インターン、採用直結 能力や適性を見極め 2012/6/25 日経新聞
採用に直結したインターンシップや学年不問の通年採用を打ち出す企業が相次いでいる。
即戦力の獲得やミスマッチの解消に効果があるとみる企業が多い一方、経団連が「採用選考に関する企業の倫理憲章」で抑制を呼びかけるなど評価は分かれる。
学生はどう考えているのか。実際に応募した学生の声を聞くと、目的意識をしっかり持った意欲的な姿勢が浮かび上がった。
入社半年で店長という例もあるユニクロ。インターンシップ経験者には即戦力との期待が大きい
同志社大4年生の田中由美さん(仮名、21)は5月の大型連休明け、来春の日本マクドナルドへの入社を決断した。昨年10月に採用直結型のインターンシップに参加。
今年に入って始まった採用担当者との面談を重ねていくうちに「日本マクドナルドで働く」という意思が固まったという。
「企業って? ビジネスって? 全くイメージできなかった」という田中さんにとって、インターンシップへの参加は就職活動を始めるにあたっての絶対条件だった。
10~11月に計6回、企業が収益を上げるための戦略づくりを体験。「提案書は何度も突き返された。でも達成感はあった。やっていけそうだ」と手応えを感じた。
年明けからの面談では「海外でもっと長く研修を受けたい」「広報の仕事がしたい」といった要望を採用担当者にぶつけた。面談の予定時間を大幅に超えて話したこともあったという。
「筆記試験や短い時間の面接だけで私自身をどれだけ分かってもらえるのか疑問だった」と振り返る。
同じ時期に就職活動を始めた友人はいまだに会社回りを続けている。
インターンシップを通じ、「日本マクドナルドという会社とじっくりと話し合いができた」という田中さんはすでに入社後の自身の姿を具体的にイメージできている。
受け入れ半年
日本マクドナルドがインターンシップから始まる採用活動を重視するようになったのは若手社員の離職率を引き下げることが目的だった。
現在はこうしたミスマッチを防ぐだけでなく、実質的な“青田買い”として、インターンシップを実施する企業も多い。
例えば、サイバーエージェントが3月から参加者の募集を始めたインターンシップは四年制大学の1年生から大学院生までを対象とし、受け入れ期間は3カ月~半年に及ぶ。
優秀な学生には終了時点で事実上の「内定」を出すという仕組みだ。
定員は営業・企画部門で約10人、エンジニア部門で約10人。週3日以上の就業を条件とし、通常の採用選考に近い3次までの審査を実施し、参加者を決める。
インターンシップの期間中は社員と同じ業務を与え、週3日の勤務で16万円の月給も支払う。
学年や国籍不問
採用直結型のインターンシップを昨年から導入したファーストリテイリング傘下のユニクロは今年1月、さらに進んだ採用活動を始めた。
学年や国籍は不問。新卒と中途の区別もしない通年採用制度だ。
入社後半年で店長に昇格する例もあるユニクロでは「社員一人ひとりに経営者としての自覚が求められる」。
グループの人事を統括するファストリの若林隆広グループ執行役員はこう話す。
1月に始めた新制度には約1千人の大学1、2年生から応募があり、説明会には約500人が参加した。
学習院大2年生の木元美佳さん(仮名、19)もその一人だ。
入学当初からユニクロでアルバイトをしていたという木元さんの高校時代からの希望は国際展開する企業に就職することだった。
海外出店を加速するユニクロが学年不問の採用活動を始めると知り、「目の前にあるチャンスを逃したくない」と応募。
面接1回と東京本部でのインターンシップを経て、最終面接に挑んだ木元さんは1年生ながらも「内々定」を勝ち取った。
就職活動に区切りをつけた木元さんは「残りの大学生活では海外ボランティアや留学にチャレンジしたい」と話す。
今後もアルバイトとしての現場経験を重ねる一方、希望する海外勤務の実現に向けて、語学習得など自己研さんに励む考えだ。
