アメリカ:闇の支配構造と略奪戦争

社会構造を分析しています。

日本のメディアの「チャベスによるTV局閉鎖」報道は、あまりに一方的過ぎるのではないか?

2012年11月06日 | 記事
民放のTV局閉鎖を発表したチャベスが、「報道の自由を奪う」という単純な切口によって、「独裁色を強めた」とか「強権化した」というトーンで、メディア各紙で一斉に報じられている。

しかし、過去http://blog.goo.ne.jp/nanbanandeya/e/e9dce6f6f4031c8f8b1310f19274c468、このような裏工作によって政権の転覆を図ったアメリカが、今回の件にも絡んでいると見るのが自然ではないだろうか。

ブログ「4つの目で世の中を考える」より
http://310inkyo.jugem.jp/?eid=260
===========================================
4月11日、反チャベス派は、国営石油公社へのデモ行進を始めた。一方、大統領官邸前ではチャベスの支持者が集まって集会を行っていた。反チャベス派の指導者は、違法を承知で、デモ隊に官邸前への進路変更を呼びかけた。カラカス市長フレディ・ベルナルは、群集の衝突で流血の惨事を招きかねないこの無責任な煽動を非難し、「我々はあなた方の挑発に乗らない」と宣言した。しかし、反チャベス派のデモ隊は周囲の器物を破壊するなど次第に激しさを増しながら、ついに官邸前に姿を見せた。すると、そこにいたチャベス派の群集も興奮しだした。
「ノー・パサラン!(奴らを通すな)」
両派の衝突を防ぐために、警護にあたった兵士たちは間に入った。

<仕組まれた殺戮、そして捏造>

そこへ突然、銃声が聞こえた。何者かが群集を見下ろす位置から身を隠して発砲しているようであった。

犠牲者はすべて頭を狙い撃ちされた。

人々は逃げまどい、そして、狙撃犯がいると思われた所めがけて反撃しだした。ベネズエラでは一般市民も銃を携帯できるのである。この時の陸橋から拳銃を撃つチャベス派の人々の姿が、民放で繰り返し繰り返し報じられた。非武装のデモ隊に向けられたものとして・・・
しかし、元民間放送局員アンドレス・イッサーラは、民放が決して放映しなかった真実を示す。

この場面を別のアングルから撮った映像では、彼らが銃を放っていたはずの陸橋の下にはだれも存在していなかったのである! 

まさに捏造そのものであった。

彼ら自身も狙撃に対して身を伏せながら応戦していただけなのである。(つまり、これを読むと、メディアの放送した映像とゆうのは、非武装のデモ隊に向けてチャベス派が発砲したように報道してるけど、実際に彼らが撃った方向は誰も人の居ないところだったということです。

そして「何者かが群集を見下ろす位置から身を隠して発砲していた・・」とゆうのもあるいはそうゆう事実を作り上げるために、変装したアメリカかコロンビアあたりの兵がやったとゆう可能性が高そうやね)イッサーラは、このような真実を覆い隠し、チャベス派の発言を一切取り上げようとしない民放の姿勢に抗議して、退職した。

しかしながら、この虚偽の映像をたれ流すことによって、この事件の責任はすべてチャベス政権にあるというデマ宣伝は功を奏した。
そして、これまでチャベスを支持していた軍も支持の取りやめを表明した。国営放送も反チャベス派に占拠され、大統領官邸に集まったチャベスとその閣僚たちは外界から完全に閉ざされた。

反チャベス派の将軍たちは大統領の辞任を求めた。辞任しなければ大統領官邸を爆破するとの脅迫をもって。しかたなく、チャベスは官邸爆破を防ぐため、軍に拘束される道を選んだ。
==========================================

石油の利権を手放したくないためにCIAを送り込んだり、現地の学生運動やメディアに資金提供して、その国の政府をひっくり返す、というのをアメリカは繰り返してきた。

http://blog.goo.ne.jp/nanbanandeya/e/2bc9100be219d9011af8b5480ad4ce17

アメリカの都合のよいように平気で情報を捏造して報道するような売国TV局はつぶされて当然ではないだろうか(それを言ってしまえば日本のTV局は全部つぶさなくてはならなくなってしまうが…^^;)。そうしなければ、国民はみんな洗脳され、自分たち大衆のためにアメリカと闘っている政権を、自分たちの手で転覆させる…という実に救いの無い行為に国民を走らせてしまう。

