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高額でも盛況 学生群がる「就活塾」の実態

2012-05-16 08:30:36 | 日記
高額でも盛況 学生群がる「就活塾」の実態 2012/5/16 7:00日本経済新聞 電子版

今回の疑問は「就活塾ってどんなところ?」
 中学受験、高校受験、大学受験…人生前半のいろんな節目でお世話になることが多い「塾」。
最近、厳しい就職事情を反映して「就活塾」なるものが人気だという。いったいどんなところなのか。
■自己啓発セミナーから就活塾へ
 「俺と一緒に燃えてみないか」――。就活塾で大手と言われる我究館(東京・港)。
新入塾生への初回講義は熊谷智宏館長の熱いメッセージで始まった。
参加するのは就活戦線まっただ中の4年生、就活を控える大学3年生のほか、1度挫折を味わっている第二新卒や大学院生たち。一語一句聞き漏らすまいと、みんな真剣なまなざしを熊谷館長に向けている。
 我究館は1992年に設立。当初は自己啓発セミナーを主に運営していたが、徐々に社会人のキャリア形成を支援する講義にシフト。
ここ数年で学生の就活を支援する事業をメーンに切り替えたという。
 歴史は浅いが、塾生の数は年400人に達する。「受講希望者が多く、これ以上は増やせない」と熊谷館長が説明するほどの盛況ぶりだ。
 学生だけでなく、親の関心も高いらしい。週に何件も問い合わせの電話が来るという。
相談は学生に劣らず熱心で、電話を切るに切れず、気づいたら1時間の長電話になるケースも。
あまりの問い合わせ数に、業務に支障が出かねないと見て、近く、親向けの説明会を開く予定だ。
 気になるのは内容と料金。
年間のコースは14万8千円。8回の講義のほか講師との面談、エントリーシート(ES)の添削、模擬面接がセットになっている。

■「高額ですね」に「むしろ安い」
 面談やES添削、模擬面接は何度も受けられるそうだが、8回の講義でおよそ15万円というのは、学生にはなかなかの料金に見える。
「ずいぶん高額ですね」とつい本音を漏らすと、熊谷館長は「むしろ安いでしょう」と言い切った。
「就活を通じて、学生たちは人間として大きく成長する。そのために講師も命をかけている」からだそうだ。
小学生の塾の費用もバカにならない昨今、人生を左右するなら多少の出費はやむを得ないということだろうか…。
実際には小遣いやバイト代でまかなえる学生はほとんどおらず、親が支払うことが多いという。
 就活塾はリーマン・ショック後に就職活動が厳しさを増したことを受け、2008年以降に事業を始めたところが大半。
その中で業界の「パイオニア」とされ、老舗的な位置づけにあるのは内定塾(東京・中央)。それでも2005年の設立だ。
 受講料は年間で16万8千円。4回の講義と19回の個別面談を受けられるほか、回数無制限のES添削指導がセットになっている。
 やはり高額にも関わらず、学生数は増加の一途で、12年3月卒業コースの学生は年800人。2~3年内には年間1000人を超える見通しだという。
親からの関心が高いのは他の塾と同じで、月に1度の親向けセミナーはほぼ毎回、満席。4~5月にもなると子どもが内定を得られない焦りを隠さない親も多く、
セミナーが終わっても「なぜ内定が出ないのか」「英語力はどれくらい必要か」「就活のための留年と大学院進学はどちらが有利か」と講師にすがりつく姿が見られる。
 高額料金でも人気の裏には子を思うスポンサー(親)の存在がありそうだ。

■塾代表が就活生と同年代
 「弁護士の相談料並みですね」――。就職の家庭教師(東京・渋谷)の小名木智宏社長は事も無げに話す。
同社は個別指導という業態で、就活生にマンツーマンで講義を開く。料金は1回90分で1万5千円。10回コースは12万5千円だ。予約が入るたびにレンタル会議室を借りて講義するビジネスモデルだ。
 「希望する学生は後を絶ちません」と小名木社長。受講料を払うのはやはり、親がほとんどで「最近の親は、我が子が内定をとるためなら金に糸目はつけないという状況」だと説明する。
受け持ちの学生の中には三重県からはるばる片道3時間かけて通う人もいるのだという。
 同じく個別指導のベスト就活塾(東京・千代田)は低料金が売り。学生が自分でも払えるように、15回の講義で7万2千円からの「格安コース」がある。
大学受験予備校の授業料を参考に料金設定したのだそうだ。年間150人に上る学生の半数近くは親に頼らず自分で受講料を払うという。
 代表の川上英史氏は25歳。大学卒業後、人材紹介会社に1年ほど勤めてから父親が設立した同社に参加、代表に就任した。
当初は心療内科などと組んでカウンセリング事業を展開する予定だったが、会社設立後に方針転換。学生向けの就活支援事業を立ち上げた。
講師は川上氏のほか、大学の就職課などで相談員をしているフリーのキャリアコンサルタントが担当。近隣の心療内科で働く心理カウンセラーも相談員として参加する。
 就活塾の代表が25歳…。就活生には年上もいるだろう。
若くて社会人経験も短くて大丈夫かと心配になるが、「同年代で感覚を共有できるので、学生との密な信頼関係を築きやすい」との長所を披露してくれた。
ちなみに冒頭に登場した我究館の熊谷館長は30歳だ。


■「塾の課題で大学の勉強できず」
 正確な統計はないが、各社に聞くと、現在、就活塾は全国に80社から100社ほどあるという。
大手学習塾などの傘下の企業もあるが、大半は独立系で設立後5年未満。20歳代から30歳代の講師を中心とする塾が多い。
 ワラにもすがる思いの就活生の中にはそんな就活塾に過度に依存する人も多い。
 「相談内容は先生が決めてください」――。就職の家庭教師の小名木社長は、面談に来た学生の言葉に脱力した経験がある。
自ら予約した面談なのに、何を相談するかさえ自分で決められない。「講師に何とかしてもらおうという依存心が強過ぎる人がいる」とこぼす。
 ある就活塾で見つけた私立大学3年の望月美枝子さん(仮名)は「塾の課題が多すぎて、大学のゼミの課題に手が回りません」と真顔で話す。
塾の講師の激励にプレッシャーも感じ始めているという。
 授業についていけなかったり、塾で出会うライバルを見て自信をなくしたり…。
一部には、入塾したものの途中で来なくなる学生が半数近くに上る塾もあるようだ。
 なかなかうまくいかない就活に焦りを感じ、4月から就活塾に通い始めた私立大学4年の山下敏哉くん(仮名)。
入塾の動機を問うと「僕は周りに左右される性格。どうせなら、エネルギーのある講師や塾の仲間に流されて成長したい」

 ここまで来ると就職してからが心配である。
   ◇      ◇
就活塾の授業内容は次回リポートします。

■調査結果
お小遣いで通うには料金が高く、講師が若い塾が多い。依存し過ぎには注意。