採用に直結したインターンシップや学年不問の通年採用を打ち出す企業が相次いでいる。
即戦力の獲得やミスマッチの解消に効果があるとみる企業が多い一方、経団連が「採用選考に関する企業の倫理憲章」で抑制を呼びかけるなど評価は分かれる。
学生はどう考えているのか。実際に応募した学生の声を聞くと、目的意識をしっかり持った意欲的な姿勢が浮かび上がった。
入社半年で店長という例もあるユニクロ。インターンシップ経験者には即戦力との期待が大きい
同志社大4年生の田中由美さん(仮名、21)は5月の大型連休明け、来春の日本マクドナルドへの入社を決断した。昨年10月に採用直結型のインターンシップに参加。
今年に入って始まった採用担当者との面談を重ねていくうちに「日本マクドナルドで働く」という意思が固まったという。
「企業って? ビジネスって? 全くイメージできなかった」という田中さんにとって、インターンシップへの参加は就職活動を始めるにあたっての絶対条件だった。
10~11月に計6回、企業が収益を上げるための戦略づくりを体験。「提案書は何度も突き返された。でも達成感はあった。やっていけそうだ」と手応えを感じた。
年明けからの面談では「海外でもっと長く研修を受けたい」「広報の仕事がしたい」といった要望を採用担当者にぶつけた。面談の予定時間を大幅に超えて話したこともあったという。
「筆記試験や短い時間の面接だけで私自身をどれだけ分かってもらえるのか疑問だった」と振り返る。
同じ時期に就職活動を始めた友人はいまだに会社回りを続けている。
インターンシップを通じ、「日本マクドナルドという会社とじっくりと話し合いができた」という田中さんはすでに入社後の自身の姿を具体的にイメージできている。
受け入れ半年
日本マクドナルドがインターンシップから始まる採用活動を重視するようになったのは若手社員の離職率を引き下げることが目的だった。
現在はこうしたミスマッチを防ぐだけでなく、実質的な“青田買い”として、インターンシップを実施する企業も多い。
例えば、サイバーエージェントが3月から参加者の募集を始めたインターンシップは四年制大学の1年生から大学院生までを対象とし、受け入れ期間は3カ月~半年に及ぶ。
優秀な学生には終了時点で事実上の「内定」を出すという仕組みだ。
定員は営業・企画部門で約10人、エンジニア部門で約10人。週3日以上の就業を条件とし、通常の採用選考に近い3次までの審査を実施し、参加者を決める。
インターンシップの期間中は社員と同じ業務を与え、週3日の勤務で16万円の月給も支払う。
学年や国籍不問
採用直結型のインターンシップを昨年から導入したファーストリテイリング傘下のユニクロは今年1月、さらに進んだ採用活動を始めた。
学年や国籍は不問。新卒と中途の区別もしない通年採用制度だ。
入社後半年で店長に昇格する例もあるユニクロでは「社員一人ひとりに経営者としての自覚が求められる」。
グループの人事を統括するファストリの若林隆広グループ執行役員はこう話す。
1月に始めた新制度には約1千人の大学1、2年生から応募があり、説明会には約500人が参加した。
学習院大2年生の木元美佳さん(仮名、19)もその一人だ。
入学当初からユニクロでアルバイトをしていたという木元さんの高校時代からの希望は国際展開する企業に就職することだった。
海外出店を加速するユニクロが学年不問の採用活動を始めると知り、「目の前にあるチャンスを逃したくない」と応募。
面接1回と東京本部でのインターンシップを経て、最終面接に挑んだ木元さんは1年生ながらも「内々定」を勝ち取った。
就職活動に区切りをつけた木元さんは「残りの大学生活では海外ボランティアや留学にチャレンジしたい」と話す。
今後もアルバイトとしての現場経験を重ねる一方、希望する海外勤務の実現に向けて、語学習得など自己研さんに励む考えだ。