今回のチャベスによるTV局の閉鎖は、アメリカによる情報操作の根を断つためのやむを得ない決断だったのではないかと私は見る。

2007/05/30-13:15 民放テレビ局閉鎖の正当性を強調=チャベス大統領
http://www.jiji.com/err/404.htmlより

このような報道にも、チャベス=言論の自由を脅かす=悪というアメリカ側の立場のレッテルが貼られている。

かつて、キューバの指導者であるカストロも西側諸国(もっぱらアメリカ)からそのようなレッテルを貼られ、さかんに攻撃されていた。しかし今回、オリバーストーンによって映画化されることで、私たちは少しは彼の実情を知ることができる(当然アメリカでは、この映画は上映禁止である)。

http://www.janjan.jp/culture/0704/0704053193/1.php(JANJANによる紹介記事)
http://www.alcine-terran.com/comandante/(公式サイト)

ベネズエラ情勢の今後の動向は、アメリカからの情報操作によるバイアスが相当かっているという前提で、注意して見ていく必要があるだろう。

このhttp://agrotous.seesaa.net/にも注目!
  ↓
リンク
>帝国の要求やグローバル資本主義の拡大に従わない諸国家は、その国内での政治状況を変更し、国を企業投資家に開放するための秘密でよく練られた計画の標的になる。米国に支援された国内勢力が大統領を引き降ろすことで、外部からの干渉がなかったように見せかける。そしていま、米国政府は新しい最大の脅威に目を向けた。つまり中南米であり、より明確にはベネズエラである。(2007年05月27日エントリーの記事より)



tanvool

ハゲ・タカファンドが、何でアデランスを~??。

2012年11月05日 | 記事
舐めきったハゲタカファンドの傍若無人は、何処から見ても粗暴極まる極悪非道の盗人である。設備投資に備えた戦略資金を、勤勉な日本人の蓄積を、白昼から収奪する。絶対、許さない、。
 歴代米政権に因る、対日政策の帰結であることを確認する。
 
 この「人でなし」に身の危険も感じずさせず、都心のど真ん中を闊歩させる東京は、麻薬漬にされた租界の地と成り果てた。実に苦々しい有様を、毎日見せ付けられる。 
 
 問題は、従米隷属を政権獲得・維持の道具にした中曽根に始まる政界・官僚の心無い支配層と、そのお先棒を担ぐマスコミ権力にある。大衆の怒りは、一蓮托生の奴らに向かい、いずれ鉄槌をくらわす。
 
 その背後には、歴代米政権の執拗な対日干渉がある。ここまで従米隷属を政策の柱とする国家・政権は存在しない。
 毒気と狂気にまみれた収奪の構図が、欺瞞観念と法制度のお墨付きで、表のスタンダードにされてしまう。米国支配層がこんな社会を好むなら、勝手にお遣んなさいと言い放てばよい。言い寄り恫喝するブッシュ政権を、袖にする政策や外向術は幾らでもある。
 ホドホドにせよと言い切って距離をとる、これが気骨のある政治だろう。

 人類史上何処から見たって、この従米隷属の官邸・マスコミの世論支配は尋常ではない。例えば、小泉の破廉恥。ブッシュ夫婦の眼下で、プレスリーのモノ真似を嬉々と興じて見せた。まともな日本人なら、顔を顰める。民族の恥をさらした映像だ。
 これこそ正真正銘の従軍慰安婦、男芸者じゃないか。この屈辱は日本人の記憶の中に深く刻まれた。
 
