EQペディア/エラリイ・クイーン事典

エラリイ・クイーンの作品(長編・短編)に登場する人物その他の項目を検索する目的で作られたブログです。

エラリイ・クイーン

2007年07月15日 | 人物事典(常連)

エラリイ・クイーン(エラリー・クイーン)

 探偵エラリイ・クイーンのプロフィールは、それ自体が謎である。 『最後の一撃』によると、エラリイは1905年生まれで双子座ということになっているが、父親との年齢差や、彼の扱った事件の推定年代などから、さまざまな矛盾が生じてくるため、この『最後の一撃』での記述は信憑性に欠けると言わざるをえない。 また、エラリイの性格も途中から大きく変化しており、それを精神的な成長ととらえる見方があるいっぽう、ジュリアン・シモンズ『知られざる名探偵物語』のように、探偵エラリイは二人いたとする説の根拠にもなっている。

 

☆エラリイの活躍の時系列についての大胆な仮説はこちら。 

 EQ考察:クイーンズ・クロニクル

 

 ☆エラリイ・クイーンの風貌 <エラリー・クイーンは父親の上を六インチも抜いてそびえていた。肩か角張って、歩くとからだが軽快にゆれていた。オックスフォード・グレーの服を着て、軽いステッキを携えていた。鼻の上には、こんなに運動家型の人間には、ちょいと不釣り合いと思われるものがのっかっていた。――縁なしの鼻眼鏡である。しかし、その上にある眉毛、面長の顔の微妙な線、輝く目は、行動人というよりも、むしろ、思索の人のそれだった。>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』) 上は、エラリイ初登場のシーンでの描写である。父親クイーン警視から事件現場に呼び出されたエラリイは「あなたのおかげで、ぼくは愛書家の無上の天国からひきずりおろされたんですからね」と、ファルコナーの初版本の取引を中断されたことをぼやいている。初期のエラリイには、引用癖が鼻につく、ジレッタント風のお坊っちゃまというイメージがつきまとう。

(Erirakuin_Rika)


リチャード・クイーン

2007年07月15日 | 人物事典(常連)

リチャード・クイーン

エラリイの父親であり、ニューヨーク市警察本部(センター街)の警視である。
エラリイの誕生後、早いうちに妻と死別。男やもめとして、一人息子のエラリイを育てる。

<「お父さん、これまで僕の推理で間違ったことが一度でもありますか?」
 「何万回もある」と苦虫を噛みつぶしたような顔で父は答えた。
 「二十何年間苦労して大学を卒業させた結果がこのザマだ」>()


後に『クイーン警視自身の事件』で知り合った看護婦のジェシー・シャーウッドと再婚。



☆リチャード・クイーン警視の風貌

<リチャードクイーン警視の体格態度のいずれにも特別に目立ったものはなにもなかった。小柄で、しなびて、どちらかというと、温和そうに見える老紳士だった。少し前かがみに歩き、ふさふさとした半白の髪と口ひげ、かげった灰色の目、すんなりした手と完全に調和しているともいえる慎重な物腰をしていた>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』)

<その風貌にそなわる柔和な威厳はいかにも並々でなく、こじわを刻んだ老顔を照らし出している微笑はいかにも邪気がなくて、情味があふれ・・・>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』)


リチャード・クイーン警視の目立たない風貌は、カメレオンにたとえられることもある。

<小柄で、屈強で、半白の髪をいただき、経験の小じわをたたんで、会社の重役だといっても、夜警だといっても、その他、好きなどんな職業を名のっても、それで通りそうだった。>(井上勇訳『ローマ帽子の謎』)



☆リチャード・クイーン警視の人柄

この変幻自在さは、警視の態度物腰についても同様で、時に応じて、横柄になることも、やさしさやいつくしみを示すことも、いかつい態度に出ることもできた。常に変転し、いつも新しい個性を宿す警視は、しかし根底においては無邪気で、あっさりしていて、世間の邪悪さに汚染されていない、純真な心の持ち主であった。




☆趣味・嗜好

かぎタバコを愛好する。


(Eirakuin_Rika)


トマス・ヴェリー

2007年07月15日 | 人物事典(常連)

