フィールズ国際特許事務所 代表弁理士ブログ

弁理士法人フィールズ国際特許事務所の代表弁理士が知財を中心に日々を綴っていきます

弁理士会研修(審査の傾向と対策)

2016-09-28 23:40:33 | 研修・セミナー

東京では昨日あたりから金木犀のいい香りがあちこちで感じられます。9月末にも関わらず蒸し暑い日が続いていますが、秋は確実に深まっているようです。

さて、本日は日本弁理士会の会員研修で黒田博道先生の「特許に関する最近の審査の傾向と対策」を受講してきました。司会の方から「進歩性の灯台」と紹介されていましたが、知る人ぞ知る著名な実務系弁理士で、ファンの方も多いと思います。研修申し込みは初日にクリックが間に合わず席取りに失敗し、今週始め(申し込み期限ギリギリ)にキャンセルに乗じてかろうじて席を確保した次第です。

本題の研修は昨今の進歩性等の知財高裁判決を踏まえ、実務上どう対策すべきか、がメインテーマでした。知財高裁判決の傾向は特許委員会や各種団体の研修・セミナーで知られていることも多かったですが、最近の審査・審判での判断が従来よりも緩くなってきたことに的を絞り、日頃の実務にどのように役立てるかについて黒田先生なりのコメントを聞けたのが大変良かったと思います。

研修では、(1)課題の重視、(2)阻害要因の考慮、(3)同一作用効果を発揮する構成を分断して引例と対比することの禁止、(4)クレーム記載の発明解釈に当たって発明の詳細な説明を参酌する傾向の4点に関連して、意見書や異議・無効審判でどのように対策すべきかについて具体的な解説がありました。特に、(3)については化学分野でも応用できるのではないか、(4)については補正や訂正ができないときの主張として有効ではないか、などの示唆がありました。また、これら4点に絡めて意見書等の例文や異議無効審判の引例調査法の説明もありました。

これまで判決の整理・検討は行ってきたが、「傾向と対策」としての整理は行っておらず、今回個人的な見解としてまとめた、とのことでした。個人的な見解とはいえ、黒田先生の考え方に触れることができ、大変有意義な研修でした。


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