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浄空法師説法研究

浄空法師の説法に学びながら、日本語に翻訳して紹介しています。

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平素のそなえ

2013-06-12 | 中国の古典(抜粋)

忙処不乱性、須処心神養得清。
忙処に性を乱さざらんとせば、須べからく処に心神を養い得て清かるべし。
忙しい所で平静を失わない為には、静かな所で心を清らかに養っておきなさい。

死時不動心、須生時事物看得破。
死時に心を動かさざらんとせば、須べからく生時に事物を看得て破るべし。
死に際して動揺しない為には、平素から物事の本質を見極めておきなさい。


洪自誠『菜根譚』下集26

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老子『道徳経』 第十三章

2013-01-19 | 中国の古典(抜粋)

寵辱若驚。貴大患若身。
称賛と侮辱が人の心を動揺させるのは、
その利害損得を自分の身体の事のように心配するからである。

何謂寵辱若驚。
どうして人は称賛と侮辱に動揺するのだろうか?

寵爲上、辱爲下。得之若驚、失之若驚。
称賛を善いものと考え、侮辱を悪いものと考えているから、
称賛されれば飛び上がって歓喜し、侮辱されればひどく落ち込むのである。

是謂寵辱若驚。
称賛と侮辱が人の心を動揺させるというのは、このような訳である。

何謂貴大患若身。
どうして人はそれらを自分の身体のように心配するのだろうか?

吾所以有大患者、爲吾有身。
自分に大きな心配があるのは、自分に身体があるからである。

及吾無身、吾有何患。
自分に身体が無いなら、何を心配する必要があるだろうか。

故貴以身爲天下、若可托天下。
したがって、自分の身体のように天下を貴ぶ人であれば、天下を託すことができ、

愛以身爲天下、若可寄天下。
自分の身体のように天下を愛する人であれば、天下を任せることができるのである。


老子 『道徳経』 第十三章

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独りを慎む

2012-10-22 | 中国の古典(抜粋)

道也者、不可須臾離也。可離非道也。
道なる者は、須臾(しゅゆ)も離るべからざるなり。離るべきは道に非ざるなり。
道の人はわずかな時間も(道を)離れることがない。離れているなら道の人ではない。

是故君子戒愼乎其所不睹、恐懼乎其所不聞。
是の故に君子は其の睹(み)えざる所に戒慎(かいしん)し、其の聞えざる所に恐懼(きょうく)す。
そのため君子は人に見られない所を戒め慎み、人に聞かれない所を恐れかしこまる。

莫見乎隱、莫顯乎微。
隠れたるより見(あら)わるるは莫(な)く、微(かす)かなるより顕(あきら)かなるは莫し。
隠れたところから現れないものはなく、僅かなことから明らかにならないものはない。

故君子愼其獨也。
故に君子は其の独りを慎むなり。
そのため君子は独りで過ごすときに慎しむのである。


慎独(独りを慎む) 『中庸』第一章より

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一片の氷心 玉壺に在り

2012-09-29 | 中国の古典(抜粋)

芙蓉楼送辛漸    王昌齢
芙蓉楼にて辛漸(しんぜん)を送る

寒雨連江夜入呉
寒雨 江(こう)に連なって 夜 呉に入る。
冷たい雨が揚子江に降り注ぐ中を、昨夜君を送って呉にやって来た。

平明送客楚山孤
平明 客を送れば 楚山 孤なり。
夜が明けて君を見送れば、そびえ立つ楚山の姿さえ寂しそうに見える。

洛陽親友如相問
洛陽の親友 如(も)し相問わば、
洛陽の親友が、もし私のことを尋ねたなら、

一片冰心在玉壺
一片の冰心(ひょうしん) 玉壺(ぎょくこ)に在りと。
玉の壺に浮かんだ氷のように清らかな心境でいると、そうお伝え下さい。


(参考:『中国名詩選』松枝茂夫・編/岩波書店)

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独り其の身を善くす

2012-09-26 | 中国の古典(抜粋)

窮則独善其身,
窮すれば則ち独り其の身を善くし、
困窮の中にあってはただ自分を善く修養し、

達則兼善天下。
達すれば則ち兼ねて天下を善くす。
栄達したなら天下の人々をも善くしたのである。

(『孟子』尽心より抜粋)


このような時こそ、静かに自学自習です。

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周敦頤 「愛蓮説」

2012-07-29 | 中国の古典(抜粋)

儒学者・周敦頤(しゅう とんい/1017-1073年)は、
北宋時代の理学の創始者であり、「太極図説」や「愛蓮説」で広く知られています。

また周恩来や魯迅(周樹人)の先祖とも言われています。
(詳細は分かりません。関心のある方は各自お調べ下さい)

