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就活にしゃしゃり出る困った親たち

2012-06-06 20:55:02 | 日記
就活にしゃしゃり出る困った親たち 日経新聞 電子版 2012/6/6 7:00

今回の疑問は「親が就活に口出しします。過保護ですか」
いくつになっても親は子供が心配なもの。でも、社会人目前になっても手取り足取りが過ぎるのは考えもの。
最近、増えているとウワサの「親就活」の様子をのぞいてみた。

■会社をさぼって就活セミナーに行く父
 ある就活塾が都内で開いた就活セミナー。受講した9人は学生ではない。大学3年生や4年生を子に持つ親たちだ。
これは「保護者向け就活セミナー」。親からの問い合わせが多いため、月1回のペースで開催、年間で100人ほどが参加するという。
ほぼ毎回、予約で満席になるそうだ。
 平日の午後2時からのセミナーだったが、男親も2人いた。1人は「会社を休んで出席しています」とのこと。
もう1人は「会社に『外回りの営業に行ってくる』と言って出てきた」そうだ。会社をサボってまで…。
塾によると夫婦で参加することも多いという。
 セミナーの内容は学生向けとそう変わりはない。就活の現状やスケジュール、企業の求める人物像、就職できない学生の主な原因、面接での質問例、合格するエントリーシートの特徴など。
違うのは、親が与える影響や、昔と今の就活状況の違い、といった話が聞けるあたりだろうか。
 ただ、塾側の講義内容は大差なくても、受講者側の食いつき方は親と子で違う。
保護者向けセミナーでは講義の後、質疑応答の時間を10分間設けるが、ほとんどの場合、親の執拗な質問攻めで、1時間近く延長するという。
 真剣なまなざしのご両親には失礼かもしれないが、質問の内容は「親がしないといけない質問なの?」というものが多い。
 この日は「TOEICは受けるべきか。またその必要な点数は?」「文系の大学院に進むのと、就職留年するのはどちらが有利?」「第1志望の銀行に落ちてしまったが、どうしたらいい?」
「留年するなら、何月までに見切りをつければいい?」など。

■娘の代役で説明会に出席する母
 この塾の講師は「統計的な数字があるわけではないが、ここ2~3年で過保護・過干渉な親が急増したように感じている」という。
親からの匿名の相談電話も急増しているが、匿名だけに学生本人の希望もわからず、大学名・学部なども隠された状態なので、「答えに窮することが多い」とあきれる。
就活塾のホームページには保護者向けのセミナーの案内も(写真は「内定塾」のホームページ)
 母親が息子に内緒で電話をかけてきて、本人が希望していない業界を受けさせるよう仕向けてくれ、とか、この業界はあきらめさせろ、といった要請もある。
ある母親は「スキー部の合宿に行かずに就職に備えるよう娘に伝えて下さい」と依頼。「自分では直接言えない」と話していたという。
 過干渉な親が出没するのは就活塾だけではない。
 ある有名サービス業がこの春開いた企業説明会。リクルートスーツに身を包んだ就活生が会場を埋め尽くす中。
授業参観のような身なりの中年女性が最前列の真ん中に陣取って必死にメモを取っている姿があった。
「あまりに浮いていたので」、説明会が終わってから企業側の担当者が声をかけたところ、就活生の母親だという。
娘がどうしても外せない用事で説明会に出られないため、代わりに出席しているとのこと。説明会での情報を娘に伝えて役立ててほしかったのだという。
「出席して誠意を見せたほうがいいと思った」とも話していたそうだ。
 別の企業の説明会では大学3年生の娘の代わりに出席し、採用担当者から名刺をもらって帰ったという母親もいた。
ただ、この説明会は4年生向け。役に立ったのかどうか…。
 ある民放の採用担当者は「最近、就活生の親からの電話が目に余る」と嘆く。
 「いつから選考が始まるのか」「選考の内容はどのようなものか」という親からの問い合わせが多いのだという。
「子どものために必死なのは分かるが、就活生が自分で情報を得るのが筋でしょう。いい年なんだから」と吐き捨てる。
これだけ関与するのだから、就活の内容にまで口出しする親も珍しくはない。

