EQペディア/エラリイ・クイーン事典

エラリイ・クイーンの作品(長編・短編)に登場する人物その他の項目を検索する目的で作られたブログです。

ハッター,ヨーク

2007年07月09日 | 人物事典(ハ行、他)
ヨーク・ハッター

『Yの悲劇』に登場

ヨークは若い苦学生だった頃から化学者としての前途を嘱望されていたが、“気違いハッター家”の苛烈な支配者エミリー・ハッターとの結婚の結果、先進的な実験も出世の道も学者としての名声も、すべて、妻の強烈な個性の襲撃によって押しつぶされてしまった。歳月が流れ、次第に気難しくなった彼は、エミリーの許可を得て邸宅の一室を改造した実験室に引きこもり、金持ちの妻の財産にすがって、たいした意味もない実験に暇をつぶすだけの抜け殻のような人間になってしまった。もはや、彼の立場を表す言葉は“エミリー・ハッターの夫”、ただそれだけだった。四十年近い歳月を、妻への恐怖とともに過ごした彼は、ついに自らその命を絶つ。