、我が国を拘束するようなものはないんだろうというような見通しでございました。
さはさりながら、当面、我が国としてはこの宿題にしっかり取り組むということは、それはそれでいいと思うんでありますけれども、ただ、それはいつまでも意見がまとまらないということも、これは十分可能性としてはあり得ますし、かといって、今おっしゃったように、何らか白黒を付けるような、そういった場面が今後あるとも思えないというわけでございまして、そうなりますと、今年度中の再開を目指している我が国としては、どこかでこれは決断をしていかなければならない、そういうことも十分あり得るんだと思います。
要するところ、このIWC条約の八条一項の権利を行使するということでございますけれども、そういうこともこれは十分考えておかねばならないのだと、このように思います。
仮に我が国がその八条一項の権利を行使したということになりますと、恐らくは、反捕鯨国としては、本委員会の勧告まで調査捕鯨を再開しないようこのニュージーランド決議で要請をしているわけでありますから、抗議活動を展開するということもこれは考えられるわけでございまして、その場合、我が国としてはこのニュージーランド決議の不当性を訴えて応戦をしなければならないということになろうと思います。
ところが、このニュージーランド決議に対する我が国の現状のコメントでありますけれども、これは資料の六ページに載せておきましたけれども、締約国政府の特別許可の発給の権利を制限しようとしていると[おまけ参照]。
ちょっとこれ一見して、いかにも弱いといいますか、分かりにくいといいますか、訴求力に欠けるといいますか、ちょっと弱々しい感じがするのは恐らく私だけではないのではないかと思いますけれども、私は、内外のマスコミを始めとする国際世論にこの問題、強く、そして分かりやすく、しかも簡潔に訴えることのできるような、そういう訴え方をしていかなければならないと、このように思っております。
そうした観点から、私はこのニュージーランド決議に対する政府のコメントは少しちょっと弱いんじゃないかなと、このように考えております。
例えば、この決議というのは締約国に保障された権利を形骸化させようとしているんだ、そして実質的にこれは条約に反している決議ではないかと、こういうふうな訴え、毅然とした主張も私はしていっていいんだと、このように思っております。
この点について、当面は宿題に取り組むということでいいと思いますけれども、この辺のコメントをちょっとやっぱりもう少し毅然としたものに考え直していくということについて、これは政治判断でございますので、林大臣にこの辺の御見解をいただければと思います。
○国務大臣(林 芳正君) 今御指摘のありましたこの決議ですが、特別許可発給に係る締約国の一定の裁量、これは今御指摘のあった八条ですが、これが国際捕鯨取締条約で認められております。
また、昨年の三月の国際司法裁判所判決にも同様の趣旨があるわけでございますので、我々としては、この決議は国際捕鯨取締条約上の規定、また国際司法裁判所の昨年の三月の判決とは相入れない内容であると、こういうふうに認識をしておりまして、それゆえに反対票を投じさせていただいたと、こういうふうに考えておりますので、この考え方を国内外に正しく理解してもらうためにしっかりと発信をして努力を続けていきたいと思っております。
○古賀 友一郎君 ありがとうございました。
相入れない、この表現って非常に重要だと思います。
今の政府のコメントは、相入れないという雰囲気が出てこないんですね。
私は、これは今後情報戦になっていくと思っております。
幾ら我が国が筋の通った説明を長々としても、結局、決議違反という分かりやすいフレーズが世界を席巻して、日本だけが悪者になって、まさに無理が通れば道理が引っ込むと、こういった事態になるのを一番懸念をいたしております。
したがって、そうならないように、相反するんだということ、これは政府としての統一見解になると思いますので、水産庁だけではなくて、農水省だけではなくて、外務省も大きく関わってくると思いますので、やはりその辺の、強く分かりやすく簡潔なメッセージを出せるように是非政府としても御努力をいただきたいと、このように思います。
(以下略)
---- 引用以上 ----
古賀議員の、「捕鯨反対国というのは果たして道理が通用する相手なのかどうか云々」という発言も相当アレだが・・・。