*ヴェリー

トマス・ヴェリー

ニューヨーク市警察で部長刑事を勤めるデンマーク系アメリカ人。クイーン警視のもっとも信任厚い部下。
屈強な大男で、その膂力を誇る伝説には事欠かない。ともすれば「雄牛」だの「かば」だのと仇名され、『日本庭園の秘密』では某キャラから「人食い猿」呼ばわりされている。
『九尾の猫』によると既婚者で一女の父。バーバラ・アンという娘がいる。
職掌がら、主にニューヨークを舞台にした作品全般に登場するが、短編「七月の雪つぶて」では珍しくマンハッタンを離れて北部の丘陵地帯まで出向く。

なお、この部長刑事の呼び方ですが。
エラリイは一貫して“ヴェリー”と姓で呼びますが、警視の場合、少なくとも国名シリーズから『ドラゴンの歯』までは専ら“トマス”とファーストネームを使っています。
ところが『靴に棲む老婆』以降これが“ヴェリー”一辺倒になるのだ★ エラリイ式の呼び方に引きずられたか?
やはり私としては、国名シリーズ以降ライツヴィルあたりで父から子への“書き手”の交代があったんじゃないかと睨んでいます(^^)*注

(Matorjiska)

(注)クイーンズ・クロニクル 参照


グレイ,シーラ

2007年07月15日 | 人物事典(カ行、他)
*グレイ

シーラ・グレイ


『三角形の第四辺』に登場する国際的服飾デザイナー。

彼女は背が低いほうでもなく、またそれほど高くもなかった。ほっそりとした身体つきで、やや青白く(これは化粧のせいかもしれない)、つやのあるブラウンの髪と濃い灰色の眼をしていた。顔だちが非常にととのっているので、デインには個性がないように思われた。(青田勝訳)

大実業家アシュトン・マッケルの息子で、売れない作家であり母思いの息子でもあるデインは、シーラを父の愛人と考え、父から彼女を引き離す目的を持ってシーラに接近するが、いつかしか本当に恋に陥ってしまった自分を発見する。

しかし「あたしは結婚という考えに全然反対よ」とその持論を展開して、ディンを小学生の子どものような気持ちにさせるシーラだった。


(Eirakuin_Rika)

ウィンターソン,イライシャ

2007年07月15日 | 人物事典(ア行、ウ、ヴ)
*ウィンターソン

イライシャ・ウィンターソン


『三角形の第四辺』に登場。

カッパに似ているらしいです。


シーラ・グレイの仕事上のパートナー、シーラの一番の理解者

<小ざっぱりしたはげ頭の小男で、しかも、その頭はてっぺんがくぼんでいるので、(中略)月面にあるクレーターのようだった。>

エラリイから見ると
<彼は物を見分ける力がある。ただの老いたる好色漢ではない。>

デインから見ると
<たわしであらったような小男>

ジュディから見ると
<「本当にいやな人ね」>


(Rose_berry_1945)


ウォルシュ,ジュディー

2007年07月15日 | 人物事典(ア行、ウ、ヴ)
*ウォルシュ

ジュディー・ウォルシュ

『三角形の第四辺』に登場。

アシュトン・マッケルの有能な秘書。
貧しい階級の出で、就職口与えてくれたアシュトンを恩人と尊敬している。

<孤児で、きりっとしていて、テキパキと能率的で、思うことを遠慮なく言い、それでいて、一人で独立して暮らしているせいか、ルーテシアのほかだれも気づかないことだが彼女と同じに話し相手を欲しがっていて、女らしくて、いたわりに憧れていたのだった>
<アイルランド人らし赤みがかった髪、ちょっとさがった小さな鼻、アイルランド人特有の青い目で、まっすぐに見つめた>

デインに密かに恋心を抱いていたが、
<秘書がボスの息子と結婚するなんて、映画にでてくるだけだから>
と諦めていた。

しかし、シーラの殺害容疑でアシュトンが逮捕されると、無実の証拠を探し出そうとデインと組んで捜査をはじめると、二人の仲は急速に近づく。


(SergeantVelie)

ジューナ

2007年07月15日 | 人物事典(常連)

