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吉野の道(2)

2009-04-10 11:27:38 | 大和し、うるわし
   今回は吉野の道を和歌(うた)によって辿ってみよう。
     
       よき人のよしとよく見て よしと言いし
             吉野よく見よ  よき人よく見

   この語呂あわせのような変な歌は、しかしながら万葉集巻一にレッキとして載っていて、天武帝が詠んだとされている。壬申の乱で大友近江朝を倒し、’大君は神にてませば、、、’の絶対王政を樹立した彼の絶頂期の歌である。しかしこの時には吉野には未だ桜はなかった!吉野の何を「よし」と詠んだのだろうか?

   時代が降って'歌書よりも軍書に哀し吉野山’といわれた南北朝の時代には蔵王権現の神木として植えられた桜木が全山を埋め尽くして美しく咲き誇っていた。
      
      ここにても雲井の桜 咲きにけり
            ただかりそめの 宿と思うに(後醍醐天皇皇子
                                宗良親王)
   
   今夜は旧暦の15日、満月が桜花爛漫の木陰を透して華やかに浮かんでいる。 中世の漂泊の歌人 西行法師は「奥の千本」に庵を結んで、こよなく吉野の桜を愛した。
      
      願わくば花のもとにて 春死なむ
             その如月の 望月のころ  (山家集)