古賀議員が強調する科学委員会における「両論が併記云々」という成果については、大いに疑問が残るものだったり。
この辺りについては、真田 康弘(Yasuhiro SANADA)氏が見事な突っ込みを入れていた。
・日本の新調査捕鯨計画(NEWREP-A)とIWC科学委員会報告(2015年8月1日 ika-net.jp)
以下、2015年8月1日分ika-net.jp『日本の~』から序盤部分を(略)
---- 以下引用 ----
2014年2月、国際捕鯨委員会(IWC)科学委員会の下に設けられた専門家パネルは、日本の南極海での新調査計画「New Scientific Whale Research Program in the Antarctic Ocean: NEWREP-A」について「捕獲が必要と立証できていない」と明確に否定するという極めて画期的な判断を下した。
2015年5月から6月にかけて米国サンディエゴ開催されたIWC科学委員会は、日本の新調査捕鯨計画や現行の北太平洋での調査捕鯨に対する検討が最大の目玉となったが、多くの部分において科学委メンバーの間でのコンセンサスが得られず、両論併記とされる記述が目立った。
専門家パネルでは調査計画を提案した日本側がメンバーからは外れていた一方、科学委員会自体では日本政府から派遣されている代表がメンバーに含まれており、日本側が頑強に抵抗すれば両論併記にならざるを得ないという科学委員会の従来の機能不全がまたもや繰り返された側面があることは否めない。
しかしながら、同科学委員会では致死的調査が必要かどうかが説明が不十分であることを日本側が認めざるを得ない状況に追い込まれたという重要な成果も得られている。
(以下略)
---- 引用以上 ----
いつも通りにゴネる日本政府というオチ。
それを無視して「両論を併記云々」を強調する古賀議員が、そこに至るまでにどういう思考を繰り広げたのか非常に興味深い(謎)。
(ちなみに、さっき引用したika-net.jpの記事で、真田氏は日本政府が提出した南極海「調査捕鯨」計画や北西太平洋での「調査捕鯨」(JARPNII)についても厳しい見通しを示している。ネタバレになるのでここでは紹介しない)。
つか、情報戦云々の下りで口に含んだコーヒーを吹いたのは俺だけ?
結局の所、日本政府の見解を一方的に喧伝する(相手側の反応は一切無視する)つもりじゃね~の?
まぁ、反応が悪ければ「反捕鯨国は道理が通じない云々」と言い張るだけなんだろうけど・・・。
そもそも、こういう情報戦とやらは、日本政府による「調査捕鯨」推進に関する実績作りという側面が強いわけで。
それを踏まえると、喧伝する内容の質や効果に関してはあまり気にしてないのかもしれない。
下手すると、日本政府は情報戦に勝てない状況が続いて欲しいとすら願っているレベルで・・・。
それにしても。
いつまで日本政府は「調査捕鯨」に関して墓穴を掘り続けるのやら・・・。
おまけ:去年のIWC総会の結果に関する水産庁の見解。
・「国際捕鯨委員会(IWC)第65回会合」の結果について(2014年9月19日 jfa.maff.go.jp)
参考までに、2014年9月19日分jfa.maf.go.jp『「国際捕鯨委員会(IWC)第65回会合」~』からニュージーランド政府の決議案に関するコメント部分を(略)
---- 以下引用 ----
(中略)
(7)ニュージーランド提案
ニュージーランドが提案したIWC本委員会(隔年開催のため、次回は 2016年開催)が検討するまで捕獲調査の許可を発給しないよう勧告する決議案が投票に付され、採択されました。
採決の結果:賛成35票、反対20票(棄権5票)
(採択には過半数の賛成票が必要)
この結果を受け、我が国は、決議は締約国政府の特別許可の発給の権利を制限しようとしていると指摘し、国際司法裁判所の判決を踏まえた新たな南極海鯨類捕獲調査を2015年度から実施すべく、そのための取組みを着実に進めていくこと、我が国の取組みは、国際捕鯨取締条約(ICRW)の規定に完全に合致した国際法及び科学的根拠に基づくものであることを説明しました。
(以下略)
---- 引用以上 ----
これまでの日本政府の「調査捕鯨」に対する姿勢を踏まえると、日本政府に「調査捕鯨」に関する特別許可の発給権利を認めるのは危険、と思われても仕方ないんじゃ?
