のらりくらりSEVEN ART☆

40歳からのぼちぼち人生

静岡抜粋☆

2017-11-30 12:08:09 | 日記
静学サッカーと清商サッカー

先日の選手権決勝戦の静岡学園対清水桜が丘の試合。PK決着となった拮抗した内容の試合だったが、互いの個性が良く出ていた見ごたえのある試合だった。
個性というのは、井田監督が長く創り上げてきた静学らしさと、大瀧監督が長く創り上げてきた清商らしさ。数十年前から続く2つの全く異なる個性が今も変わることなく見ることが出来るというのはなかなか凄い事だと思う。

今回は静学サッカーと清商サッカーの比較ということで、それぞれの個性を改めて比較しながら紹介してみたいと思う。

静学サッカーの特徴は選手個々の個性を活かしそれをピッチ上で表現させること
清商サッカーの特徴は勝つ組織を作るために選手に役割を与えること

分かりやすいのがサイドバックの選手起用方法。
静学のサイドバックはどんどん攻撃参加するが、桜が丘のサイドバックはほとんど攻撃参加はしない。静学のサイドバックは共にドリブルが得意で後方からの攻撃参加でチームの攻撃に厚みをもたらすことが出来る選手だった。だがその攻撃参加により失点のリスクが高まっていた。桜が丘のサイドバックはしっかりした守備をベースに相手のサイド攻撃をしっかり封じることが主な仕事だった。

静学は適材適所で個性のある選手が最も素質を伸ばせるポディションに配置する。ちょっと守備に不安があっても、その選手がそのポディションで将来的に伸びる素質を持っているのなら失点するリスクや試合に負けるリスクより、選手の素質を伸ばす選手起用を優先する。

清商は組織を勝たせるために選手にしっかりとした役割を与え組織を勝たせる歯車の役割を明確化する。清商といえば小野や名波、風間親子兄弟などスター選手を多数輩出してきたことでも有名。清商の凄いところはただ組織を勝たせる無機質な集団にするのではなく、スター選手を育てる帝王学的な事も指導できるところ。そのスター選手を活かしてチームを勝たせる術はよく考え抜かれている。正確にはスター選手を輩出することが凄いのではなくて、そのスター選手を支えるその他多数を育てられるところが清商の凄いところ。
高体連の部活動とは、高校生が社会に出る前に社会性を身に付けさせる場と考えるべきで、高校サッカーからプロになって活躍するのはほんの一握り。ほぼすべての大多数は高校サッカーを卒業したら一社会人となる。高校を卒業した後社会に出て理不尽な世の中でもやっていける組織の歯車となる人材をしっかり育てているのが清商サッカーの骨格と言っても良い。また自分のチームの事だけでなく他チームの状況も考慮して現在置かれている自分たちチームの立ち位置をしっかり理解したうえで、したたかに勝ちを拾う戦術眼は長年見続けているが相変わらず見事。最後に自分たちが勝っている為には今は何をすべきかが良くわかっている。勝ち負けの分かれ目がしっかり見えていて、勝ちに持って行くためにすべきことが分かっているのが大瀧監督の凄いところ。

静学サッカーは、理想を追求するサッカー。相手に合わせて戦術を練ったり、何が何でも目の前にある勝利を拾いに行くようなことは考えない。あくまでも自分たちが追い求める内容のサッカーをやって勝つことが第一。だから前評判は高くてもなかなか結果が出ないことが多い。「静学は勝負弱い」「また引いて守られカウンターからの失点での負け試合」「何度も同じ負け方を繰り返さずもっと勝ちにこだわってやるべき」などなど声が良く聞こえてくるが、全くその通りではある。でもそういう静学対策をやってくる相手に対応したサッカーで勝つのではなく、そういう対策を取ってきた相手をあえてそれを上回る静学サッカーで封殺することが静学サッカー部が目指している事。今年はそれだけの力が無かったというだけの話。このように目先の勝利を追わず、徹底して静学サッカーにこだわりリスクを承知で選手の個性を伸ばす事にこだわっているからこそ、県内の他校と比較しても卒業後上のカテゴリーで活躍している選手が増えてきていると言える。


学校名やチーム事情、戦力差は変わっても、お互いの個性は何十年経っても変わらないという事が静岡の伝統だと感じる。