「愛蓮説」は、蓮の花が泥から出て泥に染まらない高潔さをたたえながら、
華美なものばかりを賛美する当時の世相を風刺したものです。


愛蓮説 (蓮を愛するの説) 周敦頤

水陸草木之花,可愛者甚蕃。
水陸草木の花、愛すべき者甚だ蕃(おお)し。
山海の草木には愛すべきものが甚だ多く、

晋陶淵明独愛菊;
晋の陶淵明、独り菊を愛す。
晋の陶淵明は菊を愛した。

自李唐来,世人盛愛牡丹;
李唐自(よ)りこのかた、世人甚だ牡丹を愛す。
唐代以降、世の人は甚だ牡丹を愛してきた。

予独愛蓮之出淤泥而不染,濯清涟而不妖,
予独り蓮の泥より出でて染まらず、清漣に濯(あら)はれて妖ならず、
私は蓮の泥から出て泥に染まらず、清らかに水面に波紋を描いて俗に流されず、

中通外直,不蔓不枝,香遠益清,
中通じ外直く、蔓あらず枝あらず、香遠くして益々清く、
茎は中が通り外は真っ直ぐで、蔓(つる)も枝もなく、遠くまで清らかな香りを漂わせ、

亭亭浄植,
亭亭として浄(きよ)く植(た)ち、
高くすらりと清らかに立ち、

可遠観而不可亵翫焉。
遠観すべくして褻翫(せつがん)すべからざるを愛す。
ただ遠くから眺めて、穢すことのできない(そんな君子のように高潔な)ところを愛する。

予謂菊,花之隐逸者也;
予謂へらく、菊は花の隠逸なる者なり。
私は思う。菊は(俗世間から逃れる)隠逸の花であり、

牡丹,花之富貴者也;
牡丹は花の富貴なる者なり。
牡丹は富貴の花であり、

蓮,花之君子者也。
蓮は花の君子なる者なりと。
蓮は君子の花である、と。

噫!菊之爱,陶後鮮有聞;
噫(ああ)、菊を之れ愛するは、陶の後、聞く有ること鮮(すくな)し。
ああ、菊を愛する人は、陶淵明の後、ほとんどいなくなってしまった。

蓮之愛,同予者何人;
蓮を之れ愛するは、予に同じき者何人ぞ。
私のように蓮を愛する人はどれだけいるだろうか?

牡丹之愛,宜乎衆矣。
牡丹を之れ愛するは、宣(むべ)なるかな衆(おお)きこと。
牡丹を愛する人がこれほど多いのももっともなことだ。 

<注>
 「李唐」 唐代の別称。李は唐王室の姓。
 「蔓」 つる草。
 「不蔓不枝」 つるも枝もない。
 「亭々」 草木がまっすぐにそびえているさま。
 「褻翫」 けがすこと。
 「隠逸」 俗世間から逃れて隠れ住むこと。隠遁(いんとん)。
 「噫」 (悲しみや嘆息を表して)ああ。

 *訳は筆者による意訳です。


以下の写真は中国広西壮族自治区・桂林市の郊外にある、
「九屋」というところで撮影したものです。

  
「九屋」へは桂林市内から車で30分ほどで到着。    正面に「愛蓮家祠」とある。「祠」は社(やしろ)のこと。

  
        周敦頤(1017-1073年)           竹に彫られた「愛蓮説」。これは2004年の作。
   左に略歴、右に周氏の家訓が貼られている。
 ←周敦頤の略歴(中国語)、クリックして拡大可。 

<参考>
周敦頤・・・・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%A8%E6%95%A6%E9%A0%A4

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道を同じくする友とは

2012-07-26 | 中国の古典(抜粋)

中国・宋代の大学者、欧陽脩(おうようしゅう・1007-1072年)の『朋党論』(ほうとうろん)を紹介します。
ここで言う “朋党” とは仲間同士で派閥を作ることです。

中国の宋王朝時代、政治の世界では現代のように官僚同士が派閥を作って争いを繰り返していました。
『朋党論』はそのような派閥争いの中で生まれた欧陽脩の上奏文です。


『朋党論』 欧陽脩 (「欧陽文忠公集」巻十七)

臣聞、朋党之説、自古有之。
臣聞く、朋党の説は、古(いにしえ)よりこれ有りと。
私の聞き及ぶところでは、“朋党”という概念は昔からあったという。

惟幸人君弁其君子小人而已。
惟だ人君の其の君子・小人を弁ぜんことを幸(ねが)ふのみ。
ただ君主にはそれが君子のものであるか、小人のものであるかを見極めて頂きたいと願うばかりである。

大凡君子與君子、以同道為朋、
おおよそ君子と君子とは、道を同じくするを以て朋と為し、
およそ君子と君子とは、道(目標・理念)を共有する者同士で仲間を作り、

小人與小人、以同利為朋。此自然之理也。
小人と小人とは、利を同じくするを以て朋と為す。これ自然の理なり。
小人と小人とは、利益を共有する者同士で仲間を作る。これは自然の道理である。