去年3月、国際司法裁判所(ICC)は日本の南極海「調査捕鯨」を違法と判断し、去年分の南極海「調査捕鯨」は中止となった。
しかし、日本政府は全然さっぱり反省するどころか、性懲りもなく南極海「調査捕鯨」再開にこだわっている。
そんな日本政府の姿勢は、今年7月7日に開かれた参議院農林水産委員会でも垣間見ることができる。
・第189回 参議院 農林水産委員会(2015年7月7日 kokkai.ndl.go.jp)
問題の場面は、古賀 友一郎(Yu-ichiro KOGA)議員が本川 一善(Kazuyoshi HONNKAWA)水産庁長官に対し、今後の南極海「調査捕鯨」再開に関する見通しとかについて質問した部分。
以下、2015年7月7日分kokkai.ndl.go.jp『第189回 参議院 農林水産委員会』からその部分を長くなるけど(略)
---- 以下引用 ----
(中略)
○古賀 友一郎君 それでは、次のテーマに移りたいと思います。次は、捕鯨問題についてお伺いをいたします。
先月、政府は、アメリカ・サンディエゴで開催されましたIWC、国際捕鯨委員会科学委員会の検討結果を発表をいたしました。これは、昨年三月、国際司法裁判所の判決で、我が国が南極海での調査捕鯨停止を命じられたところでありますけれども、それを受けまして我が国が新たに策定した新南極海鯨類科学調査計画案に対してIWC科学委員会が検討をした結果ということであります。
その報告書によりますと、我が国が行った調査捕鯨の必要性を立証するための追加作業について、その意義を認めつつも不完全だと指摘を受けておりまして、結局、日本の調査捕鯨再開について正当化されないという意見と延期する理由はないという意見の両論が併記をされたということであります。
これを受けまして、政府は科学委員会の主な指摘事項について必要な作業を継続していく方針であると聞いておりまして、できる限り誠実に対応していこうという政府の姿勢も私支持いたしますけれども、一方で、このIWCの状況を見ておりますと、捕鯨反対国というのは果たして道理が通用する相手なのかどうかということも疑わしく思えてくるわけでございます。
そこで、まず伺いたいことでありますけれども、この科学委員会の指摘事項に対して誠実に回答していったとして、果たして意見の一致を見ることができるのかどうかということでありますが、この辺の政府の見通しをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(本川 一善君) 我が国は、これまでもIWC科学委員会とあらゆる場を捉えて、新しい計画案について相手国、関係国の理解を得るために丁寧に説明を行ってきたところであります。
御指摘のように、先般の科学委員会におきましては、追加的な作業が必要であるといったような指摘事項を受けまして、私どもとして、国際法及び科学の観点から必要な作業、検討を誠実に継続してまいりたいと思っております。一方で、このような対応に対しても更なる指摘あるいは反対意見が出てくる可能性は決して否定できないところでございます。
いずれにしましても、私どもとして、我が国としてでき得る努力を継続し、調査計画の内容などの最終化を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○古賀 友一郎君 ありがとうございました。
現時点においてはその宿題を一生懸命やるということに尽きるんだと思います。
それはそのとおりだと思いますけれども、なかなか客観情勢は私はどうかなというふうに感じております。
そこで、もう一個伺っておきたいのがこの科学委員会での検討結果でありますけれども、これは来年九月開催が予定されておりますIWCの本委員会に報告されるというふうに思うわけでありますが、今後どういうふうに取り扱われるのかということであります。
その科学委員会の報告を受けて、IWCとして我が国に拘束力のある何らかの意思決定を行うことになるんでしょうか。
これ、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府参考人(本川 一善君) 今年のIWC科学委員会の検討結果につきましては、科学委員会報告書として採択をされております。
その内容及びこれを受けた我が国の対応につきましては、来年開催予定のIWC科学委員会及び本委員会において議論がされるということになっております。
こうした中、現時点では、来年のIWC本委員会で昨年のニュージーランド決議のような調査捕鯨の実施を制限する内容の新たな決議が採択される可能性は否定できないわけでございます。
