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フグは食いたし、命は惜しし~テトロドトキシン~

2011-02-13 16:52:37 | なんとなく有機化学がわかった気になる
昔、フグにあたると死ぬことあったことから「フグは食いたし、命は惜しし」なんて言われたりすることがありました。
ちなみにボクは死ぬ前に一度はフグのお刺身を食べたいと思ってます。
ほら、でかいお皿に乗せられたフグの切り身をお箸でサササーッと大量に掴んでもぐもぐしたいですね…

さて、そんなフグが持っている毒、それが皆さんも耳にしたことがあるかもしれない「テトロドトキシン(略称:TTX)」です。
古くは1909年に田原良純によって日本の学会で報告されたTTXですが、その後、様々な研究な続けられて、現在では全合成も達成され、いくつか論文が出ています(cf. JACS. 2003, 125, 8798-8805 “First Asymmetric Total Synthesis of Tetrodotoxin”)

そんなフグ毒として名高いTTXだけど、実はヒョウモンダコだとかツムギハゼなんかからも取れたりします。
というのも、これはフグが作ってるわけではなく、シュワネラ・アグラやその他多くの微生物が作っており、それを摂取したフグなどの生物が体内に蓄積していくからです。

そんなTTXはどうして毒となるのか?
これは神経細胞にあるナトリウムチャネルのタンパク質にくっつくことで細胞外にあるNaイオンが細胞内に流入するのを阻害してしまうためです。
こうなるとつまり、刺激の伝導が妨げられる(脱分極が起こらなくなる)のです。
すると、神経細胞末端から神経伝達物質であるアセチルコリンが遊離しなくなる(刺激の伝達が行われなくなる)ます。
こうやって神経系をダメにしてしまうの「神経毒」と呼ばれ、割と少量でも致命的になりやすいのです。
人間の神経系ってかなり繊細ですからね( ・ω・)

しかし、毒と薬は紙一重というか表裏一体なわけで、医療用としては鎮痛剤なんかにも使われているとか。

さて、そんなテトロドトキシンの構造はこれだっ



主骨格はO原子を含むアダマンタン骨格で、アルカロイドに分類されます。
その隣にサキシトキシン(STX)なんてのも描いたけど、実はこいつもフグ毒の一つだったりします。
効能はTTXと同じで、ナトリウムチャネルのタンパク質にくっついてNaイオンの細胞内への流入を阻害するってもの。
これらの共通点を見ると、前回のリレンザなんかの置換基にもあったような「グアニジン」みたいなものを含んでます(N原子上が電荷を帯びてるけど)
おそらくこの部分がタンパク質にくっつくときに重要なんじゃないかなぁと。専門じゃないんでサッパリですが(ぉ

とりあえず、フグ食べたいっすね( =ω=)

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