EQペディア/エラリイ・クイーン事典

エラリイ・クイーンの作品(長編・短編)に登場する人物その他の項目を検索する目的で作られたブログです。

ハルキス,ゲオルグ

2007年07月28日 | 人物事典(ハ行、他)
*ハルキス

ゲオルグ・ハルキス

『ギリシャ棺の謎/The Greek Coffin Mystery』に登場するギリシャ系の美術商。

ただし登場するときには死体になって棺に入っている。死因は心臓麻痺で、自然死である。ハルキス家はニューヨークでも古い家系で、隣接する教会の教区員をほとんど二百年も続けている。したがってハルキスの遺骸は、市内に埋葬を禁じる法律の条項の適用を受けず、第五アヴェニューに面した教会とハルキス邸とのあいだにある、ニューヨークでいちばん古い私有墓地の一つに葬られる。もちろん防腐処理はされるのだが。

生前、失明したハルキスは極力人手を借りないような生活をこころがけていたが、服装選びだけは自身ではどうしようもなく、その点は従弟で知的障害者のデミー(デメトリオス)に頼っていた。

エラリイは、ふとしたことから、実はハルキスは目が見えていたのではないかと疑うが・・・


(Eirakuin_Rika)

リング,テリー

2007年07月22日 | 人物事典(ラ行)
*リング

テリー・リング(テレンス・リング)

『ニッポン樫鳥の謎』(『日本庭園の秘密』)に登場するハードボイルドな私立探偵。灰色の目をした、アイルランド系らしい褐色の男。女流作家カーレン・リースの死体を発見して呆然としているエヴァ・マクルアの前に姿を現した。状況を見てエヴァが犯人に違いないと考えるが、警察に対する反感から、エヴァを助けてやろうとし、現場保存もなんのその、実際にはカーレンの部屋の内側から閂がさしてあった屋根裏部屋へ通じるドアを開け、屋外からの侵入者があったように見せかけてしまう。

イーストサイドの貧民街から身を起こして、自力で私立探偵にまでのしあがった、二十八歳の《一介の快男児》。サーカスの呼び込み、砂堀人夫、競馬場の賭博師、肉缶詰工場の検査係、ルンペン、職業野球の選手、玉突き場の用心棒、ハリウッドのエキストラ、などの多彩な履歴を持つ。


(Eirakuin_Rika)

フレンチ,サイラス

2007年07月20日 | 人物事典(ハ行、他)
*フレンチ

サイラス・フレンチ

『フランス白粉の謎/The French Powder Mystery』に登場。

百貨店フレンチスの会長で、リヴァーサイド・ドライヴの下町よりのハドソン川に面した邸宅に住まうが、第五アヴェニューと三十九番通りの交差する角地に建つ百貨店の六階にもアパートメントを持っている。

六十五歳になる、むっつりしたふとりじしの男で、半白の髪は鋼鉄の光を帯びていた。

秘書のウィーヴァーによると、世間には珍しい善良で純真な人物。寛大でもあったが、麻薬のような悪習には容赦しなかった。悪習防止協会の会長を勤める。

妻のウィニフレッドは後妻で、連れ子のバーニス・カーモディーはウィニフレッドと先夫ヴィンセント・カーモディーとのあいだに生まれた娘である。
サイラス自身は先妻とのあいだにマリオンという実の娘をもうけている。


(Eirakuin_Rika)

ウルム,フリードリッヒ

2007年07月19日 | 人物事典(ア行、ウ、ヴ)
*ウルム

フリードリッヒ・ウルム


『一ペニイ黒切手の冒険』に登場する古切手商。
エラリイの友人であるウネケル老人の書店から三軒先のビルに、兄のアルベルトと共同で事務所を開いている。

三人の切手蒐集家を招いて、貴重な古切手の展示会をしていたところ、客のうちの最後に残った一人に、いきなり短い鉄の棒で殴られ、秘蔵の《ヴィクトリア女王の一ペニイの黒切手》を強奪されてしまう。


( Eirakuin_Rika)

キャンピオン,ルイザ

2007年07月17日 | 人物事典(カ行、他)


ルイザ・キャンピオン

『Yの悲劇/THE TRAGEDY OF Y』に登場。

ハッター家の支配者エミリーと最初の夫トム・キャンピオンとの間に生まれた娘。年齢は四十歳。生まれながらに盲目で唖であり、十八歳で聴覚も完全に失うという悲劇の人。小柄でまるまると肥っていて、精神的にはきわめてまともで、素直で忍耐心もあり、心根のやさしい女だった。彼女の父親のトムは、理由のはっきりしないままエミリーと離婚し、数年後に世を去った。彼女の不具の原因は母親がわにあり、そのせいかエミリーはルイザを溺愛し、ルイザも母親とのあいだになごやかな愛情ある関係を保っていた。



(Eirakuin_Rika)

アイクソープ嬢

2007年07月16日 | 人物事典(ア行、ウ、ヴ)
*アイクソープ

ミス・アイクソープ

『アフリカ旅商人の冒険』に登場する、背の高い、子鹿色の目をした若い女性。エラリイが講義を行う大学の教授の娘という立場を利用して、エラリイがニューヨークの大学で担当する「応用犯罪学講座」の押しかけ学生となる。

