EQペディア/エラリイ・クイーン事典

エラリイ・クイーンの作品(長編・短編)に登場する人物その他の項目を検索する目的で作られたブログです。

タークル,ユーフェミア

2007年07月10日 | 人物事典(タ行、他)
*タークル

ユーフェミア・タークル

『七匹の黒猫の冒険』に登場する、一風変った裕福な老婦人。栗鼠のような顔をしている。

猫嫌いのはずなのに、何週間にもわたって、毎週一匹ずつ緑色の目をした黒の雄猫を購入し、ペットショップの店員を不思議がらせている。

中風病みで、まるっきり身体が利かないため、床につきっきりで、一歩も歩くことができない。同居している貧しい妹、サラ・アンの世話になっているが、猫を注文して届けさせるのは、いつもきまって妹が不在のとき。


(Eirakuin_Rika)

ペリー,エドガー

2007年07月10日 | 人物事典(ハ行、他)
エドガー・ペリー

『Yの悲劇』に登場

コンラッドの子供たちの家庭教師で、ハッター家に住み込んでいる。歳は四十半ばを過ぎているのに、深みと輝きを持つ瞳のせいで学生のように見える。長身痩せ形で、端正だが神経質な顔立ちはどこか苦行僧を思わせる。ハッター家に勤務するようになってから日は浅いが、何度か辞めようと思ったことがある。しかし高給の魅力とバーバラに対する敬愛の念が彼をハッター家に引きとめている。

ハッター,バーバラ

2007年07月10日 | 人物事典(ハ行、他)
バーバラ・ハッター

『Yの悲劇』に登場

ヨークとエミリーの間に生まれた三人の子女の長女。エミリーの血を受け継いだにしては比較的まとも。三十六歳独身。生き物や自然を愛する詩人で、父ヨーク・ハッターに対しても同情的であった。母の持つ異常性は、彼女の場合、幸運にも芸術的な素質と結びつき、彼女はプロメティウスの魂を持つボヘミアン的アナーキスト詩人として、ニューヨークの知識人たちに受け入れられていた。

ハッター,マーサ

2007年07月10日 | 人物事典(ハ行、他)
マーサ・ハッター

『Yの悲劇』に登場

コンラッド・ハッターが比較的に正気に近かった頃に結婚した不幸な女。コンラッドとの間に二人の男子をもうけている。夫と同年齢で、心のやさしい女性だったが、ハッター家に同居し暴君エミリーの支配下で夫から軽蔑され無視される日々を送るうちに、その表情は精彩を欠き、いつしか義父のヨーク同様に生き地獄をさまよう亡霊のようになっていた。

ハッター,コンラッド

2007年07月10日 | 人物事典(ハ行、他)
コンラッド・ハッター

『Yの悲劇』に登場

長女バーバラの弟で、ハッター家の長男。その性質は母親エミリーの男性版で、粗暴な遊蕩児。酒乱で数々の問題を引き起こし、母親の顧問弁護士たちの手を煩わせてきた。正気とは思えない放蕩無頼の人物であったが、そんなコンラッドも母親エミリーには徹底的に抑えつけられていた。

アンダースン,リーマ

2007年07月10日 | 人物事典(ア行、ウ、ヴ)
*アンダースン

リーマ・アンダースン(Rima Anderson)

『ダブル・ダブル』に登場する、ライツヴィル在住の天然型鳥娘。“町の呑んだくれ”トム・アンダースンの子。彼女は、小説の中から出てきたような女で、人形のような完成された調和を保っていながら、成熟した女性の悩ましさを発散する二十二歳の少女だった。W・H・ハドソンの小説『緑の館』に登場するヒロインのリーマを思わせる森の妖精のような娘だった。

リーマが十歳になるかならないかの頃、母が病気で急死し、以後呑んだくれとなった父は、大学教授の職を失う。ライツヴィルに移ってきてからは、沼地の畔に取り残された掘立小屋を親子で修理改築して住まうようになり、世間からの干渉をはねつけて、リーマは野生児のように育った。