然臣謂、小人無朋、惟君子則有之。
然れども臣謂(おも)へらく、小人には朋無し、惟だ君子には則ち之有るのみと。
しかし私が思うに、小人には本当の仲間はなく、君子にだけあるのではなかろうか。

其故何哉。小人所好者、利禄也。所貪者、貨財也。
其の故は何ぞや。小人の好む所の者は、利禄なり。貪る所の者は、貨財なり。
その理由は何だろうか。小人が好むものは利益であり、貪るものは財貨である。

当其同利之時、暫相党引、以為朋者、偽也。
其の利を同じくする時は当り、暫く相(あい)党引(とういん)し、以て朋を為す者は、偽なり。
その利益を共有しているときに一時的に誘い合って、それで仲間になる者は偽りである。

及其見利則争先、或利尽則交疎。
其の利を見るに及べば則ち先を争ひ、或は利尽くれば則ち交り疎し。
利益を見ればわれ先にと争って、利益がなくなれば交際が疎遠になる。

甚者反相賊害、雖其兄弟親戚、不能相保。
甚しき者は反りて相賊害(ぞくがい)し、其兄弟・親戚と雖(いへど)も、相保つこと能(あた)はず。
ひどい場合にはお互いに傷つけ合って、兄弟や親戚であっても良い関係を保つことができない。

故臣謂、小人無朋、其暫為朋者、偽也。
故に臣謂へらく、小人には朋無し、其の暫く朋を為す者は、偽なりと。
だから私は、小人には本当の仲間はなく、一時的な仲間は偽りだと思うのである。

君子則不然。所守者道義、所行者忠信、所惜者名節。
君子は則ち然らず。守る所の者は道義、行ふ所の者は忠信、惜しむ所の者は名節なり。
君子はそうではない。君子は道義を守り、忠信を行い、名誉と礼節を大切にするからである。

以之修身、則同道而相益、 
之を以て身を修むれば、則ち道を同じくして相益し、
これらによって自分自身を修めるなら、道(目標・理念)を共有してお互いに啓発し合い、

以之事国、則同心而共済、終始如一。
之を以て国に事(つか)ふれば、則ち心を同じくして共に済(な)し、終始一の如し。
これによって国に仕えるならば、心を一つにして協力し合い、それは終始変わることがない。

此君子之朋也。
これ君子の朋なり。
これこそが君子の仲間である。

故為人君者、但当退小人之偽朋、用君子之眞朋。則天下治矣。
故に人君たる者は、但だ当に小人の偽朋を退け、君子の眞朋を用ふべし。則ち天下治まらん。
そのため君主たる者は、小人の偽りの仲間を退け、君子の真の仲間を採用すべきである。
そうすれば天下は治まるのである。

(以下省略)


ご参考まで。

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一以貫之(一を以て之を貫く)

2012-06-19 | 中国の古典(抜粋)

子曰、賜也、女以予為多学而識之者与。
子曰く、賜(し)や、女(なんじ)予(われ)を以て多く学びて之を識れる者と為すか。
孔子:「子貢よ、お前は私が広く学んで道理を理解したのだと思うかね?」

対曰、然、非与。
対えて曰く、然り、非ざるか。
子貢:「もちろんです。そうではないとおっしゃるのですか?」

曰、非也。予一以貫之。
曰く、非なり。予、一を以て之を貫く。
孔子:「そうではない。私は一つの道を貫いているに過ぎない。」

 『論語』 衛霊公3

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天の将に大任を降さんとするや・・・

2012-03-11 | 中国の古典(抜粋)

天将降大任于斯人也,必先苦其心志,
天の将に大任を斯(こ)の人に降(おろ)さんとするや、必ず先ずその心志を苦しめ、
天が地上の人に大任を下そうとするとき、まずその人の心を苦しめ、

労其筋骨,餓其体膚,
その筋骨を労し、その体膚(たいふ)を餓えしめ、
肉体を苦労させ、餓えに苦しませ、

空乏其身,行拂乱其所為,
その身を空乏(くうぼう)し、その為す所を払乱(ふつらん)せしむ。
体を弱らせ、しようとすることをしくじらせる。

所以動心忍性,益其所不能。
心を動かして性に忍び、その能くせざりし所を益(よ)くせしめんがためなり。
それは人の心をゆさぶって忍耐を育て、それまでできなかったことを、できるようにさせるためである。

人恒過、然後能改、
人恒に過ちて、然る後に能く改む。
人は大抵過ちを犯すが、そうした後はじめて自分を改めることができる。

困於心、衡於慮、而後作、
心を困し、慮を衡(はか)りて、而(しか)る後に作る。
心に苦しみを感じ、いろいろ思案をめぐらせて、そうした後はじめて発奮することができる。