■「有名企業でないと勘当」と父
 明治学院大4年生の母親(54)は「夫が採用担当者だったことがあり、エントリーシートの書き方を娘に教えています。
面接前には、読んでいる新聞から社会派の硬いニュースと、ユニークなニュースの2つを選んで娘に教えています。
面接で時事問題が話題になっても困らないように」。
この結果、金融機関3社から内定をもらったという。過干渉でも、これはいい例。
 「自分自身の就活にとって一番のハードルは親だと思う」。
 ある私大3年生の服部美津子さん(仮名)は肩を落とす。母親はすべてにおいて過干渉で、就活の情報収集は自分よりも熱心。
新聞社開催の就職セミナーがあると聞けば、1年生から通わされた。就活塾にも通っているが、探してきたのも母親。
「とにかく、なにが何でも内定をとれ」と言うくせに、「総合職はやめなさい」というのが悩み。「女は27歳まで働いて貯金をして、結婚するのが正しい道」というのが母親の言い分だ。
「母親は絶対なので、説得することは不可能だと思う」とあきらめている。
わが子を正しく理解していない親も多いのではないか。

■「悔しいです」と母
 あるエントリーシート作成代行業者の話。「息子さんと相談しながらエントリーシートを代筆したら、『うちの息子の良さが出ていない』と注文されることがあります。親バカですね」
 ある就活塾であった話。東大生の息子を昨年末から就活塾に通わせていたが、内定が出ない。
母親が「あなたたち(講師)は一体全体、なにをやっていたの!」と怒鳴り込んできたが、その息子は1カ月半ほどで塾に来なくなってしまっていたのだそうだ。
 もちろん、就活に出しゃばらず、わが子の奮闘をじっと見守る親も多い。
 長女が私大4年生という母親(46)の独白を聞いてみよう。
 「すでに内定が出ているようですが、今のところうちの娘はゼロです。1社だけ役員面接にたどり着きましたが、落とされてしまいました。
娘からは会社説明会に行ったとか、グループディスカッションに参加したとか報告を聞きます。会社の名前を聞くと知らないことが多いです。
『そんな会社は知らない』と言いたくなりますが、口出しはしないように我慢しています。ネットで調べることはできますが、表面的なことしかわかりません。
口コミをみても不安になるだけだし、あまり見ないようにしています。
 娘は営業をやりたいと言っています。女性は一般職の方が無難だと思いますが、本人が決めることなので。
『お客さんには、いろんな人がいて大変よね』と遠回しに翻意を促しましたが、伝わりませんでした。
 就活費としてスーツ代や交通費を出してあげています。学費も含めて考えると経済的には楽ではありません。
ですがもし、『就活に必要だ』と娘が言い出したら資格取得のための専門学校の費用なども出さないといけないかもしれないと思っています。
 娘はときどき『自分もせめてMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)だったら良かったのに』とこぼします。
親としては何とも言えませんが、学歴は今更どうしようもありません。娘にそう思わせてしまうこと自体が悔しいです」
 子を思う親の気持ちはみんな同じだろう。邪魔に見える親の行動も一生懸命の裏返しでもある。
親の困った過干渉を直すためには、心配をかけないことが近道なのだが…。

■調査結果
 就活に口出しする親は過保護に見えるが、気持ちは分かる。
 別の私大3年の松本祐司くん(仮名)の父親は大手銀行の重役。「名の通った企業の内定でなければ勘当する」と厳しく言われ、プレッシャーを感じている。
姉は父親のコネで就職したが、人間関係でもめて1年で退職、今は専門学校に通っている。父親の言うことが本当に正しいのか…。