正規に選ばれた学生は、ジョン・バロウズ、ウォルター・クレイン。こちらのふたりはフルネームで紹介されているのに、なぜかアイクソープ嬢だけは最後までファーストネームが明らかにされない。

漱石の「猫」みたいな扱いである。

(Eirakuin_Rika)



スパーゴ,オリバー

2007年07月16日 | 人物事典(サ行、他)
*スパーゴ

オリバー・スパーゴ

『アフリカ旅商人の冒険』に登場する大手輸出雑貨商の出張員。四十二歳。二年前に妻と離婚。
駐在地の南アフリカで暴行やいかさま取引などのトラブルを起こし帰国。
ニューヨークのフェンウィック・ホテルに投宿。その後シカゴに行き、再びニューヨークの同じホテルに戻り、そこで殺害される。

服装から判断すると、金回りは良さそうだが、拾った腕時計を着用するようなせこいところもある。


(Eirakuin_Rika)

ブリンカーホッフ,マイラ

2007年07月16日 | 人物事典(ハ行、他)
*ブリンカーホッフ

マイラ・ブリンカーホッフ

『首つりアクロバットの冒険』に登場する女軽業師。
――マイラは、猫のような敏捷さと、猫のもつ、ものうげな緑色の瞳をした、小柄な張り切った美人だった。(井上勇訳)

空中ぶらんこでのしなやかな回転と、ものうげな微笑で、《アトラス一座》を有名アクロバット・サーカス団にした功労者だったが、色好みが彼女の命とりとなった。



(Eirakuin_rika)

アーレン,テレンス

2007年07月16日 | 人物事典(ア行、ウ、ヴ)
*アーレン

テレンス・アーレン

『ひげのある女の冒険』に登場する医師。
百万長者だった先代ジョン・A・ショウの後妻マリアの主治医。
マリアの死後、遺産の三分の一に相当する金額の信託預金利子分を相続。
マリアに対する毒殺未遂事件の発覚後、相続人リストから外された継子のジョンとアガサは、アーレン医師が死亡した時に信託分を相続できる。

マリアの死後ほんの一月ほどして、アーレンは心臓に短剣を突き刺されて死亡した。アーレンは相当な腕前のしろうと画家であり、死の直前も画架に向かってレンブラントの絵を模写していた。そしてアーレンは、彼が描き残した絵の中の女性の顔に、なぜかひげを描き加えていた。


(Eirakuin_Rika)


デヴァイン,リリー

2007年07月16日 | 人物事典(タ行、他)
*デヴァイン

リリー・デヴァイン

『三人のびっこの男の冒険』に登場。
銀行家ジョセフ・E・シャーマンの囲われ者。以前は、ギャングのマック・マッキーの情婦だった。

シャーマンがリリーのために借りているアパートのクロゼットの中で、猿ぐつわをかまされて窒息死していたのを、お付きの女中に発見される。

寝室には泥靴の足跡が三種類あり、ベッドの上には銀行家を誘拐したという内容の置き手紙があった。



(Eirakuin_Rika)

エラリイ・クイーン

2007年07月15日 | 人物事典(常連)

エラリイ・クイーン(エラリー・クイーン)

 探偵エラリイ・クイーンのプロフィールは、それ自体が謎である。 『最後の一撃』によると、エラリイは1905年生まれで双子座ということになっているが、父親との年齢差や、彼の扱った事件の推定年代などから、さまざまな矛盾が生じてくるため、この『最後の一撃』での記述は信憑性に欠けると言わざるをえない。 また、エラリイの性格も途中から大きく変化しており、それを精神的な成長ととらえる見方があるいっぽう、ジュリアン・シモンズ『知られざる名探偵物語』のように、探偵エラリイは二人いたとする説の根拠にもなっている。

 

☆エラリイの活躍の時系列についての大胆な仮説はこちら。 

 EQ考察:クイーンズ・クロニクル

 

 ☆エラリイ・クイーンの風貌 <エラリー・クイーンは父親の上を六インチも抜いてそびえていた。肩か角張って、歩くとからだが軽快にゆれていた。オックスフォード・グレーの服を着て、軽いステッキを携えていた。鼻の上には、こんなに運動家型の人間には、ちょいと不釣り合いと思われるものがのっかっていた。――縁なしの鼻眼鏡である。しかし、その上にある眉毛、面長の顔の微妙な線、輝く目は、行動人というよりも、むしろ、思索の人のそれだった。>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』) 上は、エラリイ初登場のシーンでの描写である。父親クイーン警視から事件現場に呼び出されたエラリイは「あなたのおかげで、ぼくは愛書家の無上の天国からひきずりおろされたんですからね」と、ファルコナーの初版本の取引を中断されたことをぼやいている。初期のエラリイには、引用癖が鼻につく、ジレッタント風のお坊っちゃまというイメージがつきまとう。