徴於色、發於聲、而後喩。
色を徴(ちょう)し、声を発して、而(しか)る後に喩(さと)る。
苦悩が顔に表れ、声を発するようになって、そうした後はじめて道理を悟ることができるのである。

『孟子』 告子章句下 十五

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道は近きにあり

2012-03-03 | 中国の古典(抜粋)

孟子曰、道在爾、而求諸遠。
孟子曰く、道爾(ちか)きに在り、而(しか)るに諸(これ)を遠きに求む。
孟子は言う、道は近くにあるのに、かえってこれを遠くに求めてしまう。

事在易、而求諸難。
事易きに在り、而るに諸を難きに求む。
簡単な事であっても、かえってこれを難しく考えてしまう。

人人親其親、長其長、而天下平。
人人其の親を親とし、其の長を長として、而るに天下平らかなりと。
各人が自分の両親を愛し、目上の人を敬えば、自ずと天下は治まるのである。


『孟子』 離婁章句上 十一

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人の心、人の路

2012-02-25 | 中国の古典(抜粋)

孟子曰、仁人心也、義人路也、
孟子曰く、「仁は人の心なり。義は人の路(みち)なり。
孟子は言う。「仁という優しさの心は、人の本当の心であり、義という人助けの心は、人が踏み行うべき本当の道である。

舎其路而弗由、放其心而不知求、哀哉、
其の路を舎(す)てて由らず。其の心を放ちて、求むることを知らず。哀しいかな。
その本当の道を捨てて歩むことなく、本当の心を失くして取り戻そうともしないとは、なんと嘆かわしいことだろう。

人有鶏犬放、則知求之、
人鶏犬(けいけん)の放たるること有らば、則ちこれを求むるを知り、
人は鶏や犬が逃げてしまえば捜し求めるのに、

有放心而不知求、
放心有りて而も求むることを知らず。
心を失っても求めることを知らない。

學問之道無他、求其放心而已矣。
学問の道は他無し、其の放心を求むるのみ。」と。
学問の道とは他ならず、その失った本当の心を求めることに尽きるのだ。」と。


『孟子』 告子章句上 十一

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真の勇気

2012-01-29 | 中国の古典(抜粋)

天下皆謂我道大、似不肖。
天下皆謂う。我が道は大なるも不肖に似たりと。
世間の人は、私の説く道を偉大だが愚か者のようだと言う。

夫唯大、故似不肖。
それ唯大なり、故に不肖に似たり。
それは偉大だからこそ愚かに見えるのだ。

若肖、久矣其細矣夫。
若し肖ならば、久しいかなその細なるや。
もし人並みであれば、とうに器の小さな人物になっていただろう。

我有三寶、持而保之。
我に三宝有りて、持してこれを保つ。
私には三つの宝があり、それをいつも大切に保っている。

一曰慈。
一に曰く、慈。
第一に、慈しみの心。

二曰儉。
二に曰く、倹。
第二に、倹約して慎ましくする心。

三曰不敢爲天下先。
三に曰く、敢えて天下の先と為らず。
第三に、人に先んじようとしない心。

慈、故能勇。
慈なり、故に能く勇なり。
慈しみの心があるから、本当の勇気を持つことができる。

儉、故能廣。
倹なり、故に能く広なり。
倹約して慎ましくする心があるから、広々とした心でいられる。

不敢爲天下先、故能成器長。
敢えて天下の先と為らず、故に能く器の長を成す。
人に先んじようとする心がないから、自分の能力を充分に伸ばすことができる。

今舍慈且勇、
今慈を舎てて且つ勇ならんとし、
今の人のように、慈しみの心を捨てて勇敢であろうとし、

舍儉且廣、
倹を舎てて且つ広からんとし、
倹約して慎ましくする心を捨てて広々とした心を求め、

舍後且先、死矣。
後なるを舎てて且つ先ならんとすれば、死せん。
控えめにせず争って人の上に立とうとするのは、命を縮めるようなものだ。

夫慈、以戰則勝、
それ慈は、以って戦えば則ち勝ち、
しかし慈しみの心は(人々の勇気を奮い起こすので)戦えば必ず勝ち、

以守則固。
以って守れば則ち固し。
慈しみの心で大切な人々を守ればまさに鉄壁なのである。

天將救之、以慈衞之。
天将にこれを救わんとし、慈を以ってこれを衛る。
天もそのような人を救おうとし、慈愛の心によって守ってくれるものである。

老子『道徳経』第六十七章

本当の勇気は慈しみの心、つまり優しさから出てくる、と老子は言う。
現代語訳は諸説あるようだが、原文に即して訳した。(筆者)

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