その父がいなくなった。何者かに殺されたに違いないと確信したリーマは、自分が死んだ後で困ったことが起ったらエラリイ・クイーンを訪ねるようにと常々言っていた父の言葉に従い、エラリイに会いにやって来たのだった。

(Eirakuin_Rika)

ヤードリー教授

2007年07月10日 | 人物事典(ヤ行)
*ヤードリイ

ヤードリー(Yardley) 

『エジプト十字架の謎』に登場する古代史教授。古代エジプトやギリシャの古文書の研究家。エラリイの大学時代の恩師だった。
ロング・アイランド湾に面した邸宅地ブラッドウッドの一画を占める邸宅を借りて住んでいるが、近隣の住人で富豪のトマス・ブラッドが殺害された事件でエラリイを呼び寄せた。ブラッド殺害は一連の事件のなかでは二番目に起った事件であり、これからエラリイは本格的に事件に関わっていくことになる。

長身で手足のひょろ長いヤードリー教授は、ごつごつした顔に短い顎髭を生やした人物で、エイブラハム・リンカーンを髣髴させるところがある。

教授は『エジプト十字架』の事件でのエラリイの最大の協力者。エラリイとは別行動になるが、最後の追跡にも参加して活躍する。

(Eirakuin_Rika)

メイヒュー,アリス

2007年07月10日 | 人物事典(マ行)
*メイヒュー

アリス・メイヒュー(Alice Mayhew)

『神の灯』(『エラリー・クイーンの新冒険』に収録)に登場する女相続人。

背の高い、魅力的な娘で、そのしなやかな動作は、運動家よりもむしろ芸術家を思わせる。均整のとれたデリケートな顔立ちは美しいといえるものだった。

幼い頃、離婚した母に連れられてイングランドに渡った彼女に、父の記憶はまったくない。六歳のとき母が死に、イングランドの親戚に育てられたが、母方の最後の親戚が死ぬと、ひとりぼっちになってしまった彼女は、アメリカの弁護士を通じて父に連絡を取った。父のシルヴェスター・メイヒューはロング・アイランドの荒野に住まう偏屈な人物だったが、弁護士の知らせを受けて大変にアリスに会いたがり、アリスは父と会うために渡米することになった。偏屈なシルヴェスターは自分の親類を信用せず、全財産を一人住まいの自宅に隠し、アリスにだけその在り処を知らせるつもりだった。ところがアリスの船旅の最中に、父シルヴェスターは死亡してしまう。


『神の灯』は、建物の消失という大トリックだけでなく、宝探しの興味や、ゴシック・ロマンス的な雰囲気とか、いろいろな魅力のつまった、クイーン初期の傑作中編です。女相続人のアリス・メイヒューは、『ドラゴンの歯』のケリー・ショーンや『顔』のロレット・スパニアと比べてもけっして影の薄い存在ではないのですけど……

(Eirakuin_Rika)

ハッター,エミリー

2007年07月10日 | 人物事典(ハ行、他)
*ハッター

エミリー・ハッター(Emily Hatter)

『Yの悲劇』に登場する老夫人。ニューヨーク湾から自殺と思われる水死体で揚がったヨーク・ハッターの妻。

ワシントン・スクエアの大金持、変わり者、鬼ばばあとして、マスゴミ新聞紙上の有名人。化石した木のような古びて堅い皮膚に、海賊の鉤のような鼻と、白い髪と、氷のような青い目、決して他人に屈伏しそうにない意志の強そうな顎を持つ。彼女は常に支配者であった。周囲の人間や家族に対しても、とりわけ夫に対しても。

ある想像力に富んだ新聞記者から「きちがいハッター家」と名づけられた風変わりな一家の家長として長く君臨してきたが、夫の死後、一家の中では奇怪な事件が相次ぎ、ついには彼女自身が寝室で撲殺される。

(Eirakuin_Rika)