 従米隷属勢力と闘うには、右も左も無い。本源の心根を、根こそぎ蹂躙される前に、アジアの同胞と共に立ち上がらねばならない。


持国天

戦争がなくならないのはなんで?:ノート2

2012年11月04日 | 記事
■ 戦争がなくならないのはなんで?2

1.アメリカは本当に豊かな国なのか?
・ どうして、先進国の中でアメリカだけが今も戦争を続けているのか、ということを考えていくと「アメリカは本当に豊かな国なのか?」という疑問が沸いてくる。
・ 実際、アメリカは、経済競争力を失い1985年には、債務国に転落。今では世界最大の経常赤字・財政赤字・対外債務国。普通ならば、とっくに破産している国。
・ そうした経済競争力の低下を、どうやって補ってきたかというと、金融etcの規制緩和や自由競争を推奨して、お金持ちを生み出してなんとかしようとしてきた。その結果、ビルゲイツのようなIT長者やウォーレン・バフェットのような投機で儲けた大金持ちがいるかわりに、国内の車産業etcはどんどんつぶれていって、中流階級は、再び、生活苦に直面するようになった。しかも、より低賃金で働いてくれる移民を受け入れる政策を取ったため、ますます、国内の貧富の差は拡大。アメリカは一握りの資産家がいる一方で、もはや先進国とはいえないくらい貧困層を抱え込んでしまっている。
・ しかも、アメリカは元来が、ヨーロッパから自由を求めてきた移民がつくった人工国家ということもあって、伝統的な共同体がなく、他人が信用できない。従って相互扶助の精神が貧弱で、なにごとも自己責任にしてしまう。その結果、年金も医療制度も(ヨーロッパと比べても)貧弱。従って、大多数の国民が未だに「私権なしには生きていけない」という私権原理につきうごかされている。
・ また、アメリカの成り立ち自体がインディアン侵略から始まっており、戦後も一貫して、戦争で利益を上げるという「武器商人」としてやってきた。そのため今も国家の中枢を軍産複合体と呼ばれる勢力が握っている。彼らが仕組む様々な戦争も、国民の中に今も根強く私権原理が働いているため、「正義の戦い」と支持されてしまっている。

2.私権原理と共認原理の闘い
・ 他方で、「世界の警察」を勝手に名乗ってきたアメリカへの批判の声も高まってきた。
・ ヨーロッパ諸国は、かつて隣国同士が戦争で傷つきあい、また後進国を略奪し苦しめてきたという歴史の反省の上に、国家どうしが共存共栄できる関係を目指して、EUをつくったり、環境問題への取り組みを強化したりしている。またイスラエルとイスラムの対立に対しても、一方的にイスラエルを支援するというよりも両者の共存を望むスタンスを強めていっている。
・ また、かつてアメリカに政治的紛争を仕掛けられたり、アメリカ資本によって経済的な打撃を被った、南米諸国やアジア諸国では、脱米・反米の声が強まっている。
・ こうした世界情勢から見れば、アメリカは勝手に「世界の警察」を名乗っているが、実際はもはや「世界のならず者」でしかない。
・ しかし、世界全体が「アメリカいいかげんにしろ」といっているのに、それでもアメリカのいうことならなんでもいうとおりの国がある。それが日本。
・実際、先進国が軍縮の流れにあるのに、先進国の中で唯一軍事費を増やしているのが日本。
 ・それに借金だらけのアメリカにお金を貸しているのも日本。
 ⇒日本がNOと言えば、アメリカの暴走は止められる!

3.アメリカの命運、そして戦争をなくせるかどうかの鍵を握っているのは日本
・日本の世論次第で戦争はなくせる。にもかかわらず、マスコミも政治家もアメリカの問題点を指摘しない。むしろ、何かあった時に、日本を助けてくれるのはアメリカだ、日米関係は大事だ、と繰り返すだけ。しかし、そのように、アメリカの金魚の糞みたいな外交を続けていたのでは、世界からの信頼は得られず、返って国を危うくするだけである。実際、北朝鮮問題でも6ケ国協議に参加しているが、日本の発言権はないに等しい。
・事実をもとに言うべきことを言う。アメリカを怖がる必要はない。事実を知り、広めることが「戦争をなくす」ための最大の武器である。



●補足:世界的な反米・脱米潮流

1.EU諸国:親米派といわれるフランスのサルコジ新大統領ですら「友人(アメリカ)は別々の考え方をすることもある」と発言。地球温暖化への取り組みにおいては、米国に「妨害しない」よう要求し、「米国は反対に、温暖化対策を主導しなくてはならない。人類の将来が危機にあるのだから」とも語っている。

2.イスラム諸国:聖地エルサレムを巡って、ユダヤ教国家イスラエルと対立し、親イスラエル的立場をとるアメリカとも対立が続く。イランを筆頭にアメリカとの緊張が続くが、最近はアメリカ側が態度を軟化させ、協議のテーブルにつく流れがある。また、金利を取らないイスラム金融システムが、東南アジアに拡大中。

3.ロシア:ソ連邦以来のアメリカのライバル。市場経済へ移行後も、中国やイスラム諸国と連携し、アメリカと距離を置く。

4.南米諸国:カストロ議長(キューバ)チャベス大統領(ベネズエラ)モラレス大統領(ボリビア)等、かつて、アメリカにより紛争を仕組まれたり、経済的打撃を被ったりした経験から、反グローバリズム、反アメリカの機運が高まりつつある。チェベス大統領は、2006年9月20日、国連総会にて行われた一般演説において、ブッシュ大統領を「悪魔」と批判し、拍手喝采を集めた。モラレス大統領は先の3月に来日し、「新憲法で戦争を放棄する」「軍隊なしで人命を救える。武装放棄しながら、社会的な戦いを続ける」と発言した。

5.アジア諸国:旺盛な経済成長力を背景に、中国・韓国・東南アジア諸国を筆頭に、ドル支配からの脱却を狙う。かつてアジア通貨危機を経験しており、東アジア共同体構想では、アメリカと中国の間で主導権争いが続いている。



山澤貴志

戦争がなくならないのはなんで?:ノート1

2012年11月03日 | 記事
■ 戦争がなくならないのはなんで?