こうした決議そのものには法的拘束力はありませんけれども、我が国としては、国際法と科学的根拠に基づいた調査計画案を策定すべく、引き続き国際社会の理解を得るように一層努力していきたいというふうに思っております。
○古賀 友一郎君 さきのニュージーランド決議のようなものはあり得るかもしれないけれども、我が国を拘束するようなものはないんだろうというような見通しでございました。
さはさりながら、当面、我が国としてはこの宿題にしっかり取り組むということは、それはそれでいいと思うんでありますけれども、ただ、それはいつまでも意見がまとまらないということも、これは十分可能性としてはあり得ますし、かといって、今おっしゃったように、何らか白黒を付けるような、そういった場面が今後あるとも思えないというわけでございまして、そうなりますと、今年度中の再開を目指している我が国としては、どこかでこれは決断をしていかなければならない、そういうことも十分あり得るんだと思います。
要するところ、このIWC条約の八条一項の権利を行使するということでございますけれども、そういうこともこれは十分考えておかねばならないのだと、このように思います。
仮に我が国がその八条一項の権利を行使したということになりますと、恐らくは、反捕鯨国としては、本委員会の勧告まで調査捕鯨を再開しないようこのニュージーランド決議で要請をしているわけでありますから、抗議活動を展開するということもこれは考えられるわけでございまして、その場合、我が国としてはこのニュージーランド決議の不当性を訴えて応戦をしなければならないということになろうと思います。
ところが、このニュージーランド決議に対する我が国の現状のコメントでありますけれども、これは資料の六ページに載せておきましたけれども、締約国政府の特別許可の発給の権利を制限しようとしていると[おまけ参照]。
ちょっとこれ一見して、いかにも弱いといいますか、分かりにくいといいますか、訴求力に欠けるといいますか、ちょっと弱々しい感じがするのは恐らく私だけではないのではないかと思いますけれども、私は、内外のマスコミを始めとする国際世論にこの問題、強く、そして分かりやすく、しかも簡潔に訴えることのできるような、そういう訴え方をしていかなければならないと、このように思っております。
そうした観点から、私はこのニュージーランド決議に対する政府のコメントは少しちょっと弱いんじゃないかなと、このように考えております。
例えば、この決議というのは締約国に保障された権利を形骸化させようとしているんだ、そして実質的にこれは条約に反している決議ではないかと、こういうふうな訴え、毅然とした主張も私はしていっていいんだと、このように思っております。
この点について、当面は宿題に取り組むということでいいと思いますけれども、この辺のコメントをちょっとやっぱりもう少し毅然としたものに考え直していくということについて、これは政治判断でございますので、林大臣にこの辺の御見解をいただければと思います。
○国務大臣(林 芳正君) 今御指摘のありましたこの決議ですが、特別許可発給に係る締約国の一定の裁量、これは今御指摘のあった八条ですが、これが国際捕鯨取締条約で認められております。
また、昨年の三月の国際司法裁判所判決にも同様の趣旨があるわけでございますので、我々としては、この決議は国際捕鯨取締条約上の規定、また国際司法裁判所の昨年の三月の判決とは相入れない内容であると、こういうふうに認識をしておりまして、それゆえに反対票を投じさせていただいたと、こういうふうに考えておりますので、この考え方を国内外に正しく理解してもらうためにしっかりと発信をして努力を続けていきたいと思っております。
○古賀 友一郎君 ありがとうございました。
相入れない、この表現って非常に重要だと思います。
今の政府のコメントは、相入れないという雰囲気が出てこないんですね。
私は、これは今後情報戦になっていくと思っております。
幾ら我が国が筋の通った説明を長々としても、結局、決議違反という分かりやすいフレーズが世界を席巻して、日本だけが悪者になって、まさに無理が通れば道理が引っ込むと、こういった事態になるのを一番懸念をいたしております。
したがって、そうならないように、相反するんだということ、これは政府としての統一見解になると思いますので、水産庁だけではなくて、農水省だけではなくて、外務省も大きく関わってくると思いますので、やはりその辺の、強く分かりやすく簡潔なメッセージを出せるように是非政府としても御努力をいただきたいと、このように思います。
