教育現場の多忙を解消するために、何をしたらいいのでしょうか?
教育現場では、教科指導に加え、部活動、生徒指導や保護者対応、〇〇教育(〇〇には、環境・ICT・外国語・食・平和などいろいろ入ります)が入ってきており、教員の過労が深刻な問題です。
複雑化する社会において、教員が学ぶべきことが多すぎる中で、さらにそれを増やす方法での対処でなく、全く違うアプローチが自分は必要であると考えます。それが”仕組み化”です。
わかりやすい例えが、「じゃんけん」です。じゃんけんという”システム”を知る子どもたちは、その方法を使って平等に権利を分配することが可能です。すなわち、何かの順番を決めるのに弱肉強食に至らず、暴力的なケンカを避けて、優先順位を子どもたちだけで決めることができるわけです。仕組みにより当事者が自動的に物事を決定しているわけです。
次の例として、「ファシリテーションの学び」を取り上げてみましょう。話し合いにおいて、円滑に議論をすすめていくためにはファシリテーションスキルが必要です。この実現のために、もちろん、教員があらかじめファシリテーションのイロハを学び、使いこなせるように研修をして、生徒に教えていくというプロセスが考えられます。しかしその方式は、「新しいことが登場したら、新たに教員がスキルアップしてレベルアップし、生徒に提供する」という概念の再生産に外ならず、教員はますます多忙化してしまうわけです。
そこで、簡単なファシリテーションのルールや技法を仕組化したワークシート(例えば、平等な発言や攻撃的にならないなどのグランドルールや順番に時間を決めて発言してもらう等)が用意されており、生徒はその手順に従って意見を出していくなどを実行していけば、さほど教員の手を借りずとも学びが進んでいくわけです。
つまり、学びの自動化・仕組み化を学びの中でうまくデザインすることができれば、教員のスキルアップ研修を前提としないで進めることができるため教員の多忙化は回避でき、かつ生徒の自律的な学びが促進されていくわけです。
学び方の自動化ツールとして有効なものに慶応大学SFC井庭研究室が開発したパターンランゲージカードや、リフレクションメソッドラボのリフレクションカードなどがあります。これらのカードには使い方も明記されており、こうしたカードにより学び方を学ぶ仕組み化などをデザインすることができるので、おすすめです。