ジューナ

クイーン家の給仕兼料理人として家政を担当するジューナは、時にはエラリイの相談相手にもなった。小さくて、陽気で、快活なジューナは、エラリイが大学に行っていて、クイーン警視が寂しい生活をしていた頃、警視が養子にした孤児だった。(『フランス白粉の謎』より)


<ジューナはクイーン家の従僕で、なんでもやで、料理人で、部屋女中で、非公式に刑事課のマスコットだった>
<ジューナの世界は、その愛する保護者と、クイーン一家の共同の住まいに局限されていた>(井上勇訳『フランス白粉の謎』)


従僕扱いであるが、身分はクイーン警視の養子であるから、エラリイの義弟ということになる。普段は家に引きこもっているようだが、学校へは行かなくてよかったのだろうか?長編では『中途の家』を最後に姿を消すが、大学へでも行くようになったのだろうか?


処女作『ローマ帽子の謎』では、ジューナは次のように紹介されている。

<ジューナは、エラリーがまだ大学で勉強をしていて、リチャードクイーンがひどく孤独をかこっていたころ、老人が拾ってきた若者だった。この快活な青年は十九歳で、記憶するかぎりでは孤児であり、天真爛漫で、姓の必要をいささかも感じていなかった。---ほっそりとして、小柄で、神経質で愉快で、元気いっぱいにはしゃぎまわっているかと思うと、必要な場合は、小鼠のように静かにしていた>(井上勇訳)

『ローマ帽子の謎』の記述では、養子ということには触れておらず、完全な従僕扱いである。また、十九歳という年齢にも疑問がある。『ギリシャ棺の謎』『オランダ靴の謎』などと異なり、明らかに時系列的には『ローマ帽子の謎』よりも後の事件である『アメリカ銃の謎』ではジューナは十六歳とされており、初めてのロデオ見物にはしゃぐ姿もその年齢に相応のものである。


『オランダ靴の謎』で、エラリイに助言をして、お礼に安っぽい変装道具をプレゼントされるジューナ。将来は探偵になりたいという夢を持つジューナは大喜びで、変装してエラリイの前に現れる。

<ジューナは胸をおどらせて、テーブルのそばに立って、なんとかしてエラリーの注意をひこうとしていた。
 エラリーは、いかにもびっくりぎょうてんしたような表情をして、ぴたと立ちとまった。その驚きが消え去ると、真剣な、不安そうに見えるまでの表情をうかべた。
 すこしばかり震え声を出してたずねた。「どなたでしょう。どうして、ここへはいってきましたか」
 ジューナは目をぱちくりとさせた。「だって---エラリイさま---私ですよ」>(井上勇訳)

どうみても子どもである。『アメリカ銃の謎』の十六歳が本当なら、十二、三歳といったところだろう。



☆ジューナが登場する作品は以下のとおり。

長編
『ローマ帽子の謎』/『ローマ帽子の秘密』
『フランス白粉の謎』/『フランス白粉の秘密』
『オランダ靴の謎』/『オランダ靴の秘密』
『ギリシャ棺の謎』/『ギリシャ棺の秘密』
『アメリカ銃の謎』/『アメリカ銃の秘密』
『チャイナ橙の謎』/『チャイナ・オレンジの秘密』
『中途の家』/『途中の家』
『ニッポン樫鳥の謎』/『日本庭園の秘密』

短編
『暗黒の家の冒険』(『エラリー・クイーンの新冒険』に収録)

『七匹の黒猫の冒険』(『エラリー・クイーンの冒険』)には直接登場はしないが、エラリイが事件に関わるきっかけとなったのは、ジューナにせがまれてペットショップへアイリッシュ・テリアを買いにきたことだった。



なお、ジューナを主人公にしたジュブナイルのシリーズがエラリイ・クイーンJr名義で刊行されている。



(Eirakuin_Rika)

アイヴス・ポープ,フランセス

2007年07月15日 | 人物事典(ア行、ウ、ヴ)
*アイヴス・ポープ

フランセス・アイヴス・ポープ

『ローマ帽子の謎』に登場。財界巨頭の令嬢。彼女のバッグが死んだ男のポケットから見つかった。ヒロイン役であるが、すぐ卒倒する以外に取り柄はない。騎士に守られる、か弱い女性のタイプ。クイーンは女性を描くのが苦手という評判があるとしたら、この人物が読者に与えた第一印象の影響が大きいかもしれない。