(以下略)
---- 引用以上 ----
古賀議員の、「捕鯨反対国というのは果たして道理が通用する相手なのかどうか云々」という発言も相当アレだが・・・。
古賀議員が強調する科学委員会における「両論が併記云々」という成果については、大いに疑問が残るものだったり。
この辺りについては、真田 康弘(Yasuhiro SANADA)氏が見事な突っ込みを入れていた。
・日本の新調査捕鯨計画(NEWREP-A)とIWC科学委員会報告(2015年8月1日 ika-net.jp)
以下、2015年8月1日分ika-net.jp『日本の~』から序盤部分を(略)
---- 以下引用 ----
2014年2月、国際捕鯨委員会(IWC)科学委員会の下に設けられた専門家パネルは、日本の南極海での新調査計画「New Scientific Whale Research Program in the Antarctic Ocean: NEWREP-A」について「捕獲が必要と立証できていない」と明確に否定するという極めて画期的な判断を下した。
2015年5月から6月にかけて米国サンディエゴ開催されたIWC科学委員会は、日本の新調査捕鯨計画や現行の北太平洋での調査捕鯨に対する検討が最大の目玉となったが、多くの部分において科学委メンバーの間でのコンセンサスが得られず、両論併記とされる記述が目立った。
専門家パネルでは調査計画を提案した日本側がメンバーからは外れていた一方、科学委員会自体では日本政府から派遣されている代表がメンバーに含まれており、日本側が頑強に抵抗すれば両論併記にならざるを得ないという科学委員会の従来の機能不全がまたもや繰り返された側面があることは否めない。
しかしながら、同科学委員会では致死的調査が必要かどうかが説明が不十分であることを日本側が認めざるを得ない状況に追い込まれたという重要な成果も得られている。
(以下略)
---- 引用以上 ----
いつも通りにゴネる日本政府というオチ。
それを無視して「両論を併記云々」を強調する古賀議員が、そこに至るまでにどういう思考を繰り広げたのか非常に興味深い(謎)。
(ちなみに、さっき引用したika-net.jpの記事で、真田氏は日本政府が提出した南極海「調査捕鯨」計画や北西太平洋での「調査捕鯨」(JARPNII)についても厳しい見通しを示している。ネタバレになるのでここでは紹介しない)。
つか、情報戦云々の下りで口に含んだコーヒーを吹いたのは俺だけ?
結局の所、日本政府の見解を一方的に喧伝する(相手側の反応は一切無視する)つもりじゃね~の?
まぁ、反応が悪ければ「反捕鯨国は道理が通じない云々」と言い張るだけなんだろうけど・・・。
そもそも、こういう情報戦とやらは、日本政府による「調査捕鯨」推進に関する実績作りという側面が強いわけで。
それを踏まえると、喧伝する内容の質や効果に関してはあまり気にしてないのかもしれない。
下手すると、日本政府は情報戦に勝てない状況が続いて欲しいとすら願っているレベルで・・・。
それにしても。
いつまで日本政府は「調査捕鯨」に関して墓穴を掘り続けるのやら・・・。
おまけ:去年のIWC総会の結果に関する水産庁の見解。
・「国際捕鯨委員会(IWC)第65回会合」の結果について(2014年9月19日 jfa.maff.go.jp)
参考までに、2014年9月19日分jfa.maf.go.jp『「国際捕鯨委員会(IWC)第65回会合」~』からニュージーランド政府の決議案に関するコメント部分を(略)
---- 以下引用 ----
(中略)
(7)ニュージーランド提案
ニュージーランドが提案したIWC本委員会(隔年開催のため、次回は 2016年開催)が検討するまで捕獲調査の許可を発給しないよう勧告する決議案が投票に付され、採択されました。
採決の結果:賛成35票、反対20票(棄権5票)
(採択には過半数の賛成票が必要)
この結果を受け、我が国は、決議は締約国政府の特別許可の発給の権利を制限しようとしていると指摘し、国際司法裁判所の判決を踏まえた新たな南極海鯨類捕獲調査を2015年度から実施すべく、そのための取組みを着実に進めていくこと、我が国の取組みは、国際捕鯨取締条約(ICRW)の規定に完全に合致した国際法及び科学的根拠に基づくものであることを説明しました。
(以下略)
---- 引用以上 ----
これまでの日本政府の「調査捕鯨」に対する姿勢を踏まえると、日本政府に「調査捕鯨」に関する特別許可の発給権利を認めるのは危険、と思われても仕方ないんじゃ?