広島の人・エポカわ~るど編集日記

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広島に「広島友禅」の種を蒔きたい/中村ずいこさん・女流友禅作家  

2011年02月02日 16時05分09秒 | 日記
 
 広島市内の繁華街・八丁堀から歩いて3分ばかりのところに、着物や和の小物を扱っている「ずいこ」という店がある。オーナーは女流友禅作家中村穂湖(なかむらずいこ)さん。友禅の制作・販売をするほか、手描き友禅体験教室を開いている。その他、手広い店
内を利用して、陶芸・刺繍・版画などの作家展や三味線・シャンソンなどを聴く会を開催している。

 ずいこさんには壮大な夢がある。広島の地に、新たな文化「広島友禅」の種を蒔きたいという夢である。友禅には京友禅、加賀友禅、東京友禅がある。つまり全国で4番目の友禅を起こそうというのである。そのためには、長い歳月と多くの賛同者とたいへんな努力が必要である。ずいこさんに、心からのエールを送りたい。
  
詳細⇒http://www.epocaclub.com/

<一言メモ>
 
 ずいこさんは、京都生まれの京都育ち。舞台女優に憧れ、高校を卒業すると両親の反対を押し切って上京し某劇団養成所に入団した。劇団養成所では張り切って勉強したが、なかなか目が出ず3年で演劇を断念した。この挫折により、ずいこさんは一回り大きく成長する。
もともと好きだった着物の仕事をしようと、京都に帰り友禅師「国分直敏氏」の門に入った。一人前になるには10年かかると言われていたのを、なんと7年で卒業。それから、京都市下京区に工房をかまえ、独自制作の道に入った。

 2009年結婚。主人が広島の人だったので、京都の工房を閉鎖し、広島に「ずいこ」をオープンした。
 抱負を次のように語る。
「1つは、一人ひとりのお客さまに、ご希望の柄や色で世界に1つしかない着物を作ってさしあげること。もう1つは流通形態の改革です。普通、私たち友禅師は制作だけをして、販売は問屋や呉服店に任せてきました。これでは、どうしても売値が高くなるので「ずいこ」では、制作・販売を一貫して行うことにより売値を下げました。もう1つは店内の工房をオープンにし、手描きの工程がお客さまに見えるようにしました。少しでも、手描き友禅に親しみを持っていただければと思っています」

 さらに将来の夢について語る。
「友禅は1つの文化です。友禅は、京友禅、加賀友禅、東京友禅があり、主に三つの産地で作られています。広島の地に、特徴のある手書き友禅の種を蒔き、遠い将来には、広島友禅という文化を根付かせたいという夢のようなことを考えています。私ができることに
は限度があるので、賛同者の輪を広げていきたいと思っています」

 彼女は情熱を持ちながらも非常にクールな感覚を持っている。その持ち味を活かしながら目標に一歩一歩向かっていくことだろうと思った。