1. これまでの戦争
・ 戦火が世界的な規模で広がったのが、第1世界大戦、第2次世界大戦。特に日本ではヒロシマ・ナガサキに原爆が落とされた。その後は、大きな戦争もなく、日本は平和憲法でやってきた。
・ しかし、ここ最近は、自衛隊がイラクに行ったり、隣の国で核兵器が開発されたりしている。日本だけ戦争は関係ないといえない状況にある。どうして、あれ程のつらい思いをしたのに、人々は戦争をなくすことができないのだろうか?
   
2.「平和を大切に」だけでは思考停止
・戦争映画とかを見て「怖い、いやだ、平和がいい」というような感情を刺激する平和教育が戦後長らく行われてきた。しかし、それだけではだめで、むしろ「平和を唱えるだけ」で思考停止してしまって現実を見なくなると危ない。大切なのは、どうして戦争が起こるのか、どうしたらなくせるのか、と追求すること。

3.生存圧力⇒私権第1の価値観が戦争の引き金
・ 現在、どこで戦争がは起こっているか
・ ヨーロッパ、アメリカ、日本といった先進国どうしでは今は戦争が起こっていない。起こっているのは発展途上国である。
・ では発展途上国で戦争が耐えないのはどうして?豊かになると戦争がなくなるのはなんで?
⇒貧困の時代は、自分が生きていくのに必死。他人を蹴落としてでも、自分のものになる土地やお金や権力が欲しい。(私権第1の価値観)。そうした私権第1の価値観のものが他人の縄張りをあらしだすと、奪われた方も奪い返すようになり、玉突き的に縄張り争いが拡大していく。⇒殺人・戦争が正当化され、武力が力を持つ(武力支配)。
・ つまり、生存圧力⇒私権第1⇒縄張り争い⇒殺人・戦争の正当化⇒武力支配!
・ 逆に、豊かさの実現=生存圧力の消滅⇒他人を蹴落としてでもという私権活力は衰弱⇒戦争より安全・安心⇒戦争はなくなっていく。

4.豊かさが実現された国から戦争はなくなっていく
・実際、先進国は次第に、軍縮の流れにあります。しかし、例外の国がある。どこか?
  ⇒それはアメリカ。実際、アメリカは世界中で戦争を起こしていて、先ほどの発展途上国の戦争にも、アメリカが関わっているケースが大半である。
  ⇒どうして、アメリカは、戦争を続けようとするのか?そしてそれをやめさせることはできるのか?

■補足1:時代別の戦争の変遷

●古代の戦争
貴金属・領土・奴隷を求める国家(そして宗教)のエゴ(集団自我)の対立によって戦争は引き起こされてきた。(但し、国敗れて山河有りといわれるように、戦争の主体は一部の支配階級のみで、普通の人々=農民は戦争を望んでいた訳ではない)

●近代の戦争
近代になって、市場社会化が進むことで、私権獲得の可能性が大衆的に開かれた。
それによって、他の国には負けられないと資源等を巡る縄張り争いが激しくなり、次第に「戦争は必要」という共認が成立した。
その結果、植民地・資源を求める市場と国家の共犯関係から植民地支配→侵略戦争が世界的に広がってき、さらに市場経済の破綻(恐慌etc)からくる社会的混乱は、ますます各国の自己正当化・他者否定を加速し、戦争を先鋭化させていった。

●現代の戦争
しかし科学技術戦争=核の傘は全面的な戦争を不可能にし、戦後は冷戦時代に。そして私権原理から共認原理に転換したにも関わらず戦争は今もなくならない。その震源地はソ連崩壊後、「世界の警察」を自負するアメリカ。特にCIA・等の諜報機関が紛争の仕掛け人として暗躍、裏で戦争を操っている。

■補足2:戦争は本能か?