(Erirakuin_Rika)


リチャード・クイーン

2007年07月15日 | 人物事典(常連)

リチャード・クイーン

エラリイの父親であり、ニューヨーク市警察本部(センター街)の警視である。
エラリイの誕生後、早いうちに妻と死別。男やもめとして、一人息子のエラリイを育てる。

<「お父さん、これまで僕の推理で間違ったことが一度でもありますか?」
 「何万回もある」と苦虫を噛みつぶしたような顔で父は答えた。
 「二十何年間苦労して大学を卒業させた結果がこのザマだ」>()


後に『クイーン警視自身の事件』で知り合った看護婦のジェシー・シャーウッドと再婚。



☆リチャード・クイーン警視の風貌

<リチャードクイーン警視の体格態度のいずれにも特別に目立ったものはなにもなかった。小柄で、しなびて、どちらかというと、温和そうに見える老紳士だった。少し前かがみに歩き、ふさふさとした半白の髪と口ひげ、かげった灰色の目、すんなりした手と完全に調和しているともいえる慎重な物腰をしていた>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』)

<その風貌にそなわる柔和な威厳はいかにも並々でなく、こじわを刻んだ老顔を照らし出している微笑はいかにも邪気がなくて、情味があふれ・・・>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』)


リチャード・クイーン警視の目立たない風貌は、カメレオンにたとえられることもある。

<小柄で、屈強で、半白の髪をいただき、経験の小じわをたたんで、会社の重役だといっても、夜警だといっても、その他、好きなどんな職業を名のっても、それで通りそうだった。>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』)



☆リチャード・クイーン警視の人柄

この変幻自在さは、警視の態度物腰についても同様で、時に応じて、横柄になることも、やさしさやいつくしみを示すことも、いかつい態度に出ることもできた。常に変転し、いつも新しい個性を宿す警視は、しかし根底においては無邪気で、あっさりしていて、世間の邪悪さに汚染されていない、純真な心の持ち主であった。




☆趣味・嗜好

かぎタバコを愛好する。


(Eirakuin_Rika)


トマス・ヴェリー

2007年07月15日 | 人物事典(常連)

*ヴェリー

トマス・ヴェリー

ニューヨーク市警察で部長刑事を勤めるデンマーク系アメリカ人。クイーン警視のもっとも信任厚い部下。
屈強な大男で、その膂力を誇る伝説には事欠かない。ともすれば「雄牛」だの「かば」だのと仇名され、『日本庭園の秘密』では某キャラから「人食い猿」呼ばわりされている。
『九尾の猫』によると既婚者で一女の父。バーバラ・アンという娘がいる。
職掌がら、主にニューヨークを舞台にした作品全般に登場するが、短編「七月の雪つぶて」では珍しくマンハッタンを離れて北部の丘陵地帯まで出向く。

なお、この部長刑事の呼び方ですが。
エラリイは一貫して“ヴェリー”と姓で呼びますが、警視の場合、少なくとも国名シリーズから『ドラゴンの歯』までは専ら“トマス”とファーストネームを使っています。
ところが『靴に棲む老婆』以降これが“ヴェリー”一辺倒になるのだ★ エラリイ式の呼び方に引きずられたか?
やはり私としては、国名シリーズ以降ライツヴィルあたりで父から子への“書き手”の交代があったんじゃないかと睨んでいます(^^)*注

(Matorjiska)

(注)クイーンズ・クロニクル 参照


グレイ,シーラ

2007年07月15日 | 人物事典(カ行、他)
*グレイ

シーラ・グレイ


『三角形の第四辺』に登場する国際的服飾デザイナー。

彼女は背が低いほうでもなく、またそれほど高くもなかった。ほっそりとした身体つきで、やや青白く(これは化粧のせいかもしれない)、つやのあるブラウンの髪と濃い灰色の眼をしていた。顔だちが非常にととのっているので、デインには個性がないように思われた。(青田勝訳)

大実業家アシュトン・マッケルの息子で、売れない作家であり母思いの息子でもあるデインは、シーラを父の愛人と考え、父から彼女を引き離す目的を持ってシーラに接近するが、いつかしか本当に恋に陥ってしまった自分を発見する。

しかし「あたしは結婚という考えに全然反対よ」とその持論を展開して、ディンを小学生の子どものような気持ちにさせるシーラだった。


(Eirakuin_Rika)

ウィンターソン,イライシャ

2007年07月15日 | 人物事典(ア行、ウ、ヴ)
*ウィンターソン

イライシャ・ウィンターソン


『三角形の第四辺』に登場。

カッパに似ているらしいです。


シーラ・グレイの仕事上のパートナー、シーラの一番の理解者

<小ざっぱりしたはげ頭の小男で、しかも、その頭はてっぺんがくぼんでいるので、(中略)月面にあるクレーターのようだった。>

エラリイから見ると
<彼は物を見分ける力がある。ただの老いたる好色漢ではない。>

デインから見ると
<たわしであらったような小男>

ジュディから見ると
<「本当にいやな人ね」>


(Rose_berry_1945)