(Eirakuin_Rika)

モアハウス,フィリップ

2007年07月15日 | 人物事典(マ行)
*モアハウス

フィリップ・モアハウス

『オランダ靴の秘密』(The Dutch Shoe Mystery)に登場。アビゲール・ドーンの顧問弁護士で、令嬢ハルダの公認の恋人。ドーン家とは父親の代からの間柄で、法律のみならずその私生活についても熟知している。
 クイーン物初期に頻出する“か弱いレディーを守る騎士”の役どころで、「これでも弁護士だからこうした事件の手続きには明るいんだ」などと言いつつ、事がハルダに絡むと簡単に見境を失って警視に食ってかかったり、時には職掌を逸脱したりもする。

(Matorjiska)


(注)アビゲール・ドーンは創元推理文庫版『オランダ靴の謎』ではエービゲール・ドールンと表記。



クローニン,ティモシー

2007年07月15日 | 人物事典(カ行、他)
*クローニン

ティモシー・クローニン
(チモシー・クローニン=創元版)


『ローマ帽子の秘密』(The Roman Hat Mystery)他国名シリーズの初期に登場。ヘンリー・サンプスンの部下で地方検事補。中背で鋭い目と火のように赤い頭髪の持ち主。
『ローマ』ではかねてから悪徳弁護士モンティ・フィールドを追い続けていたが、なかなかその尻尾を押さえることができずにいた。

(Matorjiska)




サミュエル・プラウティー

2007年07月15日 | 人物事典(常連)
*プラウティー

サミュエル・プラウティー(サム・プラウティー)

ニューヨークを舞台にした作品の多数に登場(初登場は『ローマ帽子~』)する医務検査官補。検死のプロフェッショナル。

背が高く、ひょろ長い男で、黒いあごひげを生やしている。黒っぽい、いやなにおいのする葉巻を好んで吸う。軽快な山高帽をかぶり、黒い鞄を持って殺人現場にやってくる、メフィストフェレスのような男。口やかましい。

クイーン警視と同年配で、警視と同様に古くさい冗談を言う癖がある。
いつも自分の仕事場に弁当を持ち込み、サンドウィッチをむしゃむしゃ食べる。
<エラリイとしては、仕事場に弁当を持ってくるのに反対しているわけではないが、プラウティー博士が仕事をする環境はどう考えても弁当を食うのに適しているとは思えなかった。>(青田勝訳『心地よく秘密めいた場所』)


(Eirakuin_Rika)

ファブリカント夫人

2007年07月15日 | 人物事典(ハ行、他)
ファブリカント夫人


『帝王死す』で、家政婦のおばさんとしていきなり登場したファブリカント夫人。
<ファブリカント夫人は真空掃除機を差し込もうとして部屋の向うで大きな尻をもちあげていたところだった>(大庭忠男訳)

『帝王死す』では、ベンディゴ島へ出立するエラリーが、
<いくらかのお金を与えて、部屋のことを頼んでおき、荷ごしらえをした>
となっているので、信用度は満点だったのでしょう。

ファーストシーンのみの登場で台詞もなく、そのまま消えたのかと思いきや『クイーン警視自身』で名前が出てきます。ジェシー・シャーウッドとクイーン警視との会話に登場。

<「あなたのアパートは、だれが受け持っているんですか?」
「ミセス・ファブリカントという女だ。一週間に一度来てくれるはずなのだが――」
「その女はもう二ヵ月も顔を出してやしませんよ」>(青田勝訳)

信用度はどうなってしまったのでしょうか。


初登場から20年後の『心地よく秘密めいた場所』で、みたびの登場を見ます。
さて、20年もたつと無口のおばさんもかなりの勢力を獲得するのか、

<「夕めしは煮えてるんです。ミセス・ファブリカントが、彼女の名高い―あるいは名うてのと言うほうがいいかな―アイルランド風シチューを作っておいてくれたんでね。ファビーは今日早引けしたから―」
「おれはそんなに急いで食わんでもいい」と警視は急いでいった。
(中略)
「ファビーのシチューは、デレハンティーの家のセッターに食わせてしまえばいい、あの犬はアイリッシュなんだから」>(青田勝訳)