本能の中にはオス同士、メス同士が闘うという性闘争はあっても、同類を殺すまで闘うことはない。(それでは種が滅んでしまう)。人類において本能を超えた「同類殺し」までもが可能になったのは、人間に固有の自分さえよければという自我回路が本能回路に相乗収束した結果。自我が個人間で究極的に発現したものが殺人等であり、それが集団自我として共認され、最大の縄張り闘争として発現したのが国家間の戦争。



山澤貴志

イラクの『新石油法』の背後で蠢く私権闘争

2012年11月02日 | 記事
イラクの石油をめぐり、米国内部とイラク内部そして中東近隣諸国間でドロドロとした私権闘争が姿が現しつつつある記事を見つけたので紹介します。

益岡賢のページ 『「黒い金」の国際争奪戦:石油と帝国』より引用http://www.jca.apc.org/~kmasuoka/
----------------------------------------------------------------
ブッシュ政権の石油屋たちは、史上最大の詐欺行為の一つ----イラク油田の大盗掘----を進めようとしている

イラク新政府の内閣は、自分たちを権力の座につけてくれた占領者である米国の圧力を受け、新たな石油法を採択した。これにより、イラクの国営石油システムは解体され、これまでに類例のないほど自由に、西洋の巨大石油企業はイラクの膨大な石油資源にアクセスする権利を手にすることになる。

石油企業は、中東のどこでもこれまで見られなかったほどの超巨大収入を保証された。イラクの油田のうち3分の2か、あるいはそれ以上からくみ出される石油の利益を、今後20年から35年にわたって懐にできるのである。その間、イラク人は、世界中でもっとも需要の多い資源を世界で三番目に多く有すると推定される国に暮らしながら、戦争がもたらした貧困と破壊に堪え忍ぶことを余儀なくされる。
(中略)
この法律は、米帝国にとって石油を争奪することがいかに重要であるかを----ジョージ・ブッシュとその政権がどんなに否定し、イラクを攻撃したのは「民主主義」を広め世界をテロの脅威から安全なものにするためだと述べたとしても----あからさまに示している。
-----------------------------------------------------------------

一方で、
田中宇の国際ニュース解説『イラク石油利権をめぐる策動』よりhttp://tanakanews.com/070417iraq.htm
----------------------------------------------------------------
 だが、この石油新法をめぐる話を詳細に見ていくと、新法によってイラクの石油開発が進む可能性は低い。むしろ、新法は利権分配の方法について曖昧な点が多いので、逆にイラク国内のクルド人、シーア派などの間の石油利権をめぐる争奪戦を激化させ、イラクの政情の不安定化に貢献する恐れの方が大きい。
(中略)
▼石油利権を潰すイラク3分割
 イラクの石油新法は昨夏、ブッシュ政権によって提案されたが、そこには最初から「イラク3分割」を加速させる意図が見え隠れしていた。3分割とは、イラクをクルド、スンニ、シーアの3地域に分割する案である。
(中略)
 イラクの3大勢力がそれぞれ油田を持ち、それぞれが勝手に自活して、イラクという統一国家は消滅する、というのが3分割案で、これはイスラエルが以前から強力に推進し、ブッシュ政権はイスラエルからの圧力を受け、3分割を加速させる石油新法を出してきた。
(中略)
 ここで重要なのは、イスラエルがイラクの3分割を望むのは、イラクを混乱させ、イスラエルと敵対できないような弱い状態に置くためだという点である。分割後の3つの小国家が安定して石油を産出することは、イスラエルは望んでいない。豊かな石油収入があれば、小国家でも武器を買ってイスラエルを攻撃できる。3分割案は、石油をエサに、イラクのスンニ・シーア・クルドを分裂させ、相互に内戦させ、石油を出せない貧しい状態を永続させることが目的である。
(中略)
▼イラク人を反米で結束させる石油新法
 こうして見ると、石油新法は、イラク人を反米の方向に結束させていることが分かる。
(中略)
 これらの動きの共通した根本は、ブッシュ政権が反米派に対する攻撃をやりすぎることによって、逆に反米派に対する地元民の支持を強化しているということである。私は、これはチェイニーら「隠れ多極主義者」による故意の失策、戦略的自滅策であると考えている。
そう考えると、イスラエルにとってイラク3分割の実現のはずだったイラクの石油新法は、イスラエル支持者のふりをした隠れ多極主義者によって乗っ取られて「やりすぎ」作戦の一つにされてしまい、意図的にイラクを反米反イスラエルの方向に結束させる道具として使われているのではないかと思えてくる。
----------------------------------------------------------------

米国のイラク侵略行為は、表向きは民主主義、テロに対する正義の戦いとしながらも、背後では米国内部・イラク内部・近隣国間で、石油を道具にして醜い私権闘争が複雑に絡み合っているようだ。

まさに『羊頭狗肉』の詐欺と駆け引きのオンパレードの醜い世界である。


麻丘東出