と、雇い主であるクイーン父子が面と向って抗議できない恐るべき存在となっているのでした。


(SergeantVelie,Matorjiska,Eirakuin_Rika)



ライト,ノーラ

2007年07月15日 | 人物事典(ラ行)
*ライト

ノーラ・ライト

『災厄の町』(Calamity Town)に登場する、ライツヴィルの名家ライト家の三姉妹の次女。美人だが引っ込み思案の眼鏡っ娘だったノーラは、父の銀行の出納係主任をしていたよそ者のジムと出会ってから、ガラリと変った。そしてふたりは婚約。だが結婚式の前日にジムは理由も告げずに町を去ってしまった。

そのジムが三年ぶりに町へもどってきた。ノーラを捨てて出ていったときと同じように突然に。それはノーラにとって、うれしい再生の恐怖だった。ふたりはよりをもどし、結婚する。

新婚旅行から帰ってきて、新居に落ち着いて半月。ジムの書斎を作ろうとして、本の片づけをしていたノーラは、落とした本のページの間から偶然こぼれ落ちた三通の手紙を読む。三番目の手紙を封筒にもどしたとき、彼女の頬はぬれた砂のような色になっていた。


(Eirakuin_Rika)

フォックス,リンダ

2007年07月15日 | 人物事典(ハ行、他)
*フォックス

リンダ・フォックス

『フォックス家の殺人』に登場する若妻。
スロカム(ライツヴィルの隣町)の孤児院から引き取られ、タルボットとエミリーのフォックス夫妻の養女として育てられる。
タルボットの弟のベイアード・フォックスが妻殺しで有罪となった後、タルボットとエミリーは甥のデイヴィーを引き取った。
それ以来、ひとつ屋根の下で暮らしてきたリンダとデイヴィー。
<二人の結びつきは単なる血のつながりよりも強かった---それは浮浪児同士という秘密によって織り出された神秘的なつながりだった>

第二次大戦に出征したデイヴィーが休暇で帰ってきたとき、リンダはデイヴィーと結婚する。デイヴィーが21歳、リンダが20歳のときだった。

一年後、デイヴィーは空軍大尉として華々しい戦果をあげ、故郷の英雄として凱旋した。だが実際は“神経精神病事故者”として軍務を解除されたのだった。二人の結婚生活に暗雲がただよいはじめる。「いつも朗らか」をモットーにするリンダだったが、強迫観念に取り憑かれたデイヴィーは無意識のうちにリンダの首を絞めようとした。

夫の心の病の原因が、十二年前のベイアードによる妻殺しにあると考えたリンダは昔の事件の真相の解明をエラリイ・クイーンに依頼する。

<エラリイはしばらく彼女の顔を見つめていた。
「ねえ、リンダさん」彼はやがて口を切った。「よほど深く愛している女性でなくては、こんな巧妙な---じつにすばらしい---解決法を思いつくものじゃありませんな。けれども---」>(青田勝訳)

再調査の結果デイヴィーの父ベイアードの無実が証明される見込みは百万に一つと考えるエラリイだったが・・・

ひたむきに夫を愛するリンダの健気さと、父の有罪が再確認されたならリンダと別れるつもりだと宣言するデイヴィーの心意気がエラリイを動かす。


(Eirakuin_Rika)

メガラ,スティーヴン

2007年07月15日 | 人物事典(マ行)
*メガラ

スティーヴン・メガラ(※スティヴン・メガラ=創元・角川)


『エジプト十字架の秘密(The Egyptian Cross Mystery)』に登場。
敷物輸入業兼海洋旅行家。イートン訛りの英語を操るが、イギリス人ではない。陽に焼けた、どこか不気味な感じのする頑丈な体格をしているがヘルニアにたびたび悩まされている。
共同経営者トマス・ブラッドの義理の娘ヘレンに求愛中で、彼女の名にちなんだ“ヘレン号”というヨットの持ち主。



(Matorjiska)